流行らせたいので縛りプレイをしようと思います。   作:正体不明の筆者A

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 新しく設定が生えております。詳しくは第1話を参照ください。


黒聖女と秘法

 

 

 そう言えば私がスキルを選ぶ基準について話した事がありませんでしたね。私がゲームをする際に意識する事ですが、それはただ単に強いスキルを詰め込むだけでは不十分ということです。

 

 例えで言えば某ポケットなモンスターを育成するゲームが分かりやすいでしょう。あのゲームにおける育成方針と言うのは、ただ単に強い技だけを詰めれば良いと言うわけにはいきません。

 そのやり方が通用するのは小学生環境だけでしょう。ではどういう考え方をするか。まず第一にモンスターの適正をしっかり見極める事が必要になります。そこからそのモンスターが最も強く使える方法を考えることになるのです。

 例えば物理耐久が高いモンスターはさらにその硬さを増強させる育成をしたり、高速高火力アタッカーは攻撃と素早さに全振りしてエース運用したり。後は所謂役割破壊構成にして敵の意表をついてみたり。

 私は誰も考えの付かないような意表を突けるモンスターを最低でも1匹パーティに仕込むのが好きなプレイヤーでした。人間と言うのは意識外の現象を目の当たりにすると思考が乱れると言う性質があります。

 

 これもたとえ話になりますが、相手が盾使いでがっちり守ってくるタイプだと思っていたら、突然超高速広範囲で攻撃して来たらどうなるでしょう?当然攻めようとしていた側はイレギュラーに直面する事になります。

 しかもそんなプレイヤーに限って大体一撃の火力が高いのです。しかも盾使いと言う事でしっかり守りまで出来てしまうと。そうなってしまったら対応が遅れた側の運命はもはや記述するに能わない程悲惨になると思います。

 分かりやすい例がメイプルです。メイプルはもはやインチキの限りを尽くしたイレギュラーで構成されています。第1回イベントなんてもうそれは悲惨なことになっていましたね。攻撃は全部弾かれて、麻痺させられて、毒になって、最後は全部その禍々しい盾に食われてしまう。こんな盾使いがいてたまるかと全プレイヤーが思ったはずです。

 

「さてと、周囲にプレイヤーはいませんね……」

 

 そして現在の私の構成は物理が出来るヒーラーと言う事になっています。最近は情報流出にも気をつけているので、私の基本構成は第1回イベント以降一切周知がされていないはずです。

 そんな私が全く別のスタイルで攻撃し始めたらどうでしょうか。元々のスタイルでも当然私は脅威と判断されてしかるべきでしょうが、あくまでパーティ単位で見たらサポート職の域を出ないはずです。私のプレイスタイルはペインを経由してプレイヤー達に共有されているでしょうから。

 

 <クエスト【神の託宣】を受注しますか?>

 <了承>

 

 そんな私にとっての役割破壊を成し遂げる第一段階として、私はこのクエストを選びました。そして私にはこのクエストでどんなスキルが入手出来るかの大まかな予測が付くのです。

 クエストは寺院にある女神像らしきもので受注することが出来ます。本来は大前提として、聖属性と言う属性を持つ攻撃でモンスターを大量に倒してから、この女神像に指定のアイテムを20種類納品、そしてこの周辺のモンスターを合計で500体撃破する事で受注することが出来ます。

 これの最大の問題点は当然アイテム納品であり、当然の権利の如くこの内容は非公開でプレイヤー自身で探さねばなりません。噂では超低確率で入手出来るとされるアイテムが必要だとかなんとか。

 

 ですが今回は話が違います。クエストを受注すると私が持っていた聖騎士の銀貨が白く輝き始めました。その光に呼応してか、女神像の上方に光の塊が顕現し始めます。これは恐らく序章を経由したプレイヤー限定の演出であり、今回私が予測していた事態でもあります。

 

『私を呼び覚ますのは貴方ですか?』

「えぇ」

『貴方が持っているそのメダル、それには強き博愛の力が宿っています。その力があれば私の力を貴方に授けることが出来るでしょう』

「ですが一筋縄にはいかないのでしょう?」

『はい。私の力は強大故に周囲のモンスター達を集めてしまいます。貴方にはこの像を攻撃しようとするモンスターの排除をお願いしたいのです。よろしいでしょうか?』

 

