こちらかぶき町特別警察真選組ファイヤー!   作:花空想保持老

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第四訓 遠足はバスの中が一番楽しい

1

五歳児がハンドルを握り、時速50キロを下回れば爆発するという、あまりに物騒な代物。そんな「爆弾付きバス」は、騒がしいかぶき町を通り抜け、いつしか人通りの途絶えた郊外の道をひた走っていた。

 

窓の外には、見渡す限りの田園風景がのどかに広がっている。

 

「誰も人がいないね。」

 

運転席でハンドルを預かるボーちゃんがぽつりと呟くと、

 

「もー!ボーちゃんばかりずるいゾ!オラも運転したい!」

 

隣でギアチェンジを担当していたしんのすけが、我慢ならないといった様子で不満を漏らした。

 

「そうだね、交代交代で運転しよう。みんなじゃんけんして。」

 

「分かった!」

 

「じゃんけーんポイ!」

 

「あいこでしょ!」

 

「あいこでしょ!」

 

狭い車内に無邪気な掛け声が響き渡り、公平な勝負の結果、運転手が交代することとなった。

 

2

「……おかしいぞ。」

 

過激派攘夷浪士団体「愚螺丹生党(ぐらにゅうとう)」の首領、檻醐闘哉(おりごとうや)は、本拠地の重厚な椅子に深く腰掛け、忌々しげに呟いた。

 

計画が正しければ、今頃は葛飾署が木っ端微塵になり、日本中が恐怖に包まれているはずの時間だ。だが、目の前のテレビ画面がそのニュースを報じる気配は一向にない。

 

「おい!お前!」

 

檻醐は苛立ちをぶつけるように、近くを通りかかった部下を鋭い声で呼び止めた。

 

「はっ!」

 

「葛飾署に向かったバスにはGPSがつけられていたな。」

 

「はっ!位置はパソコンで確認できるようになっております!」

 

「今すぐバスの位置を調べろ!あと、佐藤に連絡だ!どうなっているか確認せい!」

 

「はっ!承知しました!」

 

命を受けた部下は、主人の殺気立った様子に押されるように、足早に部屋を立ち去った。

 

(嫌な予感がする……)

 

檻醐は心の中で毒づき、落ち着かない様子で何度も足を組み直した。

 

「檻醐様!大変でございます!」

 

重苦しい沈黙を破り、先ほどの部下が血相を変えて飛び込んできた。

 

「どうした!」

 

「はい!こちらをごらんください!」

 

部下が差し出したノートパソコンの画面には、現在地の地図が表示されていた。その中心で、一つの赤い点が不気味に、そして猛烈な勢いで点滅しながら移動している。

 

「この赤く点滅している点をご覧ください!」

 

「これは何だ?」

 

「これがGPSの位置になります。」

 

「つまりバスの位置か」

 

「ええそうです!このバスが道なりに10キロ進むと、この愚螺丹生党本拠地に到着してしまいます!」

 

「何!それはつまり……」

 

「ええ!本拠地で大爆発です!」

 

「まずい!ただちに全浪士に命令だ!バスを止めろ!何としてでも食い止めるんだ!」

 

檻醐の悲鳴に近い怒号が響き渡る。すぐさま、本拠地からは武装した浪士たちが車で隊をなし、自らの滅亡を阻止すべく一斉に飛び出していった。

 

3

「ひいいいい僕怖いよ!」

 

あろうことか、運転手交代のじゃんけんに勝ってしまったのは、カスカベ防衛隊一の臆病者、マサオ君だった。彼はガタガタと全身を震わせながら、必死にハンドルにしがみついている。

 

「他の車はあまり走っていないから大丈夫。」

 

「マサオ君、こんな時は楽しまなきゃダメだゾ!」

 

「そんなこと言ったって……」

 

マサオ君が今にも泣き出しそうな声を上げた、その時だった。フロントガラスの向こう、前方からこちらへ向かってくる車の集団が視界に飛び込んできた。

 

「ひいいい!なんかいっぱい来たあああ!」

 

「マサオ君!右折して!右の道に入ろう!」

 

風間君の切迫した指示に従い、マサオ君は必死にハンドルを右へ切った。バスはタイヤを鳴らして脇道へ逃げ込むが、背後の浪士たちも執拗に食らいついてくる。

 

