流行らせたいので縛りプレイをしようと思います。 作:正体不明の筆者A
明日はついに第2回イベントが開催される日となります。内容は先述した通りゲーム内加速と言う機能を使い7日間で行われます。プレイヤーはゲーム内でそれだけの日数を過ごしますが、実際の経過時間は2時間程度に止まるらしく、予定が合わない人でも参加しやすいイベントとなっていますね。
私はあの日以降新しい情報入手の手段を得ました。それに協力すると言ったのはペインと彼らの仲間達。主に現環境において上位層と言われるドレッド、ドラグ、フレデリカの3人です。理由はペインが私と決闘をして負けたと言う『事実』だけを彼らに共有したからです。ふふ、まったく彼も彼で性格が悪いですね。
「そんで、情報提供役として選ばれたのがあたしって訳」
「なるほど……つまりはパシりと言う事ですね」
「リーフちゃんが冷たいよぉっ!!」
そしてこちらの方がその件のメンバーであるフレデリカ。主に私とペインの情報パイプを担ってくださる方です。私と邂逅して開幕早々決闘を挑まれましたのでボッコボコにして差し上げました。あのギャグ漫画みたいな泣き顔は今後一切忘れることはないでしょう。え、口が(^ω^)って感じの人って大体あんな感じじゃ無いかって?…………確かに。
「リーフちゃん何か失礼なこと考えてない?」
「あはは……今から決闘100本勝負します?」
「やめてぇっ!?私PTSDになっちゃうからっ!!」
「良いではありませんか。(^ω^)な形の口の人って大体最後は不憫な目に遭うと世間では決まり切っているのです」
「そんな訳ないよっ!?」
「おかしいですね……『にゅふふ』と言う謎の効果音を出したり得意げなどや顔を浮かべたり、そして中途半端に強いせいでさらなる上位存在にメッタメタにされるまでがお約束なのだとばかり思っていました」
「シチュエーションが妙に細かいっ!?そしてそれ絶対あたしの事言ってるよねっ!?」
さぁ……?
まぁそんなオープニングトークはここまでにしまして。一応私とペインはフレンド関係ではありますから、直接情報共有する事も可能ではあります。ですがそれでは私も彼も雰囲気がなってないと判断し、わざわざこういう形を取ることにしたのです。
そもそもトッププレイヤー同士が集まると言うのはそれだけで注目の的になりがちです。私達が裏で繋がっている事を多くのプレイヤーに知られる訳にはいかないと言うのもあります。今後のイベントにおいても変な憶測が立ったりする可能性もありますからね。
「んじゃペインからの伝言だよ。リーフちゃんは近々ギルド機能が解放されるかもって話しは聞いたことある?」
「えぇ。そもそも侵入不可能な建物が多い時点で怪しいとは思っていました」
「さっすが〜っ。そそ。ってことであたし達も仲間を集って擬似的にギルドの真似事をしてみることにしたんだ。既にミィってプレイヤーを中心とした『炎帝の国』が勢力を拡大してるってのもあるしね」
「炎帝の国……あの妙に赤いでおなじみのですか」
「さっすが良く知ってるね。何せトップのカリスマ一本で集まってる陣営だからね〜。うちらも余裕ぶっこいてると危ういかなぁって思ったわけ」
炎帝の国。最近にわかに考察スレで見かけるようになった単語です。その最大の特徴は統一された赤い衣装。リーダーのミィに聖女のミザリー、トラッパーのマルクスに崩剣のシンと言った実力者を擁立し、ミィのカリスマ性にひかれたメンバー達が次々と集結しているとの噂です。
ミィは第1回イベントで4位に輝いた誠の実力者。私とメイプルの超広範囲攻撃をくぐり抜けて勝ち取ったその順位を疑う者はいないでしょう。ですが彼女は周囲の仲間達の力を得て強くなるタイプであり、私やペインのように単独でイカれたスペックを発揮するわけではありません。
彼女の十八番とも言えるスキル【炎帝】。これは炎属性魔法において最上位の威力を誇るスキルです。実戦で確認されたのがミィが発動したものだけだと言われており、今や彼女の代名詞になっているスキルですが、このスキルには重大な欠点が存在します。
それは消費MPの高さ。数発連打するだけでプレイヤーのMPを一瞬で刈り尽くすその大食らいっぷりには流石の私も目を見張るものがあります。現に彼女はMPポーションをがぶ飲みして常に【炎帝】を発動し周囲を滅却するという、魔法版脳筋みたいなプレイスタイルを得意としています。
