推しのお乳は自家製に限る(消費期限3日)   作:私は薔薇で作った百合の造花の味が好きだ

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 あのねー、ヤッチョは躊躇してる暇は無いって言ってるの……分かる?霞ヶ関のおじいちゃんたちにもとっと話を通して欲しいの

 (聞くに耐えぬ愚物の痴れ言)

 (何某かの物音と、開示される情報群)


 勘案も憂慮も不要………疾く事を進めよ


 (走り去る音)



 はぁ、こんなこと”前”のヤチヨから聞いてないっつーの。

 ママからはしばらくは”目”を離せないよねー。





超かぐや姫の《姫》担当の予定

 

 

 

 

 ──カクカクシカジカまるまるうま味

 

「えーっとですね、兄さんを泥酔させた上でお持ち帰りして色々やったらデキちゃったけど何となく外堀を埋めきれてない気がするからお兄ちゃんの家族に挨拶周りをしてる最中で、たまたま気の早い親戚からもらったベビー用品を半同棲してる家に持って帰るわけにもいかないから挨拶ついでに私の部屋に仮置きしようとしたらたまたま私の家の前の電柱から赤ん坊が生えてきたということですね」

 

「そうそう、その通り流石は学年トップの秀才ね〜。それと君のお兄さんは幼い頃に出会った運命の人とお付き合いしてる仲という情報も追加でよろしくねー」

 

 

(し、思想が強い……これが恋する乙女のパワー)

 

 

 我が娘(かぐやちゃん)の授乳も終わり、おしめを履かせて泊まり込み用に持ってきたブランケットでおねむ中。

 私も夏用のネグリジェに着替えて、買ってきたココアを点てて彩葉ちゃんに飲ませながら事情説明である。

 

 

 我ながら絶妙なラインの事実と嘘の織り交ぜるた説明である。余談だが、おむつは貰い物だがミルク用品は自前であるし、何なら自家製の方を多くしたいまでである。

 

 土壇場までお乳が出るかは悩みのタネであったが、それはそれで原作通り?なので支障はないでしょうし……。

 

 でも、やっぱり推しには母乳を注ぐに限る。

 産地直送無添加は伊達じゃないね。

 

 

「と、とりあえず納得しましたが……その、この子はどういたしましょうか」

 

「そんなにかしこまらななくていいのよ、お義姉(ねえ)ちゃんって呼ぶべし」

 

「ノイさ「お義姉ちゃん」」

 

「んん、姐さんはこの子をどうなさるおつもりです、か?」

 

 

 んー…………ヨシ(アリ寄りのアリ判定)。

 

 

「もう、もちろん私が育てるつもりよ」

 

 

 視線を滑らせ、娘の髪を頭を優しく丁寧に撫でつけながらそっと微笑む。

 最初は3連休だけ育てて帰ろうかと……そんな思いでいたのだが、彩葉ちゃんは可愛いし、産んだわけではないが我が娘(かぐやちゃん)との出会いを経た以上は全てに優先されるタスクこそ育児である。

 

 原作は途中までしか知らないけど波乱万丈な人生を送るらしい彩葉ちゃんと月出身のかぐやちゃんのラブ&フレンズな物語を間近で堪能せねば今後の結婚生活もとい人生が色褪せるに違いない。

 

 というか、かぐやちゃんは私が産んだのかもしれんなぁ〜〜。むしろ育てるのは当たり前だのクラッカー。

 

 やっぱり第二子の出産を前に将来の妹に挨拶に来たのは遅かったような気もしてきたし。(1000%存在しない記憶)

 

 でも、かぐやちゃんの固有結界(心象風景)はこのアパートだしここを離れて育児するのも百合コーン的視点からナシなわけだし。

 

 

 

 …………あっ、そうだ(名案)。

 

 

 

「三連休はここで過ごそうかな、首がすわってもいないし家まで距離があるから連れ帰るのにも準備が必要だし……もちろんその間の生活費は全部出してあげるよ」

 

「えっと、その……」

 

 

 道理、そう……赤子を連れ回すのはよくないことであるという常識が思考が鈍化した頭をよぎる。

 

 迎えをお願いしろ等と気も回せぬ言い回しなぞ、彩葉にはなく……。まして酒寄家の血縁筆頭。

 

 

「良い……かな?」

 

「……はぃ、いいれふ」

 

 

 紅潮した頬とぐるぐるお目め。

 やっぱ、酒寄家はタレ目に弱いんか?

