Pieces of a Story about the Fleet Girls   作:青色3号

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六駆んろ~る! -第六駆逐隊-

輝く照明、沸き立つ歓声。スポットライトの中心でふたりの少女が歌い、舞う。那珂と桃のライヴショー。鎮守府の講堂を借り切ってのそれは艦娘、整備兵、通信兵、補給兵、その他もろもろから成る満座の観客に迎えられ、会場を覆うペンライトの光が那珂と桃の歌声に合わせて揺れる。

 

 

「みんなー、ついてきてるかなー?」

 

 

途端、地響きのような観客の歓声が会場を揺らす。その最前列に陣取るのは第六駆逐隊。駆逐艦娘は列の前の方に、特に六駆と海防艦は最前列に。ああ優しい世界。

 

 

「じゃあ次のいっくよー!行けるかな、桃ちゃん?」

 

「はい、那珂先輩!」

 

「では張り切ってー、『恋の61㎝酸素魚雷』!」

 

 

ワアアアアア……と再び歓声が会場を覆う。始まる前奏、踊るアイドル。観客を熱狂の渦に巻き込んでライヴの時間は駆け抜けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

灼熱の時間も終わり、観客たちは三々五々会場を離れる。夢の時間が終われば現実の仕事が待っているのだ、というか今まで仕事はどうした。人気もなくなった講堂で第六駆逐隊・暁は同・雷と並び呆けたように無人の壇上を見上げる。

 

 

「ふたりとも、そろそろ行くのです」

 

 

電の声かけにもふたりは反応しない。ぼんやりと主を失ったステージを見上げる雷の唇からぽつりと呟きが漏れる。

 

 

「……やっぱり、音楽ってすごい」

 

 

ヴェールヌイが首を傾げる。その仕草を合図にしたかのように雷は三人の方を向いて宣言する。

 

 

「雷たちも音楽をやるべきよ!バンド結成よ!」

 

 

ビシッ!と指を三人に突き付けての雷の唐突な宣言に、残る三人はぽかーんとするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鎮守府の道を四人歩きながら、ようやく事態を呑みこめたらしい暁が電に文句を言う。

 

 

「いきなりバンド結成なんて言われても困るわ。あーゆーのはレディにふさわしくないわよ」

 

「あら、そんなことないわよ?世界的な歌手にもレディはいるわ。なんだっけ、あの……レディ・ゲロ?」

 

「電ちゃん、それ間違っているのです……陽炎さんみたいな名前になっちゃうのです」

 

「誰がゲロ姉よ」

 

 

その声に四人が立ち止まると、そこに腰に手を当てた姿勢で立っていたのは陽炎型駆逐艦ネームシップ。その陽炎にヴェールヌイはとことこと近づくと問いかける。

 

 

「Привет、陽炎さん。私たち、バンドをやりたいんだけどどうすればいいかな?」

 

「ちょ……響まで!」

 

 

他の六駆の面々に漏れずヴェールヌイのことを響と呼ぶ暁の抗議のような声を無視してヴェールヌイは陽炎を見上げる。「バンド?」と確かめるように口にする陽炎が考えるような顔になる。

 

 

「とりあえず、楽器がいるんじゃないの?ギターとかドラムとか」

 

「楽器か……」

 

 

楽器は高い、それくらいの知識は六駆の面々にもある。安くはない棒給を貰い住居費食費などは鎮守府持ちの艦娘のこと、楽器を揃えるくらいのお金は……と思いがちだが六駆や海防艦娘のような見た目も言動も幼い艦娘たちは自分の棒給を自由に使えるわけではなく、管理役の軍人に託している。その管理役に「楽器代ください」と言ったところですんなり通るわけがない。

 

 

いきなりの暗雲にヴェールヌイは肩を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず四人が向かったのは整備工廠、いきなり現れた闖入者を夕張は優しく出迎える。

 

 

「おや、六駆のみんな。お揃いで」

 

 

