長き戦が終わり、陽の欠片が解き放たれたことで、空はようやくその青を取り戻した。
だが、戦の爪痕は深く、各国では復興の槌音が絶え間なく響いていた。
焼け落ちた街を建て直す者、田畑を耕し直す者、失った家族の墓を立てる者。
そんな中、どこにでもいるかのように自然に奇妙な集団もまた、各地の復興作業に混ざっていた。
「はぁ〜!? これを五往復!? 聞いてないんだけど〜!」
土嚢を抱えたデビが声を張り上げる。
「文句言ってる暇があるなら、手を動かしてください」
ミネは淡々と指示を飛ばし、芳ニは苦笑しながら材木を担ぎ直す。
「アイタタ…おじさんの腰、もう限界かも……」
50銭は汗だくになりながらも、どこか満足そうに空を見上げた。
夜刀――かつて刃として生きた者たちは、今、同じ手で街を支えていた。
***
甲斐。
武田の館では、若き領主が山積みの報告書を捌いていた。
シンゲンは静かに目を閉じる。その瞼の裏には、共に戦った者たちの姿が浮かんでいた。
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フォーチューン・ヒル。
神殿の高台で、風に髪を揺らしながら巫女装束の少女が遠くを見つめる。
シズメは「祈らない」。だが、「願い」続ける。その地に生きるすべての命の平穏を。
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音を鳴らして歩く4つの影があった。
「いいか?ラップってのは魂だ、この旅はいわば、魂の巡礼よォ〜! オイ風魔ァ! 婆威譜素(ばいぶす)足りてるかァ?」
「ええっ………!? い、いや……その、たぶん足りてないかも…?…っス」
「んだよ、しゃーねぇな…ラクタ! カグラ! 今日も一曲、響かせてやんぞォ!」
「ったく、騒がしいヤツだよ……でも、まぁ嫌いじゃないけどね、こういうの」
「姉さんがやるなら、俺はいつでも…ちょうど試したいフロウがあったし」
「よっしゃ来た! フロア爆上げ、イックぜぇぇぇえええ!!」
音は、まだまだ止まらない。
***
朝の住宅街。
「それじゃあ、行ってくるね」
ブレザーの制服に身を包み、スクールバッグを肩に掛けた少女が玄関で振り返る。
「……気をつけてな」
見送るのは、本多忠勝。
家を出ていく娘――楓の背を、彼はいつまでも見つめていた。
扉が閉まり、静かになったリビング。
忠勝は写真立てに目を向ける。
そこには、孫一と忠勝、そして幼い頃の楓が笑っている写真。
その一瞬、写真の外側に――
確かに“もう一人”いたはずの誰かに思いを馳せる。
「……」
だが、名を呼ぶことはせず、忠勝は静かに踵を返し、自室へと戻っていった。
***
荒れ果てた大地。
風にマントをはためかせ、一人の少女が歩いている。
眼帯、そして額を走る大きなひび割れ。
それは、彼女が人ではないことの証だった。
その背後から、軽い足音が駆け寄る。
「…ちょっと。置いてく気?」
黄金色の髪を揺らしながら、背の小さな少女――テルトラが並ぶ。
「来てくれると思ってた」
「…当たり前でしょ」
二人は言葉少なに、しかし確かに並んで歩き出す。
行き先は決まっていない。
けれど、歩みを止める理由もない。
まだまだ、二人の旅は始まったばかりだ。
アケノヒ――完。