流行らせたいので縛りプレイをしようと思います。 作:正体不明の筆者A
いやぁ助かりました。今まで何度試しても解釈一致の大きさになって困ってたんですよね。これからは早苗のπをもっと小さめに出来てすばらし……おっと誰か来たようですね。
【神聖騎士の秘法】に【狂気反転】を掛けたらどうなるのでしょう。私はこのスキルを取得したその瞬間からそれが気になって気になって仕方ありませんでした。
このスキルは装備をまるまる変えてしまうスキル。当然反転させればその装備性能もがらりと変わるはずです。ですがさしもの私とてこの反転がどれほどの反転をもたらすのかは未知数なのです。
「それにしてもさ〜リーフ。その目のオーラは何なの?」
「これですか?スキルが発動している証拠と見るのが妥当でしょうね。丁度【隻眼】で見えない左目に出ていますので、何かしらのシナジーがある可能性は否定できませんが」
「なるほどね〜」
【隻眼】で見えない左目にオーラが出ている。偶然にしてはできすぎています。やはり運営はこの縛りを想定していた……?私も事前にしっかり水面に顔を映して確認済みです。
私はプレイヤーがあまり通らない路地を縫うように抜けながら街の外に出ます。そのまま荒れ地帯の中心部までやって来ました。ここならある程度派手にスキルをぶっぱしてもバレることはないでしょう。何せ今の探索の主流は森林地帯や砂漠ですから。
私は一度スキルを解除して元の格好に戻ります。変換が分かりづらいので外套を脱ぎ、改めてメイプルとサリーの方を見ました。
「では始めましょう。【狂気反転】」
私は何時ものトーンでスキルを発動します。そして見慣れたスキル名が書き換わる瞬間を目の当たりにします。案の定【神聖騎士の秘法】も別のスキルに切り替わっているようです。
【神聖騎士の秘法】→【堕天騎士の密法】
1日に1回自身の属性を悪属性に改変する。
「ほう……?【堕天騎士の密法】」
私は入れ替わったスキルを即座に発動します。すると私の装備が光り輝き別のものに変わっていきます。聖女服を模した黒い鎧、白から黒のレースに変わったショートスカート、白に輝く双剣は黒と赤に鈍く輝く双剣に。頭の月桂冠は赤と黄色が混じった色味のものへと。
「す、すごい……っ!」
「見事に反転したって感じだね〜っ」
「ふむ……」
私は持ち合わせている手鏡で自身の顔を確認します。スキルが反転したことで目を覆っているオーラも白から黒に変化していますね。あまりにも色味が濃いものですから目が欠落したかのような錯覚さえ抱かせるでしょう。
「なるほど、これが【堕天騎士の密法】ですか。さてスキルの方は……」
【光の剣戟】→【闇の術式】
剣に闇を纏わせ1時間の間自身のINTを20%上昇させる。
【聖なる旗印】→【邪なる特異点】
30分の間、自身から半径3km圏内に存在する敵の全ステータスを30%低下させる。再使用に3時間かかり、1日3回まで使用可能。
【神なる聖域】→【悪魔の領域】
敵に3枚の結界を張り、ダメージを3回倍加させる。結界が張られている間敵は防御することが出来ない。3時間経過で再使用可能になる。
【革命の健脚】→【停滞のレコンキスタ】
発動後1時間の間、敵のSTRとAGIを40%低下させる。3時間経過で再使用可能になる。
なるほど。完全に効果が反転する訳ではなく、味方へのバフが敵へのデバフに変わるといった感じでしょうか。そして【神聖騎士の秘法】と共に取得していた【魔法剣の心得】と言うスキルが、【科学術の心得】と言うスキルに変化してもいますね。
魔法剣がSTRとINTを参照しているのに対し、科学術はINTとDEXを参照するように変化していると。効果は様々な状態異常を複合させた遠距離魔法を主体としているようです。
「さて、誰かお試しが出来るモンスターがいるといいのですが……おっと」
私が周囲を見渡すと、ここから30m離れた地点にモンスターの群れを発見しました。丁度良い、あのモンスター達でお試しをしてみましょうか。
私は腰の鞘から双剣を抜刀し、剣に闇を纏わせて敵グループに突撃します。今の私は所謂魔法型、ならばそれっぽい戦い方をしてみましょうか。
「いざ速攻っ。【アルケミカルフレア】っ!」
私は科学術の一つである【アルケミカルフレア】を発動しました。これは炎属性と科学属性を併せ持つ攻撃魔法で、着弾地点に状態異常:科学汚染を発生させます。私の手から発射された黒く光る炎弾がモンスターに直撃、周囲に黒色の領域を形成します。
状態異常:科学汚染は、毒と吐き気を複合した状態異常で、通常の毒無効で完全に無力化する事が出来ません。対策方法は化学防護服に相当する装備やスキルを取得する事が求められています。
それは使用者である私も同じ。むしろ私は領域に掠るだけで一瞬であの世に行けるほど貧弱です。使用に十分注意する必要がありそうですね。
「ひぇ〜なんか凄そうなスキルだねそれ」
「科学術と言うらしいです。私も影響を受けるので使用には細心の注意を払う必要があるでしょうね」
「私達の毒とはやっぱり違うの?」
「えぇ。そもそも状態異常の質が違います。メイプルでも完全に無力化出来ませんので注意してくださいね」
「は〜いっ」
私は今日はこれ以上戦う気は無いので素直にスキルを解除します。防具に損傷した形跡も無し、やはり別装備と入れ替わっているだけのようです。
それに加えて、【神聖騎士の秘法】と【堕天騎士の密法】は仕様上完全なる別スキルとなっているようで、回数制限が完全に分離して処理されています。基本的に1日1回なので使用には注意が必要ですが、反転さえさせれば少しだけ楽に運用する事が出来るでしょう。
「どうです?これでまた2人のお役に立つことが出来ます」
「今はどっちかって言うと私達が脚を引っ張らないかの心配の方が先行するけどね」
「でもこれでさらにリーフが強くなったから、私達もっと色んなところに行けそうだよねっ!」
えぇメイプルの言うとおりです。私達はかねてより3人でゲームを楽しむ事が目的でした。その目的の為にさらなる前進をする事が出来るのです。私達はさらなる発展を誓い今日のところはログアウトする事にしました。
1話の設定集に新規イラストと設定を追加しております。ご参照ください。