流行らせたいので縛りプレイをしようと思います。   作:正体不明の筆者A

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黒聖女と邂逅

 

 

 <NWOアップデート情報!!>

 ・新階層である第2層を追加!今度の階層は謎の建物が立ち並ぶ階層だぞ!砂漠に荒れ地など新たな世界が君を待っている!?

 *第2層の解放には第1層のボスを撃破する必要があるぞ!パーティでも個人でも攻略して新たな冒険へ出発しようっ!

 

 

「思ったより早かったねぇ」

「緊急アプデのときもそうでしたが、やはり第一回イベントの影響が大きいのでしょうか」

「かもね〜」

 

 私は理紗とNWOの運営サイトを見ながら通話をしています。実装日はなんと明日の9時。幸い休日になりますので私は初動から張り付く事が出来ます。

 ですが実装が予想以上に早いですね。まだ楓もといメイプルの武器素材の収集、および理紗もといサリーのダンジョン攻略が終わっていません。これが終わらないことには私達全員で第2層に向かうことは難しいと言わざるを得ないでしょう。

 

「まぁ早苗の事だろうから最速でやりたいだろうし、私達は私達でのんびりやるから先に行って良いよ」

「よろしいですか?」

「うん。その代わり、色々と新階層の事調べておいてね」

「分かりました」

 

 理紗からそう言われてしまっては仕方ありませんね。お二人のためにも最速で第2層に向かわないといけなくなってしまいました。

 そうとなれば早速翌日に備えて寝ることにしましょうか。明日は余裕をもって7時には起きないといけませんね。メンテナンス明けに速攻で潜り込めるようにしなければなりませんので、そこまでに朝ご飯などの準備も終わらせておきましょう。

 

 

 

「ふぅ……」

 

 翌日。私はメンテ明けのNWOにログインしました。もうすでに新階層に繋がるダンジョンは解放されているでしょう。場所は運営サイトで事前に告知されているため早速向かうことにしましょう。

 それにしても新階層ですか。フィールドの規模感としてはこの第一層と同じくらいの広さらしいですから、探索範囲が今までの単純で倍になると言う事です。まだまだ第1層も完全に探索し切れていないので、今までより効率的にマッピングを進める必要があるでしょう。

 

 今回の新アプデ。ネットの反応は概ね好評とのことですが、やはり新階層に最速で行ける人間は限られているようです。ネット民の予想よりも実装時期が早かったのが影響しているようで、かなりのユーザーが新階層突入が遅れるだろうとの予測が出ていました。

 ですがこの中でも最速で第2層に辿り着くと言われているプレイヤーが2人居ました。それが私とペインの2人です。現環境においてメイプルを除く最強プレイヤーと目されているのがこの2人だというのが理由らしいです。

 そして私の予想ですが、ペインは私と同様にほぼ最速でゲームにログインしているはずです。彼の噂に聞く人柄を聞くにそれは間違い無いでしょう。と言うことは、この先起きる出来事も概ね予測がつくのではないでしょうか。

 

「……ふふ。やはりですか」

 

 第1層ボスダンジョン前。私とほぼ同時のタイミングで一人のプレイヤーが到着していました。目立つ金髪、大きな両手剣、白と青を基調とした鎧。まさにRPGで描かれる勇者を体現したようなその姿。

 

「ふっ……どうやらお互いに考えている事は同じようだな」

 

 プレイヤー名をペイン。現NWOにおいて私と共に最強と言われるプレイヤーの姿がそこにはありました。

 

「貴方の事ですから、最速でボスに挑むであろう事くらい予想通りでした」

「こちらこそ、君ほどのプレイヤーなら誰よりも早くボスに挑むだろうと思っていたさ」

「さて、本来であればここでどっちが先か決闘の一つでもして決めるべきでしょうが、そんな時間が無駄なことくらいご承知のことだと思います」

「あぁ。今の俺たちは別に決闘が目的ではない。本気のぶつかり合いはしかるべきイベントが来るまでお預けで良いだろう」

 

 今の私達が望むことはただ一つ。一刻も早く第2層に辿り着くことのみ。それならば今の私達がすることはただ一つです。

 