 私は当然その返事を了承する。女神らしきNPCは銀貨を受け取り一旦存在を消します。すると私のスキルがこの像に迫るモンスターの影を捉えました。

 

『さぁ聖なる者よ。邪なる軍勢を抑え世界に安寧をもたらすのです』

 

 女神の言葉の後周囲のエリアが光る魔法陣に覆われイベント戦が始まりました。集まってくるモンスター達は皆幽霊やアンデッドと言われるモンスター達。しかも全方位から女神像を破壊すべく進軍してくるのです。

 

「さぁ……新たなる力の先へ向かうとしましょうかっ」

 

 

 

「ん〜……リーフ遅いね」

「あの子の事だから何処かで油でも売ってると思うんだけどね」

 

 私とメイプルは今日、無事に第2層にやって来ることが出来た。本来はリーフと待ち合わせして第2層の案内でもして貰おうと思ったんだけど、その肝心のリーフと連絡が取れてなかったりする。

 元々リーフって何かしてるときって連絡に出ない子ではあったけど、これはよほど訳ありな事があったと見るのが一番かな。まぁ取りあえず私達は街中で見つけたカフェで一息吐いている。さっきまでボス戦やってたりして結構大変だったからさ。

 

「う〜ん。リーフのことだから何もせずに戻ってくるわけは無いと思うんだよねぇ」

「同感。まぁあの子所謂先発組だから色々と調べも付いてるわけだし、新要素絡みの何かなんじゃないかなって思うんだよね私は」

「まぁそれは私も同感かなぁ。まぁ私達は私達で楽しんじゃうもんねっ」

 

 そうだね。リーフにはリーフのやりたいことがあるわけだし、それが終わってからこっちの用事を何とかして貰うのでも良いかも。そんなことを思いながら注文したケーキを頬張っていると、フレンド欄のチャットに通知音が鳴った。

 

「んん……?あ、リーフから連絡だ」

「えっなになにっ?」

「ちょっと待ってね……今カフェに他の人がいるか?ん〜取りあえず居ないけど……」

 

 リーフ:サリー。こちらの用事は終わったのですが、今は恐らく第2層のカフェに居ると思われます。そこでお伺いしたいのですが、そのカフェに今サリーとメイプル以外のプレイヤーはいますでしょうか?

 サリー:取りあえず今のところはいないよ。みんな探索にでも出かけてるんじゃないかな。

 リーフ:ありがとうございます。今すぐ向かいますので少々お待ちください。

 

 ???どういうことだろ。まぁリーフクラスだと情報流出とかも気をつけてるんだろうけど。そもそも今私達がカフェにいるのが分かってたって事?それはそれでちょっと怖くない?私達の行動全部読まれてるって事でしょ?

 取りあえずメイプルにも伝えてしばらくカフェで待っていると、影の扉が開いて中に1人のプレイヤーが入ってきた。目元や身体を隠すように白い外套みたいなのを羽織っているけど……

 

「リーフって変装下手だよね」

「む、これでも今できる最大の隠し方をしたのですが」

「あっリーフ待ってたよ〜っ!」

 

 そのプレイヤーは案の定リーフだった。確かにそれなら一般プレイヤーならごまかせるけど、長い付き合いになる私達に対しては無力だったね。リーフはそのまま私達の席にやって来ると、私の隣にそっと腰を下ろした。

 

「事情はすぐに話しますが、まずは私もティータイムと参りましょう。ここの店だと……これとこれが良いですね」

「へぇ〜チーズケーキとカフェモカが美味しいんだ」

「えぇ。やはり店ごとに人気になりそうなメニューをばらけさせているようですね」

 

 リーフはそう言いながら届いたケーキを食べ始めた。う、確かにとっても美味しそう。ていうかリーフの食べ方が優雅過ぎてこっちが見とれちゃうくらいだよ。

 それにしても、なんでリーフはこんな身体全体を覆うような外套を羽織ってるんだろう。こんな装備リーフは持ってなかった気がするけど。でもフードのスキマから見える顔は何か前のリーフとはどこか違うような気もするし。

