英雄になれない元勇者   作:ダンまち=スキー

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前話での感想でベルくんが軽薄だと言及されていまして、そのコメントに対して低評価がそこそこ付いてましたが、それは実際そうなんですよね。いや、ちょっと的外れなことも書いてたのでそのせいかもしれませんが。

うちのベルくんは頭が良くない上に戦うこと以外はポンコツなので、基本的に考えは浅いし思慮に欠け軽はずみです。それに加え前世での戦いの日々で色々と壊れて全自動救済マシーンになってるんですね()

なんで助けたのかと聞かれたら困っていたからと答え、お前ホントに冒険者かよとオラリオ人に呆れられるタイプの人間なのです(今話参照)。うーんこれは軽薄。
シルとこのやり取りをすると、誰でもよかったんですね〜と言われながら脛を蹴られます。

あと低評価及びコメントはどしどし受け付けてますが、できれば優しく書いて頂けると嬉しいです。
ざーこ♡ ざーこ♡ メンタルよわよわ♡ 作者やめろ♡
メスガキのオリキャラが出てきたら私は壊れたと思ってください。対戦よろしくお願いします。


サポーターと神託と

 

 いつものダンジョン帰り。もうすっかり夕暮れ時で、空は茜色に染まっている。ベルは少し買い物をしてから、廃教会(ホーム)への道中にふさわしい路地裏に入る。そして、聞こえる2つの足音。普段は誰もいない筈のそこに、大小1つずつのそれが聞こえた。

 

「あうっ!?」

 

「うおっと」

 

 ホームの近くで面倒事はマズイと曲がり角から音源を覗き込むと、少女が飛び込んできたので受け止める。

 

「大丈夫か?」

 

「ぅ……っ」

 

 腕の中でもぞりと動く小さな少女。成人しても身長が120くらいしかない、名前通りの小人族(パルゥム)だ。少女はもっと小さい。

 

「追い付いたぞ! この糞パルゥムが! もう逃がさねぇからな!」

 

 息を切らす男は怒りに満ちた表情をしていた。身なりからして、冒険者。少女の容姿も相まって、非常に犯罪的な絵面である。ベルは腕の中の少女をそっと立たせ、その小さな体を隠すように前に出た。

 

「あぁ……? ガキ、邪魔だ。そこをどきやがれ」

 

「……まずは事情を聞きたい」

 

「うるせぇ! 今すぐ消え失せねぇと後ろのそいつごとぶった斬るぞ!」

 

(ど、どけるわけね〜)

 

 この一瞬でベルは、街中での刀傷沙汰、治安を維持しているガネーシャ・ファミリアからの事情聴取、エイナからの説教を覚悟した。

 ダンジョン帰り故に背負っているバックパックを路地の隅に投げ、漆黒のナイフを抜く。その行動に、冒険者の男だけではなく、少女も驚きをあらわにする。

 

「何なんだよテメーは! そのチビの仲間なのか!?」

 

「いや、初対面」

 

「じゃあ何でそいつを庇ってんだ!」

 

「えーと……うーん……困ってそうだから?」

 

「なんなんだテメーは?! ホントに冒険者かよ!」

 

 ベルがこの少女を庇ったことに特別な理由はない。

 なぜ命を危険に晒してまで登山をするのかという疑問に、登山家が『そこに山があるから』と答えたように。ベルは『そこに困っている人がいるから』助けているだけ。

 

 その冒険者らしからぬ発言に驚きつつも、男の殺意は衰えない。獰猛(どうもう)な笑みを浮かべ、堂々と一歩間合いを詰める。そして次の瞬間、男は剣を振りかぶって飛びかかる。

 

「やめなさい」

 

 が、男の剣が振り下ろされることはなかった。

 場に割って入ったのは、豊穣の女主人の店員、エルフのリュー・リオン。職場の制服に大きな紙袋を片手に抱え、いかにも買い物帰りですという格好の彼女は、しかし鋭い視線で冒険者の男を射抜く。

 

「次から次へと……今度はなんだ!?」

 

「貴方が危害を加えようとしている彼は、私のかけがえのない同僚の伴侶となる方です。手を出すのは許せません」

 

「「何言ってんだコイツ?!」」

 

 その場にいた男2人の声が被る。後日、シルがデコピンによって額を赤くすることが確定した。

 

「どいつもこいつも訳のわからねぇことをッ……! ブッ殺されてぇのか! あぁ!?」

 

「吠えるな」

 

 ──空気が凍る。大声で喚き散らしていた男が言葉を呑み込んだ。目を細めたエルフから感じる途轍(とてつ)もない威圧感に、狼狽(ろうばい)したからだ。

 

