流行らせたいので縛りプレイをしようと思います。 作:正体不明の筆者A
「さてと……」
理紗との通話が終わり、ここからとうとう実際のゲームをプレイすることになります。ふふ、この時をどれほど待ちわびた事でしょう。新作のゲームをやる時ほど心躍る瞬間はありません。
早速専用の機材を身につけてからゲームへのログインします。最近見慣れてきた画面を前にしながら早速初期設定を行います。名前は早苗という名前からリーフ、武器は……どうしましょうか。王道を征くなら両手剣や片手剣。魔法使いなども人気の武器種になるのでしょうか。
「ん〜……メイスにしましょうか」
メイスって何をする武器かは分からないですが、とにかく接近してぶん殴ればなんとかなると思います。よく僧侶が持っている近接武器ってイメージがあるので、回復魔法を取ってみるのもありかもしれませんね。
そうすると、取りあえず仮のデータは物理型の僧侶にでもしましょうか。どういうコンセプト?と言われれば何も言い返せませんが、世の中調べれば色んな人間がいますから。
「ステータスは……取りあえず何時ものテンプレでいいですね」
初期ポイントは100。ではSTRに20、DEXに20、AGIに60の比率で振りました。この辺の理論は理紗と共通ですが、防御など当たらなければいらないも同然。それよりも当たらないための速度の方が必要なのではないかというものです。
まぁこれに関しては私や理紗のようなPSの高い者にのみ許された所業だとは思いますが、それが出来るのであれば結果的にスキルポイントの削減にも繋がるので大変お得と言うわけです。
「これで初期設定はお終い。では、早速レベル上げと検証を始めましょうか」
今後の私の戦闘スタイルにも関わってくる重要な検証です。情報は足で稼ぐもの、早速参りましょうか。
リーフ
Lv:20
HP:42
MP:60
STR:30
VIT:0
INT:10
DEX:30
AGI:70
「ステータスの伸び率はまぁまぁと言ったところでしょうか」
この辺の数値は他のMMOと変わらないようですね。それならば実際の運用でもスキル取得次第である程度自由に振っても問題ないとみて良さそうです。
そしてここからが問題。このゲーム特有の性質として、プレイヤーの行動に応じて様々なスキルが入手出来るというものがあります。両手剣を使えば両手剣のスキルが、弓を使えば弓のスキルが上昇していきます。
そしてこのスキルがどれほど存在するかは現状不明です。何せ公式からの情報開示が全くない上にどんな行動がトリガーになるかが不明だからです。変な話ですがモンスターを食べたらスキルが出ましたなんて可能性すら存在する訳です。
スキル
【メイスの心得Ⅹ】【回復術の心得Ⅳ】【跳躍】【パワーアタック】
現状の取得状況はこんな感じです。ただひたすらにレベル上げをしていたので無難なところではないでしょうか。心得系のスキルは主に発動可能技が増えたり火力が増加したりなどありきたりのものです。
パワーアタックは店売りのスキルになります。各職業向けのスキルは町にあるショップにてゲーム内通貨を対価に購入することが出来ます。お金はモンスターを討伐すれば貰えるため、初心者向けの救済措置やある程度の平等性を確保するためのものでしょう。
「ふむ……やはりユニークなスキルを入手するにはただプレイをすれば良いと言うわけではないようですね」
それは元々予想していた事ではあります。もしかしたらそんなスキルの中に想定外の強力なスキルが眠っている可能性が高いのです。ですがそう言うスキルはそう簡単に取れないのが定石。ここからが検証勢の本領発揮と言うわけですね。
<スキル【博愛の精神】を入手しました>
【博愛の精神】
回復魔法の威力を20%上昇させる。
・取得条件
ダメージを受けたプレイヤーに回復魔法を合計100回使用する。
<スキル【身体強化〜力〜】を入手しました>
【身体強化〜力〜】
プレイヤー1人のSTR、VITを1時間の間5%上昇させる。
・取得条件
ポーションと名の付くアイテムを合計300回使用する。
<スキル【索敵結界】を入手しました>
【索敵結界】
自身から周囲20mに存在するモンスターとプレイヤーを視認できる。
・取得条件
モンスターかプレイヤーに一度も気づかれずに50回連続で撃破に成功する。
<スキル【虎視眈々】を入手しました>
【虎視眈々】
カウンター攻撃の威力を100%上昇させる。
・取得条件
敵の攻撃を回避・ガードした状態でカウンターを100回連続で決める。
