4:1の花嫁   作:ドナドナ

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女子と遊ぶとかしたことないもん。わからんやん。


4話 和解と交友

「もー、いいでしょ!今日の勉強は終わり!早く三成君のところに案内しなさいよ!」

「ダメだ。ちゃんと全部終わってから、三成の家に呼んでやる」

「もー!」

 

 二乃は頭をくしゃくしゃとかいて苛立ちを発散させて、すぐに俺が課したプリントに向き直る。五月、三玖も大人しく勉強に励んでくれている。一花はバイトらしく家を出て行ってしまい、この場にはいない。四葉は二乃から友人のバスケットボール部の助っ人をしてほしいと頼まれて家を出ていった。

 家庭教師としての仕事二回目、今回は二乃の頼みを聞くというのを餌にして彼女に勉強してもらうため、三成には休んでもらっている。少し疑問を抱いた様子だったが、そうかというだけで詮索はしてこなかった。そのあとすぐにバイト先に連絡してシフトを入れようとしたのには軽く恐怖を感じたので、全力で止めて家で休ませている。

  二乃は以前、俺へ厳しい態度をとることに気を悪くした三成との仲を取り持つことと引き換えに、勉強する約束をしていた。三玖の件で日本史の、特に戦国時代の勉強をずっとしていた俺は二乃のそのお願いをずっと聞かないでいたのだ。それで散々に我慢させてしまっていたので、三成の家に招待すると言ってなんとか許しを貰った。ただ、本人に了承を貰っていない。絶対に家に来ることを嫌がると思ったからだ。なので、今日突然に連絡し、勢いで押し切るつもりでいる。

 しばらくすると、五月と三玖が全ての課題を先に済まして、課題が終わったのは何度も三成君三成君と鳴いていた二乃が最後だった。

 

「よし!終わったわ。それじゃあ、三成君の家に案内してもらうわよ!」

 

 五月は三成の家に行ったことを話していないようだ。きっと嫉妬で怒られてしまうのが怖かったのだろう。賢明だったと思う。

 

「あ、フータロー、私も行っていい?三成の家に遊びに行くんでしょ?」

「いや、遊びに行くわけでもないが」

「そうよ、三玖。あなたは家で留守番してなさい」

 

 二乃に言われて少し眉を顰めた三玖は、携帯を取り出してどこかに電話をかける。少しゴタゴタと話し込んだが、俺達はそれを眺めるだけだった。五月も気になって彼女を見つめる。

 やがて電話を切ると、三玖はこちらに誇らしげな顔を向ける。

 

「三成が、来ても良いよって言ってる」

「はぁ!?三成と電話していたのか!?しかも家に来ても良いだと?」

 

 全員それぞれ驚きの声をあげていたが、俺の驚きがひと際大きかった。

 あの三成だ。家族大好き人間で、積極性は皆無に等しい彼と電話番号を交換することがどれだけ難しいことか。三成は連絡する手段を持つとなんとなく連絡が来る来ない、するしないでモヤモヤするから、電話を持っていないと周りに苦しい嘘を吐いている男だぞ。さらには両親と過ごした大切な家に招くとは。三玖は三成を打ち破る徳川家康なのか。

 三玖は周りの反応を見て少し慌てて説明しだした。

 どうやらゲームの話で盛り上がったときに、勝てない敵がいると言うので三玖が教えてあげると約束していたらしい。その流れで連絡を交換して、いつか対戦もしようという話をしていたらしい。

 彼の言うそのいつかというのは、社交辞令で実現するつもりではなかったと俺は睨んでいる。

 

「それでさっき、今日遊ぼうって行ったら、良いよって」

「ねぇ、フータロー。私も三成の連絡先欲しいんだけど」

「サポートはするから、自分で頑張れ。言っておくが、簡単じゃないんだぞ」

「まさか自分の妹がライバルになるとは思っていなかったわ」

「い、いや、別に他意はない。三成は友達」

「ふーん」

 

 二乃の鋭い視線を受けて、三玖は少し頬を上気させながら顔を逸らした。

 