スパナ片手にオレンジの作業着姿で自分たちを出迎える夕張に電が問いかける。

 

 

「夕張さん、ここにギターとか転がってない?」

 

「へ?」

 

 

唐突な言葉の意味が分からず雷を見つめる夕張に雷は種明かしをする。

 

 

「雷たち、バンドをやることになったの。でも楽器が見つからなくて……」

 

「ちょ、雷!暁はまだやるなんて言ってないわよ!」

 

「それはまた……で、何で工廠に?」

 

 

ごもっともな夕張の疑問に雷は笑顔で答える。

 

 

「ここってなんだかいろいろな物が無造作に転がってるでしょ?楽器くらいないかなあって」

 

「散らかっててスイマセン」

 

 

自分の怠惰を無自覚に突いてくる雷に夕張は思わず謝罪する。首を工廠の奥に向けて夕張は声を通す。

 

 

「明石ー、このあたりに楽器見なかった?ギターとかドラムとか」

 

「なんでそんなものがここにあるのよ」

 

「いや、楽器も装備のうち、みたいな?音楽で戦うとか言ってたアーチストもいたし」

 

「音楽で戦うってうちらセイレーンかっての」

 

 

呆れたような声を明石は出すが、そこまで不親切にもなれず相方の夕張に提案する。

 

 

「提督に訊いてみたら?なにか知ってるかもよ」

 

 

 

 

 

 

 

午後の提督執務室、提督とともに部屋の中には駆逐艦娘・荒潮の姿があった―――提督の、お膝の上に。

 

 

「うふふ~♡秘書艦様がいない隙にこーんなことするなんて悪い提督ねぇ~♡」

 

「秘書艦がいない時を狙って執務室に来る荒潮もなかなかだぞ?これはお仕置きが必要だな♡」

 

「あら~♡荒潮、何されちゃうのかしら~♡」

 

 

提督のお膝の上で両手を提督の首に回して妖艶な微笑み浮かべる荒潮の白く細い首筋を指でなぞって提督は囁く。

 

 

「荒潮はキレイな首してるな~♡久しぶりに、この首に首輪がついているところが見たくなっちゃったな♡」

 

「もー、フェチねぇ~♡いいわよ、荒潮に何しても……」

 

 

次の瞬間、ノックもなしに執務室の扉がバン!と開け放たれる。

 

 

「司令官、入るわよ!」

 

「「あわわわわわわ」」

 

 

ドタバタと音を響かせ提督と荒潮はこの場をごまかそうとする。

 

 

「提督、演習報告です!我が第八駆逐隊は第七駆逐隊と近接戦闘演習を実施し……」

 

「うむ、ご苦労。ところで先日の補給要請についてだが……」

 

「ねえ、なんで荒潮さんが司令官の椅子に座って司令官が机の前に立ってるの?」

 

 

冷や汗一筋、提督と荒潮の額を伝う。ふたりにとって幸いなことに雷たちはその件をそれ以上ツッコむ気もなく本題へと移行する。

 

 

「司令官、鎮守府のどこかに楽器がないかしら?」

 

「「楽器?」」

 

「ギターとかドラムとか」

 

「「ギター?ドラム?」」

 

 

椅子に座り直しながら提督が傍らに立つ荒潮に問う。

 

 

「そんなもん鎮守府にあるか?講堂にならピアノはあるが……荒潮、見たことあるか?」

 

「ないわねえ~。南の倉庫でボクカワウソの着ぐるみとか呉氏の等身大ぬいぐるみとかなら見たことあるけれど」

 

「なんでそんなもんがあるんだよ」

 

 

 

でけえ施設はこれだから、と提督は嘆息する。アテもないまま六駆の希望は叶えたくて頭を捻る提督の目に、軽いノックに続いて扉を開いて姿を現す駆逐艦娘の二人組が映る。

 

 

「執務室一番乗り~!……じゃなかったや。なんかたくさんいるね」

 

「こんにちは、荒潮。六駆のみんな」

 

 