<スキル【地砕き】を入手しました>
【地砕き】
メイス・大槌で地面を攻撃した時、周囲10mに振動『大』を与え攻撃場所の正面20mに地割れを発生させる。地割れに落ちたモンスター・プレイヤーは即死する。
・取得条件
メイス・大槌で地面を10,000回攻撃する。
<スキル【妄執的回復術】を入手しました>
【妄執的回復術】
回復魔法使用時、余剰分の回復量をHPに上乗せさせる。
・取得条件
HPが満タンの対象に回復魔法を1,000回発動する。
<スキル【連鎖詠唱】を入手しました>
【連鎖詠唱】
魔法の発動速度が100%上昇。魔法を連鎖的に発動出来るようになる。
・取得条件
攻撃魔法・回復魔法を1分間に100回発動し、これを5セット連続で行う。
<スキル【
【
回復魔法を攻撃魔法として発動可能にする。アンデッドに対してのダメージを100%上昇させる。
・取得条件
アンデッドに対して回復魔法を5,000回発動する。
<スキル【破戒僧】を入手しました>
【破戒僧】
回復魔法を発動すると、10分間自身のSTRを20%上昇させる。武具の重量を無視することが出来る。
・取得条件
スキル【回復の心得Ⅹ】を取得している状態でSTRを100以上にし、物理攻撃で魔物を50,000体撃破する。
「思ったより回数を重ねる系のスキルが多いのでしょうか」
ここまで取得したスキルの傾向的に、プレイヤーがある程度想像しやすいように回数を条件にしている可能性が高いですね。もちろんそこにさらなる条件が重なったり、強力なスキルであるほどすさまじい回数をこなさなければならないのですが。
ですが流石にそればかりではバリエーションに欠けるでしょう。もっと特徴的な条件によって入手出来るスキルが存在するのはほぼ確定でしょう。
「ふぅ……今日はこの辺にしましょうか」
明日はしっかり学校がある日です。もう現実世界は夜の1時を回っていますし、早いところログアウトして寝るとしましょうか。
「……いや、やっぱり楽しみ方間違ってると思うんだけど」
「理紗。今の時代は多様性の時代なのですよ。ゲームの遊び方も千差万別であるべきです」
「早苗の場合はそんな次元の話じゃ無いと言うか……」
翌日、私は早苗からある程度の感想、と言う名の恐怖現象の分析結果を聞いていた。いやいや、なにさらっと試行回数数万回みたいなスキルを取ってるのって話ではあるんだけど、6時間ちょっとでその量の作業を詰め込めるってもはや人間業じゃないっていうか。
「ですがスキル出現の法則は、何も回数だけをこなせば良いと言うわけでも無いようです」
「え〜っと、つまり何かしら変則的な条件を抱えたスキルがある、って事になるけど」
「えぇ……例えばですが、NWOのモンスターは全て摂食可能だという噂があります。当然リスクの高い行動ではありますが、そのリスクさえ越えられれば何かしらのスキルが得られるのではないか、とか」
あ〜……言ってしまえば『○○喰らい』みたいなスキルが存在するかもしれないって事だよね。可能性は無いわけじゃないけど、それを試す勇気とステータスが足りないと。
毒耐性が無いと毒のあるモンスターを食べることは出来ないし、食べたら爆発するモンスターなんて論外だしね。でも逆に言えば、それもまたプレイヤーごとに変化するRPGというスタイルの最たる例とも言えるわけで。
「私以外にもある程度解析しようと試みているプレイヤーはいるらしいですが、何せそんな層が今回の当選人数の中に何人居るかも分かりません。私の予想ですが、思ったよりスキルの解析は進まない可能性が高いですね」
「まぁ〜SNSとか掲示板の反応を見るとそうっぽいね〜。ガチ勢なのはほんとに少数で、後は奇跡的に当たっちゃったエンジョイ勢って感じかな」
「これは運営の想定通りだとは思います。この時点で有り得ないコンボ性のあるスキルが発掘されるリスクが減るわけですから。明らかに壊れていると判断されたものは即時修正が入るとは言え、βテストの段階でそれが頻出するのは避けたいでしょうし」
そもそもVRMMOだって今の世間にそこまで浸透してるかって言われるとそれは否で、やっぱり検証のためには身体能力と言う名のPSが求められるハードルの高さはある。
後はβテストの段階でそこまでしようって人がそもそも居ないんじゃ無いかな?機能的にも制限はあるし、そういう細かいことは発売後にやれば良いだけな気もするんだよね。つまりやっぱり早苗がおかしいってだけになる。
「おや……今私の人外レベルが一段階上がった気がするのですが」
「気のせいだと思うよ」