夏に燃えて   作:仄見

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第五話

 

 

 

「どうしたの?今日は早いね……」

 

「今日学校で練習試合があるんで、1年はグラウンド作らないといけないんですよ……」

 

 

 今日は、高校に入学してから初めての試合だ。

 やっと、正式に高校の野球部になったので今日から試合に出ることができる。

 ……まぁメンバーに選ばれたらだけど。

 

 

「だからすみません……今日は朝練一緒にできないです……」

 

 

「……全然いいよ、試合見れたら見るね!頑張ってね!」

 

 

 毎日やっていただけにルーティン化していたので、どこか違和感があるが、こういう日もこれから全然ある。

 少しの寂しさはあるが、いってきますと伝えて家を出る。

 

 

「……久しぶりに一人で朝練かな」

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

「おはようございます」

 

 

 学校について部室に行くと、既に志摩さんが準備していた。

 

 

「志摩さん、今日早いですね……」

 

 

「あぁ、今日一試合目の先発だからな。早く来て準備しておこうと思って」

 

 

 今日は土方さんのツテで、栃木の強豪校との練習試合だ。

 今日の一試合目は志摩さん、二試合目に俺が先発だと監督から聞いた。

 

 

「気合い入ってますね」

 

 

「……まぁな。これからの試合、全てが夏の背番号に関わってくるからな。気なんてぬいていられない」

 

 

 そうだ。夏の予選に向けて、メンバー選考はもう始まっている。一年だからって遠慮はしていられない。結果を出して、メンバーに選ばれる。そして絶対甲子園に……

 

 

 

 

「お前ら、甲子園に行くならこういうチーム相手に勝たないと行けないぞ。ただ、練習試合でもある。今の自分の課題と向き合って色々なことに挑戦していこう」

 

 

 試合前のミーティングが行われる。

 相手は、甲子園にも何度も出場している超強豪校だ。

 何とか勝ちきって、俺たちも戦えるという自信もつけたい。

 

 

「一試合目のオーダーを発表する──────」

 

 

 1 キャッチャー 青崎(あおざき) 2年

 2 ショート 高坂(こうさか) 3年

 3 サード (からす) 3年

 4 ファースト 遠藤(えんどう) 3年

 5 ライト 白石(しらいし) 1年

 6 レフト 桜井(さくらい) 2年

 7 ピッチャー 志摩 (しま) 3年

 8 セカンド (ほし) 2年

 9 センター 黒井 (くろい) 3年

 

 

「一試合目はこれで行く。……勝つぞ」

 

 

 オゥと声を出して、ミーティングが終了する。

 俺は5番ライトでの出場。

 ピッチングだけじゃなくてバッティングも評価してくれているということだろう。期待には応えないと……

 

 

 

 

 集合の合図とともにホームベース付近に整列し、お互いに挨拶をする。ゲームスタートの合図だ。

 俺たちは後攻なので、まずは守備につく。

 

 

 

 志摩の立ち上がりは上々だった。

 1番打者(バッター)に内野安打を打たれるも、後続をしっかり切って無失点で切り抜ける。

 

 1回の裏、栄明の攻撃も無失点で終わる。

 3番打者(バッター)の烏がヒットを打つも、遠藤が見逃し三振。

 超強豪校なだけあって、抑えるべきところでのギアの入れ方が違う。

 

 

 

 試合が動いたのは6回裏、栄明の攻撃は2番の高坂が二塁打を打ち、続く烏がセカンドゴロで1アウト3塁のチャンス。

 打席には、今日2打席ノーヒットの遠藤。

 遠藤は初球のストレートを捉え、左中間を破る先制タイムリーヒット。

 続く大翔は、2ボール1ストライクからの4球目

 のスライダーを捉え、ライト線を破るスリーベースヒット。

 

 大翔にとって、高校初のヒットで打点だった。

 

 その後は続かず、2者連続三振で抑えられる。

 しかし栄明は2点先制し、2対0になった。

 

 

 試合が動いたら点が入りだすと言われるように7回表、ここまで好投していた志摩が捉えられる。

 相手が名の知れた高校と言うだけあって、抑えていても圧は常に感じていただろう。

 疲れも溜まり、ボールに力がなくなってきた所を見逃さない。

 3連打を浴びて、同点にされる。なおもチャンスの場面。

 