「ひいいいい!追いかけてきたあああ!」

 

見る間に車間距離が詰まり、ついに敵の先頭車両がバスの横に並んだ。バスを挟み込むように、左右から車がひたひたと詰め寄ってくる。

 

「ひいいいい!来たあああ!」

 

並走する車の窓から刀を持った浪士が身を乗り出し、バスのガラスを破壊し始めた。

 

「オラ!ガキども!観念しな!」

 

「もうやだよ……」

 

恐怖が限界を超えたマサオ君は、半泣きで力任せにハンドルを切った。巨体を持つバスの側面が、威嚇していた車に「こつん」と接触する。

 

「お、わああああ!」

 

弾き飛ばされた浪士は、車ごと勢いよく田んぼの中へ転落していった。

 

「え」

 

マサオ君はぴたりと泣き止み、今度は反対側の窓へ目を向けた。そこにもう一台、並走する車がいる。彼はちょこんと、反対側にもハンドルを切ってぶつけた。その車も、先ほどと同様に田んぼの泥の中へと消えていった。

 

それを見届けたマサオ君は、しばし無表情になった。そして……

 

「ぶっ飛ばすぜベイベ!!」

 

その瞳に狂気が宿った。マサオ君の、もう一つのスイッチが入ってしまった。

 

4

バスは先ほどまでとは比較にならないほどの凄まじい速度で、アスファルトを突き進んでいく。道はいつしか、見通しの良い河川敷の道路へと変わっていた。

 

「あらよっと」

 

マサオ君は猛スピードを維持したまま、河川敷の土手を斜めに滑り下りた。急勾配の機動に巻き込まれ、追っ手の二台が成す術なく川へと沈んでいく。

 

「マ、マサオ君って……ハンドルを握ると人が変わるの……」

 

ギアチェンジ担当の風間君は、別人のようなマサオ君の横顔に怯えたように言った。

 

「そ……そうね……怖いわ……」

 

ネネちゃんもドン引きした様子で呟く。

 

「ボ……でもこのスピードなら振り切れるかも……」

 

ボーちゃんが冷静に分析したその瞬間、バスの眼前に絶望的な光景が広がった。橋が崩落しており、道が途切れている。このまま進めば、バスは川へ真っ逆さまだ。

 

「しんちゃん!アクセル全開だ!」

 

マサオ君が、かつてないほど野太い声で命じた。

 

「ほい!」

 

しんのすけは、床で気絶したままアクセルを踏み続けている男の足を、さらに上から力一杯踏み込んだ。

 

バスは猛獣のような唸りを上げて風を切り、崩落した橋の断崖へと突進する。

 

「アイ!今行くぜ!」

 

「ぎゃあああああああ!」

 

マサオ君のキザなセリフと車内の悲鳴が重なった瞬間、バスの巨体が宙を舞った。

 

「落ちる~~~!」

 

風間君が泣き叫ぶ。

 

その時――。

 

重力に抗うような轟音を響かせ、バスは遂に陸を離れ、空を翔けた。

 

「おおお~~~!」

 

しんのすけののん気な感嘆も同時に空を舞う。

 

「バ、バスが宙を飛んだ~~!!」

 

風間君がその悲鳴を上げきると同時に、バスは見事に対岸へと着地した。

 

凄まじい衝撃に車体が揺れたが、バスは何事もなかったかのように、再び猛スピードで進走を再開した。

 

5

「はあ、はあ……死ぬかと思ったわ……」

 

九死に一生を得たネネちゃんが、肩で息をしながら呟いた。

 

「いや、まだ終わってねえ!前を見な!」

 

マサオ君が、豹変した人格のまま叫ぶ。

 

「え?」

 

ネネちゃんが視線をフロントガラスへ戻すと、そこには先ほどの連隊が再び待ち構えていた。

 

「な、なんで……」

 

「ボ……おそらく、別の道から来たんだと思う……」

 

「みんな!しっかりつかまってな!」

 

マサオ君が叫ぶや否や、思い切りハンドルを左に切った。バスは轟音とともに華麗なドリフトを決め、猛烈な煙を上げて左折する。

 

「ぎゃあああああ!」

 

車内にはまた悲鳴が響き渡った。

 

