英雄になれない元勇者   作:ダンまち=スキー

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桜花の対応は普通に大悪手です。証拠隠滅を視野に入れた殺人を意図して行ったという前提がある以上、仲間を守るために自分の全てを(なげう)つ覚悟であるべきだし、その覚悟は13階層で群れを押し付けた時点で完了しておくべきでした。それを結果的に未遂で終わったから開き直るって……今回の件をタケミカヅチに知られたら、屈指の善神である彼は普通にブチギレるでしょう。

命は日本出身のベルくんとシナジーがあるので原作より絡みは増えます。そんなにヒロインらしいことさせる予定はありませんが、予定は未定です。対戦よろしくお願いします。



リヴィラの街と、覗きと過去と

 

 18階層も夜が終わり、朝が来ていた。上から照らされる水晶の光は暖かく、街に向かって橋を渡るベル一行が光り輝く湖面に映し出されている。

 

「街があるなら宿もあると思うんだが、アイツらはなんで野営なんかしてるんだ?」

 

「どうやら天下のロキ・ファミリアも、懐事情は厳しいようだね!」

 

「いや……節約したいとも思ってるだろうが、ぼったくられるからだな」

 

 ヴェルフの疑問に皮肉を被せるヘスティア。それに対し、ベルが答える。

 

「自分には、歓迎されているように思えるのですが」

 

「ある意味ではそうだが、歓迎ムードで気持ち良くさせて財布の紐を緩めようっていう策略だな」

 

 入口の看板にある『ようこそ同業者、リヴィラの街へ』という文言を見てそうもらした命にベルが注意を促した。

 この街を経営しているのは他ならぬ冒険者たち。領主など存在せず、規則もなく、腕っ節で相場を決めているような状態だ。つまり、無法者が支配する無法地帯である。

 

 この街は元々、ギルド主導の計画で迷宮内の拠点として運用される筈だった。しかしそれが頓挫(とんざ)したので、冒険者たちが勝手に引き継ぎ作り上げたのだ。この場所が選ばれたのは、周囲を湖に囲まれた立地が、ちょっとした砦として使えるから。

 砦としての運用を想定しているだけはあり、ここは度々モンスターの襲撃にあって壊滅する。そうなれば冒険者たちは我先にと逃げ出し、当然のように街は破壊されるのだが、また戻ってきて街を作り直す。

 各々が勝手にやっているから街として成立しているが、ギルドが運営するとなれば安定して黒字を出さないといけない。まぁ既に334代目リヴィラの街となっているような場所でそんなの普通に無理なわけで、計画は頓挫した。破綻した計画の、妥当な末路だ。

 

「ただのバックパックが2万ヴァリスだなんて……」

 

「砥石がこの値段はありえねぇ……」

 

 さっそくリリとヴェルフが洗礼を受けているが、この街は物価がクソ高い。原理としては砂漠で買う水のようなもので、武具や食料など物資の調達が難しいダンジョン内では、相場の何倍だろうと商品をさばけてしまうのだ。出費を惜しんで死ぬよりはマシだろうと、足元を見たボロい商売である。あってよかった空間袋。

 ロキ・ファミリアの規模で宿なんて取ろうものなら、必要な金額はオラリオの大体の派閥を財政破綻させられるようなとんでもない数字になる。とはいえ強さで統治する以上はさらなる強さで踏み(にじ)られるのが常であるため、彼らに凄まれたらこの街の冒険者たちは文句を言いつつも普通に従いそうだが。

 

「だから冒険者は嫌いなんです! 見てください、魔石やドロップアイテムの買取価格なんて地上の半分以下ですよ!」

 

「俺の知ってる金にがめついパルゥムに、色々と言ってやりたいことはあるが……お前もここで店を開けばいいんじゃないか?」

 

「…………」

 

「おい、考えるな」

 

 ヘスティア・ファミリアはダンジョン攻略を目指す探索系ファミリアだし、そもそもこの街で商売している冒険者は冒険者というより転売ヤーなので、残念ながらその案は却下だ。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 水浴びに行った女性陣と別れ、ヴェルフは空間袋から取り出した道具一式で武器の手入れ。そうして1人になったベルにヘルメスが近付いた。

 

「……頃合いかな。ベル君、ちょっとオレに付き合ってくれるかい? オレはこの時を待っていたんだ。この時のために迷宮(ここ)まで来たと言っても過言じゃあない」

 