 

 

「……きた」

 

 

 

 打ち上げた打球は、ライトを守る大翔の元へ飛んでいく。

 大翔はこれは追いつくと思い下がっていく。

 

 

「おい、うそだろ……」

 

 

 大翔が下がっていると、背中に何かがぶつかった。振り向くとそこにはネットがあった。

 打球はそのネットを超えていった。ホームランだった。

 

 

 志摩はその後、何とか後続を抑え、7回表を終えるも、栄明は4点取られ逆転されてしまった。

 

 

 その後は、志摩さんからピッチャーが変り2年の先輩が投げたが、8回9回と点を取られ、栄明は7対2で1試合目を落とした。

 

 

 

「……さすが強豪校だな。点を取れるところでしっかり取ってくる。お前らも負けたが、途中までは互角以上に戦ってた。……だが最後負けてたら意味がない。勝ちきれるようになれ」

 

 

『はいっ』

 

 

 監督との反省会が終わる。

 二試合目は昼食を取って、13時スタートの予定だ。

 

 

 俺たち投手陣は昼食を取りながら、土方さんやキャッチャーの青崎先輩とミーティングする。

 

 

「志摩、俺は今日のピッチング良かったと思うぞ。6回まであの強力打線を無失点に抑えた。その後点を取られはしたが、ホームランの後しっかり後続を切ったのはでかかった」

 

「……でも結局点を取られてしまったので……」

 

 

「……そうだな。自分でもわかってると思うが体力が切れたな。これからもっと体力をつけていこう。ボール自体に力はある。お前は通用する」

 

 

 土方さんと志摩さんが一試合目の反省をしている横で、俺は青崎先輩と二試合目の打ち合わせをしていた。

 

 

「お前も一試合目を見てわかってると思うが、甘くなると簡単に捉えられる。甘くならないように気をつけよう」

 

 

 俺の課題は、コントロールと体力。しっかりしないと打ち込まれる。

 

「はい。……でもやっぱり試合をするのは楽しいですね」

 

 

 紅白戦などはしていたが、ちゃんと相手と試合するのは中三の時以来。

 練習が嫌いな訳じゃないが、やっぱり試合は楽しい。

 

 

「じゃあ二試合目楽しみにしてるぞ。……打つ方もがんばれよ、怪物ルーキー」

 

 

「……うっ」

 

 

 一試合目の俺の打撃成績は4打数1安打2三振だった。ヒットは1本打ったが確かにクリーンナップに置いてもらってるのに、これは物足りない。ピッチングもバッティングも頑張らないといけない。

 

 

 気合いを入れ直し、打ち合わせを続けながら昼食をとった。

 

 

 昼食を食べ終わり、弁当を洗いに体育館に行くと、千夏先輩達や針生先輩、大喜など体育館の部活組が帰るとこだった。

 

 

「あれ、みんなもう終わったんですか?」

 

「うん。午後から体育館でバレー部が試合するから私たちはもう終わり。大翔君は試合どうだったの?」

 

 

「……一試合目は負けました。休憩挟んでこれから二試合目をやります。───あっ、もし予定なかったら是非見てください。俺先発するんで」

 

 

「絶対見るよ!試合頑張ってね!」

 

 

 千夏先輩は朝も言ってたが見に来てくれる。針生先輩や大喜達も予定がないらしく、見て行ってくれるらしい。

 

 

 みんなに頑張りますと伝えて、ウォーミングアップに向かう。応援してくれる人達がいるんだ。これは恥ずかしい投球は見せられないと、気合いを入れて、体をつくる。

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

「気合い入ってたね」

 

 

「ちーが応援してるからじゃね?」

 

 

 ニヤニヤしながら針生君がからかってくる。多分関係ないと思う。

 大翔君は応援があろうがなかろうが絶対に手は抜かないから。

 

 

「13時スタートって言ってたよね。ちょっと飲み物買ってくる」

 

 