6

五歳児の操るバスと、執念深く追う攘夷浪士。命懸けの鬼ごっこは大きな橋の上へと舞台を移した。

 

「へッ!ぶっちぎってやるぜ!」

 

マサオ君が豪語した、その時、

 

「おいガキども!」

 

橋の欄干の上から、空気を切り裂くような男の野太い声が届いた。

 

「え!?」

 

風間君が驚いて声のする方を振り向くと、そこには耳を疑う光景があった。一人の凶悪な顔をした男が、幅の狭い欄干の上を、あろうことか白バイで爆走していたのだ。その男の背後には刀を持ち、引き攣った顔の男が相乗りしている。

 

「おらああああ!」

 

凶顔の男は叫びとともに欄干から飛び降り、見事な着地でバスの横へと並走した。

 

「交機の本田だ!ガキ、いい運転するな!」

 

「ひまわり組のマサオだ!そっちこそ大した運転だな!」

 

白バイ隊員と幼稚園児が、走行中の車窓越しに対等な会話を交わす。そんな狂った光景に、白バイの後ろの男が、限界突破した様子で激しいツッコミを入れた。

 

「おいいいいい!あんた何やってんだ!危険運転でしょっぴくぞ!」

 

「土方のダンナ、硬いこと言うなよ非常事態だぜ。」

 

「非常事態だったら橋の欄干の上走っていいなんて法律ねえんだよ!」

 

「そんなこと言ったって、あいつらも無免許運転とスピード違反で逮捕だぜダンナ。」

 

「あっちは当然こってり絞ってやるが、その前にアンタを逮捕してやろうか!!」

 

「じゃあ後ろからくる銀髪のダンナ達もだな。」

 

本田が不敵な笑みを浮かべ、親指で後方を指差した。土方が嫌な予感に顔を歪めて振り返ると、そこには原付に跨る銀髪の侍と、その腰にガニ股で必死にしがみつく、眉毛の繋がった警察官の姿があった。

 

「おいいいいい!何でてめえらがいるんだああああ!」

 

7

事の始まりは、少し前に遡る――。

 

バスを幼稚園児の一団が運転しているという絶望的な一報を受け、葛飾署と真選組の面々は未曾有のパニックに陥っていた。

 

「何でバスを返しに行くんだああ!!いい子達にもほどがあるだろおおお!」

 

「やばい!このままだとどこかで爆発するぞ!!」

 

近藤の叫びに、あの両津ですら焦りの色を隠せない。その時だった。

 

「あの~、こんな時にあれだけど……」

 

パトロール中だった纏が、申し訳なさそうに声をかけてきた。その隣には、死んだ魚のような目をした銀髪の男、引き攣った顔の眼鏡少年、呑気におにぎりを頬張る少女、そして巨大な白い犬が並んでいる。

 

「おお!纏!銀さん達!どうしたんだ?」

 

「勘吉の知り合いか?実は交通違反で連れてきたんだけど……こんな事態だからどうしようかと……」

 

「交通違反?何をしてんだ?」

 

「パトロール中に見かけたんだけどさ、この人たち原付乗りながらそのデカい犬の散歩してたんだ。で、危険だからやらないようにって注意したんだけど……」

 

「おいおい、人聞きの悪いこと言うなよ。俺はこの眉毛つながったおっさんとこの前飲んだ時、このデカい犬を全力疾走させても大丈夫な散歩の方法を聞いたら、俺が原付乗って散歩させたらいいって言われたから言う通りにしたのによ。」

 

「あれ?わし、そんなこと言ったかなあ。」

 

冷や汗を流しながら、見事なすっとぼけを披露する両津。だが、その背後に鬼の影が落ちた。

 

「このバカモーーン!!無責任なことを市民に教えるんじゃない!!」

 

大原部長の雷が落ち、両津の頭に大きなこぶができた。

 

「おめえもだよこの糖分フェチ!普通に考えればダメだって分かることをやるんじゃねえ!しょっぴくぞコラ!!」

 

土方が銀時に噛みつく。

 

「もうしょっぴかれてるよ!!」

 

銀時も負けじと怒鳴り返した。

 

「スピード違反で一発免停だね。そこの銀髪のお兄さん。」

 

纏が調書をめくりながら冷酷な事実を告げる。

 