 ベルと肩を組み、まるで聞かれてはマズイ目的でもあるかのように声をひそめて、ヘルメスはそう言った。なにか大事な話があるのだと察し、ベルはゆっくりと頷いて、歩き出したヘルメスに続く。

 そうしてしばらく歩き、唐突にベルは肩を掴んでヘルメスの歩みを止めた。

 

「それで、ゼウス(ジジイ)に言われてきたのか?」

 

「……なんのことかな? 俺は単純に、己の心に従っただけさ。俺の心の中の漢が言ってるんだ、覗きはロマンってね」

 

 ベルが見る限り、ヘルメスに動揺は見えない。それに、嘘をついているでもなさそうだ。なぜって、実際に水場に近付いているし、魔力感知で複数の気配を感じとっているから。しかし、本当のことも言っていない。

 

「そうかそうか、だが俺の中の漢はこう言ってるぞ。

『ヘルメスは伝令の神なのぉ、天界では主にゼウスの使いをやってたんだってぇ(裏声)』」

 

「なんでキミの中の漢は小さな女の子なんだい……?」

 

「『わからないわぁ、でも賢いのぉ(裏声)』」

 

「……じゃあ、その賢い女の子に言ってくれ。俺は嘘をつかない誠実な神で、覗きは絶対に遂行するってね」

 

 駆け引きが面倒になったベルは、取り敢えず指をパキパキと鳴らした。ニッコリ微笑んで、見せつけるように。ヘルメスは1秒でその脅しに屈した。

 

「わかった! 話すよ!……そうさ、キミが次代の英雄を担うに足る存在なのか確かめに来てたんだ。あの(ひと)の指示でね」

 

「へぇ」

 

 その『へぇ』には、『何年も何年も英雄になれだのハーレムを作れだの吹き込んできたアホジジイがそう簡単に死ぬわけないか、地獄に落ちても受け入れ拒否されて生き返りそうだもんな』という思いが込められていた。

 取り敢えず祖父の生存が確認できたのでヨシと、ベルはヘルメスに向かって再度パキパキと指を鳴らしてみせた。

 

「ちょ待っ、暴力反対! ていうか話しただろ?!」

 

「話せば許すなんて誰が言った? それに、覗きしようとした事に変わりはない」

 

「お、お慈悲を……」

 

「問答無用!」

 

 といいつつ、魔法で痛みなく意識を落としたベルは、空間袋から布を取り出し目隠しをしてからヘルメスを担いで歩き出した。

 

 

 

「レフィーヤ」

 

「なっ?!」

 

 覗きをしにきたベルを即座に撲殺しようと杖を構えるレフィーヤだが、布で目隠しをしていたので踏み止どまる。

 

「戻って神ロキ(嘘発見器)にかけてもらっても構わない。誓って俺の視界は塞がれている」

 

「……じゃあ、私が私だとなぜ分かったんです?」

 

反響定位(エコーロケーション)だ」

 

 ベルは視覚が潰されても問題なく行動可能だ。流石に聴覚も潰されて嗅覚と触覚だけになると動きに支障は出るが、日本にいた頃とは違い魔力感知があるので、五感が潰されても特に問題はない。

 

「……それで、その肩に担いでいるモノはなんですか?」

 

「あぁ、覗きをしようとしていた(ゴミ)だ。魔法で寝かせたから俺が起こすまで起きない、こっちは()っていいぞ」

 

「いらないので、アスフィさんに返してきてください」

 

 了解、と答えて背を向けるベルの手をレフィーヤが掴む。彼女はニッコリ微笑んでいたが、ベルはそれを見て笑顔の起源が威嚇にあるという話を思い出した。

 

「目で見えてなくても、体の輪郭は視えてるんじゃないですか?」

 

「……いや、その、距離が遠かったから大丈夫だ」

 

「へぇ〜」

 

 確かにそこまでベルの聴覚は届いていなかった。しかし、見ようと思えば見れたし、魔力感知は届いているので、動揺してしまった。今やレフィーヤの目がメジェドの如くベルを射抜いている。

 

「御免ッ!」

 

「待ちなさーい!!」

 

 杖を握る手に力が入り、魔力が昂りはじめたレフィーヤから、ベルは脱兎の如く逃走した。ヘルメスは地面に転がされた。

 

 

 

 

「あ、あいつ、マジで……」

 