 そう言うと渚や女バスのみんながついてきてくれる。自販機の前に着くと、野球のユニフォームを着た人が話していた。うちの野球部じゃないから対戦相手の人達だろう。

 

 

「やっぱり全然弱かったな、栄明」

 

 

「あぁ、相手のコーチが監督の知り合いだから引き受けたらしいけど、甲子園にも出たことないようなチームじゃ練習にもならないな」

 

 

 

「千夏、別のところ行こ」

 

 

「……うん」

 

 

 一試合目を見れてないからなんとも言えない。

 ……大翔君達がそういう風に言われるのは悔しいが、相手の感じたことだし私達が何か言うのも違う。別の自販機に行こうとしたらちょうどあの人たちもこっちに来た。

 

 

「おっ、めっちゃ可愛いじゃん。君たち何年生?良かったら連絡先交換しようよ」

 

「……急になんですか?交換なんてしません」

 

 

 渚がはっきりと断るが中々にしつこい。

 

 

「えーいいじゃん、連絡先ぐらい。俺ら強いしそこそこ人気あるんだよ」

 

 

 そんなの知らないし、関係ない。

 無視していこうとしたら、腕を掴まれた。

 

 

 

「……痛い、離してください」

 

 

「じゃあこれからの試合見て行ってよ。もし俺らが活躍して、いいなと思ったら交換しようよ」

 

 

 とんでもない自信だ。これからの試合どんな活躍をしようと、この人達をいいと思うことなんかない。でもこのままじゃ離してくれなさそうなので、それを承諾する。

 

 

「さっきからうちの野球部舐めてますけど……本当に勝てるんですか?」

 

 

「……は?当然でしょ、負けるわけないじゃん。何言っちゃってんの」

 

 

 勝てないと思われたのがイラついたのか、じゃあ試合の後でねと言って去っていった。

 

 

 

「あぁー、ムカつくっ!」

 

 

「おいおい、どうしたんだよ?」

 

 

 戻ってイラついている渚が針生君たちに説明する。

 

 

「……まじかよ、……悪い、俺たちもついて行くべきだった」

 

 

 針生君が謝ってるが絶対に悪くない。自分たちの学校でこんな事があるなんて想定しない。

 

 

 

「千夏先輩大丈夫でしたか?」

 

「うん、大丈夫。ふふ、ありがとう大喜君」

 

 大喜君もすごい心配してくれている。もし良かったらと、何か色々なものを出してくれる。

 心配してくれてるんだろうけど、テンパっててちょっと笑っちゃう。

 

 

 

「でも大丈夫なのかよ、そんな約束して……」

 

「しょうがないじゃん、そうでもしないと離してくれそうになかったんだから」

 

 

 もうこうなったら大翔に頑張ってもらうしかないなと針生君たちは言っている。

 ……たしかに、知らないところで賭けみたいなことになって申し訳ないが、頑張って欲しい。

 ただ私は、そんなに心配していない。

 相手は超強豪校で朝負けてたとしても、私は大翔君の努力を知っている。だからどんな相手でも負けないだろうと感じていた。

 

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

 

「一試合目は負けたが、通用しなかった訳じゃない。俺たちは通用する。自信持っていくぞ!」

 

 

 俺たちは通用する、大丈夫だ。監督の激で気合を入れる。

 

 

「二試合目のオーダーを発表する───」

 

 

 1 キャッチャー 青崎(あおざき) 2年

 2 ショート 高坂(こうさか) 3年

 3 サード (からす) 3年

 4 ファースト 遠藤(えんどう) 3年

 5 ピッチャー 白石(しらいし) 1年

 6 レフト 桜井(さくらい) 2年

 7 センター 志摩 (しま) 3年

 8 セカンド (ほし) 2年

 9 ライト 黒井 (くろい) 3年

 

 

「大翔は1年だ。全員で助けてやれ、勝つぞ」

 

 

 

 

 試合が始まった。栄明は後攻なので守りからだ。大翔君がマウンドに上がって投球練習をしている。

 

 渚がゲッと言ったので見てみると、さっきのナンパ男が打席に入ろうとしていた。

 

「……1番打者(バッター)かよ。まじで主力じゃん」

 

 