「全く……銀ちゃんはこれだからダメアルよ。スピード違反なんて社会の害アル。ね、纏姉。おにぎりありがとうアル。」

 

「おお~~どういたしまして。」

 

神楽は纏に頭を撫でられながら、おにぎりを頬張って銀時にダメ出しをした。

 

「元はと言えばおめえが定春散歩させねえからこうなってんだろうが!っていうかおにぎりもらってんじゃねえよ!」

 

「だってお腹空いていたアル。」

 

「私他にも弁当あったから気にすんなよ。」

 

現場がグダグダになりかけたその時、沖田が重い口を開いた。

 

「ってこんな奴らに付き合ってる場合じゃねえですぜ皆さん。バスをどうにかしないと……」

 

「そうだ!何としても子供たちを救出せねばいかん。バスを走行させながら、車内にいる子供たちを救うんだ。」

 

近藤が真面目な顔で腕を組む。

 

「つまり、何らかの乗り物をバスに並走させて、窓から侵入してしんのすけ達を回収。また乗り物に戻ってくればいいんだな?」

 

両津の確認に、土方が頷いた。

 

「ああ、その通りだ。だが窓から侵入するのは俺たちがやるとして、車じゃ道によっては並走できねえ。となるとバイクがいいかもな。」

 

「じゃあうってつけの男がいるぞ。お~い本田はいるか~!」

 

両津が呼びかけると、人混みからひょろりとした白バイ隊員が姿を現した。

 

「はいはい、先輩、何か御用ですか?」

 

「お前に頼みがある。走行中の爆弾バスから子供を助けるんだが、白バイで並走してくれるか。わしらが子供を助け出したら、またすぐ白バイに飛び乗る。」

 

「ええ~~無茶ですよ~~並走はともかく、子供と一緒に飛び乗ってきた先輩をキャッチしてまた走るなんて……サーカスじゃないんですから。」

 

本田が弱々しく断るのを、土方は「やっぱりダメか」といった目で見つめる。だが、両津の手にはヘルメットがあった。

 

「さあさあいいから白バイに乗って。ほら、メットな。」

 

「そんなあ先輩、勘弁してくださいよお。」

 

半泣きの本田を無理やりバイクに跨がせ、ヘルメットを被せたその瞬間。

 

「ふっふっふ……おりゃあああああ!!行くぜ両津のだんなああああああああ!!」

 

本田の表情が、一瞬で修羅に豹変した。

 

「おいいいいい!!!なんだあいつは!どうなってんだああ!」

 

銀時が驚愕して叫ぶ。

 

「本田はバイクに乗ると人が変わるんだ。」

 

「人が変わるとかそんなレベルじゃねえだろ!ほぼ多重人格だぞ!」

 

土方のツッコミを背に、本田は荒々しくエンジンをフカした。

 

「おいおい両津のだんな、急ぐんじゃねえのか。」

 

「おお、そうだな。副長いっしょに行ってくれるか。」

 

「ちょっと待て両津。なんで俺が……」

 

「いいじゃないですか土方さん、上に立つ者は先陣を切って背中で示すんだって言ってたでしょ。今こそ出番ですぜ。」

 

「そうだな副長、さ、行ってくれ。」

 

「ちょっと待て、ちょ、おいいい!」

 

両津と沖田に羽交い締めにされ、土方は本田の白バイの後ろへ無理やり押し込まれた。

 

「ヘリに乗ってる中川によると、バスの現在地はかぶき町を抜けた郊外の地域だ。頼むぞ。」

 

「了解!じゃ行くぜ土方のだんなああああああ!!!」

 

本田はアクセルを全開に回し、白バイの前輪を高く持ち上げ、ウィーリー走行で疾走していった。

 

「おいいいいいやっぱこいつ危ねえってえええ!!!」

 

遠ざかる土方の悲鳴が、空に虚しく響いた。

 

8

「さて、じゃあ救助は副長と本田に任せるとしましょうか。」

 

両津が一段落したといった様子で伸びをするが、背後に大原部長が立っていた。

 

「両津、お前も行け。」

 

「え、何でワシまで……」

 

「バカモン!真選組の副長が行っているんだから、お前が行かないでどうする!」

 

「しかしですね部長、あいにく白バイが全部出払ってるんですよ。」

 

不運にも、葛飾署の白バイはすべてパトロールに出ていた。

 