「まぁ、いいわ。それじゃあ、三人で行きましょ」

「あ、いや、ちょっと待ってくれ。三成に連絡するから」

「え?あんたもしかして、三成君にまだ言ってないんじゃないの?」

「そんなわけがないだろ~?あ、ちょうど三成から電話がかかってきた。なんの用かなぁ~」

 

 俺は飛びつくように着信音を鳴らす携帯を取り出して、画面に表示された三成の名前を見せつけて笑う。二乃は目を細めていたが、俺はそれを無視して少し離れたところまで行ってから携帯に出る。

 三成の電話の内容は詳しく予想できないが、とにかく今は感謝しよう。

 

「三成、ナイス」

「お、おう。いや、それよりさ、お前はまだ三玖さんの、というか中野さんたちの家か?」

「そうだ」

「それじゃあ、さっき三玖さんが俺の家に遊びにくることになったこととか、知っていたりするか?」

「お、おう」

「なら三玖さんを俺の家に案内する名目で、今日一緒に家で遊ばないか?三玖さんが何考えているのかわからないけど、二人っきりで遊ぶのはきついって。案内して、そのまま成り行きで加わってくれ」

 

 三玖は俺と三成、二乃、自分の四人で遊ぶと認識していると思うが。とにかく、この話は渡りに船だ。

 

「もちろんいいぞ」

「流石我が親友。頼んだ」

「そのかわりにだけど」

「なんだよ」

「二乃も連れて行っていいか?」

「嫌」

 

 やはり二乃への印象が悪いのだろうか。予想はしていたが、はっきりと拒絶している。

 

「いや、二乃さんはちょっと、無理だって。話は合いそうだけど、その、性格がキツそうじゃんか」

「そんなことない。二乃は前にお前が突然帰ったあと、一番心配していたんだぞ」

 

 三成に嫌われてしまったことを。

 

「そ、そうなのか?」

「三玖が遊びに行くと聞いて、自分もぜひ三成と仲良くなりたいから行きたいと言っているんだよ。な?お前も可愛い女子と遊びたいとは思うだろ?」

「確かに可愛いし思うけど、うーん。いや、三玖さんは前になんか流れで約束しちゃってたから仕方ないけど、二乃さんは断れるじゃん。断って断って」

「もし断るなら、俺もいかない」

「いいよ、来たらいいじゃん!馬鹿!アホ!」

「よし、それじゃあお前の家に行くから、待っていてくれ」

「はいはい!」

 

 力強く通話が切られた。随分と荒れていそうだ。

 振り返りリビングのほうに戻ると、二乃の姿が消えていた。

 

「あれ、二乃は?」

「準備するって言って、自室」

「何を準備することがあるんだ」

 

 そう話していると、二乃が階段を下りてきた。服装が変わっているのだが、彼女にとって三成の家はそれほどのものなのだろうか。

 

「そんなに準備する必要があるか?」

「なに言っているのよ。今日は休日よ?もしかしたら、三成君のお父様、お母様がいるかもしれないじゃない」

 

 俺はその言葉に少し身を引き締める。両手を合わせ、身をくねらせなが言う彼女にはまったく悪気はないとわかるし、もちろん俺も彼女を悪いと思わない。しかし、どうしても以前、五月の言葉に対して見せたあの三成の表情が俺の脳裏で蘇る。

 言ったほうが良いと思う。しかし、俺は彼がそのことについて一番悩んでいることを知っている。彼がこのことを言って人に気を遣わせてしまうことを、一番気にしていると知っている。

 俺は一度吐きそうになった言葉を飲み込んだ。

 

「上杉君、言ったほうが」

 

 いつの間にか下がっていた顔を上げると、五月が困った顔をしてこちらを窺う姿が見えた。二乃と三玖は不思議そうに首をかしげている。

 

「そうだな」

 

 俺は三成がまた苦しそうにする姿を見たくない。この先、思ってもいない場面で明らかになり気まずくなることは避けたい。

 

