東方ニセモノ異変   作:そこけせ

1 / 11
初投稿です。いろいろ拙いと思います。


偽物の存在の確認
一人の神霊が死ぬ話


夜。

 無縁塚、枯れた桜が立ち並ぶ此処で、妖怪が立ち入る事もほぼ無く、ましてや人が居る事など有り得ないこの場所で、二つの人影が月明かりに照らされていた。

 

「はぁっ…はぁっ…」

 

 片方は、まるで何かに追われているかの様に走っている。

そして振り返り、

 

「くそっ」

 

もう片方の人影を見つけ、憎々しげに声を漏らす。殺せるものなら殺してしまいたいとばかりに。

 しかし、自分が"アレ"を倒す、ましてや殺すなど出来やしないと分かっているから、分かってしまうから逃げているのだ。逃げる事など出来ない、と分かっているにも関わらず。

 だが少なくとも、まだ殺される訳にはいかないのだ。やっと辿り着いたこの場所で、何故殺されなければならない。

 そう考える人影を追い詰めるかの様に、"アレ"はいつまでも追いかけて来る。

 人影はまた振り返り、

 

「なんなんだよっ!」

 

先程と変わらない距離で追い続けるもう片方の人影、少女の姿を見て声を荒らげる。

 "アレ"に距離など関係の無い事だと知っている。だから今行われているのは只の道楽だ。強者が弱者を痛ぶり、限界が来るまで追い続ける狩りなのだ。

 その油断に付け込み、上手く逃げ果せる事が出来ればどれだけ良かった事か。これまで逃げ続けて得たのは、そんな事が出来る訳が無い、と言う確信だけである。

 そして自分が限界を迎えるまで、只無様に逃げ続けるしか無いという事も。

 

 そんな、逃避行(狩り)もいつかは終わる。そのきっかけは些細なもので、けれど終わらせるには十分なものだった。

 

 彼岸花に足を取られ、転んでしまった人影。すぐさま起き上がろうとするが、その肩に少女の華奢な手が置かれる。

 

「もう逃げないでくれるかしら」

「くるなっ!」

「あら非道い」

 

 逃げようと必死な人影に対して、余裕とも取れる雰囲気の少女。どちらが有利かは言うまでも無いだろう。

 

「何がしたいんだ!」

 

 そんな問いかけに少女は、

 

「あなたを殺したいだけですわ」

 

物騒な答えを返す。

 

「何故なんだ。何故殺す」

「これから死にゆく貴方には、関係の無い話よ。それに、たとえ貴方が死なないとしても答えないわ」

 

 少女は、冥土の土産など用意する気は無いらしい。私は死ぬ理由も知らずに死ぬのか。

 

「もう聞く事も無いでしょう。最期に言い残す事はあるかしら」

「死ね」

「あら非道い」

 

 そして少女は人影の首を掴み、締め上げる。

 

「がっ...ぐっ...」

 

 みしみしと骨が砕ける様な音が聞こえる。どこか自分の存在が希薄になっていく感覚がする。死ぬとはこんな感覚なのか。

 そしてゴキッと完全に骨の折れる音が聞こえると同時に、人影は最初から存在しなかったかの様に消えた。




Explanation:八雲紫
種族:妖怪(スキマ妖怪)
二つ名:境界の妖怪
能力:境界を操る程度の能力
活動場所:ありとあらゆる場所
詳細:胡散臭い程度の能力を持つ、胡散臭い妖怪。こんなんでも幻想郷の賢者。彼女が居なければ、幻想郷は生まれていなかっただろう。

Q:幻想郷は全てを受け入れるのではなかったのか?
A:彼女、若しくは彼が全てでは無かったか、天子みたいな感じ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。