「それは困った…どうしたもんか。」

 

屯田署長がつぶやくと…

 

「署長さ~ん、一つ提案があるんだが。」

 

銀時がニヤニヤと悪い笑顔を浮かべ屯田署長に詰め寄った。

 

「な、なにかね…」

 

「俺がそれやってやるよ。原付もあるしな。その代わり免停は無かったことにしてもらいたい。」

 

「な…なんだと…」

 

「そんなこと認めるわけにはいかん。」

 

大原部長が怒鳴るが、沖田がひらひらと手を振ってそれを遮る。

 

「いいじゃねえですか。一歩間違えたらあの世行きの危険な仕事だ。それに両さんもいっしょなら、何とかなるでしょ。」

 

「って何勝手なこと言ってんだ総悟!」

 

両津は噛みつくが

 

「署長、沖田どのの言う通り、いざとなれば両津がいるので大丈夫かもしれません。」

 

「そうか…なら今回は特例を認めるか…」

 

屯田署長と大原部長ですらも意見を変えた。

 

「署長と部長まで何言ってるんですか!?」

 

両津の叫びを無視し、銀時は纏の方を向いた。

 

「じゃ、行こうか両さん。それでいいよな、そこの切符切った姉ちゃん。」

 

纏は、手元にある銀時の違反切符と調書をじっと見つめ、それからビリビリに破り捨てた。

 

「……勘吉のこと、よろしくお願いします。」

 

「任せな。」

 

銀時は一瞥を返し、原付に跨がった。

 

「行くぞ両さん。」

 

「……しゃあねえな。」

 

両津もしぶしぶ腰を下ろし、銀時の細い腰をガシッと掴んだ。

 

こうして、世にも奇妙な救出コンビが葛飾署を出撃していった。

 

9

そして物語は現在に戻る。土方・本田の白バイ、銀時・両津の原付が、暴走するバスを左右から挟み込むように並走を始めた。

 

「土方のダンナ!どうするよこっから!」

 

「もう少し横につけろ!俺は窓から車内に侵入しガキどもを救出する!あんたは横につけたまま走ってろ、ガキどもを連れてまた戻る!」

 

土方が風圧の中でテキパキと指示を飛ばす。

 

「了解!!!行くぜだんな!」

 

本田が限界まで白バイを寄せると、土方はシートの上に立ち上がった。刀を抜き放ち、一閃。切り抜かれた窓から、土方は弾丸のように車内へ飛び込んだ。

 

「あ、副長が車内へ入った!わしも行くぞ!どりゃあああ!」

 

続いて両津も、銀時の原付から窓を蹴破って車内へ侵入する。

 

「何でてめえもいるんだ!」

 

「そんなのわしが知りたいわ!」

 

再会するなり言い争う大人二人を余所に、しんのすけが呑気に手を挙げた。

 

「あ、ほっほ~い両さんだ。」

 

「ほっほ~いじゃねえわガキども!てめえら後でしょっぴくからな!」

 

土方が怒鳴り声を上げた、その瞬間だった。

 

「ピ~まもなく目的地へ到着します。運転お疲れさまでした。」

 

非情なカーナビの音声が車内に響く。

 

「あの目の前の建物が奴らの本拠地だ!しんのすけ!着いた後はどうするんだ!?」

 

風間君が真っ青になって絶叫すると、しんのすけは親指を立てた。

 

「あとは野となれ山となれ作戦!」

 

「何にも考えてないじゃないかああああ!!!」

 

風間君は泣き叫びながらしんのすけにつっこんだ。

 

「チッ、ガキどもこっちに来い!出るぞ!」

 

土方が叫ぶと、五人の子供たちが蜘蛛の子を散らすように土方の身体にしがみついた。

 

「っておい!動きづれえ!」

 

一方の両津は、運転席で気絶している男と靴下で鼻を覆われている男、縛られていた運転手をまとめて担いだ。

 

「「脱出だ!」」

 

二人が同時に叫び、車窓から並走するバイクへと身を躍らせた。

 

直後、無人となったバスは、猛烈なスピードのまま愚螺丹生党の本拠地へと正面から激突した。

 

――ドッカーーーーーン!!!!!!!!

 

 

バスに積まれた爆弾が作動し大爆発を引き起こした。

 

続く

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