「二乃、あと三玖も、聞いてくれ。三成には両親がいないんだ。二人とも、中学に入る少し前に交通事故で亡くなっている」

 

 三成について、五月のときよりも少し詳しく話した。三成が昔から両親のことが大好きだったこと。彼のお母さんのお腹には、生まれるはずの妹がいたこと。立ち直れた今でも、彼はいなくなった家族を意識してしまうことが辛いこと。できるだけ彼にはそういった話題を振らないで、できれば気遣われていると気づかせないで欲しいとまで話した。

 すると、二乃が号泣した。

 

「な、なによそれ。それじゃあ、三成君はいつも家で一人なの?」

「い、いや、俺や親父、妹のらいはがよくあいつの家を訪れているし、あいつは親戚ともよく連絡を取っている」

「でも、基本一人なんでしょ?」

「そ、そうだ」

「そんなの、かわいそうじゃない」

「それ、本人に言うなよ。それがあいつにとって一番負担になるんだ」

 

 今思えば、あの時の表情も、ただ五月に気を遣わせてしまったことに申し訳なく思っていただけだったかもしれない。

 

「フータロー、三成とは家族でその、関わってるの?」

「そうだな。中学入ってから、徐々に上杉家がいろいろとあいつの面倒を見るようになっていった。今はもう、あいつに面倒をみられそうになってきているけど」

「とにかく、下手に家族の話題を出さなければいいのね?」

「ああ、頼むよ」

「わかったわ」

 

 二乃は、もしかしたら三成と似ているかもしれない。あいつも、映画ですぐ感動して泣くふしがあるし、表に出すことをためらうだけで、内面はかなり感情的だ。今は嫌っているが、二乃は三成にとって良い友人になるのではないだろうか。彼女になるのは難しそうだが。

 彼女たちに三成の事情を伝え終えたあと、三人で三成の家に向かった。

 家に一人置いていくのは可愛そうだと二乃が五月を誘ったが、もう少し勉強をしたいからと言って断られていた。三成のためにもこれ以上人数を増やしたくなかったので、断ってくれた五月には心の中で感謝した。家庭教師としても、勉強を頑張る彼女には好感を持った。

 野田家のインターホンを鳴らして、来たことを伝えるとすぐに迎えの三成が顔を出す。

 

「三成、お邪魔します」

「お、お邪魔します」

「うん、どうぞどうぞ。あ、そこの右の扉、リビングだから。うん」

 

 さりげなく三玖、二乃をリビングの方へ先に行かせ、三成は最後に入ってきた俺を捕まえて壁に追い詰める。

 

「おい、お前、本当に、おい」

「いや、どうせ三玖と遊ぶことになってたんだろ?二乃が増えたくらいで変わらないって」

「俺も後悔してるって。話を合わせてウンウン頷いていた弊害が、まさかこんな早く現れるとかさ。というか、本当に遊ぶことになるって思わないって」

「三玖に関しては断らないお前の自業自得だし、二乃に関しては、結果的に俺が付き合うことになるきっかけになったんだから良かっただろ?飲み込めって」

「うーん、それもそうかぁ?」

「三成君、何してるの?」

「ああ、すぐ行く!うん」

 

 うんうんと、さっきから多くないか。相当緊張しているのだろうか。

 

「まぁ、適当に日暮れまで遊んでバイバイすればいいよ」

「高校生が女子と遊ぶのって、そんな感じか?」

「わからん、けど、頑張ろう。俺も頑張る。緊張しているのは、俺も一緒だ」

「風太郎ぅ……!」

「いくぞ!」

「おう!」

 

 俺達を気合をいれてリビングのドアをくぐった。

 リビングのソファの前にある小さな机の上にゲーム機のコントローラーと、戦国モノ以外のゲームソフトが三つほど広げられている。机のしたには人生ゲーム、トランプと置いてある。女子とどう遊ぶのか、彼なりに必死に考えたあとが見られる。

 

「三成、この大きなテレビでするの?」

「ああ、そうそう。ちょっと待って、準備するから」

 

