東方ニセモノ異変   作:そこけせ

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私が、貴様を、赦す事は、無いだろう。
貴様がした事を、其の儘返してくれる。
滅ぼしてくれよう、この楽園を。

詳細不明。別の空間で交わされた会話と推測。急ぎ、解析が求められる。

            ───稗田阿求の走り書き



蜘蛛の監視網の話

昼下がり

霧雨魔法店、魔法の森に位置する住居兼店舗の煉瓦造りの建物で、この家の主人が探し物をしている。

 

「違う、これじゃない」

 

 部屋の中に雑多に積み上げられた我楽多の山を掻き分け、目当てのものを探す。余り整理整頓ができている様には見えない。これでは探すのに苦労するだろう。

 

「良し、あった」

 

 お目当てのものを見つけた様だ。

 一つの金属片の様なものを掘り出して、魔理沙は急いで自分の家から飛び出す。行き先は地底、その入り口だ。

 

 つい先程、地震が起きた。その所為で家にあったゴ、"いつか使う品物"が崩れ、探すのに手間取ってしまった。

 地震というと不良天人の影がちらつくが、これはどちらかというと…

 

「また噴火は勘弁だからな…!」

 

 箒に跨り、とんでもないスピードで魔法の森を突っ切りながら、独り言をこぼす。

 あっという間に地底への入り口に着くと、速度を保ったまま洞窟へ入る。天井から垂れ下がる鍾乳石をギリギリで避けながらガンガン奥へ進み、曲がり角を曲がると、

 

「うおっ!」

 

 真っ白な壁が目の前に現れる。

 無理矢理逆方向へと方向転換して、なんとか衝突を回避する。その所為で箒から振り落とされたが。

 

「痛って」

 

 なんとか頭を打つのは避けたが、背中が痛い。こうなるなら、傷薬でも持ってくるんだったか。

 そんな事よりもこの壁だ。見た感じ石などではないようだし、こんなに白い石が地底にあるとは思えない。触ってみると少し弾力がある。スライムか?

 

「爆破してみるか」

 

 帽子から爆弾を取り出し、火をつけ壁の近くに置く。急いで鍾乳石の後ろに隠れる。

 その数秒後に爆発したが、確認すると傷一つついていない。なかなかに硬いか、衝撃吸収が素晴らしい素材らしい。欲しい。

 

「爆弾でダメなら、これしかないな」

 

 あまり使いたくはないが、ミニ八卦炉を取り出し壁に構える。

 

「恋符「マスタースパーク」!」

 

 光り輝くレーザーが壁を貫く。思ったよりも簡単に貫けた。欲しくないかもしれん。

 

 箒を持って開けた穴を通り中へ入ると、そこは蜘蛛の巣だらけであった。じゃあ、あの壁は蜘蛛の巣だな、いらん。

 

「まさか、あいつか…?」

 

 地面にある蜘蛛の巣を避けながら、先へと進む。流石に此処で箒は使えない。

 辺りは不気味な雰囲気に包まれており、洞窟が暗いことも相まって、光がないと不安に苛まれる。

 思わず八卦炉のライトをつけた途端、

 

「まてまてーい!」

「ッ…!」

 

 すぐさま声のした方向へと、八卦炉を構える。光を浴びせ、相手の姿を確認する。

 

「ちょっ、眩しっ」

「なんだお前(ヤマメ)か」

 

 そこに居たのは、土蜘蛛、ヤマメであった。八卦炉の光量を下げ、首にかける。こんなこともあろうかと、紐をつけられるようにしておいたのだ。

 

「驚かすなよ、それより何しているんだ?」

「いや、ここ誰も通すなって言われてるんだよ」

「なんだ、いつも通りじゃないか。じゃあ行くぜ」

「だから、通るなって言ってるだろー!」

「私は通るなって言われたら通るし、通れって言われても通るんだ。それを邪魔するなら、力尽くで通らせてもらうぜ!」

「臨むところだ! 最近負けてばっかで苛々してるんでね、おまえで晴らさせてもらうよ!」

 

 こういう手合いは、逃げるよりも一回倒したほうが早い。相手もそれをわかっているから、乗ってきたのだろう。たぶん。

 

「先手必勝!」

 

「恋符「マスタースパーク」!」

 