 おさえろ〜と渚が念を送っている。私も頑張れとエールを送る。

 投球練習が終わって試合が始まった。

 

 

 大翔は初球ストレートを決めてストライク。

 2球目はスライダーを投げてファールを打たせた。続く2球はフォークを続け、ボール。

 2ボール2ストライクから、またフォークを続け今度は空振りを取り三振に抑えた。

 

 

 

「よっしゃ!ざまぁみろ。1打席目三振!」

 

 

 渚が感情を爆発させている。針生君もいけるいけると手を叩いている。

 確かに今日の大翔君は調子が良さそうだ。

 

 

 

 大翔は続く2番をショートゴロに打ち取り、3番もレフトフライに打ち取り、3人で抑えた。

 1回の表、完璧な立ち上がりだ。

 

 

 お互いのピッチャーが、3回までを完璧に抑える投手戦になっており、大翔は4回表の1番から始まる攻撃もしっかり3人で抑えた。

 

 

「はっ!2打席目も三振してんじゃねーか。何が活躍するだよ」

 

 ……でも相手を庇うつもりなんて一切ないしざまぁみろとも思うが、これは大翔君が凄すぎるだけだと思う。

 4回表まで投げて、三振7個のパーフェクトピッチングだ。

 今日の大翔君は神がかってる。

 

 

「この回、点とるぞ!」

 

 

 ベンチの前で円陣を組んで声出しをする。

 気合いが入ったのか、先頭の青崎がライト前ヒットを放ち、これが両チーム通じて初めてのヒットとなった。

 

 続く高坂は手堅く送り、1アウト2塁でキャプテンの烏が打席に入る。

 

 烏はボールをよく見てカウントを作り、2ボール1ストライクから甘い球を引っ張り、ライト前ヒット。チャンスを広げて4番に回す。

 

 遠藤が打席に入り、初球だった。決して甘い球ではなかったが、アウトローの球を弾き返し走者一掃のタイムリーツーベース。この試合も栄明が2点先制した。

 

 なおもチャンスで大翔に打順が回る。1球目は見逃しボール。2球目を打ちにいくも、引っ掛けファールにしてしまう。

 ボールの行方にちょうど千夏達がいるのが目に入る。千夏がリラックスして、と肩を上げ下げしているのを見て、力が抜ける。

 

 

 遠藤の後で自分も打ちたいと力が入ってしまっていた。

 力を抜いて3球目。大翔の振り抜いた打球が左中間を破りタイムリーツーベース。

 一挙に3点をとった。

 

 

 先制点を貰った大翔は、そこから圧巻だった。

 5回表、先頭の4番に初ヒットを許すもその後、三者連続三振。全く寄せ付けない。

 

 

 

「まじで圧巻だな……」

 

「すっご……さすが怪物ルーキー」

 

 

 本当にすごい。相手チームのことを調べたら、甲子園常連のチームだった。そんなチーム相手にこの投球、レベルが違う。

 

 

「俺も頑張ろう」

 

 

 大喜は小さく呟いた。

 同級生に雛や大翔がいるのはすごく刺激になる。あの二人みたいに俺もと気合いが入る。

 

 

 

 

 さすがに相手も強豪校。慣れてきたのかランナーは出るようになったが、点が入らない。

 大翔はランナーが溜まると一段とギアを上げている気がする。

 

 

 そして8回裏2アウトで大翔に打席が回る。

 二試合目は3打数1安打1四球。バッティングの方も調子がいい。

 ピッチャーは既に二人目に交代していて、大翔にとっては初の対戦だ。

 2ボールから2球見逃し、2ストライクとられる。

 

 

「あぁー、今の打たないのか……大翔大丈夫か?」

 

「……大丈夫だよ。大翔君、見た事ないぐらい集中してる」

 

 

 針生君が心配しているが、多分大丈夫。

 あんなに真剣な顔を今まで見た事ない。これが野球をしている時の大翔君の顔なんだ。

 

 4球目の変化球を完璧に捉えたあたりはネットを超えていった。

 

 大翔君はベースを回る時こちらを見つけて、指を指しガッツポーズをして回った。

 

 

「ははっ、絶好調じゃねーか」

 

