魔法科高校の魔術師達   作:兼永一真

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もう一人の追憶編:フェーズ3-2

そこからの動きはスムーズだった。残り時間は18時間。

それまでこれ以上悪いことが起きるはずがない、そう全員が考えて多少のポジティブシンキングで行動している。

「19階、制圧完了」

一応、嬉しい誤算もあった。トレードセンター内は悪魔が多いってことだ。

スターズが最も犠牲になっている現状、対人戦が多いと戦力が不足していただろうが悪魔相手であれば戦力は足りる。

 

「休息をとろう」

「…必要?」

「20階からは90階はコア構造でな、導線が中央に集中してんだ。しかもその周囲が吹き抜け」

「上からの攻撃が可能と、」

「そういうことだ。防衛側に有利なうえに爆発物でも投げ込まれたら休んでる時間はない。だから今のうちに済ませとけ」

しばしの休息の後、20階へと突入する。

 

黒い煙の集合体みたいな悪魔。今までの階と同じだな

「一旦は今まで通りに。ただし中央の吹き抜けには近づくな」

配置も今まで通りにアイマンの部隊と俺達が近接戦を仕掛け、スターズは後方支援。

そうして、20階を制圧しきった時だった。

「さっきのか」

圧縮された空気の球。それが吹き抜けから5個投下される。

爆発を障壁を張って無効化し、上を千里眼で確認する。

「90階か。遠いな」

「はやく上に上がらないと!」

「階段にしろ、エレベーターにしろ上がってる途中に爆破されりゃ全部終わりだ」

「なら外からスターズのヘリを」

「外の惨劇を忘れたか。航空戦力を使用するのならあの風使いへの対処が先だろう」

リリス、俺、シリウス、カン・サバルと議論を重ねる。

「そいつは循環論法だ。上に行くまでの間に爆破されりゃ全てがパーだ。だが外からの接近はあいつを殺さなきゃなんねぇ。奴の気を引いて俺たちの盾になる必要がある」

「それならば我々に任せてくれ。対人戦は専門で、ここで航空戦力も得ている」

カノープスがそう言う。もっとも彼も行く気らしいが

「俺もいこう。倒壊対策にビル全体に強化を付与したい。指揮は天草に任せる」

「任せてください。3万人の総大将だったこともあるので」

「…負けた戦の話は辞めとけ」

 

クライミング中に魔術を成立させる、結構むずいな。正確に言えばフライトなのだが半透明の空気の球に触れないようにしながら飛ばなきゃならんので難易度は変わらん。

「”ーー告げる(カイガン)”」

アメリカで一番デカいビルが対象、しかもビーコンもマーキングもないときた。本気の魔術行使を行う必要がある。

「”構造解析完了、強化・陀羅尼天の呪印を付与、再度の構造解析、強化許容値・強化完了”」

これでビルは大丈夫だ。あとは90階に突入するだけだ。

「中には戦闘員がいる。突入と同時に掃射で制圧するぞ」

「「「「了解」」」」

俺を含めた5人が強化ガラスを破壊し、ダイナミックエントリー。掃射で大半の戦闘員を制圧する

「カノープスは中央の導線の防衛、アルゴル、ミルファク、フェクダは端の陣地を攻略しろ」

そう言いながら右から放たれた戦術級の魔力投射を相殺する。

「…俺が行くべきだな」

『一発闘魂!』

闘魂ブースト眼魂を起動し、ドライバーにセットする。

『アーイ!』

『バッチリミナー!バッチリミナー!』

ベルトから出現した紅蓮のパーカーゴーストが再度放たれた魔法を弾く。

「変身!」

ハンドルを押し込み、パーカーゴーストを羽織る。

『闘魂!カイガン!ブースト!』

『俺がブースト!奮い立つゴースト!』

『ゴー!ファイ!ゴー!ファイ!ゴー!ファイ!』

魔法師のもとへと駆け出し、相手の魔法師は接近してことを認識した瞬間に対物障壁を展開する。

「遅い」

展開しきるその前にサングラスラッシャー・ソードモードで袈裟懸けにする。

見渡すと制圧が完了していたようだと思った瞬間、半透明の空気を圧縮した球が急に目の前に現れる。

即座に切り払うがもう1つあったらしい。フェクダが壁まで吹き飛ばされている。

「中央の導線だけは守り抜け。ただし固まるな」

直後、複数の爆発とともに天井と床が二割ほど崩落し、そこから悪魔どもがうじゃうじゃと湧き出す。

「クソが。悪魔は俺がやる。お前らは下の階に居る風使いをやれ」

ガンガンセイバーを取り出し、サングラスラッシャーとの二刀流で悪魔どもを切り伏せていく。

断続的な爆発音と魔力放出を感じる。なるはやで片付けないと

『ダイカイガン!メガオメガサンシャイン!』

『ダイカイガン!オメガブレイク!』

二刀から飛ばした斬撃で悪魔どもを蹴散らす。

「…!マジかよ」

周囲に十数個の圧縮空気があらわれる。正面のものはすべて切り払うが残ったモノの爆発でビルの外へと吹き飛ばされる。

 

落ちている最中、窓から風使いと思しき女が立っているのが見えた。

「終わらせる!」

魔術を使い空中で加速。強化ガラスを突き破りながら女へと突きを放つ。

寸前で逆風の防壁に防がれ、床に降り立つ。

「派手にやってくれたじゃないか。化け物」

「私は人だ。貴様らのような出来損ないではない」

その言葉に周囲を見渡すとカノープス達が倒れている。

それを()()()()俺は微笑する。

「…何が可笑しい」

「出来損ないとやらに足元をすくわれるみたいだぞ、お前」

直後、クライメットの出力を最大にしたカノープスがタックルを仕掛ける。同時に()()()()()()()()を振るう。多少押したが風の防壁が俺たちの攻撃を防ぐ。

「無駄だ。お前らこそ足元をすくわれ続けてきたというのに、」

「そんなに足元気にすんなら今いる場所くらい確認するんだったな」

風使いが背を向けている中央コアに天草が防音魔術を施したエレベーターが到着する。ドアが開くと同時に風使いが背を向けた壁を突き破りながら分子ディバイダーが放たれ、特化型CADを付けた右腕を切断する。

風使いは咄嗟に右腕を拾い、風によって俺たちから距離をとる。だが

「言ったろ?居場所の確認くらいしろってな」

中央コアをぐるりと回ったリリスが干将・莫邪によった斬撃を放つ。

「騎兵隊のお出ましよ!」

リリスが腹部を切り裂くと同時にミルファクのダンシング・ブレイズによって操ったダガーが背に、サングラスラッシャー・ガンモードの銃撃が頭部へと命中する。

風使いは絶命し、その場にボトリと死体が倒れる。

「制圧完了。このまま最上部に向かうぞ」




千草の詠唱が変わってるのは使ってる技術が違うからです。ただ本気で魔術行使を行う場合、”ーーー告げる(カイガン)”を先頭につけます。
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