「赤城サン!」
加賀が赤城を抱き起こした。
「大丈夫デスカ⁉︎」
「その、声は……加賀、さん……?」
「赤城サン!」
「おい新八。そいつら安全なところに避難してやれや。そこの赤い艦娘持ってりゃ少なくとも下手には撃ってこねぇだろ」
「分かりました!加賀さん、ここを離れましょう」
「エ、エエ」
で、新八は執務室の扉のドアノブに手をかけた。外では桂とエリザベスが艦娘ではなく深海棲艦と戦ってるはずだ。隙を見て一気に突っ切る必要がある。そぉーっとドアの隙間から様子を見た。
「どーもー桂でーす」
『エリザベスでーす』
「二人合わせて、せーのっ……」
「『ダウンサイジングでーす!』」
「何やってんだオメェらぁぁぁぁッッ‼︎‼︎」
新八のドロップキックが二人をまとめて吹き飛ばした。
「敵を目の前にして何やってんだお前ら!つーかどこからそのコンビ名は出て来たんだよ!」
「いや、斬り合っているうちにお互いにそばが好きなことが判明してな。それでお互い怪我しないようにとお笑い勝負で決めることに……」
「だからなんでだ!斬り合いの最中でどうやってお互いの好物が判明するんだよ!そこからなんでお笑い勝負に発展するんだよ!」
と、間髪入れずにツッコミ入れてる時に『アーアー』っとマイクチェックのような声がした。
「ハイドーモー、ホッポチャンデェース」
「イー」
「二人合ワセテ、セーノッ」
「「深海棲艦'sデェース!(イーーーーーー)」」
と、やる二人にも新八の飛び膝蹴りが直撃した。
「だからなんで漫才だ!つーか片方喋れないなら漫才成立しねぇだろ!つーか僕が執務室に入った前と後でおめぇらに何があったんだよ!」
「落ち着くんだ新八くん。漫才で売れないお笑いは一発屋になってしまう」
「おめぇは黙ってろ!」
ゼェハァと肩で息をする新八に桂が宥めて尚更黙らされた。
「アノ、赤城サンガ……」
「あ、ああ。そうでした」
「早ク入渠ドッグニ……!」
で、先を急ぐ赤城を担ぐ新八と加賀に追加して桂にエリザベス。で、入渠ドッグに到着した。
「ここならこの人を治せるんですね!」
「ハイ、ココカラ先ハ私ガ……!」
と、加賀が言いかけた時だ。壁を突き破って何かが飛んできて、入渠ドッグが爆発した。
ドォォォォォンッ………と、煙が上がり、パラパラと瓦礫が飛び散る。
「に、入渠ドッグが爆発したぁぁぁぁっっ‼︎⁉︎な、なんなんですかこれは一体!」
見ると、金剛が倒れていた。
「ナッ……金剛!」
そして、降ってきた方向を見ると、なんか馬みたいになった定春に乗った神楽が世紀末覇者みたいなマスクというかヘルメットみたいなのを被って立っていた。
「意思を放棄した人間は人間にあらず!ただ笑いと媚びに生きて何が人間か!」
「お前が人間かぁぁぁぁッッ‼︎⁉︎」
新八の怒号が響く。
「なんで足止めって言ってた奴が羅王になって暴れ回ってんだ‼︎足止めどころか息の根止めに来てんだろうが‼︎ていうか何その定春⁉︎」
すると、その神楽に砲弾が直撃した。
「! 神楽ちゃん!」
だが、傘で砲弾を防ぎ、神楽は砲弾を撃った方向へ、うがあああっ!と叫んで殴り掛かった。
「ああああ!このままじゃ艦娘の皆さんに犠牲者が!加賀さん!赤木さんと降ってきた艦娘さんは頼みます!」
「ワ、ワカリマシタ!」
で、新八は慌てて神楽を止めに入った。