死亡エンドの別軸で 作:出戻りのきのこ
取り敢えずえいやの精神で投稿しました。
バイトも終わったので足早に駅へ向かう。
何時も夜ご飯は聡君の家で食べる事になっているのだけど、今日はあの人の友人と一緒に外食する事となっていた。
「でも少し気乗りはしないかなぁ〜」
たまに外食行くのは良い、聡君だけじゃなくて皆もいるのは何時もの事だ。しかし、私達の空間に異物がいるのは好ましくない。このまま聡君に友達が出来ると私達の時間が少なくなりそうだし……
……私達としては一秒でも長く聡君とさえいれれば良いんだけどね〜
今日だけ。そう今日だけだ。この時間さえ過ぎてしまえばまた何時もの日常に戻る。
私は自分にそう言い聞かせて、電車に乗った。
「お待たせ〜!あれれ、もしかして遅かった?」
「いや、時間通りだよ。それより紫乃が思った以上に早かっただけだ……」
店について席に通してもらうと、呆れ顔の聡君と目が合った。部屋を見渡すと座敷に四人と一人で座っていた。四人側には桜月ちゃん、紫乃ちゃん、聡君、麗音ちゃんの順に座っている。麗音ちゃんは聡君の左手を握っており、紫乃ちゃんは聡君が動けないように絡みついている。桜月ちゃんに関しては紫乃を挟んでさ聡君にあーんをしている。
……これはこれで少し可哀想な気もするけどねぇ〜
私を差し置いて何をしているのかな、と沸々と沸き上がりそうになる思いもあったけどその人の様子を見ると収まっていく。目が合うとどうもというようなニヤニヤとした簡単な会釈をして目の前にある飲み物に口をつけて聡君達を見つめている。私達があからさまに聡君とだけ目を合わせ話をしている様子だったので少し同情もする。
「初めまして!私は南条っていうの!よろしくね〜!」
「あ、これはどうも佐藤です。こちらこそよろしく」
私はこの人の奥を回って座る。手前の座敷には桜月ちゃんの荷物があったから最初はそこに座ってたんだろうね。取り敢えず最低限として自己紹介をすると作り笑顔を返された。
……ん〜、何だろうこの感覚
既視感というか何となく嫌な感覚がする。
シンプルな言い方をするとこういう顔をしてくるやつに見覚えがあったが……誰だったかまでは思い出せないや。
「佐藤さんは何処で聡君とあったの?」
「大学の講義ですよ。学部学科混合の英語の授業で同じグループになりました」
「そうなんだ〜!って事は聡君と同じ経済学部?」
「そうですね。学科は違うんですけど、校舎とかでよく見かけます」
「そうなのか?俺はゆうのこと見かけないんだけど」
「隣の教室で講義受けてる所を見たこともあるよ」
「声掛けてくれれば良いのに」
「それは申し訳な。ちょっとというかあんまり勇気でなくてね」
「あぁ……それは何というかこっちこそすまん」
何かを察したかのように私たちを見てくるけど、悪くないよね?すると、いつの間にか向かい側に座ってた麗音ちゃんがこちら側の席に少しずつ移動してきていた。ただ、相変わらず聡君の手を握ったままでいる。
(……何か朱奈が仲良く男と話してるの意外だわ)
(……意外って何かな〜。三人は最早いないものとして扱ってるから少し可哀想って思ったんだよ〜)
(……紫乃が酔う前は紫乃が色々と引き出してくれたのよ。私も男は嫌いだけど桜月も桜月だから)
(……まぁ、それもそっか〜)
これまでの様子に関してはグループLINEで逐一報告されてたから麗音と耳打ちしながらこれまでの様子を簡単に聞いた。取り敢えず悪い奴ではない事。害を持ち込みそうじゃない事。後は話してみての感触だ。
(……そこら辺の男とは少し違いそうね。性的な視線は全くはないとは言わないけれど、悪意のある接触や話題も持ちかけてこないし。あっちもあっちで弁えてそうな雰囲気よ)
(……ふーん、そっか〜)
(……何よ。何か気になる事でもあるの?)
(……いや〜、何か少し引っかかるだけだよ〜)
(……何かって何よ)
(……それはちょっとまだ)
「おいそこ、何コソコソ話してるんだ」
「「!!」」
麗音ちゃんとのヒソヒソ話に夢中になってたからか、聡君に指摘されてしまった。
「べ、別に何でもないわ」
「そうだよ〜、麗音ちゃんが聡君の手を独り占めしてるからズルいって思ってただけだよ〜」
「独り占めだなんて……あ、こら朱奈!私と聡の手に割り込もうとするのは止めなさい!あぁ!!バカっ!!」
「手が寂しいなら私が握っててあげるよ〜」
「違うわよ!バカっ!!」
「おいおい!騒ぐなよ!」
手首の方から麗音ちゃんの手と聡君の手を間を這わせて私が聡君の指を絡ませていく。すると麗音ちゃんは涙目になるのでもう一方の手で聡君と繋いでた手を握ってあげるけれど不満そうだった。私だって我慢してたんだからおあいこでしょ〜?
