どうもこんにちは、常夏鳳梨と申します。
お察しの通り──オルクセン王国史の二次創作に手を出してしまいました(笑)
作品名の通り、本作はアニメをテーマにした作品です。
まだまだ不束なところはあるのは思いますが、よろしくお願いします!!
時は星歴九三三年、ベレリアント戦争や第一次星欧大戦が終結し、星欧の地に平和が訪れてから長い年数が経った頃、オルクセン連邦では映画が大衆の文化として定着しつつあった。
かつて、キャメロットからオルクセンにもたらされた文化の一つである映画は、その当時は無声の状態で映像が動くだけの代物──後に無声映画が主流であったものの、次第に芸術としての地位を高めていくのと同時に様々な作品が制作されていった。
定番の恋愛や歴史はもちろんのこと、喜劇やホラーと言った系統の映画が続々と作られていき、人々は次第に映画を娯楽として楽しむようになっていった。
そんな流れの中で、一つの映画が生まれた。
その映画は、後世においては大衆文化としてその地位を確立した末に、今もなお人々の人気と愛を絶やすことのない一つの芸術へと姿を変えた。
その映画の名は──漫画映画。
後の時代においてはアニメ、あるいはアニメーションと呼ばれることとなる映画であり、星欧九〇〇年代初頭では映画と分類される一つの分野として認知されていたのだが、まだ大衆に親しまれる文化としては発展途上と言っても過言ではなかった。
だがしかし、当時は映画の中でもまだまだ地位が低かったアニメ映画に対し、ごく僅かだが可能性を見出す者はいたようで──星歴九二〇年の頃には少しずつではあるがアニメ映画は制作されつつあった。
少なくとも、映画に音という画期的な要素が加わるまでは。
その結果、音という武器を手に入れた映画業界は劇的に変化し、星歴九二七年には世界で初めて音が入った映画が公開された。
それすなわち、業界用語で言うところのトーキー映画の誕生である。
このトーキー映画の出現とその影響により、オルクセン連邦を含めた映画業界はより一層発展の一途を辿った。
映画に音が加わったことにより、観客達が映画の世界にどっぷりハマっていったことに加えて、歌をメインにしたミュージカル映画もまた誕生したことによって、映画の立ち位置は大きく変わったのである。
それは、アニメ映画でも言えることだったようで
「ロナ!!今度は長編アニメーション映画を作るぞ!!」
そのアニメ映画の世界において、世界で初めてトーキー・アニメーション映画を作っただけではなく、世界で初めてとなるカラー・アニメーション映画を作った人物で、オルクセン連邦が誇るアニメーションスタジオの創業者こと、白エルフのイライア・バーバンクは姉であるロナ・バーバンクに対し、そんな素っ頓狂なことを言っていた。
イライア・バーバンクは、元々はアニメ映画の世界とは程遠い農家の家の子として育った白エルフであった。
ただ、彼女はいわゆる北方白エルフであったがために激しい差別と迫害に遭い、ベレリアント戦争後には家族揃って当時は王国であった頃のオルクセン連邦に移住し、そこで農業を営みつつ暮らしていた。
しかし、彼女には絵の才能があったがために農業そっちのけで絵の練習をすることが多く、結局は農家としての道を進むことなく美術の専門学校に進学。
ただし、彼女自身が家計を支えるために新聞配達の仕事をしていたのも相まってか、度々成績が悪くなることが多かったためにロナからは心配されていたとか。
やがて、第第一次星欧大戦の際に美術学校を退学した彼女は国際機関の衛生兵として戦場に派遣され、終戦まで従事していた。
ちなみに──これは余談ではあるが、彼女が国際機関側の衛生兵として所属していた部隊には、後にオルクセン発祥となる一大ファストフード店の創業者となる人物もいたのだが、それはまた別の話である。
ともかく、戦後にオルクセン連邦へと帰還した彼女は職を転々とした末に自らの得意分野である絵を活かすため、アニメ映画の制作者であるアニメーターとしての経験を積んだ後、アニメ映画専門の映画スタジオことイライア・バーバンク・スタジオを立ち上げた。