 露骨な媚顔したのは事実やけど、これは心配になるよ〜。

 

 朝日キュンも酔い潰す時はタレ目上目遣いがデフォだしね〜。

 

 

「ありがとー、そしたらもう夜遅いし寝よっか……ね?」

 

 

 勝手知ったるかの如く、彩葉ちゃん一人用の布団を借りてかぐやちゃんをそっと寝かせる。かけ布団は夏なのでお腹を冷やさない程度に持ち込みのブランケットを重用。

 

 かぐやを挟んで反対側をぽんぽんと叩く。

 微笑む顔は柔らかく、射抜く目線は同じ目を、綴る言葉は言祝ぐように。

 取って食おうとするわけではあらじ、されど我が身はいっとうに欲深く。

 

 寝顔寝巻き寝相寝姿、いただいていいかな……かな?

 

 

「そっ、そそそ、その前にご飯食べませんか?ほらお乳の材料はお母さんのご飯て言いますから!」

 

 チッ、話題を逸らすねぇ……。

 ならば二の矢かな。

 

「それもそうね〜、じゃ私が作るわよ」

 

「そこまでして貰うわけには」

 

「と こ ろ でぇ〜、材料はあるのかなぁ、一人暮らしに妊婦さんを満足させるご飯の材料はあるのかなぁ?」

 

「ぐぬぬ」

 

 

 ──図星、すなわち無力。

 平積みのエナドリ缶から見える真実、即ち自主的な生活力の放棄。

 

 今日は三連休前のド平日、予定を学校バイト自習ゲームでギチギチの最中に生鮮食品を冷蔵しているとは思えない。

 

 すなわち、長期保存に適した食材と原材料のみなのは極めて初歩的なこと。

 

 

「ちょっとかぐやちゃんの面倒見ててね、い★ろ★はちゃん(キャピーン)」

 

 

  80008000080000

 

 

 

 ──それからどしたの(15分後)

 

 

 酒寄彩葉17才、堅実にして若さを謳歌する格安食生活の怠慢によりビタミン不足からなる口内炎、貧血、疲労その他。

 

 最早、精神性の破綻なぞ手に取るように分かりきった過ちの結集は今ここに否定される。

 

 

 滋味、即ち完成されたpfc比*1……それに留まらぬはその味わい。パック離乳食(トマトメイン)をベースに乳児用ミルクとコンソメ、中華調味料と手持ちのおやつ用スルメ、酢昆布で調味。

 具材には小麦を薄く焼いた時短のお麩モドキを使用。持ち込んだ材料は大半が冷蔵庫にしまい込んだので出すのもおっくう。

 

 最終的にオリーブオイルとパセリを撒いた簡易仕上げを以て完成。

 

 

 ──名付けて〘インスタント粥〜おこちゃま仕立て〜〙

 

 

「おあがりよ……なーんてね」

 

 

 はむむ、これは中々やさしい味わい。

 わざわざ重たい食材類をついでに持ってきたのは英断だったね〜。運命的な出会いを彩る最高のディナー。

 

 

「………お、おいひぃ」

 

 

 おやおや、彩葉ちゃんも喜んでくれるのかい。

 お姉ちゃん嬉しくてお乳が湧き出てきそう。

 

 いや、お乳が出るのはかぐやちゃんの口に入る分だけや。アカンねん今は溢れるんやないでマイボディ。

 

 

「本当に、おいしいです」

 

「それは結構、お粗末さまね」

 

 

 ──あ、かぐやちゃんもお腹すいたの?

 

 パイパイほちいのねー(ウキウキ)

 

 

「はぅあ!?」

 

 

 あ、彩葉ちゃんが限界突破した。

 女の子同士なのに初心ねぇ……。(ジュルリ)

 

 

 

  800080008000

 

 

「さて、そろそろ良い時間だし歯磨きしてシャワー浴びて一緒に寝ましょ……ね?」

 

「うぅ……」

 

 

 先延ばしにされた結論を否定する術を彩葉は持ち得ない。

 非常事態、思わぬ再開、無償の施し……そして理解し難い、己の所以なき危機感の噴出。

 

 押しに弱いという事実のみが今の回帰不可能な蟲中へと誘いをかける。

 

 

「ほぅら……おいで」

 

 手のひらをかざす、愛する者を手招きするかの如く。それは秘密を守るかのようにいざなう。

 

 誘蛾灯に抗えぬ生来のの性の顕出、パジャマに着替えてもこの夏のセカイは張り付く髪の艶なる様を彩っている。

 

 それでも、ヒトは眠るのだ。

 

