流行らせたいので縛りプレイをしようと思います。   作:正体不明の筆者A

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 原作ではあんまり無かったリアル現実の話。二次創作だからこそ出せる味って事で少し頻度高めに書いていこうと思ってたり。主人公が女だから絡ませやすいのもポイント高め。恋愛を無理に書かなくて良いし。


黒聖女と現状報告

 

「いらっしゃい早苗」

「お邪魔します理紗」

 

 NWOのアプデが来た翌日。私は訳あって理紗の家を訪れていました。どうやらご両親は週末の買い物に行かれているようですね。

 私は理紗の部屋に入り、肩に背負ってきた鞄を床に下ろします。被っていた青色のベレー帽を荷物の側に置き、少しだけ服装を緩めておきます。理紗はキッチンでお茶を用意しているようです。付け合わせのお菓子を持ってきたのは正解でしたね。

 

「お待たせ。お〜それ駅前の地下街で売ってるお高いクッキーじゃん」

「たまたま機会がありまして。一人で食べるのももったいないでしょう?」

「あはは。早苗らしくないこと言うね〜っ」

「最近はせめてリアルでは協調性を持とうと努力していますよ」

「私と楓以外友人居ないのに?」

 

 ぐはっ……それを言われると何も言い返せません。し、仕方ないではありませんか。私は家柄や性格が災いして上手く人と関わってこなかったのですよ?最近こそ理紗や楓と上手く友人付き合い出来ていますが、これでも十分な成長なのです。

 

「ま、今更早苗の身辺語りはどうでも良いとして」

「人の17年の人生をどうでも良い呼ばわりされたのですが」

「でも正直他人の人生譚聞かされたって私の人生には影響出ないじゃん」

「正論止めてくれませんか?」

「まぁそれは流石に言いすぎかなぁ。でも結局早苗の人生って素面で聞き取ると頭イカれそうになるし、そのくらいで流しておいた方が楽なんだよね」

 

 理紗は私の事をなんだと思っているのでしょうか。それを言うなら理紗も色々と狂っているではありませんか。棚に積んである大会のトロフィーが全てを物語っています。

 まぁそんな話はこの際どうでも良いのです。今日はただ友人との駄弁りをしに来ただけではありませんからね。理紗が淹れて来たお茶を飲みながら、私は鞄に入っていたタブレットを取り出します。ここには今日の話題となる情報がわんさか詰まっているのです。

 

「はむっ……ん〜美味しいねこれ。甘すぎずちょっと塩味って言うのかな?このバランスでお茶が進むね」

「ご好評の様で何よりです。それで理紗、約束通り資料を一通り持ってきましたよ」

「おっ早いね〜。情報収集は早苗に任せておけば安心安心。ティータイムでもたしなみながら読ませて貰うよ」

 

 先日第2層が解放され、ますます要素の増えてしまったNWO。理紗からはかねてより情報収集や仕様解明などを頼まれていましたが、その暫定結果がようやく出た形になります。

 資料と言う名のワープロは、全4章で構成されています。第1章はNWOにおける基礎的な仕様について。第2章は取得出来るスキルの詳細について。第3章はフィールド探索によって生じる効果やクエスト、その他イベントについて。第4章は現状のプレイヤーによって見つかっているスキルビルドや使用者の判明している情報、およびこれからの彼らの変化に対する私の推論を掲載しております。

 調査方法ですが、これは主にネットの海に転がっている情報の精査から始まり、解析班が出している情報解析・分析し、私のプレイに影響が出ない範囲での取得や体験を元に作成されております。

 

「はぇ〜またこりゃ〜すっごい資料だなぁ」

「調べるより纏める方が時間かかりました。理紗にお駄賃を要求します」

「後で駅前のスイパラ奢ってあげるよ」

「ふふ、大人しく釣られてあげましょう」

 

 最近私にはカロリーが足りないと自覚し始めましたので、今までよりも3倍近くの食事を取るようにしました。成長期を過ぎたのでこれ以上のバストアップが見込めるかは分かりませんが…………まぁなるようになるしかないでしょう。

 と言うかそれを抜きにしてももう少し体重が欲しいです。身長170cmに対して体重43キロは痩せ過ぎなのですよ。せめて54キロは欲しいところです。60キロを超えなければVRプレイに支障も来さないでしょうし、そもそもどんだけSTRを上げても線が細かったら意味がありませんからね。

 

「ふむふむ……第1層はほぼほぼ調べ終わった感じ?」

「えぇ。第2層は所詮昨日の12時間程度で調べた程度の情報量しかありませんから。マッピングと施設情報その他しか集まりませんでした」

「まぁ仕方ないよねぇ……12時間ぶっ続けでやり続けるのはおかしいけどね?」

「理紗もVRで12時間くらい余裕でしょう?」

「私は疲労感を伴ってギリギリってだけで、早苗みたいにピンピンはしてないから」

 

 ふむ……ですがペインもあの後相当な時間ログインしていたらしいですし、そこは大した問題にはならないと思いますが。ちなみにあの後パーティプレイで5人以上の徒党を組んだという形ではありますが、30人相当が第2層への到達を果たしたらしいです。

 私とペインはやはり掲示板を見る限り最速での到達となったようですね。一部で私達が共に洞窟に入る姿が目撃されていたらしく、世界の終わりだと嘆かれている方が多数いらっしゃいました。酷いですね、私とペインが共闘しても全プレイヤーを相手取るのは流石に不可能ですよ?