「貴方に言うべき事ではないでしょうが、私は少々マルチプレイが苦手なようですので、上手いこと付いてきてくださいね?」

「君こそ。噂に聞く実力、しかと見させて貰うよ」

「ふふ、無論です」

 

 私達はそれだけの会話で即席のパーティを組み、共にダンジョンに突入することになりました。ダンジョンへの道が開き、まっすぐに続く道が見えたその瞬間、私達は息を合わせたかのように同時に走り始めました。

 さて、私は役割的には僧侶という立ち位置になっています。普段はソロで動くことが多いため活かす機会は少ないですが、様々なサポートスキルを大量に取得しております。

 そしてペインは言うまでも無くメインアタッカーです。私は彼のサポートを行いながら、彼の死角をカバーするようにして動くことが求められます。

 私は【狂気反転】の効果で様々なデバフスキルの効果を反転させることが出来ます。このゲームは原則的にバフスキルよりデバフスキルの方が効果が盛られがちと言う仕様が存在します。故に私は、彼に反転させたそれらのスキルを徹底的に掛けていくことになります。

 

「それが噂の【狂気反転】と言う奴かっ」

「うふふ、貴方に万が一の不覚も取らせはしませんよ」

「心強い一言だなっ」

 

 私は彼にひたすらバフスキルを積み続けます。ステータス増加、身代わりの結界、リジェネにMP回復。私がアタックに参加せずとも彼一人だけで効率的に敵が捌けるようにしてあげるだけです。

 道中の敵は彼が8割、私が2割を担当する形で処理していきます。基本的に近距離主体の敵が多いですが、たまに遠距離攻撃を使う敵もいますから、私がそれを速攻するわけですね。そしてこれを足を止めずに行う必要があります。

 敵の数こそ多いですが、こんな調子の私達の前には赤子の手を捻るも同然。あっという間にボス部屋手前まで辿り着きました。お互いに一度アイコンタクトを取り開いた空間の先に歩みを進めます。

 

 フロアの奥にある滝のようなオブジェクトから地鳴りと共にボスが姿を現し始めました。フィールドが木の中のようなものであったのに似てか、ボスは木の幹から生まれたかのような鹿型のモンスターでした。

 

「さて、君はこのモンスターをどう分析する?」

「まずは一発殴ってみれば分かるでしょう。【毒竜(ヒドラ)】」

 

 私がスキルを使い威嚇射撃も兼ねて敵への攻撃を行います。するとすぐにボスモンスターはその性質を露わにしました。三つ首の竜の一撃を防ぐ結界のようなもの。ボスはそれを展開してこちらの攻撃を完全にシャットダウンしてきました。

 

「なるほど。ですが弱点もまた然りと。ペインさん。私があの結界を破りますので、本体への攻撃はお願いします」

「あぁ!」

 

 ボスも負けじと私達へ攻撃を仕掛けてきます。ボスの繰り出す巨大な根っこ攻撃を回避し、結界の弱点へ攻撃するチャンスをうかがいます。何せ私、端っこに掠っても死んでしまうほどに脆いですからね。

 結界の弱点は端に存在しているリンゴの様な果実です。あれを全て落とすことで恐らく結界を破ることが出来るのでしょう。私は敵の攻撃を避けながら壁を走りつつ、敵の攻撃が来ない場所まですぐに駆け上って行きます。

 

「ふふふっ!では速攻と参りましょうっ!【狂気反転】からの【神龍】っ!」

 

 スキルを発動し、三つの果実に向けて同時に白きブレスを吐き出します。このブレスはパーティメンバーのペインに当たっても無害なブレスであるため、下層全域を包み込むように発動します。

 彼はブレスが結界に直撃するタイミングを見計らい、敵の攻撃に乗じてボスへのマウントポジションを確保します。ブレスが結界に直撃し結界が破壊されたのを確認した彼は、即座に攻撃態勢を整えました。

 

「はぁっ!!」

 

 彼の一撃がボスにクリティカルヒット。私のスキルでバフも掛かっていたのと、スキル威力の大きさが故か、ボスの体力を一撃で削り取ってしまいました。ボスは力なく倒れるとそのままポリゴンとなって消えていきました。