 

「さて……では予定通り人も居ないことですし、私が今までしていた事を説明しましょう」

「ん?予定通り〜?」

「はい。このカフェはこの時間が一番空いているのですよ。近くにある料理屋とかの方に客が流れていくので。その代わり密談をするには丁度良い場所と言うわけです」

「て言うことは、これからリーフさんが話したいのは公には言えないことって訳だね」

「はい。まぁまずは私の衣装を見て貰った方が早いですね」

 

 リーフはそう言うと装備画面から外套を外して中の装備を見せてきた。

 

「あれ?今までの装備と違うよ!?」

「なんて言うか……大人しくなった?」

「サリーはいちいち失礼ですね。ですがまぁある種間違ってはいないでしょう。これが今回の私の成果品となります」

 

 リーフはそう言いながらステータス画面を見せてきた。その中に見慣れないスキル名が一つ。これが恐らくリーフが見せたいものなんだろう。

 

 <光の長双剣>

【破壊不可】

 STR+30,AGI+10

【光の剣戟】

 

 神聖騎士シリーズ

 <聖女の月桂冠>

【破壊不可】

 INT+40

【聖なる旗印】

 

 <神聖騎士の鎧>

【破壊不可】

 DEX+40

【神なる聖域】

 

 <神聖騎士のブーツ>

【破壊不可】

 AGI+40

【革命の健脚】

 

【神聖騎士の秘法】

 1日に1回自身の性質を聖属性に改変する。

 ・入手条件

 クエスト『神の託宣】をクリア

 

「これは……?」

「今私が身に纏っている装備、通称神聖騎士シリーズと言いますが、これはスキル【神聖騎士の秘法】と言うスキルにより変更された装備となります」

「ん〜……?つまり、このスキルを使うと一時的に装備が変更されるって事だよね?」

 

 て言うか【神聖騎士の秘法】の説明が中途半端過ぎてよく分かってないけど、要は装備変更スキルって事だよね?クエスト限定入手って事でかなりのスペックではあるけど、これがそんなに隠さなきゃいけないスキルなのかな?

 

【光の剣戟】

 剣に光を纏わせ1時間の間自身のSTRを20%上昇させる。

 

【聖なる旗印】

 30分の間、自身から半径3km圏内に存在する味方の全ステータスを10%上昇させる。再使用に3時間かかり、1日3回まで使用可能。

 

【神なる聖域】

 自身に3枚の結界を張り、ダメージを3回無効にする。3時間経過で再使用可能になる。

 

【革命の健脚】

 発動後1時間の間、自身のSTRとAGIを20%上昇させる。3時間経過で再使用可能になる。

 

「あ〜……何となく言いたいことが分かったよ」

「ん〜どういうこと〜?」

「メイプルにも分かりやすく説明しますと、この【神聖騎士の秘法】はスキルを内包する装備を自身に装備させると言うスキルになります。つまりスキルを使用しない限りはこの装備を完全に隠すことができるのです」

「しかもスタイルが今までのリーフとはある種真逆のアタッカースタイル……まぁ今までのリーフがアタッカーじゃないかといったら嘘なんだけど」

 

 だからリーフは自分の姿を隠すようにしてここまで来たという事なんだろう。リーフは最近情報流出に特に気をつけているから、この装備の詳細を分析されないようにしたってことだね。

 

「ところでこの外套はどこにあったの?」

「クエストクリア時に貰った装飾アイテムです。都合が良かったので使わせて頂いております。ところで2人とも。ここで一つ気がつく事はありませんか?」

「気づくこと?」

「えぇ。この装備はスキルによって生み出されたものです。ということは、この装備を反転させたら、どうなると思いますか……?」

「「えっ……?」」

 

 あっ……そうじゃん。確かにこれスキルじゃん。って言うことはリーフが持つ【狂気反転】の効果適応内になるって事だよね?あれ、そうすると装備自体ってどうなっちゃうんだ?

 

「良い反応をありがとうございます。さぁ、早速試し打ちと参りましょうか」

 

 再び外套のフードを被ったリーフの口が、にぃっと笑った。

 

 

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