そして、そこで彼女はアニメーター達と共に次々と短編アニメ映画を発表していき、会社を成長させていった。
ただ、そこまでの道のりは生易しいものではなく──最初に生み出したアニメ映画のキャラクター、そして自社のアニメーター達が他の会社によって奪われるという出来事により、一時期は倒産寸前にまで追い込まれていた。
けれども、その状況下でも諦めなかった彼女は努力と苦労の果てにとあるキャラクターを生み出した。
彼女が生み出したそのキャラクターの名は、ウサギのオットー。
最初は短編アニメ映画のキャラクターとして生み出されたものの、映画の公開と共に徐々に人気が出てきたため、彼を主役にしたトーキー・アニメを──【オットーの蒸気機関車】を制作、そして公開した。
すると、彼女の予想を遥かに超える勢いで【オットーの蒸気機関車】はヒットを飛ばし、結果としてウサギのオットーの人気も爆発したことにより、次第にイライア・バーバンク・スタジオの名は知られていくようになっていった。
それに伴い、イライアはウサギのオットーの短編アニメ映画シリーズはもちろんのこと、音楽とアニメの融合を目指して御伽噺をモチーフにした短編アニメ映画シリーズも制作していき、徐々にアニメ映画という業界において力を付けていた。
なお、彼女が手掛けたその短編アニメ映画シリーズの中には、世界で初めて色鮮やかな世界が表現されたカラー・アニメ映画も含まれており、その作品が世界的に有名な映画賞の短編映画賞を受賞したとか。
そんなわけで、自らが考えた世界をアニメーションという形で表現してきた彼女であったが──その短編アニメ映画シリーズにおいて、オークを主役にした短編アニメ映画がヒットしたことを受け、アニメ映画には可能性があると踏んだ彼女は、前々から考えていたアイデアを実行することに決めたのか、自身の姉で会社経営にも参加していたロナに声を掛けていた。
そう、その一言こそが例の発言だったのである。
「──は?」
だが、その言葉はロナにとっては想定外──と言うよりかは、全くもって想像もしていなかった言葉のためか、思わず訳がわからないという顔になっていた。
それもそのはずで、何しろこの時代のアニメは短編が主流であったため、ロナ自身はイライアが発したその言葉が前代未聞の挑戦であることを理解できない程の愚か者ではなかった。
ロナ自身も妹が社員であるアニメーター達に対し、新しい映画のアイデアを紹介したという話は聞いていたものの、そのアイデアが長編の方のアイデアだとは思ってもいなかったのは言うまでもない。
それに加え、アニメ制作には莫大な資金も掛かるためにそのことを考えた上でロナは頭を抱えていたのである。
そんな姉の様子を知ってか知らずか、イライアはロナに対して一言
「それで、その企画会議にロナも出てきて欲しいんだけど──」
「出るに決まってるでしょ」
「わぁ、即答だね」
というロナの返答により、彼女は分かりやすく喜んでいた。
当のロナ自身はイライアのアニメに対する情熱は認めているものの、今からやろうとしていることが前代未聞すぎるためか、応援の感情よりも心配の感情が優ったのは仕方がないことであった。
そういうわけで、白エルフのイライア・バーバンクはアニメーションスタジオの社長として、長編アニメーション制作という極秘プロジェクトが始動しようとしていたわけなのだが──この時の彼女達は知らなかった。
イライア主導の下で制作されたこの長編アニメーション映画によって、アニメの歴史と運命が変わることを。
これは、後の時代においては伝説的なアニメ映画として語り継がれる作品を生み出したクリエーター、もとい白エルフとその仲間達の物語である。
イライア・バーバンク
本作の主人公。
オルクセン連邦内で急成長中のアニメーションスタジオこと、イライア・バーバンク・スタジオの社長兼アニメーター。
絵を描くことや空想することが好きで、それらをアニメ制作に役立てている。
レモンパイが大好物。
ロナ・バーバンク
イライアの姉。
イライア・バーバンク・スタジオの創業者の一人で、彼女の良き理解者。
ただし、たまに妹であるイライアに振り回される模様。