死亡エンドの別軸で   作:出戻りのきのこ

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作者がSNSでモチーフにしてる大学をカミングアウトしてたんですけど、その大学と全然違うので普通にビビってます。
色々と変だったらすみません。


エピソードA:モブの友達-2

「なるほどね。それは私の好みじゃないけど、悪くないわ。良いと思うよ」

「好み……それは一限からでも一日フルで予定入れて、空いてる日を作るってやつか」

「そそ、まぁこれで大方組めた感あるし。三年になったら落とした単位とかゼミの教授の講義とかを取ってくのが定石だと思うわ」

「そっかマジ助かった。今度飯奢る」

「良いって〜、大したことしてないし。しかも今回はほぼ自分で組んでるじゃん。ここまで来るとあんまり手伝えないから」

「それもあるけど……今回は」

 聡君が恐る恐るこちらを見てくる。別に何も気にしてないのだけど。本当に何も気にしてないのだけど。無性にモヤモヤする。麗音は何事も無かったかのように持ってきた本を読んでるし、紫乃は聡君にすり寄って機嫌が良さそうにしている。この女狐が…

「おや?聡さん用件は終わりましたか。それではこの後一緒に遊びに行きませんか?もちろん二人で」

「ちょっと!!抜け駆けは許さないんだから!」

「そうよ!この後は聡は私と一緒に本屋に行ってもらおうとおもってるの!」

「麗音もしれっと誘おうとしてるじゃない!駄目よ!!」

「いや俺次のコマ講義あるから……」

「講義なんて休めばいいのですよ、聡さん。まだ履修期間なのですから」

「何ていうか、大変ですねぇ。聡は」

「……騒がしくてすまないな」

「いえいえ、私としては有名人に会えただけでとっても意義のある時間ですよ」

「ははは……まぁそう言ってくれると助かる」

 

 聡君は私を横目に眼鏡の男にお礼を伝えた。それからこの男は私達三人にちらりと目を配った後ニヤニヤした顔でいえいえと謙遜した。

 

 結論、私達は佐藤ゆうを女だと勘違いしていたのだ。

 

 正確に言えば、麗音と私だけ。朱奈も昨日のタイミングで気づいていたらしく、紫乃に限って言えば私達をからかって遊ぶ為に三人で会おうという打診をしてきたのだ。そのせいで麗音も私も紫乃に対してだけでなく、この男にも苛立ちを隠せなかった。別に聡くんといれるのはこの上ない喜びだが麗音や紫乃が絡むと半減になり、知らない人間ましてや男なんかと関わる事はそれ以上に不快である感覚があった。

 しかし、こちらから勝手に勘違いをしていて勝手に嫌うというのは幾らなんでもあんまりだという気持ちも少なからずあった。その点に関しては私だけではなく男嫌いの麗音にも思う所があるらしく、この男に会うや否や席を外すといったことも毒舌を言い放つなんてこともしなかった。幸い、この男から私達に話を振ると言ったことはなくあくまでも聡くんの履修相談をしているだけだった。ただたまにこちらをチラチラ見てきて、目が合ったらぎこちないような笑顔を浮かべて会釈をしてきた。顔や体や服装を見ており、性的な目をしていないとは言わないが私達三人にかなりの興味があるような視線を向けてくる。

 

(気持ち悪い……というか不気味ね)

 

 普段男共が向けてくるような気色悪い目線ではなく、いやそういった事も含みながらも何やら品定めをされている感覚があった。

 

 

 

(さて、そろそろ本題へ入りましょうか。聡さんとくっつける時間は惜しいですが……)

 最後にもう一度、聡さんの腕をすりすりしてから離れて椅子を引いて座り直す。

 

「そう言えば、佐藤さんと言いましたか」

 

 私の言葉に麗音さんと桜月さんに僅かな緊張感が見える。何だかんだで長い付き合いです私の雰囲気を読み取ったのでしょうね。男は自身の名前を呼ばれて私の方へと身体と顔を向けてきた。

 

「はい、佐藤です」

「申し遅れました。私は東雲紫乃と申します」

「あ、これはこれはご丁寧にどうもどうも。佐藤ゆうと申します。」

「ふふ、先輩なのですから別にタメ口でも構いませんよ」

「いやいや初対面の女性にそれは……あと敬語は癖なので。気にしないでくださいね」

「奇遇ですね、私もです」

 男はテーブルに肘をついていた姿勢から一変、急に椅子を引いて背筋を伸ばす。その態度は少し好感が持てますね。そこら辺の男共とは違って身の程を弁えてつけ上がらないみたいですし。

 

「それでは佐藤さん、聡さんとはどのように知り合ったのですか?今日はそれを聞いてみたくて佐藤さんにお声がけしました」

 

 今回この男と会おうと思った最大の理由がある。

 

 それはこの男に聡さんが弱みを握られていないか。

 

 聡さんは私達のせいとも言えるが学部で友達がいない。

 特に大学一年生ときは車椅子ということもあって授業には聡さんの教室に会いに行っていた。そこで幾度となく交際の申し出、連絡先の交換、無用の用で呼び止められた。そしてその都度、桜月さんや麗音さんがそれらの申し出をバッサリと断り続けた。すると段々話しかける対象が私達四人から聡さんへと移り始め、それから間もなくして朱奈さんや私がありとあらゆる手を尽くして彼を守った結果、誰も私達に話しかけも近寄る事も無くなった。聡さんは暫くして友達や話しかける事すら出来なくなり同じ学科の友人が出来ないと嘆いていましたが、どうやら今回の一件で彼には別の学科で出来た御学友がいたことが分かりました。

