流行らせたいので縛りプレイをしようと思います。 作:正体不明の筆者A
βテストも終わり、あっという間にサービス開始の日が近づいています。私はあれから色々と検証を進め、最終的なスタイルを概ね確立出来たと考えています。
大前提として、私は理紗や楓を巻き込んだマルチプレイを前提としている点にあります。理紗はこの先にある学力テスト終了後、楓はこの段階で購入したので今から2週間後に合流する形となるでしょう。
理紗の実力を心配する訳ではありません。楓がどんなスタイルを選ぶのかは未知数です。ですがそんな中でも必要とされる職業が一つだけ存在します。
やはり私はサポートや回復をこなせ、物理攻撃で抗うことが出来る
運営側によるスキル取得難化の可能性は考慮しなければなりません。気づかれないようにやったつもりですが、運営の目がどこまで行き届いているかなんて分かりませんからね。見逃されていた場合は、それはもうすり切れるくらいまで擦り倒すことにしましょう。
ですがそれだけでは面白くありません。それではただ新作ゲームを遊ぶだけの存在になってしまいます。私がこよなく愛している縛りプレイ無くして新作ゲーム無しと言って良いくらいなのですから。
そこで私は今回のプレイに際し以下のような縛りを設けるつもりです。軽い物から重い物までその種類は多岐にわたります。
・HP、VITへのステータスポイント振り分け禁止
・上記に加え防御系を犠牲にするスキルの取得
・店売りスキル、装備の購入禁止
・デバフスキル【隻眼】の入手
・デバフスキル【冥界の理】の入手
・入手可能になったスキルの全入手
・第一回イベントで一位を取れなかったら引退
これらは主に私のプレイスタイルを縛るものとなります。ごちゃごちゃしていて分かりづらいので簡単に言い表すと、最初期のモンスターの攻撃を掠っただけで死ぬ超貧弱な肉体になるということです。
そしてそれに重ねて二種のデバフスキル【隻眼】と【冥界の理】の取得が絶対条件となります。それぞれのスキル効果は以下の通りです。
【隻眼】
スキル取得時に最後に被弾した側の目が使用不能になる。
・取得条件
左目、右目いずれかを自ら攻撃しキルする。
【冥界の理】
魔法・ポーションによる自身への回復効果が反転する。
・取得条件
自身を200回キルする。
と言うことです。要は紙耐久な上に回復も出来ず、挙げ句の果てにどちらかの視界を完全に失うと言う極限状態でのプレイを余儀なくされる訳です。
こうなると不安になるのがMP管理ですが、そこは別スキルでのカバーが可能なことが分かりましたので、実際にプレイして実践しようと考えています。
それ以外は読んで字の如くでしょうか。縛りというより目標に近い気がしますが、流石に最初のイベントで1位を取れないようではゲーマーの名折れというものです。それくらい本気で挑まなければ道理が通らないというものでしょう。
「遂に始まりましたね」
ここは第一層始まりの街。現時点で全プレイヤーが拠点とする事になる場所です。基礎設定はβテストの時と同じ。ここから私はこの世界でリーフと名乗ることになります。
では観光したい気持ちを抑え、早速縛りの態勢を整えて行くことにしましょう。ここで重要になってくるのがスキルの発動順です。私は今回スキルの取得順に縛りを設けていません。私は仮にも僧侶な訳ですから、味方を回復できなければ意味が無い。
よって【冥界の理】取得前に一連の回復スキルの取得を目指します。縛りスキルの取得に自殺が必須なのが面倒というのもありますが、回復スキルは自身に発動してもレベルが上がるためそっちを優先すべきとの判断です。
そもそも私は現状誰かとマルチをするわけではないので、こうでもしないとスキルレベルが上がらないという本末転倒な状態になりかねません。そのため例外的にこのような措置をとることにしたのです。
「では初期の回復スキルをどうやって入手するか、という話になるのですが……」