そして私がペインとの戦いで見せた【炎帝剣】と言うスキル。これはスキル【炎帝】をベースに【魔法剣の心得Ⅹ】を使い剣術に応用したスキルとなります。【炎帝】の様に火球を飛ばすことは出来ませんが、剣の一撃に【炎帝】と同じ威力を乗せる事に成功しています。
そしてそれと同時に、水属性魔法最強と言われる【海神】をベースにした【海神剣】を使うことで、私が見せた大規模な水蒸気爆発を起こすことが可能となります。まぁここまでは流石に余談の域を出ませんがね。
ギルド機能が実装される前に生まれたグループと言う概念。これがこれからのNWOに大きな変革をもたらすことは想像に難くありません。ペイン達トップ層が警戒するのも当然と言えるでしょう。まぁ私はそう言った大規模グループに紛れることはしませんがね。
「ほんとはリーフちゃんも誘いたかったんだけど、ペインに止められたんだよね。『リーフは今の状態でいるからこそ真の実力を発揮できる。俺たちが彼女の手綱を握る事は絶対に不可能だろう』だってさ。ほんと信頼されてるんだねぇ」
「彼の分析能力を侮ってはいけません。こう言うときこそ長いものには巻かれるを実行するときだと思いますよ。まぁ私はそもそもマルチが苦手なのでそんなこと絶対にしませんが」
「そうなるとリーフちゃんは今後あたし達の敵になるかもってことね〜……あの、なんて言うか、ちょっと、こう手心って言うか、ない?」
「売られた喧嘩は買うのが礼儀と言います。喧嘩を売らなければ私が買うことはありませんよ?」
「うっ……善処します」
強大な敵と対立したくないと言う気持ちは理解出来ます。ですがそれはそれとして現実とは非情なものです。そして私達はいずれ必ず刃を交える事になるでしょう。これは予言ではなく確信です。
ですがそれを回避するのもまた現実というもの。私とペインが連絡を取っているのもそれが理由の一つだったりします。お互いに最重要機密を流さず外見だけの情報を取り入れ、私とペインはそこから推察される情報を元に争い合う事を避ける。これが戦略や計略というものです。
「ま、そういう事だからよろしくね〜。あと定期的にペインとも戦ってあげてよ。互角以上に戦えるプレイヤーが今のところリーフちゃんしか居なくて退屈してるからさ」
「ふふ。私も丁度全力近くで暴れられる人が欲しかったところです。ペインに伝えてください。呼び出されたら速攻で行くと」
「あいよ〜っ。んじゃまたね〜っ」
そうして翌日。いよいよ第2回イベント開催日となりました。私はメイプル・サリーとパーティを組み今イベントに臨むことになります。
「いよいよだね〜っ」
「うんっ!私は初めてのイベントだからもうテンション爆上がりって感じっ!!」
「うふふっ。2人とも威勢たっぷりですね。素晴らしい心意気です」
「「あっ……えへへっ」」
私はお2人の頭をナデナデしながら周囲の様子を確認していました。ふむ、あそこの一団が炎帝の国ですか。衣装もすぐに炎帝と気づくデザインで非常に目立ちますね。それこそが結束を示す象徴になっているのでしょうが。
さて、今回のイベントは俗に探索型イベントと呼ばれるものです。イベント用に作られたフィールドを7日かけて探索し、今回の目玉である銀のメダルを見つけることが目標となります。
銀のメダルは10枚集める事で金のメダルという、第1回イベントのトップ10に配布されたものと同じ効力を発揮します。イベント終了後にそのメダルを使ってスキルを交換する事が可能となるのだとか。今頃運営は血眼になって悪用されそうなスキルが無いかを探し回っている事でしょう。ほら、耳を澄ませば運営陣の断末魔が……
<運営サイド>
「やべぇよ……やべぇよ……」
「リーフの存在だけが俺たちを狂わせる」
「だめだ……どんなにプログラムを弄っても【狂気反転】の影響で何かしらがぶっ壊れになる」
「もうだめだぁ……おしまいだぁ……っ」
「(あんなぶっ壊れスキルに)勝てるわけがないよぉ……っ」
「なんであんなスキル実装したんですか?(正論)」
「(今更そんな事言われても後悔し切れ)ないです」
「いや……まだだっ。俺たちは……俺たちは負けてないっ!!」
「部長っ!【サイコキネシス】もダメですっ!もううちのプログラムが降伏しかけてますっ!!」
「ちくしょうめぇぇぇ〜〜〜〜っっっ!!!」