流行らせたいので縛りプレイをしようと思います。   作:正体不明の筆者A

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黒聖女と友達

 

 

「……いよっし!」

 

 思わず声が漏れる。今回の実力テスト、想像よりも結果が良かったんだよね。これも早苗に頼んで勉強会をしたお陰かな。もちろんお母さんからもゲームをやる許可を貰ったから、私も今日からNWOに参加することが出来るようになった。

 楓も早苗も結構進んじゃってるから、今から追いつくの結構大変そうだけど、私のゲーマー魂は今最高に燃え上がっている。早苗は無理でも楓に肉薄出来るくらいには頑張らないとね。早苗?ちょっと何言ってるか分からない。

 

「ふふ。これでようやく全員揃いましたね」

「だね〜。理紗は今日早速やるの?」

「もっちろん!ちょっと出遅れちゃったから早く追いつかないといけないしねっ」

「では、私と楓は原則理紗のバックアップもする方針でいきましょうか」

「うんうんっ。あと早苗は例の件調べて貰ってるしね」

 

 例の件?何のことだろう。この中じゃ私が一番NWOの知識が無いからいまいち言ってることが分からないんだよね。でも楓が早苗に頼むってことはきっとゲームの仕様に関する事なんだろうけど。

 

「そう言われるだろうと思いまして、既に候補を用意しておきましたよ」

「ほんとっ!?」

「えぇ。詳しくはログインしてから話すことにしましょうか。理紗にもその時に共有します」

「わ、分かった」

 

 な、なんだろう。でもなんだかすごくいや〜な予感がするのは私だけだろうか。

 

 

 

 第一回イベントが終わり、運営がどのように動くかと言うことを私達は予測する必要があります。例えばバランス調整についてなどですね。私はイベント終了後、楓もといメイプルからこのような相談を受けていました。

 

『バランス調整……ですか』

『そうなのっ。私も流石に無知でいるのは良くないかなぁって色々と調べてたんだけど、多分私の持ってるスキルのどれかが弱体化されるんじゃないかって話が出てきて』

『そうですね。無難なラインだとスキル【悪食】の弱体化が挙げられるでしょうか。具体的に言えば回数制限だとか』

 

 第一回イベントのハイライトを振り返っていて気がついたのですが、メイプルの戦法は運営の想定外を突いた戦法というイメージが先行していました。それに加えて、メイプルと同じ育成方針をすれば容易に誰であっても再現が出来てしまうと言う点が最大の問題です。

 

『【悪食】って盾に触れた相手を問答無用で吸い込んじゃうから、いざって時に使わないと無駄になっちゃうよなぁって思ってて』

『そうなると……新たな盾の入手が急務になりそうですね』

『うんうんっ。だからさ、イズさんあたりに新しい盾を作って貰おうって思ったんだけど、リーフなら良い素材を知らないかなぁって思って』

 

 

 

「……と言うわけです」

「なるほどね……そしてリーフの予想は見事に当たったと」

「えぇ。運営が弱体化するとしたらこの辺以外掛けようがないでしょうから」

 

 そしてここはゲーム内。私達3人は宿屋の一室で戦略会議を開いていました。議題はやはりメイプルの弱体化問題について。弱体化と言っても運営の苦肉の策と言うレベルの弱体化に過ぎない訳ですが。

 

 今回の緊急アプデの内容はスキル調整や要素の追加。主に私とメイプルに対する間接的な弱体化となります。

 一つ目は敵モンスターのAI強化。これはスキル【絶対防御】の取得を難しくするための調整と言えるでしょう。後私が初期の頃に行っていた強引なスキル上げも実質的にこれで封じられています。

 二つ目はスキル【悪食】の回数制限。これは一日10回までと言う物理的な制限が追加され、第一回イベントでメイプルが見せた無制限【悪食】を防止する意図があると思われます。