回復スキルとして有名なのは店売りの【ヒール】というスキルですが、今回は店売り品禁止なためこちらを取得することができません。ではどうやって初期の回復術を確保するのか。これはすでに策は考えてあります。
そのために私はまず唯一禁止されていない店売り品のポーションを徹底的に買い漁ります。数的にはHP・MP回復をそれぞれ20個ずつでしょうか。金額的にギリギリなので買い間違いには注意しましょう。
そうしたらさっそくレベル上げと参りましょう。これから行うことは主に二つ。基礎スキルの取得と縛り実施への下準備です。そのためにまずは一番弱いウサギ型のモンスターを見つけます。
ウサギ型のモンスターを見つけたら、1回被弾→HPポーションの使用と言う動作を20回繰り返します。HPポーションはHPが満タンの状態では使用が出来ませんので、意図的に一回ずつ被弾を挟んでいます。
<スキル【キュア】を入手しました>
【キュア】
自身のHPを少量回復させる。
・入手条件
自身に回復ポーションを20回使用する。
そうするとスキルが一つ入手出来ます。一見店売り品の【ヒール】と同じ効果のように見えますが、中身はまさに【ヒール】の完全劣化と言って良い代物です。
このスキルは掲示板等でも書かれていたゴミスキルの一つで、回復量が【ヒール】より少ない、自身以外に発動できない、MPの消費が【ヒール】よりも多い、そもそも【ヒール】が店で買えてしまうと言った理由が挙げられています。
要はRPGあるあるの存在価値の分からないスキルというわけです。ですが今回の縛りではその完全上位互換の入手が出来ない以上、このスキルであっても使用することが必須となります。【ヒール】と同等の効果は複合スキル【回復術の心得】で入手出来ますし、最序盤さえ乗り切ってしまえば何とかなってしまうのです。
そしたら私は引き続きモンスターの攻撃に被弾→【キュア】の使用を繰り返します。MPが無くなってきたらMPポーションで回復を挟みつつこの動作をひたすら繰り返していきます。察しの良い方ならお気づきになられたと思いますが、今度はMP関連のスキルを入手することになります。
<スキル【アスピル】を入手しました>
【アスピル】
モンスターのMPを一定確率で吸収することが出来る。
・入手条件
自身にMPポーションを20回使う。
<スキル【MP譲渡】を入手しました>
【MP譲渡】
プレイヤー一人を対象に、自身のMPを全て分け与える。
・入手条件
自身にMPポーションを20回使う。
この二つのスキルもゴミスキルであると言われています。そもそもこのゲームの特性として、MP回復の手段がポーション以外ほとんど存在しないという点が挙げられています。
これは魔法使い職にとっては致命的で、魔法使いは強力な魔法を連発するためにMP回復のポーションを買い込む必要が出てくるのです。幸い値段こそ安いのでそこまで大きな問題にはなっていませんが。
【アスピル】のMP吸収確率はおよそ5割と言われており、吸収量は対象のMPの1割と言われています。あまりにもしょっぱいと言わざるを得ません。これを使うくらいならちょっと高いポーションを使った方がマシとすら言われてしまう始末。
【MP譲渡】については存在意義すら疑われているスキルで、なぜ自分のMPを消費して味方に分け与える必要があるんですか?(正論)とすら言われています。これもやはりポーションをあげるだけで良く、金銭の節約が出来そうで全く出来ない不遇スキルっぷりを披露しています。
ですが今回だけは例外です。この二つのスキルはこれからのスキル取得、および職業ビルドには必要不可欠なスキルなのです。ではここからも引き続き攻撃に被弾→【キュア】→【アスピル】の順番で回復スキルをひたすら連打していきます。
今行っている作業はスキル【回復術の心得】のレベルを上げる作業です。このスキルのレベルが上がる条件は自身か味方に対して回復魔法を使用することです。【キュア】と【アスピル】は現状私が使える回復スキルの中で最も少ないMPで発動できる魔法になります。