 三成は入力を切り替えてゲーム画面をテレビに映し出す。俺はこのテレビがゲーム画面を移すところを見るのは、中学生以来だ。よくらいはを入れた三人でゲームをして遊んでいたのだが、高校に入ってからぱったりなくなった気がする。バイトのせいか。

 

「よし、三玖さん、あとはちょっと進めて置いてくれる?あ、そこそこ。まったく勝てないの」

「軍備がまるで整ってない」

「あー、任せていい?お菓子作るの間に合わなかったから、ちょっとキッチンの方に行くし」

「任せて」

「あ、あの、三成君、私も手伝っていい?」

「え、いや、あと少しだし大丈夫だよ」

「お願い、手伝わせて」

 

 二乃は何かきっかけを探しているのだろう。俺はそれを察して静観する。三成は二乃の真剣な表情に少し困惑したが、すぐに礼を言ってその申し出を受け入れた。

 リビングを出て、キッチンの方に彼らは向かっていった。

 

「ねぇ、フータロー」

「なんだ?」

 

 俺がソファに座ったタイミングで、テレビ前を陣取ってゲームを操作していた三玖が手を止めて話かけてきた。

 

「その、なんで、置物とか写真立てとかまったくないの?」

「気になるか?というか、よく気づいたな」

「いや、あの話聞いたあとで、なんだか意識しちゃって。それに、家族で住んでいた一戸建てに今は一人で暮らししているんだとか、いろいろ考えちゃって」

「そんなに慌てなくていいよ」

 

 気にしないでやって欲しいというのも、無理なお願いだと俺もわかっている。

 俺は一拍置いてから説明する。

 

「できるだけ、家族との思い出のものを置かないようにしているんだよ。俺もはっきりとあいつに聞いたことはなかったけど、確かに写真とか置物とか、あの時より確実に減っている。飾りっけのない内装だ」

「思い出したくないのかな?」

「そうなんじゃないか?それらは大事にしまわれているから、忘れたいわけではないと思うけど。きっと、意識したくないんだと思う」

「そっか」

 

 しばらく固まっていたが、三玖はすぐにテレビへ視線を戻して、操作を再開した。俺もしばらくその画面を眺めていたのだが、だんだん胸の内がざわめいてきた。

 二乃自身でちゃんとけじめをつけられるのならそれでいいと思っていたが、放っておいて大丈夫だろうか。先に三成の家族のことも話してしまったので、彼女は口を滑らせないとは確信できない。

 

「ちょっとトイレ行ってくる」

「うん」

 

 俺は三玖に短くそう伝えてからリビングを出た。向かう先はトイレではない。

 俺はゆっくりとダイニングキッチンの部屋のドアに耳を当てる。食器の音がしばらく聞こえていたが、それがパタリと止んで、二人の声が聞こえてきた。

 

「その、上杉から三成君のこと、聞いたの。家族の、こと」

 

 俺は頭を押さえ、ドアの近くでうな垂れる。

 

「だから、納得した。あのとき、嫌だったよね。家族みたいに思う上杉のこと悪く言って、居心地が悪くなって出ていったんでしょ?上杉から聞いた」

「あー、ごめん。空気読めてなかったよな」

「謝らないで。悪いことしたなって、思ってるの。もちろん上杉にも。だから、ごめんなさい」

「いやいや、謝ることないって。勝手に俺がモヤモヤしちゃってるだけだから。ほんと、気にしないで」

 

 俺はドアノブから手を離した。

 

「その、じゃ、じゃあ、私と仲良くしてくれる?その、一緒に料理の話とかできる人は初めてで、その」

「もちろん、こっちこそよろしく。俺も、前に一緒に料理して楽しかったから」

「本当?ありがとう。それじゃあ、よろしくね」

「うん。あ、はやくお菓子運ぼうか。二人とも待たせてるし」

「そうね」

 

 話は無事に終わったようだ。俺は彼に対してあまりにも神経質だったのかもしれない。彼は俺が思う以上にちゃんと家族のことに結論を出しているのだろう。彼の話す声の調子を聞いていると、そう思えた。