 寝苦しくっても、明日に向けて待つ刻が。

 

 

「少し眠れないのなら、寝物語でも聞かせてあげようか?」

 

「け、けけけ、結構です」

 

「ふふ、こけこっこー?」

 

「……ッッ!?お、おやすみなさい」

 

「おやすみ、彩葉ちゃん」

 

 

 

  800080008000

 

 

 

 ──夜明け

 

「7時間睡眠……それとやっぱり、夢じゃないよね」

 

 

 部屋などという贅沢なスペースのないアパート、調理の音は静かに染みて家族の音を醸している。

 

 

「おはよう彩葉ちゃん、悪いけどご飯作っちゃってるわよ」

 

 チノパンとオーバーサイズのTシャツ、鍋に向かう様子を既に家内と呼んでも差し支えないと……いやいやいや、(一応)お兄ちゃんのお嫁さんなのであって私の彼女じゃないのに。

 

 何だかとても……えっちだ。

 

 

「ごめんね〜、ちょっとお乳あげたいからお鍋代わってもらってもいいかな?」

 

「はい、だいじょうぶです」

 

 

 寝起きだからか締まらない返事をしてしまったが……。

 

 ん?今もノイちゃんは後ろで授乳中!?

 しかし、今回は不同意に後ろを向くのはマナーとしていかがなものかと思うわけで。

 

 

「んんん?何かおっきくなってるねー」

 

 

 おっきくなってる!?何が!?

 

 

「相変わらずいい呑みっぷり、よいしょっと……ゲップも上手上手」

 

 

 鍋の中身は味噌汁、しかし後ろの光景を想像して香る匂いはミルクのものしか感じない。

 悶々としてしまうのは我慢ならん。

 もう流石に授乳を終わらせて……

 

 

「両方吸い尽くそうなんて欲張りガールね、ふふふ」

 

 

 脱いだTシャツを傍らに置き、ノーブラで赤ん坊に授乳中で……こちらに笑顔がい、いやらしい。

 

 

「──彩葉ちゃんも吸ってみる?」

 

「吸いません!」

 

「冗談よ冗談」

 

 

 爽やかにはにかみながら、授乳の後片付けをしつつカバンとタオルで即席のベビーベッドを作り出して、こちらに戻ってきた。

 

 

「さて、朝ごはん食べたら買い出しにいくけど……どうする?」

 

「どうというのは?」

 

「お留守番するのか、ついてくるのか?」

 

 お留守番て、一応家主は私と喉まででかかったけど、この奇妙な暫定同居人兼義理姉候補の言葉の真意を探らなければと思いい至る。

 

 

「んー、元々は彩葉ちゃんがお家でお勉強三昧って感じかなーと思ってね……ベイビー連れていくからゆっくりしてていいんだよ」

 

 

 意外や意外。

 こちらを慮る配慮にトゥンクしそうになるが、気を取り直しここから先の展開を考える。

 

 ミニマリストに一歩遅れる程度にモノの少ない部屋であったが、今では子育て用品一式に加え、冷蔵庫に収まらない食材やノートPCと配信機材。

 

 何やら一晩開けてみれば怪しい気配が漂ってきている。今後逆に私が家を空けている間に謎の高級品がプレゼントとして置かれなどすれば危険である。

 

 ならば情報収集を兼ねてここは共に外出し、状況に探りをかけて外堀の真意を探る必要もあるかも……。(この間わずか10秒)

 

 

「いえ、私も同伴します……身重の女性を夏のただ中に送り出すのは気が引けるので」

 

「本当!?じゃあ、義妹(いもうと)ちゃんとの初デートね」

 

 

 快楽的に蕩けた笑顔。

 暴力的な喜びが脳裏に刺激として提示される。

 

 

「デートちゃいます!!」

 

「やーい、照れ屋さん」

 

「──ッッ、もう!」

 

 

 朝食、味噌汁とご飯とだし巻き卵という簡素な仕上がりであったが、どこか懐かしい味に郷愁を禁じ得ない。

 兄さんの彼女というのもまっこと侮りがたしというところか。

 

 ……本当においしいです。

 

 

「……朝ごはん、ありがとうございます」

 

「気にしなくてもいいのに、再来月過ぎたくらいに結婚式のスピーチしてくれるくらいでいいからね、ね?」

 

(やはり圧が強っ)

 

 

 

 800080008000

 

 

 午前10時、某所──西竹屋

 

