講堂に入ると、すでに半分以上埋まっていた。面白いことに一科は前に、二科は後ろにと分かれている。誰に命じられたわけでもないのにだ
差別発言はいろいろ聞こえたが、結局一科生だけでなく二科生の多くもそれを受け入れているのだろう。
「あの、お隣は空いてますか?」
女生徒から声を掛けられる。別に誰かを待っているわけじゃないし、肯定する。
「別に大丈夫だよ」
「あ、ありがとうございます」
そう言って彼女とその後ろにいた赤髮の女生徒が隣の空席に座る
「あの…私、柴田美月と言います。よろしくお願いします」
「司波達也です。こちらこそよろしく」
「神無木千草、アラブ同盟からの留学生だ。よろしくたのむ」
席に座って少しすると美月が自己紹介をしてきた。達也の敬語混じりの話し方が結構面白いなと思っていると、赤髪の女生徒が身を乗り出してきた。
「アタシは千葉エリカ。よろしくね司波君、神無木君」
「よろしくな」
「…」
横を見ると美月が俺の事、というより肩に乗っかってるミニフローレンスを興味深そうに見てきていた。それを目ざとく見つけたエリカが美月をからかう。
「何々~?もしかして神無木君に一目惚れ?」
「えっ!?いやいや、そういうのじゃなくて!」
「悪いが俺にはもう彼女がいてな…」
「ああ、違くて…!」
普通に断ってみると、ただでさえ慌てて訂正していた美月が更に慌ててしまう。仕方がないので、一旦美月を落ち着かせる。
「それで、何がどうした?」
「いえ、その…神無木君の肩に乗っている人形にもオーラが見えて」
「そういえば、なんなの?それ」
エリカも指摘してくる。別に言ってもいいか、どうせこれからの学校生活で多用するし
「俺の式神だよ。かわいいだろ?」
肩に乗っているミニフローレンスを撫でながら話し始める。
「式神は諜報、戦闘、監視と何でもできる万能な魔術だからな。覚えたかったら言ってくれ、一から十まで全部教えてやる」
そうこう話している内に、入学式開始のアナウンスが入った。
そしてあっという間に新入生答辞の時間だ。
「ほら、達也。妹の晴れ舞台だぞ」
「え、新入生総代の司波さんって、司波君の妹なの?双子?」
「さぁ?知らん」
話し合っている間に深雪が壇上に上がる。その演説内容は、かなり際どいフレーズがたくさん含まれていた。どれだけ兄を評価してほしいんだよと、そう思った。
式も終わり、IDカードを受け取る。ものの見事に全員1-Eだ
「二人はホームルーム覗いていくの?」
「いや、連れと待ち合わせてる。達也は深雪とだろ?」
「ああ。多分そろそろ…」
「お兄様、お待たせしました」
「大丈夫だ。待ってない」
俺の姿を認識するや否や深雪も達也と同じように目を背ける。
「3年ぶりだな。元気だったか?」
「…大丈夫ですよ」
「そりゃあ、良かった」
そう言って、リリスを探すために周囲を見渡してびっくりした。さっきの生徒会長の隣にいる男生徒、たしか服部副会長だったか。その副会長がすっごい形相でこちらを睨んでいる。普通に嫌な先輩だな。と思っていると生徒会長とリリスが話していた。が、こっちを認識するがはやいか話を打ち切り、こっちに向かってくる。
「生徒会の方達のお話はもういいのか?」
「大丈夫ですよ。今日はご挨拶させていただいただけですから」
「会長!?」
「深雪さん、リリスさん、詳しいお話は、また日を改めて。それと、神無木君には聞きたいことがあるんだけど」
「…?」
本当に何かやらかしたかと自分を疑うが、何もないだろうと判断し、適当に返す。
「会長程の美人さんに誘われるなら何時でもバッチコイって感じですよ」
痛い、痛い。ミニフローレンス、頬つねんないで
「あら、お上手ね」
なんか服部副会長の視線が強くなったな。どうでもいいけど
「プロフィールの専攻魔法についてなんだけど」
「なんて書きましたっけ?」
できるのを適当に書いてたような気がするが全部は思い出せん。
「読み上げても良いかしら」
「どうぞ、どうぞ」
「じゃあ、読み上げるわね。”鬼道、呪術、洗礼、コーラン、陰陽術、遁甲術、魔術、錬金術、風水、道教、方術、仙術を含む古式魔法全般”だそうよ」
「あぁ、そんなん書いたな」
確か暇だったから結構適当に書いたんだったか
「…これ、全部使えるの?」
「使えますよ。式神だせますし、占いもできますし、結界も貼れますよ」
そう言い切る。啞然としている全員を尻目に俺とリリスは帰路につく