 珍しく息を切らすベル。身体能力で勝ろうとも、体の使い方がなっちゃいない上に森の中を走り抜けるのは割と難しいので、レフィーヤから逃げるくらい簡単だと思っていた。しかしながら、そう余裕でいられたのは後ろから詠唱が聞こえるまでの話。

 アルクス・レイ、対象を追尾する光の矢を放つ魔法。そう、追尾する。つまり完全に当てる気だ。バカ魔力とも称されるレフィーヤにそんなものを当てられたら、Lv2成り立ての冒険者など致命傷を通り越して蒸発する。相手がベルだから撃ってきたのだろうが、それでも危ない威力であることに変わりはない。自分の教えた平行詠唱で連射される光の矢に追われながらも、ベルは命からがら逃げおおせた。

 

 そして、不運は続く。

 

「誰だ!」

 

「──っ?!」

 

 咄嗟に首を傾けると、さっきまで頭があった位置を小太刀が通過し、ベルの後ろにあった木を貫いた。冷や汗がツーっと流れたのを感じつつ、ベルは即座に額を地面に付けた。既視感を感じる土下座である。

 

「申し訳ありません、リューさん。煮るなり焼くなり好きにしてください」

 

「では、後ろを向いて……いえ、少し待っていてください」

 

 ベルはまだ目隠しをしていた。そのせいでレフィーヤは舐められていると思いヒートアップしたのだが、今回は不幸中の幸い。していなかったらベルはノータイムで腹を切り、リューの魔力が無駄に消費されていたことだろう。

 

「もう大丈夫です。経緯を説明して貰えますか?」

 

「はい……」

 

 目隠しを外したベルは、リューに今までの事を話した。それを聞いた彼女は、千の妖精に追い回されていたのなら仕方ないと一言。

 

「それに、見えていなかったのなら問題はありません」

 

「俺が本当のことを言っていれば、そうですね」

 

「クラネルさん、自分を貶めるような真似はやめなさい。貴方の悪い癖だ」

 

 それまで無に近い感情だったリューから明確に自分を咎める意志を感じたベルは、信じてくれたことに対する感謝も込めて素直に頭を下げた。

 

「少し、お時間を頂いてもよろしいですか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

 ややあって。服の他に武器やポーチを回収したリューは、ベルに声をかけて歩き出した。それに続きながら、ベルは口を開く。

 

「てっきり帰ったのかと思ってましたが、まさかずっと森の中に?」

 

「はい。野暮用があったのと、あまり顔を見られたくなかったので……神ヘルメスから、私の話は聞きましたか?」

 

「いえ、何も」

 

「そうでしたか……いえ、ここまで来てしまえば、もう隠し立てする必要もありませんね。行きましょう」

 

 ベルを先導するリューの足取りは、この森を知り尽くしているかのように確固たるものだった。そうして20分ほど何事もなく歩き、彼女の言う野暮用がある場所にたどり着く。

 

「……彼女たちに花を手向(たむ)けるために、私は時折ミア母さんに(いとま)を貰っています」

 

 そこは、墓地だった。木々と水晶に囲まれた僅かばかりの開けた空間に、くたびれた旗といくつかの武器が地面に突き立てられている。

 

「私の素性を知る者が現れたのなら、いずれ貴方にも知れるでしょう……自らの口で話せなかったことを、後悔したくはない」

 

 身勝手ですが聞いて貰えますかと、墓に美しい白い花をそえてから彼女は言った。

 

「私はギルドの要注意人物一覧(ブラックリスト)に載っています。冒険者の地位も既に剥奪され、一時期は賞金もかけられていました」

 

「それは、また……」

 

 信じられない言葉に、ベルはなんと言えばいいのか分からなかった。

 

「正義と秩序を司る女神アストレア様のもとで、私は少なからず名を馳せていました」

 

 リュー・リオン、2つ名は疾風。当時からフルネームは知られておらず、覆面もしていた為、素性は謎に包まれていた。

 

「私達のファミリアは都市の治安維持も行っていて、対立する者も多くいました。ある日、敵対していたファミリアにダンジョンで罠に嵌められ、私以外の団員は全滅……遺体を回収することもできず、当時の私はここに仲間達の遺品を埋めました」

 

 ベルはエイナから聞いていた。ほんの5年前まで、オラリオには今と比べ物にならないほど多くの悪が蔓延(はびこ)っていたと。

 