 三つ目はスキル【狂気反転】の取得難易度増加。必要となるスキルの回数が1,5倍となり、ほぼ人力での入手が不可能となる調整をされました。今の私ならこの難易度でも取得自体は出来ますが、他の方曰くそれは私だけであり他の人間ではまず取れない調整になったようです。

 四つ目は防御貫通攻撃の追加。これも実質的なメイプル対策調整で、これを使えばVITで軽減こそされるものの、誰でもメイプルの最低限のダメージを与えることが出来るようになります。

 

「予想通り今回のメインは実質的なメイプルの弱体化になるでしょう。そしてこれは私が事前に予想していたアプデ内容と完全に一致しています」

「リーフのスキルは他の人が取るのが実質的に不可能だから、下方修正は無いに等しい。でもメイプルはやろうと思えば誰でも出来てしまう。そこで大きく差が出たって事だね」

「はい。そして調整内容も明らかにバランスを壊していた【悪食】の一点に絞ってきました。これも私の予想通りです。【絶対防御】の実質取得不可能措置も理由はほぼ同じでしょう。そこでメイプル。私は代替策を考えてきました」

「よっ待ってましたっ!」

 

 今のメイプルに必要な物は何か。既存の盾とは別に、【悪食】を搭載していない強力な盾を手に入れる事だと私は考えました。

 ですがユニーク武器をそう簡単に入手することはできません。そんなものがその辺に転がっていたらこのゲームのバランスは早々に崩壊しています。そこで私が考えた作戦があります。

 

「まずメイプルにはとある装備を取りに行って貰います」

「とある装備……?」

「私が今所持しているこの武器、名前を『黒結晶』と言うのですが、これはとあるイベントをクリアすることで入手したユニーク武器になります。そしてこの特別イベント、各部機種ごとに最大一個存在している事が解析班の調べによって判明しています」

「と言うことは……大盾のユニーク装備があるって事だよね?でもさリーフ。これって既に取られちゃってたりするんじゃ無いの?」

「私もそのリスクは警戒していたのですが……」

 

 解析班曰く、このイベントのクリア条件を一般の大盾使いがクリアすることはほぼ不可能と言う結論に至りました。まず大前提として、私は意識していませんでしたがイベントには各フェーズごとに制限時間が存在します。

 この制限時間を超過した瞬間にイベントは失敗に終わり、どのフェーズまで進んでいようと最初からになってしまいます。各フェーズに出現するモンスターは100体ずつ。大盾使いはその名の通り守りに主軸を置いた方がかなり多く、もしAGIとSTRに熱く振った方であったとしても、大盾の大きさ故に精密な切り返しが難しいのです。

 今まで何度も挑戦者は存在しては居たようですが、未だに大盾でのクリア報告は一つも上がっていません。そもそも大盾使いで上位に居るのはクロムというプレイヤーのみであり、彼ですらクリアが出来ていないとなると、それ以外のプレイヤーが達成出来ている可能性は0に等しいでしょう。

 

「ですが、我らが似非大盾使いなら話は別です」

「似非じゃないもんっ」

「メイプルはたとえ【悪食】が弱体化されようと、広範囲スキルである【毒竜喰らい(ヒドライーター)】があります。敵の構成的に毒に耐性を持つモンスターが存在しないことを考えると、メイプルがこのイベントをクリア出来る確率はかなり高くなります」

「なるほどねぇ〜。つまりそこで手に入れた武器を新しいメイプルの盾にしちゃえって事だ」

「サリー。それは半分正解で半分不正解です。ふふ、私が誰かをお忘れになっては困りますよ?」

 

 私がその程度の武器で満足するほどのプレイヤーではない事くらい明らかな事実です。そして私はその布石を既に打ってあります。

 

「???どういうこと?」

「メイプルは面識がありますが、とある生産職の元に向かいましょう。彼女が詳しい事を話してくださるらしいです」

 

 

 

 私とメイプルはリーフの後に付いて街の中を散策している。目的地はとある生産職のお店らしい。生産職ってどっちかと言えばマイナー寄りだけど、こう言うゲームじゃ確実に需要がある職業だよねと思っている。

 そしてその生産職の人はリーフの防具デザインも担当してる人らしい。あの奇抜なデザインを出来る人が私達に話したいことがある……?なんだかすっごい嫌な予感がするぞ〜?

