東方ニセモノ異変   作:そこけせ

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展開は思いついても内容が思いつかない

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こいつは何を言っているんだ

───思わず漏れ出た心の声




秘密兵器の話

「罪状は」

「どっちが本物かわからないから取り敢えず拘束、って感じね」

「裁判開始は」

「取り調べのすぐ後」

「取り調べはいつ終わる」

「さぁ? 正直に答えれば、二日ってとこかしらね」

「裁判が終わるのはいつ」

「あそこは長いからねぇ。杓子定規の堅物だらけ、マニュアル通りに進めるのなら、少なめに見積もっても二、三ヶ月、長いと一年。どう考えたって間に合わないわねw」

 

 こちらが必死で頭を悩ませているのを、まるで喜劇でも見るかの様に笑いながら、質問に答える紫。

 

 安全圏から眺める分には、確かに多くの問題に押しつぶされる私の姿は、宛ら喜劇の様に映るだろう。けれどもそれは、緞帳で分けられた観客だからこそ思える感情であり、劇の中の演者たる私にとっては、対処すべき現実の課題が無理難題である事を、さながら悲劇の女王の如く嘆いてる暇はない。

 

 嗚呼、演者であるならばどれだけ良かった事か。たとえどんなに酷い脚本であろうと、現実よりはマシである。立ち向かわなくて良いのだから。

 ただ、私は実際の演者ではない。しかし私には、目の前の(観客)を笑わせる義務など存在せず、ましてや劇中に巻き込んでは行けない道理も無い。ならば観客席に仕事を投げ込んでしまえば、目の前の課題はみるみるうちに減っていくはずである。それこそ喜劇じみているが。

 

「貴方ならどうにか出来るでしょう」

「何故そうする必要があるというの?」

「幻想郷が滅んでも良いの?」

「まあ、そうね。そうなったらそうなったで悲しむだけだわ。そもそも幻想郷に情なんてないし」

「幻想郷の賢者にあるまじき台詞ね」

「賢者だからこそ言えるのよ」

「…まだ偽物の方がマシね」

「偽物が何をほざくか」

「この世界に生きているだけ、貴方よりマシよ」

「私のお陰で"生きている"というのに」

「貴方の所為で"生き続けている"のよ」

 

 嗚呼、そうだった。

 此奴は、ただ舞台だけを整えて後はヒントを投げ入れるだけの脚本家だ。どんな危険分子だろうが笑って受け入れ、劇が終われば表面的な悲しみを顔に浮かべ、笑いながら新しい劇の舞台を整える。こんな醜悪な妖怪なんて他にいない。

 

「ふふふ、本当に口だけは達者ね。そんな事よりも、貴方はどうやって今の危機を切り抜けるのかしら。楽しみで楽しみでしょうがないわぁ」

「何も思っていない癖に、楽しみだなんて。馬鹿にしてる様にしか思えないわ」

「実際そうだもの。物語を楽しむコツは登場人物全員を小馬鹿にする事よ」

 

 こんな奴の言葉なんて聞くだけ時間の無駄でしか無い。まだ足掻く時間はある。戦力の確認が先決だ。

 

「巫女の場所は」

「無視は酷いじゃない」

 

 そう口を尖らせるが、驚くほど似合っていない。見た目的にはこれ以上無い程に、あっているが、内から出る醜悪さの所為で年増が子供ぶっている様にしか見えない。

 まぁ、そんな顔をしているが、しっかりと言われた事は為す。かなり煩い道具ぐらいに思ったほうが良いのかもしれない。

 

「今は、地獄の入り口ね、あら? 面白い事になってるじゃ無い。貴方も見たら?」

「それは今の状況を解決できるの?」

「ええ、そうね。都合が良いにも程があるぐらい、御誂え向きな秘密兵器ね」

 

 

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 同時刻

 魔法の森、と言って良いものか

 地底へと繋がる洞窟の中、蜘蛛の巣が張り巡らされたその場所で、黒谷ヤマメが侵入者を外に出そうと奮闘していた。

 

「重っ、いっ、うー、らっ!」

 

 糸でぐるぐる巻きにした侵入者(魔理沙)を、どうにかして動かそうとするが、とても軽そうな糸団子は、最早地面と同化したのではと思う程、指の一本分も動かない。これならそこらの鍾乳石を引っ張った方がマシとほんの少し、いやかなり本気で考えた。

 

「っはぁ…、はぁ…、何なんだよ此奴。地面でも引っ張ってるのかと思ったよ」

 

 そんなこんなで一時間、そろそろ目を覚ます頃だ。

 

「はぁ〜、どうしよう、ほんと…」

 

 溜め息を吐き、地べたに座り込む。これ放っておいて良くない? 外出す意味なくない? 良し、放っておこう。ゴタゴタが片付いたら解放しよう。

 そう決意した時、

 

「何してんの」

「誰だ!」

 

 声のした方へ向き直る。そこは地獄に繋がってるはず、そして地獄の住人は今出てこない。お前は誰だ!