「生き残った私は、アストレア様に全てを伝え、この都市からおひとりで去って欲しいと懇願しました」

 

「逃がしたかったんですね」

 

「いいや、違う。激情に駆られ、私怨を晴らすため復讐に走る、醜い私の姿を見て欲しくなかったからです」

 

 もっと自分本位で浅ましい動機だと、リューは頑なに否定した。そして当時の感情の一端を覗かせながら、彼女は話した。

 単独でファミリアを相手取る無謀な仇討ちは、成功した。闇討ち、奇襲、罠……手段を(いと)わない襲撃に晒され、大組織であった敵対派閥はたった1人に息の根を止められた。 そして、それだけでは終わらなかった。彼女の矛先は、その組織だけでは飽き足らず、組織と関係をもった者にも向けられたのだ。

 それが行き過ぎた報復行為とみなされ、多くの者から恨みを買い、賞金をかけられた。癒着していたとはいえ、職員(みうち)にも被害が及んだギルドは、彼女を罰さないわけにはいかなくなった。

 

「復讐をやり遂げた私は、力尽きました。血に濡れて、汚泥にまみれ、誰もいない暗い路地裏で。……相応しい末路だった」

 

「……シル、か」

 

「そうです」

 

 仲間を失い、憎しみの炎という燃料も失った彼女を生に繋ぎ止めるものは、既になかった。しかし、シルのしつこいお節介が、連れ戻した。そうして、豊穣の女主人に……と。

 

「……耳を汚すような話を聞かせてしまって、すみません。つまるところ、私は恥知らずで横暴なエルフということです──貴方の信頼を裏切ってしまうほどの」

 

「リューさん。自分を貶めるような真似はやめてください、貴方の悪い癖だ」

 

「これは……一本取られましたね」

 

 唖然として空色の瞳を見開くリューの視界に映るのは、満足気に笑うベルの姿だった。わざわざ露悪的な物言いをして、一体なにを言って欲しかったのかは知らないし、知りたくもない。だからベルは、本人から引用して意趣返しをした。

 顔から冷たさが少し取れて、空気が穏やかになったからか、彼女は話し始めた。

 

「私がオラリオに来たのは……見目麗(みめうるわ)しいとされる私達エルフこそが、その実、最も醜いのではないかと思ったからです」

 

 自分たち以外の種族に対して、外見も中身も醜いと決め付け、交流を嫌って里に閉じこもる同族に、リューは耐えられなかった。ほとんどの同胞がそんな状態なのだから尚更。

 

「私は、尊敬し合える仲間が欲しかった」

 

 同胞(エルフ)に囲まれていては手に入れられないもの。種族や容姿は関係なく、互いに人格を認めて敬い、笑い合える友人。

 

「しかし結局のところ、私は同胞と何も変わらない鼻持ちならないエルフでしかなかった。同胞を嫌ってこの都市に訪れた筈の私は、覆面を被り、挙句の果てには差し伸べられた手をことごとく打ち払ったのです」

 

 染み付いたエルフの風習が、リューを縛っていた。

 同胞に抱いていた失望が、(ひるがえ)って自身を(さいな)んだ。

 

「でも──」

 

「えっ」

 

「──こんな風に、私の手を取ってくれる人が、握れる人がいたんです」

 

 こちらに歩み寄って片手をとり、それを自身の両手でそっと包み込むリューに、今度はベルの方が唖然とさせられた。握り返したら折れそうなほどにか細く、柔らかく、水浴びをしていたからかひんやりとした感触に、ベルは頬を染めた。

 

「これで貴方とは2回目ですね。もっとも、前回の方がより深く触れ合っていたと思いますが」

 

「あの、リューさん?」

 

「この女性(ひと)はお前が触れていいような存在じゃない……でしたか」

 

 動揺しつつ、ベルはLv2にランクアップした祝賀会のことを思い出した。酔った冒険者が無遠慮にリューを触ろうとした時のことだ。

 

「あの時は本当に驚いた。いきなり私を抱きとめた貴方にも、それを振り払わなかった私自身にも」

 

 今まで見たこともない意地の悪い眼差しのリューを見て、ベルが頬をひきつらせる。それは、意趣返しの意趣返しだった。

 

「私が最初に振り払わなかったのは、貴方で3人目です」

 