 

「ふむふむ……にしてもよく調べたねプレイヤーの情報とか」

「世の中愉快犯で色んな情報を調べている狂人がたくさんいますから」

「私の目の前にもいるけどね?」

「失礼ですね理紗。私をあのレベルの狂人と同じにしないでください。私は流石にプログラム解析まではしていませんから」

「早苗。世の中知らない人間にはどっちも同じにしか見えないんだよ?」

 

「やはり今注目されてるのはペイン、ドレッド、ドラグ、フレデリカを中心としたトップ層。魔法使いミィを筆頭とした炎帝の国と呼ばれるグループ。そして個人勢でメイプルとリーフねぇ」

「まぁ私と楓は概ね同一グループとして見なされているようですが、私も楓も単体スペックが高いのでそこまで群れる必要が無いんですよね」

「まぁねぇ……プレイヤーの今後の行動予想なんてどうやって考察したの?」

「最近私はペインさんとは一度共闘したと言うのもありますが、そのプレイヤーの性格的傾向やプレイ方針。周囲の環境にゲームの仕様。それらを融合して考察を立てています」

 

 例えばペインの例が分かりやすいでしょう。彼は現状私を除けばNWO最強のプレイヤーと言われています。彼は大剣もとい両手剣使いのメインアタッカー。守りよりも攻めを重視するプレイヤーです。

 彼の最大の特徴はスキルだけで無く素のスペックの高さにあります。どんなに強力なスキルや装備を有していても、それを扱える技量が無ければ有効に活用することは出来ません。彼はその両辺が完璧にこなせるからこそトッププレイヤーの地位に君臨しているのでしょう。

 

 そして彼は負けず嫌いの努力家であるという点です。彼が私やメイプル(楓)に興味関心を抱いているのは、私達がいずれ彼にとって最大の障壁となることを彼自身が理解しているからでしょう。

 メイプルはそのインチキじみた硬さとスキルシナジー。私は単純な速度とPS。正反対の位置にあるプレイスタイルの極地のような存在です。その様な現状を鑑みて彼が今後どのような対策を打ってくるのでしょうか。

 

「まずメイプルもとい楓の対策ですが、第一に防御貫通攻撃の取得が挙げられるでしょう」

「どんなにペインさんがアタッカーとして上位だったとしても、楓のVITを貫通出来なきゃ無意味って事ね」

「はい。これは後々私や理紗にも関わってくる話ですが、楓はもはやでたらめかと言うくらいによく分からない性能をしています。私はかろうじて【狂気反転】で対抗こそ出来ますが、それも完全な対策ではありません」

「そして現状楓対策として有効なのが防御貫通攻撃。確かにダメージ軽減こそされるけどダメージは通るから、高威力で押し通せば何とかなっちゃうって事だ。矛盾論争って事になるね」

「異次元の防御力には異次元の攻撃力で対抗。脳筋思考は今も昔も変わりません」

 

 そして私を意識した対策ですが、恐らく単純なプレイ時間だと考えられます。ペインは私と正面で打ち合った時の勝率と言うのを頭に持っているはずです。そしてその勝率を上げる最も効果的な方法が、単純にゲームが上手くなる事だと私は考えました。

 私とて負けてやるつもりはないですが、私が彼にPSで完全敗北をした瞬間こそが私が彼に負ける瞬間だと考えています。これは世間的にRTA競争と同じ原理だと考えています。どんなに理不尽なスキルを持っていようと、所詮最後はプレイヤー同士の殴り合いで全てが決まるのです。

 そして彼は確実にそれを成し遂げようとするはずです。それだけの情熱が彼の心の中には存在します。だからこそ私も負けていられないのです。彼の存在を一言で表すなら好敵手。それも高次元領域で繰り広げられる争い事なのです。

 

「確かに理屈は通ってるね。ほんとこういうところは驚異だなぁ早苗は。じゃあ問題。私の対策を簡潔に述べてみよ」

「スタミナですね」

「うぐっ……確かに早苗と比べると私はスタミナ不足が顕著かも」

「理紗はPSが異常に高い高速アタッカーです。並大抵のプレイヤーではあなたの一撃を捉えることなど出来はしないでしょう。ですがこれが消耗戦となると話が変わってきます。確かに一般プレイヤーと比較するとそのスタミナは異次元の領域にいますが、かといって一人で12時間も全速力で駆け回れるほどのスタミナは無いでしょう?」

「ふふ……流石に早苗には全部バレちゃってるか」

「ですので、私が理紗と相対したらまずはスタミナ切れを狙うと思います。理紗の攻撃を徹底的に捌いて、こちらからも致命にならない程度の攻撃を間髪置かずに続ける。理紗は回避行動を取りながら攻撃する隙を伺うはずです。ですがそんなものがずっと続けられるほど人間は完璧に出来ていません。いずれ何かしら隙が生まれるものですから」

 

 それに理紗クラスのアタッカーともなると、必然的にグループのエースになる可能性が高くなってきます。エースである以上最もアグレッシブに動く事が求められてくるでしょう。それが短時間、平均して2,5時間程度であれば問題はありません。

 ですが今後数日間にかけて行われるイベントが行われた場合、理紗にかかる負担は想像を遙かに超えるでしょう。理紗にしか出来ない事がゲームには多すぎるのです。そこで問題になってくるのがスタミナ。理紗はどこまで行っても等身大の女子高生なのは変わらないですから。

 

「ですので、私がそれをサポートすれば良いという話になります。理紗だけでどうにもならないことを、私がカバーしてミッションを遂行する。これだけで理紗の弱点はほぼ消えたといっても過言ではありません」

「へぇ、言うじゃん。まぁ早苗ならそれが出来ちゃうからね。信頼してるよ、人外さん?」

「装備の獲得が終わったと楓経由で連絡が来ました。いよいよ第2層へのアタックですね」

「事前情報は十分得たし楓のサポートもある。早苗にだけ先には行かせないからねっ」

 

 理紗は良い笑顔でそう言ってくださいました。ふふ、それでこそ認め合った好敵手(とも)です。

 

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