 

「あん? また叩き潰されたいの?」

「げっ、お前は博麗の巫女!」

「そんなもん、見てわかるでしょ」

「積年の恨み、今晴さでおくべきか!」

 

 そう言って飛びかかる。今ならいける! 奴を倒せる! 此奴を倒せば私は最強だー!

 

「話聞いてんの」

「ぎゃぁぁぁあぁぁああぁ!!!」

 

 その決死の一撃は、お祓い棒の一振りで顔を殴り飛ばされる事によって、失敗した。

 勢い良く洞窟の壁へとぶつかる。

 

「む、無念…、ぐはっ」

 

 その言葉を最後に、私は意識を手放した。

 

 

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「…ろ、…きろ、起きろ、さっさと起きろ」

「なんだよ、痛いなあ」

 

 私の目覚めは、硬い地面に寝ころばされ、蜘蛛の巣にぐるぐる巻きにされ、さらに腹を蹴られるという最悪の三重奏で、勿論良い目覚めとは言えなかった。

 

 そんな人生で最悪の目覚め、その堂々の一位に君臨した目覚めを提供したのは、ヤマメと誰だ?

 

 ぼやける視界から脳が必死に情報を掻き集め、どうにか紅白のシルエットを確認して、

 

「何だ、お前か」

「私で悪かったわね」

「いや、ちょうどよかった、蜘蛛の巣千切れる奴なんてそういないからな」

「自分で千切れないの?」

「今は体が動かせないから、無理だぜ」

「はあ…」

 

 大きくため息を吐いて、私を拘束していた蜘蛛の糸を引き千切る。

 渋々やっているんだという雰囲気が、霊夢の背後から垂れ流されていて、本当に面白い。

 

「で、こんなところで何してるの」

「地震が起きただろ? それが妖怪の山が噴火する前の地震に似てたんだ。だから噴火を止めようと地底目掛けて飛んでいたら、蜘蛛の巣に引っかかっただけだよ」

「策も無しに?」

「策はある」

「行き当たりばったり?」

「違う」

「じゃあ何よ、誰に聞いたの?」

「自分で考えたんだ」

 

 そう言って地面に刺していた"秘密兵器"を引き抜く。途端、大地を引き裂くような揺れと、耳を劈く轟音が洞窟内に響き渡る。それは洞窟内に反響して、私達の鼓膜を突き破らんとし、肌をびりびりと震わせた。

 

「ちょっとあんた、何したの!」

「要石抜いただけだよ!」

「要石ぃ!?」

 

 未だ響き渡る轟音に負けないように、大声で話し合う。聞こえづらい会話からでも、不審そうな雰囲気が伝わってくる。

 

「何であんたが使えるのよ!」

「レプリカだからだよ!」

「レプリカって何よ! どこで拾ってきたのよそんなもん!」

「自分で創ったんだよ!」

 

 ちょうどその時、轟音が鳴り止み、私の大声を聞いて少しよろめく霊夢。

 犬のように頭を振り、私を睨むような鋭い眼光で威嚇してくる。

 

「創ったぁ? 何をどう考えたらそれを創ろうって発想になるのよ。て言うかどうやって創ったって言うの?」

「そのー、天子とお前が戦ってた時に、飛んできた要石のかけらを分析して、魔法で少々」

「で? それが何で噴火を止めることにつながる訳?」

「ん? 噴火の前には必ず地震が起きるんだろう? だったら地震を鎮めれば、噴火は起きないはずだ」

「あのねぇ、噴火が起きるのは地底の奴らが戦ってるからよ。地震は地底の奴らが戦っている時の反動よ」

「だったらそいつらのこと倒せば噴火しないってことか? じゃあお前蹴散らしてこいよ」

「今やってたところよ、誰かさんのせいで止まってるけどね」

 

 ネチネチ嫌味を言ってくる、本当に短気だな。

 そんな短気な奴の訓練になればと、言い返そうとした時、

 

「まあまあ、落ち着きなさい。怒ったところで何も解決しないわよ」

「紫」

 

 スキマが現れ、そこから紫と、

 

「それは今使える?」

 

 覚り妖怪が現れた。

 




Explanation:要石
概要:地震を鎮めるための石。鎮めるとは言うが、本質は押さえ込んでいるだけなので、抜けばそれまで押さえつけていた地震が一気に解放される。
比那名居家のみが扱うことができ、他の者には触れることもできない。はずなのだが…

これ以上長くするとあと十日かかるので此処までです。すみません。
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