「……」
「いや、なんか言ってくれよ」
「バカ助かる?」
「絶対それではない!!」
「何とも微笑ましいことで」
「……まぁ、ありがたいことにとは言っとく」
聡君は私との繋いだ手を見てため息をつくとぷいっと目を逸らした。もうっ素直じゃないんだから〜
しかし、それが良くなかった。
向いた先が桜月ちゃんの顔の前で、二人の目と目が合う。
桜月ちゃんはびっくりした顔をしていたが段々ととろんとした表情で笑みを浮かべて、聡君の顔を両手で優しく抑える。そして段々と二人の顔は近づいていって……
「「まずい!!」」
私と麗音ちゃんはすぐに聡君の手を離し、桜月ちゃんを抑える。気を抜くとすぐにこれなんだから〜!
「何するの!離してよ!!」
「何するのはこっちのセリフだから!!急に聡君と……ち、ちゅーしようとするなんてバカじゃない!」
「そうだよ〜!!こんな店の中でうらやま……じゃなくて抜け駆けなんて許さないから!!」
「あーん!!もう良いじゃない〜!今日一日聡君と一緒にいたのに甘えられなくて寂しかったの〜!!」
「「それはこっちのセリフよ!(だから〜!)」」
そんな事言ったら私だってバイトだったから会える時間短かったんだからね〜!?と思ったが桜月ちゃんをとめるの精一杯だった。
「だからお前達少しは店のなかだから静かにだな……っ!!」
聡君がそう言ったのも束の間、聡君から悲鳴のような声が聞こえてきた。
桜月ちゃんに夢中になってた私達は振り返るとそこには膝の上で寝ていたはずの色魔が聡君の首に手をかけて自分自身の顔に抑えつけるようにしてキスをしていた。
私達は突然の光景に呆気にとられてしまい、すぐに動けなかったが状況を理解すると桜月ちゃんから手を離してその女から聡君を引き剥がす事にした。てか三人で引き剥がせないなんて力強いって〜!
「離れなさいよこの女狐!!」
「あんた聡君の膝を長時間占有しといていい度胸ね!」
「んんん!!!!」
「……ふぅ〜。最高の目覚ましでしたよ聡さん」
「はぁ……はぁ……きゅうに……したを入れて……くんなよ」
一生起きないように地獄へ落としてやろうかこのクソアマ。
珍しく三人で意見があったみたいでこの女を常備していた紐でぐるぐる巻きにしてやった。なんで持ってるかって?護身用だよ〜。ついでにうるさいからガムテープで口も塞いじゃおうね〜。
「んん!!!んんーー!!!」
一通り締め上げることに成功したので、取り敢えず聡君の真向かいへと転がす。そして私達は聡君の方に座りその女狐を睨みつけた。しかし、口元は笑っていたようでお互い顔を合わせてながらこの女の処遇を考えることとした。
「これ大丈夫なの?」
「まぁ……意外と何時もの事だったりする」
「草、世紀末かよ」
「言うな……」
「あ、注文しないほうがいいでしょ。この光景を見たら何と言われるか」
「それもそうか……」
聡君はげんなりしてグラスの飲み物を飲み干して、注文用のiPadを手に取ったがこの男は機械を取り上げた。
「ごめんね〜。ちょっと驚かせちゃったみたい〜!」
「いや、まぁまぁというか結構驚いてますよ……というかシンプル恐ろしいで。」
「でも順応早くないか?あまり驚いてる様に見えないというか……」
「まぁ、自分に降り掛かった物じゃないから」
「身も蓋もねぇな」
「わはは」
カラッとした態度で紫乃ちゃんをちらっと見るとスマホを取り出す。動じないというか興味ないというのが正しいところかな。暫くはこの人の事とか世間話を聞くこととした。
「そういえば何時までにしますか?そろそろ良い感じの時間だけど」
時間も暫く経ったころ、この人は時計を見ながらそう言った。20時を過ぎ、一次会としては丁度いい時間になった。
「確かにそうね。私も今日帰りに本屋寄って帰りたいから長引くようなら抜けたいわ」
「良い時間だしそろそろ行こっか!明日の朝ごはんは何にしようかな〜」
「そしたら皆は先行っててくれ。ここは俺が出すから。ゆうは下に降りた時にでも払ってくれ」
「了解した。」
各々が帰り支度をする時に、その男は何やら不審な動きをしていた。
「……はぁはぁ、ありがとうございます」
「いえいえ」
私達は気にせず外に出ようとすると後ろの方からそんなような会話が聞こえた気がした。
場所的に池袋を想定してます。
理由はなんとなくです。