 

「到着しました」

「あっここってイズさんのお店だよねっ?」

「えぇ。今回彼女の力を借りてメイプルの新しい盾作りをしていただく事になりました。早速中に入りましょうか」

 

 リーフはそう言うと慣れた手つきでドアを開けて中に入っていった。私達もそれに続いていくと中は良くあるお店って感じの内装。そしてカウンターの向こう側にいるのは……

 

「あら、いらっしゃい。メイプルちゃんと……そっちの女の子はリーフちゃんから詳しい話は聞いてるわ」

「あ、はい初めまして。サリーって言います」

「私はイズ。ここでしがない生産職をしているわ。よろしくね」

 

 イズさんはニコニコとしながら自己紹介をしてくれる。この人がリーフの装備を作った人。ん〜見た目はただの柔和なお姉さんって感じしかしないけど。

 

「それでイズさん。例の件なのですが、本当に可能なのでしょうか」

「えぇ、出来るわよ。素材とお金はそれ相応に必要になるけれど」

「本当ですか。コホン……ではメイプルとサリー。具体的に何をするのかを説明していきます」

 

 リーフはそう言って今回の目的を私達に話し始めた。

 内容をざっとまとめると、特性【破壊不可】を持った装備に生産職の手を加える事で能力を強化出来ないかと言う内容だった。

 これがどういう意味かって言うと、特性【破壊不可】は絶対に壊れないという特性であり、これは何をしても傷一つ付かないと言う事を示してるらしいんだって。それならば生産職がどんな無茶な改造をしても、壊れずに能力だけを強化出来るんじゃないかって。

 

「本当は既存の武器に能力を追加するって凄く大変な事なのよ。ほとんどの確率で武器が壊れちゃったりするからてっきり私は出来ないモノだとばかり思ってたんだけれど……」

「特性【破壊不可】はこの改造にすら耐えてしまう事が判明して事態が急変しました。壊れないのですから技術さえ伴って仕舞えば容易に達成が出来るだろうと」

「やってみたら案外何とかなるものね。と言うわけで〜。今からその実験も兼ねて素材集めをしてきて欲しいのよ」

 

 な、なるほどね。つまり実質的に武器の改造が出来るようになったから、メイプルが取ってきた武器をイズさんが素材とお金を使って改造。それをメイプルの新たな装備にしちゃおうって訳だ。……いやほんとよく思いつくなぁ。

 ちなみにやろうと思えば防具でも可能らしいんだけど、この改造には通常とは比較にならない素材量とお金が必要らしいから、最低限の武具に留めておくのが賢明らしい。後単純に生産職の負担が大きいって言うのがあるかな。

 

「イズさんっ。それで私達はどんな素材を取ってくれば良いんですかっ?」

「そうねぇ……第一層にある地底湖に生息しているモンスターの鱗が必要ね。数は……500くらいあれば足りるかしら」

「ご、500……ひぇ〜大変だぁ」

「分かりました。それではここからは二手に分かれましょう。メイプルはイベントが起きる祭壇でまず武器の収集をして来て下さい。私とサリーは地底湖での素材収集です。サリーには早速色々と手伝わせてしまう事になりますが……おっとこれは後のお楽しみにしておきましょう」

 

 え、何々めちゃくちゃ気になるんですけど。リーフは口元に手を当てて優雅に笑ってるけど、これ面白いおもちゃ見つけたときの反応だって分かっちゃうんだよね〜……あれ?私のこれから色々と大丈夫?

 

 

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