「その国にはな……いいか、その国には、君を見て怖がる奴なんて一人もいない」
馬鹿な男が夢を語る。ただそれだけのはずなのにそれは温かく、懐かしかった。
「マスター、起きてください」
フローレンスが俺を起こしに来てくれたようだ。
「おはよ」
「おはようございます、マスター。良き夢見だったようで」
「まぁね。」
出来れば起こさないでほしかった、とは言わない。少なくとも俺にとってはあの旅路は憧れで、永久に届かぬ場所だからだ。
「おはよ。みんな」
2階から降りて来ると、みんなは朝食を摂っていた。
「カナンくん。おはよう」
卑弥呼が挨拶を返してきた。相変わらずの大盛りご飯ね
「そうそう、カナンくんには伝えなきゃいけないことがあるんだった」
そう言って卑弥呼は予言を告げる。
「日の本より最も近き大陸にて囚われたる少女を助けよ。って」
卑弥呼はこんな感じでたまに予言を告げてくる。信用はできるが基本厄介ごとなんだよな。
「大亜で誘拐事件でもあったのか?」
そう問いかけると今度はレオナルドが答えてくれる。
「なんでも、四葉家のご令嬢が囚われてるんだとか」
「信頼できんのか?その情報」
「晴明が式神を使って集めた情報だから間違い無いと思うよ」
晴明の式神ならば下手にハッキングするより余程信頼できる。場所はと問いかけると晴明が答えてくれた。
「大亜の研究所に囚われているようだね」
「大亜の?四葉家はどうなってる?」
「装備を整え次第即座にカチコミに行こうって感じだね。多分今夜には行くと思うよ」
「了解。なら、それで警備がそっちの対処にリソース割いてる間に侵入しようか」
「行こうか」
四葉家のカチコミによって警備の人手がほとんど防衛に回っている。侵入するならいまだ。
研究所の見取り図は半蔵と佐助によって作成されている。
すぐに研究室へと着けた。途中邪魔な警備と研究員を5人ほど殴り飛ばしたが、それもまたご愛嬌ということで。
「おーい、」
適当にさっきあった奴の声を真似る。すると面白いようにドアを開けてくれる。
「どうs」
腹に掌底を打ち込み、気絶させる。
「お前、何者だ!」
研究員がそう怒鳴るがのらりくらりとかわす。
「名乗るほどのものじゃございやせんよ」
ガンガンセイバー・ガンモードを的確に撃ち込み、研究員だけを吹き飛ばす。
少女を実験台から解放し、話しかける。
「怪我はないか?」
「大丈夫…です」
「それはよかった。ここは危ない、着いてきてくれ」
「はい。」
実験室から出ると四葉家の集団と遭遇した。連中はデバイスを俺はガンモードを構える。
一触即発、といった様相だが少女がそれを制止する
「お父様、待ってください。この方は恩人です」
お父様、と呼ばれた男が重々しく口を開く。
「娘を…解放しろ」
「別に俺は誘拐犯じゃないんだがね」
そう言って少女を彼らへと明け渡す
「本当にありがとうございました」
「ただの気まぐれだからな。良いってことよ」
そう言って去ろうとするが、少女は引き止めてくる。
「待ってください。最後に名前だけでも」
「カナン。ただのカナンだ。」
そう言いのこし、その場から姿を消す。
「さてと、どうしようかね」
「アフリカを統一するなんてどうだ?相棒!」
「普通に出来そうなんだよな」
ノッブ、サルと家康、ボナパルトにシーザー。ここまでいればどう考えても大陸一つ制圧するくらい余裕だろう。
とはいえ普通にやりたくない。シンプルに面倒臭いし
「ならば、まだ鍛錬を積まねばの」
「そうですね」
武蔵の言葉にそう答える。
彼らとの関係は多岐にわたる。師匠、主人、弟、相棒、協力者などだ。
彼ら一人一人との付き合い方があり、距離感がある。そういうものだ。