 中々に壮観だね、うんうん。

 彩葉ちゃんったら私が背負いますなんて、男気溢れる様にトゥンクしちゃうよ。ちょっぴり、いやかなり朝日きゅんばりに発情しそうになってしまった。

 

 流石に自重、どっ可愛いベイビーかぐやちゃんにクソだらしないママを見せるわけにはいかんのでね。

 

 

「彩葉ちゃん、常温保存できる液体ミルクを探してきて欲しいんだけど……いいかな?」

 

「それは構いませんが……急にどうして」

 

「あー、ほらかぐやちゃんのお乳をそろそろね」

 

 

 彩葉ちゃんの視線の先にはおしゃぶりをした昨日よりおっきくなったかぐやちゃん。

 錯乱しまくりの彩葉ちゃんは大きさに僅かな疑問を抱くのみで完全に目を回しっぱなしだったしね。

 

 ……いや、タレ目に弱すぎひんか?

 

 店舗外に2、中に来たのは1ね。

 

 

「他に何か探しておきま──」

 

「──ノンノン、品物を吟味するのもお母さんの役目!」

 

「彩葉ちゃんと一緒に回りたいの、いいかな?」

 

「ひゃ、ひゃい」

 

「いい子にしてて待っててねー」

 

「そういう歳じゃないです!……もう」

 

「ふふふ、じゃあよろしくねー」

 

 

 さて、表のカップルに偽装した2名は放置で良い。恐らく回収役……顔立ちで当たりをつけるに大陸の人間かな。

 スマコンを付けてると日当たりで結構反射するからね、夜光塗料の発光に近似してるけど……まあ余談か。

 

 さて、中に来たのは女。

 体格で見るに暗器だね、パワーで来られたら身重だから困るけどむしろ楽で良かった。

 

 さしずめ、赤子の収奪と私の誘拐のダブルプランかな。

 最近、香港のバラック解体に一枚噛んでファンド越しに土地取ったからかなぁ……一応、宇宙人の回収もあるかもね。

 

 ま、どうでもいいか。

 

 

 

 168168168

 

 

 

 授乳室に入りトートバッグからバスタオル、ウェットティッシュを出す。ゆっくりと背後など気にしないように。

 

 下手人は奥に陣取った対象と赤子に向け、背後からボールペンに仕込まれた神経毒を差し込むべく近づく。

 

 赤子がベビーベッドに置かれた段階で、フェンシングのように頸部に貫かれた手はしかし。

 

 マントのように翻されたバスタオルに阻まれる。多くは即座に終わる簡単な仕事と思っていたがそれは驚きと共に過ちと思い知らされる。

 

 瞬間的に制圧に乗り出そうとしたのは制圧された側、狩人と獲物の関係は反転し凶器はそのまま自身へと返り果てる。

 毒は異常なく効力を発揮し、行動不能とする。

 

「良かった良かった、かぐやちゃんの前で死体を晒すのは心苦しかったからね……」

 

 荷物をまとめ直し、かぐやちゃんを抱え、バスタオルを下手人の顔に掛けてから立ち去る。

 

「そうそう、今回のことにはもう手を打っててね……東京のパンダハガーに向けてドラゴンスレイヤーを当ててるんだよ──言いたいこと分かるよね」

 

 

 

 ──逃さない

 

 

 

 168168168

 

 

 

「お待たせー、彩葉ちゃん」

 

「そんなに待ってないですけど」

 

「この後ねー、おいしい中華食べにいかない」

 

 

 唐突に、買い物かごに商品を無造作に確保しながら言う。

 吟味すると言っていた割には迷うことなく、素早く。

 

 

「そういう気分なの、おねーさんに付き合って?」

 

「別にいいですよ」

 

 

 ──その後、中華にいたく感心を寄せるかぐやちゃんを料理から引き離すのに彩葉ちゃんは苦心したそうな。

 

 

 

 どっとはらい

 

 

 

 

 

*1
糖分、タンパク質、油分の比







 本作での設定です



 駒沢家は大変な名家の旧家です

 主人公はプレイヤーです

 ツクヨミの運営元はコングロマリットの暗黒メガコーポ

 主人公はその中でそこそこの影響力を持っています

 主人公はインターネット以前のヤチヨを知りません

 月見ヤチヨは情報生命体として”上がり”の一歩手前です



 主人公はヤチヨカップ中までしか原作を知りません



 月見ヤチヨは

 母のためならば国家のみならず、文明を支配しメガテンよろしく楽園を作ったって構わないんだよー。



 だから、セカイよ……どうか(かぐや)を失望させないで


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