執務室に入ってくる白露と時雨に雷はお馴染みの質問をする。

 

 

「白露さん、時雨さん、どこかで楽器を見なかったかしら?ギターとかドラムとか」

 

「楽器?」

 

 

自分たちの方に歩み寄ってくる雷たちを見下ろす格好で白露は質問の意味を考えるが、文字通りに受け取ると傍らの時雨に問う。

 

 

「時雨、そんなもんみたことある?」

 

「うーん……あ!」

 

 

顎に人差し指を当て天井に目線を向けながら時雨は思いついたように言う。

 

 

「今は使ってない西4番倉庫にいろんなものが転がってて、確かギターとかもあったと思うよ、うん」

 

 

一度鎮守府の一斉棚卸をしようとその台詞を聞いて提督は思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

埃の舞う薄暗い倉庫の中、六駆の三人は捜索に励む。

 

 

「ケホケホ……電、そっちになにかあった?」

 

「食い倒れ人形のレプリカが見つかったのです……」

 

 

倉庫と言っても広い上に雑然としている。それっぽい箱やコンテナを開封して中身を確かめる。いつ終わるとも知れない作業には参加せず、暁は三人から離れたところに立つ。

 

 

「もう諦めようよ~」

 

 

暁の言葉もどこへやら、三人は捜索を続ける。「もう!」と呟き暁は大きな木箱の上に腰掛ける。が、思いがけず古くなっていた木箱は暁の体重すら支えられずバキバキと音を立てて崩壊する。

 

 

「きゃ!」

 

「暁!?」

 

 

慌てて作業の手を止め三人が暁の側に集まる。

 

 

「大丈夫なのです?」

 

「あいたたた……」

 

「ん?これは……」

 

 

ヴェールヌイの声に三人が箱の残骸に顔を向けるとそこに鎮座しているのはまさしく探していた形。

 

 

「「ギターだー!」」

 

「なのです!」

 

「まて、落ち着こう。ケースの中身がギターとは限らない。まずは慎重に……」

 

 

ヴエールヌイの嗜めるような声を受けて暁が黒布のギターケースに手を伸ばす。恐る恐るジッパーを下ろしてゆく。姿を現したのは、まさしく求めていた、木目模様のスクワイヤー・バイ・フェンダー。

 

 

「わあ……」

 

 

フェンダーを手に取りその重みを確かめるようにする。目を見開いて手の中のフェンダーを見つめる。その暁に雷がおどけたような声をかける。

 

 

「どう、暁?その気になった?」

 

「あ、暁は……!別に……!」

 

 

雷に顔を向けて暁は慌てたような声出すがすぐに手の中のギターを見つめうっとりとした声を出す。

 

 

「あ、うん、でも……弾いてみたい、かも……」

 

 

「決まりね」の雷の声にみんなは大きく頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

べース・ドラム・キーボードの一式が近くから見つかったのは僥倖としか言いようがない。早速話し合いでパートを決めてゆく。意外にもパートの割り振りはすぐに決まった。

 

 

 

Gt=暁

Bs=ヴェールヌイ(響)

Dr=雷

Kb=電

 

 

 

あとは、練習あるのみだ。とは言っても、どこから手を付ければいいのかわからない。またも途方に暮れる四人組の耳にどやどやと倉庫に入ってくる二人組の声が届く。

 

 

「いやー、疲れた……足柄さん、艤装の扱いが荒いからなー」

 

「腕は立つんだけどなー……20.3㎝砲は撃つものであって叩きつけるもんじゃないって誰か教えてやってくれ」

 

 

倉庫に入ってきた二人組が先客の四人組の姿に気がつく。

 

 

「ん?六駆のみなさんじゃないすか」

 

「整備兵のおにーさんたち、こんにちはなのです」

 

 

電の挨拶を合図に六駆の四人はぺこりと頭を下げる。

 

 

「みなさんは、何をされているのですか?」

 

「ああ、この倉庫使ってないでしょ?ちょっと陽を凌げる休憩場所になってるんすよ」

 