 首にかけた八卦炉から、レーザーを放つ。

 暗かった洞窟が一瞬で光に包まれる。張り巡らされた蜘蛛の巣を焼き払いながら、まっすぐヤマメへと向かうレーザーは、軽々と避けられる。

 

 今度はヤマメから放たれた蜘蛛の巣を避けながら、八卦炉を首から外す。紐が邪魔でうまく外せない。

 その隙に近づいてきたヤマメは、少し離れた位置からこちらに向かって何かをばら撒く。

 急いで口を塞いで、後ろに跳ねる。

 

「おい! ずるいぞ、宣言しろよ!」

「遊びじゃないんでね! そもそも私達はルール破りの極悪人さ!」

「只の嫌われ者だろう、がっ!」

 

 すかさず飛んできた蜘蛛の糸を、箒で受け止める。柄がミシリと嫌な音を立てた。

 其の儘糸を引かれて、箒を奪い取られる。

 移動手段が取られた。此処から離脱するのが難しくなる。それは別にどうでも良いが、いくつかの攻撃手段が潰されたのが痛い。

 

 仕方ないから、帽子の中から薬液瓶(ポーション)をいくつか取り出し、ヤマメ目掛けて放り投げる。

 蜘蛛の巣に引っ付き防がれるが、それは折り込み済み。八卦炉から放つ細い光線を、剣の様に振り回し薬液瓶を焼き切る。

 

 瓶から溢れた薬液が空気に触れ、大爆発を引き起こした。起きた爆轟と衝撃波で、その周りの鍾乳石と蜘蛛の巣が砕け、吹き飛ぶ。ついでに箒も砕け散った。

 

 細い光線は避けたヤマメだが、爆発は直撃した。後ろに吹き飛んだヤマメは、服のあちらこちらから煙が出ているが、たいしたダメージを負っている様には見えない。直前で蜘蛛の巣を重ね、爆発の威力を殺した様だ。

 

 

 吹き飛んでいく方向に蜘蛛の巣を張り、その勢いを、蜘蛛の巣をトランポリンの様に使って、魔理沙へと突撃する為の起爆剤に使う。

 

 先程くすねた薬瓶を後ろに叩きつけ、爆発の威力も使いながら魔理沙を目掛けて突っ込んでいく。

 ギリギリで避けられた。魔理沙の後ろの蜘蛛の巣へ顔面から直撃する。痛い。

 

 

 無様に顔面から蜘蛛の巣に突っ込んだヤマメを見て、何故か気が緩んだ。なんか相手しているのも馬鹿らしい。思わず座り込む。顔が蜘蛛の巣にめり込んでいるヤマメの尻が目の前にある。本当に馬鹿らしい、虚しい脱力感に包まれた。

 

上を見上げる、深呼吸をした。戦って疲れたのか?

 

力が入らない、筋肉痛になりそうだ。

 

目が霞む、土煙が目に入ったのだろう。

 

体が熱い、興奮していたらしい。

 

息が荒い、やっぱり疲れているんだ。

 

何も考えられない、何してたんだ?

 

思わず、倒れ伏す。眠たい、瞼が重い。

 

体が寒い、ちょうど良いぐらいに冷えている。

 

嗚呼、馬鹿らしい。

 

目を閉じて、暗闇に包まれて、気持ちが良い。

 

 

 蜘蛛の巣から顔を引っこ抜くと、地面に倒れ目を閉じている魔理沙が足元にいた。病にかかってくれたらしい。

 

「一時間ぐらいで治るから、安心して良いよ」

 

 届く事のない声を、魔理沙にかける。

 取り敢えず糸で縛って、洞窟の外に放り出しておこう。まあ、死ぬことは無い、と信じたい。これで死んだら、目覚めが悪いし。

 

頭とかが地面につかない様に引きずる。

 

「重っ」

 




Explanation:黒岩ヤマメ
種族:土蜘蛛
二つ名:瘴疫の土蜘蛛
能力:病気(主に感染症)を操る程度の能力
概要:土蜘蛛。すでに地上から消えて久しい種族。彼女は能力のせいで嫌われているが、話してみると意外と気さくで明るい、らしい。話した奴が全員病気で死んでいるので、真偽は不明。死ぬ前の幻覚か、願望かもしれないし。
一言:パルヤマ良くない? 尊くない?

Q:魔理沙が探してたものってなんなん? あとパンデミック起きそうなんですがそれは。
A:そのうちだす。考えてなかったとも言う。大丈夫じゃね?
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