 

 確かに学科や学年が違う事で一連の騒動や私達のことを知らない可能性がある。しかしもしも何か下心があって聡さんに近寄っているなら……

 

(その場合は確実な方法で、私達と関わるのを止めて頂く必要があります)

 

 あくまでもこの時間は私にとって尋問に過ぎません。

 さて、参りましょうか。

 

 

「聡との出会い……えー確か今年の前期で選択必修の英語でたまたま一緒にクラスになってそこからかな」

「そうですか、因みに何故その講義を?」

「何故……か。選択必修の英語でこの授業じゃないとという理由は無いよ。英語の先生は多いから誰が楽とか誰が評価厳しいかは体感とかになってくるから大差ないと思ってる。一番の理由は前後で取りたい講義があったからそこに合うようにって感じ。それ以外に理由はないかな……ないです」

 妥当なところですね。一般的な大学生の回答としては満点回答。今のところ怪しいところは無しと。

「そうですか。それでは聡さんと話すきっかけは?」

「きっかけと言われるとあれなんですけど、先生が世代間のコミュニケーションを重要視する人で座る席をランダムで決めてその席順で隣かつ同じグループだったってところです」

「そのグループ課題は何を?」

「えっと、決められた段落の和訳とその読み合わせとか。その英文を読んで何を思ったとか……だよね」

「あぁ、確かそんなんだった気がする」

「そうでしたか」

 恐らくここにも間違いはないでしょう。この先生の授業は受けたことがありませんが、シラバスにもそのように書いてます。聡さんもそう言ってますから。

「私達の事はご存知でしたか?」

「私達……というのは東雲さんを含めた五人の事ですか?」

「えぇ、そうです」

「はい、存じ上げてましたよ。何かと有名人ですからね。ただ学年も違ければ学部を違うからサークルの友人から噂程度で拾えるくらいで聡以外学校で見ることは無かったから」

「そうですか」

 当たり障りのない普通の話ですね。面白くないというのは失礼でしょう。この男が真面目な人だったということですね。

「それでは英語の授業の時には既に?」

「まぁ、そうね。失礼ですけど名前聞いてこの人かとはなりました。正直関わるのもどうかなってね」

「じゃあ、どうして色々と世話を焼いてくれたんだ?」

「んー、うーん……いや特に理由はないけどね。授業で話したし、そこから気になって話しかけてみたり、隣の席だし何か話さないとな〜とは思ってたし。困ってた事が私の解決できそうな範囲のことだったし……成り行き?」

「言われてみればそうかもな」

「そうですか」

 ここまでの話に嘘はなさそうです。聡さんを助けてくれた事に関しては礼を言いますが、何とも消極的ですね。逆にその姿勢こそがここまで彼を助けてくれた要因なのかもしれないですが。ここまで考えると彼は無害そうですね。

 

「ねぇ、あなた。佐藤と言ったわね。普段聡とはよく会うの?」

 ここで本を読んでいた麗音さんが口を開きます。目線は本を見つめたままで動かそうとはしません。

「いや、夏休みの時も一回も会ってないですし、後期は私が選択必修が無いので予定合わせないと会わなくなると思いますよ」

「寂しい話だな」

「いや、聡には大切な人が近くにいるからいいやん……」

 

 そうです。その通りです。やはりこの男は分かってますね。

 

「そうなんだが、やっぱりたまには友達と飲んだりしたいじゃん?」

 

 その瞬間ピキッと音をが鳴ったような感覚があった。

 私達……いえ私よりも友達を優先する……?

 そんな感情が芽生えるのと同時に桜月さんと麗音さんからも同様の、それよりももっと強くて黒い感情が溢れて出てくる。

 

「あぁそう……聡には私じゃなくてそこの男がいいんだ」

「私聡くんにとって要らない子なのかな……?」

「え、あ!いや!!そういう事じゃなくて!!」

「飲み会に行って来なよ……友達を引き連れて」

「だから俺にはそんな引き連れるほどの友達いねーって!」

「うぅ……私の事友達だと思ってくれてないの……?」

「だぁぁぁ!!こんな時に悪ノリするなよ!!頼むからややこしくしないでくれ!!」

 また、二人に呼応するように突如としてこの男も訳の分からない冗談を言ってきた。この男はそういう一面もあるのですか。

「私要らない子じゃないのよね?私の事この男よりも優先してくれる……?」

「する!!するから!!分かった!!そうだ!今日はゆうを入れて飲み会を開こうな!」

「いや、私は行かなくていいやろ……いるのか?」

 急に我に返った様に冷静に答える。何時ものことですが普通の人が見たらこのような反応をするだろう。

「そうですか、それでは朱奈さんも呼んで皆さんで大学生っぽい飲み会をしましょうか。」

「いや待て、紫乃が店を選ぶと俺たち破産するから特に朱奈が」

「それならば朱奈さん抜きの四人でも私は構いませんよ?」

「腹黒が過ぎるだろ……」

「冗談です。私も朱奈さんを敵に回したくないので」

 久し振りにこういう展開もアリですね、見てて面白いです。

「ゆう悪い店を探してくれるか?ちょっと手が離せなくて」

「了解した。その辺で探しとく」

 ……助かると言いながら聡さんは麗音さんと桜月さんの頭を撫でていました。




紫乃の心情口調が難しすぎて変だったら解釈不一致でないことを祈ります。
これ書いてる時、CVがようじつの坂柳さんでした。
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