 そう少し過保護になりすぎていた自分を反省していると、両手にお菓子を盛った皿をもつ三成と、代わりにドアを開けてあげている二乃の二人と鉢合わせた。

 

「上杉、あんた何してたわけ?」

「え、えぇっと、トイレ」

「風太郎、トイレはこっちじゃないぞ?」

 

 そう笑顔で言う三成の表情と対比して、二乃の顔は怒りと恥ずかしさで赤くなってきている。

 

「まぁ、いっか。三玖さん待たせてるから、行こう」

「え、ええ、そうね」

 

 三成は俺の横を通ってリビングの方へ向かった。二乃は三成につられてその気を失って、赤みをなくしていく。俺は胸を撫でおろして三成を追おうとしたが、二乃に袖を引っ張られて止められた。

 

「上杉、謝るの遅れたわ。前はきつく当たってごめん」

「気にしてない」

「そう、よかった。ちゃんと、謝ったからね」

「はいはい」

 

 目を逸らして言う彼女の頬はまた少し赤くなっていた。素直ではないが、可愛げがある。俺は少し微笑んで答えた。

 

「なぁ、邪魔して悪いけど、ドア開けてくれない?」

「あ、ああ、三成君?ごめん、すぐ開ける!」

「二人って結構仲良くなってたの?」

「ち、違うって。ちょっと話してただけ」

「俺を置いて二人で話すことってなんだろなぁ」

「本当に違うから!」

 

 俺はリビングに騒がしく入っていく二人を追いながら、一つ息を吐いた。

 二乃はやはり三成と相性がよさそうだ。二乃は少し素直ではないが、誠実で思いやりがある、根は優しい人だ。こうしていじると面白い一面も持つ。ああやって楽しそうにしている三成は初めて見た。彼は恋愛脳だっただろうか、随分と盛り上がっている。

 これは彼女たちを見送ってからの会話だが。

 

「いやー、俺は前から風太郎にいつ彼女ができるんだって心配していたんだよ。応援してるからな!」

「本当に違うから。俺もあいつも、お互いまったくなんとも思ってないから」

 

 そういえば俺も勝手に決めつけて彼の恋路の応援なんてしていたので、それ以上は強く言えなかった。

 それからは四人でテレビゲームに興じた。コントローラーの数が足りなかったので、最下位の人が交代していく形式で対戦していったが、なかなか盛り上がった。持ち主の三成より俺のほうがうまいのは本当に不思議だ。俺もそれほど得意ではなく、ほとんど俺と三成でしかコントローラーを回していなかった。

 人生ゲーム、トランプと遊びつくすと、すっかり日が暮れた。久しぶりに遊んだのではしゃぎすぎてしまい、少し恥ずかしかった。

 

「もうそろそろ時間だし、私達はそろそろ帰りましょうか」

「うん」

「それじゃあ俺も帰ろう」

「そうか、じゃあ玄関まで送るよ」

 

 トランプをケースになおした三成は立ち上がって、俺達を見送りに玄関まで来てくれる。

 

「それじゃあ、三人とも、また月曜日」

「あ、三成君、あと上杉も。明日のお祭り、一緒に回らない?」

「え?ああ、明日って花火大会だっけ?」

「いや、せっかくの日曜日だから俺は勉強する」

「なにそれ。イベント無視してすることじゃないでしょ」

「別に行かないといけないものでもないだろ」

「風太郎が行かないなら、俺もやめとくよ」

「えー、そんなー」

 

 二乃はしばらく誘い続けたが、俺が頑なに譲らなかったので、結果的に三成を落とすことはできなかった。家庭教師のバイトの質をあげて五つ子全員を卒業に導かなければならないのに、自分の学力を下げるなどもってのほかだ。

 二乃が残念そうに肩を落として、解散となった。




ニ乃と三成は料理や家族愛などの共通点があります。
三玖と三成はゲームの話題で結構やり取りしています。
次回はようやく五月と風太郎のお出かけが……。
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