 

作業着姿の釣り目の整備兵が暁の抱えるギターに気がつく。

 

 

「それは?」

 

「暁たち、バンド始めるの!」

 

 

満開の笑顔でそんなことを口にする暁の姿に釣り目の整備兵は「へえ」と驚いたような感心したような表情向ける。

 

 

「暁さん、ギター弾けるんすか?」

 

「ううん、これから練習するところ。でもどこから始めればいいのかわからなくて……」

 

 

途端俯いてしまう暁のことを釣り目の整備兵は黙って見下ろしていたが、思いついたように奥の糸目の整備兵を振り向いて問う。

 

 

「おい、シュウ。お前、高校時代軽音楽部でギターやってたって言ってたよな」

 

「ん?ああ」

 

 

苗字と階級ではなく愛称で呼ぶのが今がオフタイムであることを物語っている。そのオフタイムの気楽な口調で釣り目の整備兵は糸目の整備兵に簡単に言う。

 

 

「暁さんに、教えてやれよ」

 

「いいけど」

 

「え!?ホント!?」

 

 

あっさり決まり過ぎて実感がない。実感がないまま、何かが動き出そうとしているのを暁は感じる。そんな暁の感慨をどこまで感じ取っているのか釣り目の整備兵は顎に指を当てて独り言つ。

 

 

「通信科にドラムの叩ける奴いたよな……ベースは確かヒデの奴が……」

 

 

次々と開いていく自分たちの未来に六駆の面々はわくわくを隠せない。ドキドキ高鳴る鼓動が身体を揺する感覚を覚える六駆の前で釣り目の整備兵は呟く。

 

 

「あとは、キーボードか……誰か……」

 

「ピアノだったら、弾けるわよ」

 

 

その声にその場にいる全員が出口の方に顔を向けると入ってきたのは白と紅の巫女装束に身を包んだ黒髪の軽空母娘。飛鷹は倉庫に入ってくると楽し気な微笑み浮かべ言い放つ。

 

 

「面白そうな話しているじゃない……私、ピアノだったら弾けるわよ。豪華客船だった頃の名残かしらね」

 

 

 

倉庫の出口から差し込む逆光に浮き上がる飛鷹の姿は、頼もしく見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時間の合間を見てのバンドレッスンが始まった。場所は、楽器の見つかった西4番倉庫。マンツーマンでしっかりと楽器の持ち方から教えてゆく。

 

 

 

「そう、指の形はその通り……じゃあ、音出してみましょうか」

 

「こ、こう?」

 

 

 

「そうそう、上手い上手い。リズムに合わせて、リズムに乗って」

 

「ハラショー」

 

 

 

「大丈夫、ドラムはそう簡単に壊れないから思いっきり叩いちゃってください」

 

「だ、大丈夫かしら……」

 

 

 

「まずは簡単な曲から弾いてみましょうか。楽譜は読める?」

 

「はい!なのです!」

 

 

不器用な不協和音は月日を経るとともにいつしか曲を奏で始め、四人の作る音が空に、海に響く。それは次第に形を確かなものにしていきながら夕暮の世界へと届いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャン!と暁のギターが場を締める。数少ない観客たちからパチパチパチと拍手が湧く。

 

 

「上出来上出来、この短期間でみんなよくここまで上達できたもんス」

 

「あ、ありがとう……」

 

「そろそろバンドの方向性を決めてもいい頃っすね。どんな曲がやりたいですか?」

 

 

糸目のギターの先生の問いかけに四人は笑って目線を交わす。代表の暁が片手をあげて宣伝する。

 

 

「みんなを元気にできる曲!」

 

 

その言葉に六駆の四人が頷く。糸目の先生が得心したようにうんうんと頭を傾ける。

 

 

「いいっすね、その心意気……最初からオリジナルはハードルが高いから、まずはアイアン・メイデンとかどうっすか?」

 

「そりゃお前の趣味だろシュウ」

 

 

