流行らせたいので縛りプレイをしようと思います。   作:正体不明の筆者A

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 いよいよ最終章です。気張っていきましょう。


黒聖女と第4回イベント

 

 

 遂に第4回イベント当日になりました。

 私は今回ギルドに深く貢献するわけではありません。いつも通りやれることだけをやるだけの簡単なお仕事です。

 

「ふぅ……」

 

 今日は土曜日。イベントは夜に行われますので、そこまではまだ時間が余っています。私は珍しく1人で外出していました。目的地は近くにあります温泉施設。最近は色々と根を詰め過ぎていましたので、たまにはこういう場所でリラックスするのも悪くないですね。

 

「……」

 

 私は人の少ない浴場にて温泉に浸かっています。早い時間に来たというのもありますが、休日だというのに人の数がまばらで過ごしやすいです。

 長い黒髪を一つに結い、何も考えずにただひたすらに温泉に浸かるだけの時間。普段から慌ただしく動いている私に足りないものを今補っているのです。

 

「……」

 

 ですが私という種族は大体何かを考えてしまうもの。そういう生き方しかしてこなかったのですから致し方有りません。私が今考えているのは、やはり今日のことでした。

 今日のイベントで、私は恐らく数多のギルドを敵に回すでしょう。私は流石に有名になりすぎました。そんな彼らを振り切りながら、最低限のギルド貢献をすることが求められます。

 スキルは万全。コンディションも問題なし。後は私の心持ちだけなのです。なに、何時ものことをいつも通りやるだけです。私はそれしか知りませんからね。

 

「……」

 

 そうだ。どうせですから少しだけ面白い試みをしてみましょうか。それがすぐに出来るかは分かりませんが、私ならきっと問題なく出来てしまうのでしょう。そんな気がしてなりません。

 お風呂から上がって身体を拭き、服を着直すと私は施設の休憩スペースで作業をし始めました。動画サイトの投稿機能を使ってとある文章を書き込んでおきます。このチャンネルも大きくなったものです。登録者3万人と言うのはきっと多い部類なのでしょう。すぐにコメント欄に反応がありました。

 

「ふふ……皆様驚かれるでしょうね」

 

 きっと今の私は優しい笑みを浮かべているのでしょう。鏡がないので見られないのだけが残念ですね。さて、もう少しリラックスしてから準備に取りかかりましょう。

 

 

 

「どうですかね……皆様見えていますか?」

 

 <コメント欄>

 きた〜

 きた〜っ

 待ってたよ〜っ

 このゲームはもしかして

 

「お待たせしました。今日の配信は特別企画です。運営さんにもご協力頂きましてこの配信をゲーム内限定で閲覧出来るようにしていただきました」

 

 <コメント欄>

 イベント実況とは

 て言うかブラットちゃんこのゲームやってたんだ

 今まで配信でやってなかったから未プレイなのかと

 

「私がこのゲームを配信しなかった理由ですか。まぁそれは私のアバターを見ていただければ早いかと思います。えっと、カメラを配信用カメラに変えてっと……」

 

 <コメント欄>

 !?

 !?

 !?

 !?

 まじ!?

 いやまじかぁ!

 え、本気で言ってる?

 

「ふふっ驚かれました?そう、配信者ブラットとは私、リーフのことだったのです。私が配信でNWOをやらなかった理由は私の存在を隠すため。まぁどちらの名前も葉っぱに関係する名前だったので勘づいた人も居たかもしれませんがね」

 

 <コメント欄>

 確かに……

 似てるって噂はあったけど

 まさかリーフちゃんだったとは……

 驚いて椅子から転げ落ちそうになりました訴訟

 さっきの投稿の意味こう言うことか

 

「さてさて、ちなみに今日は第4回イベントな訳ですが。既に私のギルドメンバーは全員ログインしています。そして彼らは私が配信している事を知りません。そして、今回私はギルドへの貢献を控えめにする予定です」

「と言うことで今回は、祝プロモーション(っぽいもの)記念っ!トッププレイヤー(らしい)リーフが第4回イベントを実況してみた!……と言う感じで行こうと思います」

 

 <コメント欄>

 うわぁ急に落ち着くな!

 うわぁ急に落ち着くなっ!