「だから、大丈夫って言ったでしょ」

 

「良かったな、これでお前らの連絡先も守られるぞ」

 

 

 本当に良かった。大翔君は何も知らないだろうけど、お礼も込めて、今日の夜ご飯のおかず1個あげようかな。

 

 ふふ、急にあげたら驚くかな……

 

 

 

 最終回、4番、5番に連打を浴び1点は返されたものの、しっかりその後を抑えて試合終了。

 栄明が4対1で勝利した。

 大翔は投げては116球完投、打っては4打数2安打1HR2打点の活躍だった。

 

 

 

「やったな、大翔」

 

「ありがとうございます、先輩のおかげです」

 

「ハハッ、よくわかってんじゃん」

 

 

 試合が終わった後、青崎先輩とハイタッチして称え合う。褒められて嬉しくなったのかバシバシと体を叩いてくる。痛いからやめてほしい……

 

 

 

「最後の1点が余計だったな。相手も強豪校なだけあってしっかり合わせてくるが、それでも0点で抑えられるようになんないとな」

 

 

 終わった後は土方さんと反省会の時間だ。

 良かった点も悪かった点もどんどん挙げて整理していく。

 ただ高校デビュー戦にしては上出来だと、土方さんから合格を貰った。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

「……帰ろっか」

 

 

「千夏、大翔君たちと話していかなくていいの?」

 

 

 渚たちが聞いてくれるが、どうせ家で話せるし今話さなくてもいい。それに終わった後は反省会があるって言ってたし……

 

 

 

「……あ、あのぉ───」

 

 

 

 するとあのナンパ男たちが話しかけてきた。

 前と違い、針生君や大喜君たちが前に出てブロックしてくれる。

 

 

 

「───連絡先とかって……」

 

 

「活躍したらって話だろ、お前らどこで活躍したんだよ」

 

 

 針生君がそういうと落ち込んだ様子で帰っていった。変に絡まれることなく、素直に帰ってくれて本当に良かった。

 まぁ針生君や大喜君たち男の子がいたからかもしれないけど……

 

 

 

「……帰ろっか」

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

「ただいまー」

 

 

「おかえりー。洗濯物全部出して、お風呂入ってきなさーい」

 

 

 家に帰ってくると、母さんから先に綺麗になってこいと指示を受ける。素直に受け取り、洗濯物を出してお風呂に入る。

 お風呂から上がりリビングに行くと、千夏先輩が母さんに今日の試合の内容を話していた。

 

 

「もう本当にすごくて、相手を圧倒してました。打ってはホームランも打ってましたし、大活躍でしたよ」

 

 

 千夏先輩が絶賛してくれている。さすがに恥ずかしいので、中に入ってとめる。

 

 

「……千夏先輩、褒めてくれるのは嬉しいんですけど、恥ずかしいです」

 

 

 でも本当に凄かった、気合い入ってたねと褒めてくれる。

 こんなに褒めてくれるのは、嬉しいが恥ずかしいので話を変える。

 

 

「そういえば、なんか絡まれたって聞きましたけど大丈夫でした?」

 

 

 

 

 

 

 

「……え、知ってたの?」

 

 

「……はい。試合中に相手のやつが、このままじゃあそこで見てる女の子達から連絡先貰えねーとか言ってたんで、千夏先輩たちかなと」

 

 

 話の流れ的に抑えればいいのかなと思ったんで、あいつの時力が入りましたと笑っている。

 知らないと思っていたが、まさか知っていたとは……

 ───大翔君には助けられてばかりだな

 

 

「うん。大翔君が抑えてくれたおかけで無事私達の連絡先は守られましたっ」

 

 

 ありがとうと伝えると、

 まぁどっちみち抑えないといけないんで、変わんないですけどと、照れ隠ししている。でもちょっと顔が赤くなっていて可愛い。

 

 私は、お礼の気持ちと勝利おめでとうの気持ちを込めて、今日のご飯の生姜焼きをあげた。

 すると本気で、何かありました?と聞かれたのは納得してない。

 ……私そんなに食い意地はってない……

 

 

 

 ───でも本当にありがとう、大翔君

 

 

 

 

 

 

 

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