そして【アスピル】でのMP吸収成功10回ごとにウサギ型モンスターを討伐してレベルを稼ぐのも忘れてはいけません。MPの無いモンスターからMPを奪うことが出来ないというのが理由です。この辺りは初心者向けの弱いモンスターがたくさんいますから、こういった単純作業を非常にやりやすくなるのですね。
<スキル【回復術の心得Ⅹ】を入手しました>
【回復術の心得Ⅹ】
回復スキルによる回復量を20%上昇させ、様々な回復スキルを使用可能にする。
・入手条件
【回復術の心得Ⅸ】を所持している状態で回復スキルを発動し続ける。
これでまず第一段階の作業が終了です。ここからは第二段階、回復以外でのMP確保の手段を獲得するフェイズに移行します。これから取得するスキル【冥界の理】は、MP回復を減少に変えてしまうデメリットを所有しています。
ですがこれには例外が存在します。MP回復以外の手段でMPを得た場合、その効果を反転させずに使用することが出来るというのです。例えば何かをMPに変換するという手法をとることが出来れば、実質的にMP回復の手段として使用できると言うわけです。
このゲームにおいて回復と変換は意味合いが異なるらしく、もしそのような都合の良いスキルが存在するならば、回復縛りの中でも実質的にMPを得ることが出来るのです。
ですが【アスピル】はMP回復魔法に分類されるためこの手法ではMPを得ることは出来ません。そこでこれからまた新たに一つのスキルを入手しに向かいます。
対象は今度も一番弱いウサギ型のモンスターです。新たにMP回復ポーションを買い込んだ後、私はモンスターを対象に【MP譲渡】を発動します。当然私のMPは0になるためここでポーションを使います。
そしてそのモンスターに対して【アスピル】を発動し続けます。【アスピル】はMPを使ってMPを得る魔法ですので、失敗し続けない限り一生MPの吸収を行うことが可能です。
この手法でモンスターのMPを全て吸い尽くしたら、再び残ったMPを【MP譲渡】でモンスターに渡します。再びMPが0になるためポーションを使用し、以下このループをポーションが無くなるまで続行します。
一見無駄な事をしているように思えるでしょうが、これが新スキルの取得に大きく関わってくるのです。条件は受け渡しと吸収をほぼ同時に行っている事。この試行をできる限り効率的に行い続ける事。
<スキル【狂気反転】を入手しました>
【狂気反転】
次に発動する自身のスキル効果を反転させる。
・入手条件
1分間に30セット効果が真逆の魔法を使用し続け、その動作を他者に妨害されない。
このスキルが大本命のスキルです。では用済みになったモンスターをメイスで攻撃し討伐します。さてこのスキルが今回の私のビルドを形作る奥義の一つとなります。
効果は簡単で、次に使うスキルの効果が真逆になるというもの。例えば回復魔法を攻撃魔法に変えたり、攻撃魔法を回復魔法に変えられると言う、一見おもちゃ的な使い方が出来るだけの魔法にしか見えません。
ですがそれはあくまで表の顔。このスキルにはあまりにも凶悪な裏の顔が存在します。このスキル、その後の発動スキルを何一つとして制限していません。要はどんなスキルの効果でも反転させることが出来てしまうのです。
そこで登場するのが先ほど使用した【MP譲渡】になります。このスキルは他者に自身のMPを『分け与える』スキル。これは回復ではなく譲渡という扱いで回復魔法とは明確に区別されています。
もしこのスキルに【狂気反転】を使用することができるとしたら、どんな効果になるでしょうか。そうです。MPを『分け与える』のではなく『分け与えてもらう』スキルへと変貌するのです。つまり実質的に相手のMPを全て奪い取る凶悪スキルへと変貌することになります。
しかもこのスキルはもともと補助スキルです。補助スキルは基本的に回避不能であり、その効果は反転しても変わることはありません。つまり回避不能のMP奪取スキルになってしまうということなのです。
あ〜ゲームの壊れる音〜っ!()