 テンションの落差よ

 相変わらず演技下手属性は直らないと、メモメモ

 

「と言うことで企画説明をします。私がイベントフィールドを飛び回って実況する。以上です」

 

 <コメント欄>

 雑すぎワロタ

 いや適当すぎワロタ

 プロモーションとは思えない適当ぶり

 恐ろしく雑すぎる……

 いつもはあんなに丁寧に解説するのに……

 

「失礼な。色々言うより簡潔に纏めた方がお得でしょう?あ、私は今楓の木ギルドの私室にいます。そこ、内装は無いそうですとかいう寒いこと言わないこと」

 

 <コメント欄>

 誰も言ってない定期

 いや確かに質素な部屋だけど

 寒すぎてエアコン壊れたかと思った

 誰も言ってないんだよなぁ

 

「まぁそんなことはどうでも良いとして。よほどギルドがピンチにならない限り私は実況解説に徹することにします。あぁ後ペインが勝負を仕掛けてきたら問答無用で迎撃するのでご承知おき下さい。後は……一応対策はしましたが酔い止めはしっかりしておいてくださいね」

「それと運営さんからの連絡で、イベント開始後に配信に残っておられる方は、原則としてイベントの参加が出来なくなります。私の配信経由で情報が漏れる恐れがあるためですね。つまり私の配信以外に浮気したら死刑と言うことです」

 

 <コメント欄>

 りょノシ/

 りょ

 まぁゲーム内で酔うことなんてそうそう無いんですけどね(フラグ)

 言い方が物騒だなぁ

 う、浮気なんてするわけ無いじゃないですかぁ(目そらし)

 

「ではそろそろ時間ですね。ギルドのメインフロアに向かってイベントを始めて行きましょう」

 

 

 

「いよいよイベントが開始されましたね。では陣地を離れた事ですし、せっかくですから私の新装備でもお見せいたしましょうか。ポチッとな」

【挿絵表示】

 

 

 <コメント欄>

 エッ……!!

 エッ…っ!

 いや凄い格好でワロタ

 いや流石にこれは叡智過ぎますっ!!

 どうしてこんなデザインにしたんですか?(歓喜)

 でもやっぱり胸はぺったんk(殴

 

「こちら最近第3層のボスをシバいて手に入れた装備です。あと私をぺったんこ呼ばわりした人。累計15回目ですよシバかれたいんですか?」

「こほん……まぁ普段の衣装でも良かったのですが、こちらの方が機動力が高いのですよ。何せ背中にいかにもなブツが付いてますからね」

 

 <コメント欄>

 でもポロリは無さそう

 今までの服より断崖絶壁が分かりやすいね(不敬)

 なんて安全で健全な衣装なんだぁっ!()

 元々抵抗になるもの無いから機動力高いでしょ()

 巨乳派のワイには効かねぇ納豆

 そもそもゲームでポロリするはずないやろ。まぁブラットちゃんするものも無いけど

 フラットちゃん定期

 

「えぇいうるさいですよっ!!みんなして私の貧乳弄りばっかりしてっ!ふんっ!もう良いですっ!超高速飛行で全員ゲロまみれになるまで帰しませんからね!!【狂気反転】っ!!【オーバーヘイスト】×3!!」

 

 <コメント欄>

 貧乳弄りより貧乳を弄りたい()

 やべ

 やべ

 い つ も の

 トラウマが……ガガガ

 十八番ですやん

 オーべーヘイスト3回はヤバすぎ

 

「じゃあはいさっさとマッピング終わらせますよっ!ギルメンへの頼まれ事を終えてから本業ですからね!!あとやばい発言した人は後でお話があります」

 

 

 

「と言うことでフィールドの情報は集めてきました」

「早すぎ。いや早すぎ」

 

 配信開始からおよそ10分後、私は手に入ったマップデータをサリーに届けに参りました。一応装備は元の装備に戻してあります。【オーバーヘイスト】をかけたので機動力も段違いなのです。

 

「うわぁ欲しい情報全部乗ってる」

「これでサリーも戦略が立てやすくなるでしょう?」

「うん。ありがとリーフ。あとは私達に任せて」

 

 サリーはそう言って私に微笑みかけてくださりました。私もその微笑みに応じて彼女の元を後にします。サリーが見えなくなったタイミングで装備を切り替えると、私は本格的に生配信に特化し始めることにしました。

 ちなみに配信でも話したとおり、今回の生配信はNWO公式からの案件、プロモーションと言う形でお送りしています。こちら実は少しだけ紆余曲折あり、私が提案したら運営側から是非ともと念押しされたことで実現した企画となっています。

 理由はまぁ言わずともお察しですが、運営的には私にイベントをぐちゃぐちゃにされるより私へ案件を出す方が安いと言う判断をしたのでしょう。賢明な判断だと思います。それにペインを除けば私が居なくなる事でこのイベント自体のバランスはそこそこに保たれるだろう事が予測されるからですね。

 

「さてと……今回一応実況配信と言うことで、色んなところに飛んで行ってギルドの争いを見ていこうと言うのがコンセプトです」

「あ、そうだ。皆様に質問したいことがあったのを忘れていました。皆様は今回どこが活躍すると考えておられますか?」

 

 <コメント欄>

 注目株ねぇ

 炎帝と聖剣はまぁ安パイだよね

 トップはまぁ炎帝か聖剣で決まりだよね

 メイプルちゃん率いる楓の木がどこまでやれるのか

 リーフちゃん的に楓の木ってどうなん?