体格のいいドラムの先生がすかさずツッコむ。飛鷹がくすくす笑うが、笑いを止めて提案する。

 

 

「だったらBUMP OF CHICKENとかどうかしら?私、彼らの曲で元気になるわよ」

 

「え、飛鷹さんBUMP聴くんすか?」

 

「あら、私がBUMPで泣いてちゃ悪い?」

 

「いや、悪くはないですけど……意外っす」

 

 

心底意外そうに長身馬面のベースの先生が飛鷹に応える。誰もが自分の好きなアーチストを推薦したい中、倉庫に入ってくる二人組がいる。

 

 

「こんばんは、みんな練習は順調かしら?」

 

「お茶と卵焼き持ってきたよ~。卵焼き、食べりゅ?」

 

 

 

水筒を手に祥鳳が、卵焼きの入ったタッパーを手に瑞鳳が現れる。

 

 

「祥鳳さん、瑞鳳さん。暁たち、どんな曲をやればいいと思う?」

 

「ん?」

 

「みんなを元気にする曲がやりたいの」

 

「最初からオリジナルは難しいから、コピーから始めた方がいいってことらしいんだ。だけど誰の曲を選べばいいかわからなくて……」

 

 

暁の言葉を引き取ってのヴェールヌイの言葉にふたりは顎に指を当てて「うーん……」と考え込む。ふと、思いついたように瑞鳳が目線を六駆の四人に下ろして告げる。

 

 

「だったら、やっぱり彼女たちじゃない?那珂ちゃんと桃ちゃん」

 

 

瑞鳳の一言に「それだ!」と六駆の声が揃った。那珂と桃のバックバンド、それこそが六駆バンドの進むべき道だと誰もが思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

話は那珂のマネージャーを通してすぐに那珂に伝わった―――いや、川内曰く「那珂のマネージャーになったつもりはない」らしいが。なのでその日、那珂と桃は西4倉庫に現れる。

 

 

「ここですね、那珂先輩」

 

「そうだね」

 

 

倉庫に足を踏み入れた途端、緊張した空気が那珂と桃を包む。それぞれの楽器を手にこちらに震える目線を向けてくる六駆に那珂は明るい声向ける。

 

 

「じゃあオーディション始めよっか~」

 

 

音楽には妥協のない那珂のこと、仲間の六駆だとて実力不足と見れば容赦なくそう告げるだろう。心臓が飛び出しそうなほど鼓動をばくつかせ俯く暁に、那珂の声が優しく届く。

 

 

「大丈夫だよ……今まで通り、やればいい」

 

 

不思議とその言葉が染みわたった。ああ、この人は本物のアイドルだと六駆の四人は思った。すぅ、と大きく深呼吸する。雷のドラムスティックが天を指す。

 

 

「ワン、ツー、スリー!」

 

 

次の瞬間、迸る音楽。その洗礼を受けながら那珂は真剣な表情を保つ。

 

 

「那珂先輩、これって……」

 

「うん」

 

 

六駆の放つ音が空に、海に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

息が荒い、心臓が爆発するようだ。全力で演奏を終えた常として消耗を隠すこともできずに呼吸を早める第六駆逐隊に那珂は近づく。笑顔と共に、その親指が天を指した。

 

 

「合・格!」

 

 

那珂と桃のアイドル活動に生バンドの演奏が付け加わった瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

生バンドの演奏を加えて更にパワーアップした那珂と桃のライヴ練習、その成果を見せる時が来た。講堂の演壇の裾で那珂と桃、六駆の四人は円陣を作る。

 

 

「よーし!みんな、サイコーのステージ作るよー!」

 

「「「「「おー!」」」」」

 

 

重ねた掌からエネルギーを分け合う、重ねる音からエネルギーを与え合う。きっと今夜も最高の舞台、その舞台へと少女たちは飛び出す。

 

 

 

 

 

 

 

輝く照明、沸き立つ歓声、永遠の一瞬の夢舞台―――

 

 

 

 

 

 

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