 

「ふぅ……」

「お疲れ様でした。さすがの威力でした」

「君のバフあってこそだ。感謝している」

 

 私達は近くに寄りお互いの健闘を称え合います。そしてやはり、ペインというプレイヤーが強いと言う事を再認識させられました。スキルだけで無く、立ち振る舞いにまで隙のひとつも感じる事がありませんでした。

 彼が強いのは、ひとえにスキルの力だけではなく、それを下から支えるPSの高さにあるのでしょう。NWO最強の名は伊達では無いと言うことです。まぁ私とて負けてやるつもりはないのですが。

 

 

 

「リーフか……」

 

 彼女の力を借り、俺は新たな階層へと足を踏み入れた。仮のパーティを解散し彼女と別れる。彼女は俺に一礼すると目にもとまらぬ速度で何処かに消えていった。

 俺は今日目の前で彼女のプレイングを目にした。改めて異次元の存在だと思わざるを得ない。道中彼女から様々な話を聞いたが、それを踏まえてもなお俺はそう感じていた。

 

 まず第一にスキルとPSのかみ合いだろう。【索敵結界】と言うスキルを彼女は定期的に使っていると言っていたが、それを抜きにしても彼女の索敵能力は高いと思われる。俺でさえ視認出来なかった遠方の遠距離モンスターを見つけて殲滅していた。

 そして何より彼女が凄いと思う理由は、そのシチュエーションごとに適切なプレイングを実現出来る点にあるだろう。彼女は基本ソロで行動しているらしく、その時は攻撃メインに、あくまで俺を引き立てようとする今回の行動の時は、徹底的に補助魔法を連打してのサポート。そして俺ではなせない広範囲同時攻撃。

 

 彼女とパーティを組んで一番に感じたのが、戦いやすいと言う感想だった。彼女は息を吸うように俺の動きに合わせ、その都度適切なサポートをしてくれていた。これがどれほど難しいかは補助魔法使いなら誰しも感じるだろう。その手のプロであるフレデリカですら到達できない領域だ。

 それに加えて彼女は俺の動きを常に観測し、広範囲攻撃の調整兼攻撃を行っていた。そしてその動きは一切の守りを捨てた捨て身の特攻とも言えるべき動きであり、まるで被弾することを恐れていないかのような動きだったと感じている。

 

 恐らくだが、リーフというプレイヤーは恐れるものが一つもないのだろう。被弾への恐怖やハイリスクな行動に対する恐怖が存在せず、常にその場面ごとに最適かつもっとも合理的な行動を取れるプレイヤーなのだろう。

 そして彼女はそれが出来るほどのPSがある。だから守りを捨てても生還するし周りに最大限気を配ることができるのだ。

 

「はは……まさしくバケモノって事か」

 

 今の俺があの領域に立つのに、果たしてどれほどの屍を積み重ねる事になるのだろうか。似たような動きは出来るだろう。模倣するだけなら俺でもできると自負している。

 だが、あそこまで振り切ったプレイをすることは今の俺には出来ない。人間たるもの何処かでリスクを考えてしまうものだ。ここはゲームの世界だからと全てを割り切る事が出来るように、本能的恐怖心を抑え込むことが出来なければ、彼女の領域に到達することは出来ないだろう。

 

「なるほど……俺が目指すべきは、あの境地なのか」

 

 彼女に勝てるなんて烏滸がましいことを言うつもりは無い。そもそも彼女は今回本気を出していないのだ。本気の彼女はバフを掛けながらこちらに致命の一撃を繰り出すことくらい余裕だろう。

 だが、あの境地に少しでも近づければ、俺はもっと強くなる事が出来る。そう言う確信が心の中にあった。

 

 




 今作は恋愛をやるつもりはありません。そう言うのはまたいつか書くかもしれない別作品にてやりますので。でも金髪勇者と黒髪聖女の並びは非常に尊いですよ。AI生成で似たようなイラスト生成して厄介オタクになりかけました訴訟(自爆定期)
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