 

「楓の木ですか?ここは身内贔屓で強いと言いたいところですが、楓の木にもちゃんとした弱点と言うのが存在します」

 

 <コメント欄>

 そうなんだ

 え、意外かもしれん

 身内だからこそ分かるのか?

 端から見たら最強ギルドにしか見えない不思議

 

「まぁそもそもうちの情報が少ないというのがあるかもしれませんが、実際のところ楓の木の対策はそう難しくはありません。では皆様に質問です。楓の木の特徴は何でしょうか?」

 

 <コメント欄>

 特徴?

 特徴ねぇ……

 メイプルちゃんとサリーちゃんが強い?

 ちょくちょく第1回で入賞してたメンツがいるね

 正直どこまで強いか未知数なんだよな楓の木って

 メイプルちゃん強すぎて笑えない

 そういやワイらあんまり楓の木のこと知らんかも

 

「予想通りの回答ありがとうございます。楓の木最大の特徴は、ギルマスのメイプルとサブマスポジションのサリーが強い点です。メイプルはスキルとVITの暴力、サリーはPSの暴力です。この二大巨頭を攻略しない限り楓の木を完全に打ち崩すのは難しいでしょう」

 

 ですがそこが楓の木最大の弱点にもなり得ます。確かにクロムさんやカスミ、イズさんにマイ&ユイ姉妹にカナデくん。皆様一般プレイヤーとは比較にならない強さを持っています。そこは身内贔屓抜きに認めるところでしょう。

 ですがやはり要がメイプル達なのは変わりません。故に2人が守り切れない態勢さえ作れれば楓の木を瓦解させることはそう難しくありません。いくらクロムさんの守りが堅かろうが、いくら姉妹の【迫撃】が強かろうが、きっちりと戦略を立てれば御する事は容易なのです。

 

「では実際どうやって楓の木を倒すのが良いのでしょうか。まず第一にメイプルに対抗できる最大戦力をぶつけます。聖剣のペインが良い例ですね。彼なら【悪食】抜きのメイプルを攻略することが出来るでしょう。

 そして重要なのはメイプルを足止めすることです。これでギルドの守りの要を実質無力化したら、次はサリー以外のメンバーを無力化します。ですが無理に全員倒す事を狙ってはいけません。この作戦の真意はサリーを消耗させることにあります」

 

 サリーは確かに対人戦最強を誇るプレイヤーですが、彼女が普通の人間であるという事実は変わりません。人間である以上いつか綻びや限界が出てくるものです。

 そうしてサリーを確実に消耗させ、彼女を実質無力化することが出来れば、楓の木は守りを完全に失います。ここまで来れば後処理をするだけです。今回であればギルドのオーブを奪って自陣に帰ればミッション完了となります。

 

「楓の木最大の利点は、逆に楓の木最大の弱点にもなり得ます。いくらメイプルやサリーとは言え、何もかもを全てカバー出来るほど万能ではありません。それに楓の木は少数ギルドで人数不利を抱えがちです。単純な物量攻めにも弱いかもしれませんね」

 

 <コメント欄>

 はぇ〜

 ここだけ聞くとなんかやれそうな気がしちゃう不思議

 でも実際のところそんなメイプルを無力化するのが大変という

 身内だからこそ分かることもあるのね

 …いや待て。この過程リーフちゃんが居たら崩壊するだろ

 

「あら、鋭い方がいらっしゃいますね。えぇ。この楓の木の弱点は、あくまで『リーフと言うプレイヤーがいなければ』成立する戦法です。私はそんな楓の木の弱点を知っていますから、当然それをカバーしようと動く事になるでしょう」

 

 守りの要がメイプルになりがちならば、私はそのメイプルを強化しながら彼女の脅威を排除。サリーのスタミナ問題が表面化しそうになったら、私はサリーの負担を減らすためにサポートに回り。単純な物量攻めは私にとってはまるで無意味。

 

「私は自惚れるまでも無く何でも出来てしまいます。アタッカーも、補助も、妨害も。しかも最大48時間ノンストップで継続可能です。弱点があるなら私が補えば良い。ピンチになったら救えば良い。何せ私のスタイルは『サポート職』なのですから」

 

 私はこのゲームを始めて以降サポート職や補助職と言う言葉を使い続けてきました。いかにもメインアタッカーみたいな顔をしてそんなことを言ってるんだとお思いになられたでしょうが、私の本質は他者をバックアップさせることで最大限に発揮されるのです。

 確かに私は1人だけでもこのイベントで優勝する事が出来るでしょう。誰かに頼らずとも苦難を乗り越える事が出来るでしょう。ですがそれではゲームをやっているとは言えません。ゲームは誰かとやることでさらに楽しくなると知ることが出来たのですから。

 

 

 




 かつて人間を見限って孤独になった少女が、今は人間の温かみに触れて他人を支えられるようになった。美しい物語じゃないですか。
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