「日ノ本より最も大き海を渡った先で悪夢が再来する」
最も大きな海、つまりは太平洋を渡った先であるアメリカ大陸。特にUSNAで何かが起こると踏んでここへときたわけだ。
俺たちは急いで国連本部へと向かう。
「こんな情勢でテロなんてされてみろ。一発で世界大戦だ」
「ですから止めねばなりません」
ステーキハウスにいた時、清明から念話の緊急回線がつながれた。
『どうした?』
『緊急事態だ。大陸横断便がハイジャックされた。』
『…!進路は?』
『ニューヨークだ。標的は恐らく、』
『国連本部ビル』
『そうだろうね。』
『俺たちが迎撃に向かう。信玄も呼んでくれ』
『別にいいけど彼、必要かい?』
『こんなテロを計画する奴が迎撃後の行動を考えていないとは思えん。いざという時の人員が必要になる』
『だから彼ね。了解した』
私たちは国連本部ビルへと向かっている。
「信玄さん?私たち、なんで国連に向かってるの?」
「詳しいことは聞かされてないが、ハイジャックされた飛行機がそこに突っ込もうとしてるらしい」
「信玄さんが止めるんですか?」
「止めるだけならアイツ一人でも出来る。だがその後に起こることには後手に回らざるを得ない。だから俺が呼ばれた。」
消耗しない戦は武田の得意とするところだろうと。そういわれたらしい。
そう語る信玄さんは嬉しそうだった。でも煙草は辞めてほしい。こんなモノより酷い臭いなんていくらでも嗅いできたけど、それでもあまりいい気分ではない。
「…悪かったな」
そんな雰囲気を察したのか、信玄さんは煙草を消してくれる。
「ありがとうございます。」
「気にするな」
そうして赤い車はスピード違反ギリギリの速度で道路を駆けていく
『清明。飛行機は今、どうなってる?』
『あと30分後には国連本部ビルにぶつかるんじゃない?』
『あと10分もあれば本部ビルの前に着く。そこで迎撃態勢をとる』
20分あれば反応型呪術迎撃システムを設置できる。飛行機、ましてや旅客機など遅るるに足らん。
『となると問題はその後だね』
『そうだな。政府高官と魔法協会幹部の避難は?』
『むやみに出たら相手の思うつぼだとさ。でも迎撃システム設置の許可は出た』
『ならいいか』
そうして、俺たちの戦いが始まった
「私、何かやることある?」
そう聞くと千草は少し困ったような顔をする。
「あぁ…そうだな…じゃ、マーキングやってくれ」
そうして白くて細いロープと木でできた三脚が渡された。
「これは?」
「聖典、仏教系呪術、魔力伝達用の魔術式を縄に付与して三つ編みにしてる。こうすりゃ魔力伝達の抵抗を少なくしながら対粛清結界用のマーキングができる。」
「じゃあ、この三脚は?」
「電力置換型の魔力変換用トーテムだ。そいつは四隅に設置しろ。借りた非常用発電機二台にパスをつなげりゃ長時間の維持ができる。」
「イースト42ndストリームからイースト48ndストリートあたりまでこれで囲ってくれ。詳しくはこいつに聞け」
そこには目が書かれた変な形の紙が浮いていた。
「何なのこれ」
「式神。まぁこいつに着いていきな。困った時はこいつ越しに俺と通信できるから」
「分かったわ」
そう言ってロープを張りながら走りだす。
『最悪の場合を考えてマンハッタンからの避難ルートを作成したい』
『
レオナルドがそう答える。確かにあの時も大渋滞が起きて結局徒歩での避難が多かった。
『そう考えるなら北上ルート、橋でクイーンズ、トンネルでニュージャージー、橋でブルックリン方面とかか』
『私たちが出張っていいなら水路も使えるね』
『それは確かにありだな』
そうなればより効率的に避難誘導を行える。あいつらの船も最近強化が終わったところだし、その方向も検討すべきだろう。
『全員に待機命令を。ここではいざがあるかもしれない』
そう言っていると、リリスが戻ってくる。
「囲い切ったわよ」
「ナイスだ」
トーテムのパスを非常用発電機二台へと接続。魔力をマーキング全域へと回し、流転させる。
”
マーキングと寸分違わぬ位置から青白く光る結界が展開される。
続いて反応型呪術迎撃システムを展開する。
”ケルビム、摩利支天。我に仇なす全てを滅ぼせ。ー呪術迎撃システム展開ー”
今度は紫の風が結界を覆う。
「一旦はこれで良し。後は相手の出方次第だ」