戦後世界のボーイミーツガール ~青春!探偵!ひとだすけ部!~   作:北極鳥ユキ

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第Ⅲ話「学園クエスト」
Part22 ある日のひとだすけ部


 土曜日の公園。親子などで賑わうその隅っこに正多と史家の姿があった。

 

「ふぅ。こんだけやりゃぁ、成果十分だろう」

 

 史家はワイシャツの袖をめくりながら声を上げる。

 

「俺も結構拾ったよ」

 

 そういって、正多も史家の足元に袋を置いた。

 合わせて、足元にはビニール袋が四つ積み上がっている。これが丸一日かけて行ったごみ拾いの成果だった。

 千崎ミソラの秘密を調査した後、ひとだすけ部が始めた"人助け"は、清掃ボランティアだった。実にありきたりな活動だが、これでも二人が知恵を絞った末に決めた活動だ。誰か悩み事を抱えている依頼人でも来てくると良いのだが、二人の部活は無名に等しいので期待するだけ無駄だった。

 

「おっ、やってますね~!」

 

 二人がベンチで待っていると、ハツラツな声を上げながら伏見が現れた。

 その後ろには、気だるげな表情のシュミットもいる。大人組は、ひとだすけ部の拾ったごみの処理担当。土曜はごみの回収を行っていないので、シュミットの家に廃品収集ドローンを呼ぶのだ。

 

「二人ともがんばったな」

 

 清掃活動の話をしたときは土曜に外出することが嫌だと言っていたシュミットだが、なんだかんだ言って二人を軽く褒めるとゴミ袋を二つ持つ。

 

「これは僕たちが処理しておく。後はゆっくり休むといい」

「おっ、いまのいいですねシュミットさん! 褒めて伸ばすのは大事です。それに、ツンデレはデレの部分が大事ですから、その調子でもっとギャップ萌えをですね……」

「キミは何を言っているんだ?」

 

 シュミットは呆れた様子で、さっさと公園を後にしてしまう。

 

「ちょっと待ってくださいよぉ!」

 

 伏見は慌ててゴミ袋を抱えた。

 

「あぁっ、そうだ。二人とも本当にお疲れ様でした! これからも一緒に頑張って、ダウナー系シュミットさんのデレの部分を出していきましょう! んじゃまた!」

 

 俺らは一体何を期待されてるんだ……と困惑する二人をよそに、伏見はガサガサと両手の袋を揺らしながら駆け足で公園から出ていった。

 

 ***

 

 週が明けて月曜日。史家がふとカレンダーを見ると、今日は二十二日だった。

 気が付けば四月も後半を迎えていた。

 時の進みはこんなに早かっただろうかと、思わず少し驚いてしまう。去年の彼は四月は延々と終わらず、早く時よ進んでくれ! なんて思っていた。

 

 時間の流れが速いのは、これは部活動を始めて学校生活が忙しくなった影響だろうか。それとも、友達ができたからだろうか。そんなことを考えながら、史家は高校へ向かった。

 

 いつも通りの月曜日。

 今日も変哲のない日々が始まる……と思っていたのだが、史家の予想は外れていた。

 

「おはよ」と声を掛けてくる波木正多の声が、いつもより低いことに気が付いたのだ。

 

 まず、今日の正多はなんかちがうと感じた。よくよく観察してみれば、なんだか肩をおとしている。たぶん、落ち込んでるのだろう。

 史家は隣に座った正多の顔をまじまじと見ながら考察する。

 

「なんだよ、顔になんかついてる?」

「いんや……」

 

 そこで気が付いた──そうだ、ロッテちゃんだ。

 正多はロッテと一緒に登校している。教室に入って来るのも同じタイミング。いつもは途中で別れてそれぞれの席に向かうのだが、そのロッテが今日はまだ姿を見せていないのだ。

 

「あれ、ロッテちゃんはどうしたんだ? 今日は休みか?」

 

 正多は「しらない」とだけ言って、首を横に振る。

 

「今日は一人で来たんだ」

「なんで?」

「なんでって、ロッテが別の人に誘われたからだよ」

 

 廊下の方が話し声や笑い声で騒がしくなって、会話を弾ませている大山界人と高野彩里が入って来る。それに続いて、ロッテとグループの残りの面々も中に入って来た。

 史家は「げっ」と顔をゆがめる。

 ロッテは校内で基本的にあのグループと一緒にいる。昼休みも、授業中のペアも、教室を移動する時だってそうだ。そんな中で正多一緒に居られるのは登校の時間が中心。それを奪われたのだから、なるほど通りで落ち込んでいるわけだ、と納得する。

 

 グループが教室に入って来ると、金髪美少女こちらに向かって手を振るのが見えた。

 

「ロッテが()()に手を振ってる」

 

 正多は少し嬉しそうにそう言いうと手を振り返す。

 そんな様子を見て、史家はただ呆れていた。いま「俺ら」って言ったかコイツ。どう見ても、ロッテちゃんの視線は二人いるうちの片方にしか向いてなかったんだが……。

 

 だめだこりゃ、と思いながら史家はわざとらしく肩をすくめた。

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