 1人目は、自分をファミリアに誘った、快活な冒険者の少女。2人目は、冷たくなっていく自分に温もりと居場所を与えてくれた、優しい酒場の少女。そして3人目が、目の前の、ベル・クラネル。

 

「そんなに不思議そうな顔をしないでください。私は今日まであなたの言動を目にしてきました。その上で、貴方の弱さが、ひた向きな意思が分かった」

 

 ベルの瞳が揺れる。自分を弱いと言ってくれる相手に、自分の弱さを理解してくれる相手に、これまでほとんど会ったことがないからだ。

 

「クラネルさん、貴方は優しい。貴方は、尊敬に値するヒューマンだ」

 

 リューの、笑顔。明確に笑った姿を、ベルは初めて見た気がした。それは、いつも冷静然とした顔立ちから、溶け出てきたような淡い笑み。細い眉を柔らかくして、小振りな唇が綻ぶ。そして、それに呼応するように輝く美しい魂の光。

 

「……クラネルさん?」

 

 ベルは天を仰いだ。今リューを見るくらいなら、太陽のように輝く水晶を見ていた方が、まだ目に優しいと思ったからだ。そして、話を逸らす。

 

「リューさん。今日は森の中ではなく、うちのファミリアのテントで休みませんか」

 

「……好意はありがたいですが、私の姿を見る相手は少ない方がいい。もし素性が割れてしまえば、貴方も仲間も危険に晒してしまう」

 

 顔を伏せたリューの、未だ握られた手から伝わる弱々しい力が、ベルを再起させた。今度はこちらから両手で握り返し、曖昧だった手の力も逃がさないと言わんばかりにしっかり入れて、視線を交わす。そして、言った。

 

「例えギルドが、オラリオが敵に回ろうとも……俺が、貴方を守ります」

 

「──っ!?」

 

 先程まで清楚な白い花のようだったリューの顔が、真っ赤に染まる。逆にベルの顔は赤みが全くない真剣そのものといった風で、その射抜くような視線からは力強い意志を感じた。

 

 ──俺が、貴方を守ります。

 

 リューの脳内にベルの言葉がリフレインする。同胞をもドン引きさせる恋愛観を持つリューは、シチュエーションにトコトンこだわるタイプだった。

 

 今の周りの状況。密集した木々によって光が遮られ、日中とは思えない薄暗さの中。2人がいる僅かな空間だけは、木々の隙間から暖かな陽光が差し込んで明るかった。それはまるで、スポットライトを当てているかのように。柔らかな風が草木を揺らす音、小川の流れる音……優しい環境音が、ダンジョンの中でも故郷を思わせるような自然の演出に一役買っている。美しい白い花の手向けられた墓標を傍に、それらの中心で互いに手を握り合い熱烈な視線を交わす男女。

 

 端的に言って、絵になる光景だった。

 

 それを認識した瞬間、ベルは宙を舞っていた。

 

「おおおっ?!」

 

 下手人は、リュー。完全なる不意打ちであった。

 

「私はいつも、やり過ぎてしまう……しかし、その、すみません、今はあなたの顔を直視することに耐えられない……」

 

「…………」

 

 自分の倍以上の力で投げられたベルは声が出せなかった。普通に大ダメージだった。なんならちょっと地面に埋まってた。

 

「し、失礼します!」

 

 リューは走り去った。ピクリとも動かないベルを置き去りにして。

 





普通とは異なり容姿に加え魂の美醜も分かるベルくんは、両方とも綺麗な相手に割と弱いです。まさに今回目を焼かれかけたリューさんとか。ヘスティアは魂だけならぶっちぎりで1位ですが、容姿がロリ巨乳なのでセーフでした。アストレアはヤバい。

それに関連して暗黒期スタートの場合。
まず年代的にベルくんにはならず容姿は自分のままです。
オラリオに来たらアストレアに一目惚れして眷属に。女神の使徒としての側面が強く出た勇者スキルが生え、悪人特攻をぶん回す勇者無双が始まります。ただザルドとアルフィアを回収してオラリオ外まで逃げることになりそう。
ザルドは死ぬけど、アルフィアはベルくん(原作)と出逢えばマザーパワーで病気を克服できるので生存。原作開始と同時にオラリオに帰ってきてアルフィアとの夫婦ムーブを見せつけ、色んな人の脳を破壊して回り、ソードオラトリアがイージーモードになります。ちゃんちゃん。
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