「手荒なことはしたくありません。私はいつもやり過ぎてしまう」

 

 沈み行く夕日を背負い、淡々とリューは言った。あたかも最終通告かのように。

 

「チッ……」

 

 男が退散する。ただのチンピラかと思いきや、実力差を察することくらいは出来たらしい。いや、チンピラだからこそか。なんにせよ、街中で剣を交えるという穏やかでない展開にならずベルは安堵した。

 

「大丈夫でしたか?」

 

「はい、ありがとうございました」

 

「いえ、こちらこそ差し出がましい真似を。貴方なら1人でなんとかしたでしょう」

 

「いえ、助かりました」

 

 立ち振る舞いから見るに、あの冒険者の男は自分と同じレベルの相手、かつ対人戦の訓練を積んでいない素人だ。しかも武器の性能差が大きすぎる。まず相手にはならないだろう。

 しかし、その場合は街中での戦闘行為が発生する。面倒事を抱えることになるので、助かったのもまた事実だった。

 

「それでは、私はこれで」

 

「はい。本当に、ありがとうございました」

 

 互いにお辞儀を交わし合い、2人はその場で別れる。ベルが周囲を見渡しても、パルゥムの少女はいなかった。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 バイトが増えたことによる疲労でベッドに沈んでいるヘスティアに苦笑しながらホームを出て、新たな神託のことを考えながらダンジョンに向かって歩いていたベルは、突如として声をかけられる。

 

「お兄さん、お兄さん、白い髪のお兄さん」

 

「君は昨日の……」

 

 声は下から。そこにいたのは、クリーム色のローブを纏い、栗色の髪をした小さな少女。その背中には体より1回り2回り……いや、それ以上に大きいバックパックを背負っている。

 

「初めまして、お兄さん。突然ですが、サポーターなんかを探していませんか?」

 

「いや……ちょっとフードを取ってくれるか?」

 

「へ? か、かしこまりました……」

 

 目に見えて動揺した少女がフードを取ると、そこにはぴょこぴょこと揺れ動く可愛らしいケモミミがあった。ついでにシッポも揺らめきながら現れる。

 

「うっそだろ……」

 

 ベルは驚いた。昨日の少女と似すぎているのにパルゥムではなかったこと、ではない。同一人物だとは見た瞬間に分かっていた。

 魔力が存在しない世界で産まれ生きてきたベルは、天性の感覚の鋭さも相まって、魔力の感知能力が非常に高い。物理的に改造するならともかく、魔法による変装は絶対にバレる。

 

 驚いたのは、その耳と尻尾が本物だったからだ。そう言うと語弊(ごへい)はあるが、要は幻影などではなく、耳と尻尾としてちゃんと機能していた。

 

 変身魔法。獣人になって獣化すれば身体能力が爆上がりして強いなーと、前世でベルがやろうとして遂には実現しなかった机上の空論。その完成系が、目の前にあった。なにかしらの制限はあるのだろうが、魔法によって後付けされた部位がしっかり機能しているという事実だけで、ベルにとっては十分だった。

 

 新たな神託を思い出す。

 

【サポーターを見つけろ】

 

 とてもザックリとした内容だ。オラリオにはサポーターなんて無限にいる。どうやって探せばいいのか途方に暮れていたが、今見つけた。ベルはこれを運命だと判断した。

 たが、ここですぐ勧誘はしない。普通に不審者扱いされそうだし、まずは友好を深めてからにしようと思ったからだ。

 

「よし、組もうか」

 

「冒険者さんのおこぼれにあずかりたい貧乏なサポーターが自分を売り込みに来ているんです! どうかリリを連れて行ってくれませんか!?」

 

「うん、だから組もう」

 

「……へ? あ、ありがとうございます!」

 

 疑われていた状況から一転、なぜか積極的に組もうとするベルに、少女は目を白黒させた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

「改めて、ベル・クラネルだ。よろしく頼む」

 

「リリの名前はリリルカ・アーデ、ソーマ・ファミリア所属のLv1です。よろしくお願いします」

 

 バベル2階層の簡易食堂にて、ベルとリリは対面していた。

 

「一般的に、別々のファミリアの構成員が繋がりを持つのはあまりよろしくないとされているが、なぜ俺を?」

 

「リリはこんなに小さいですし、腕っ節もからっきしなので、同じファミリアの仲間に愛想をつかされてしまったんです。頼んでも誰も仲間に入れてはくれないんですよ」

 

 つまりは仲間外れ。ヘスティアの元でまさに家族みたいなファミリアをしているベルとしては、信じられないような話だった。

 だが、納得もする。結局のところ冒険者に必要なのはフィジカルだ。同じステータスの2人が戦うなら、素の体格に優れる方が有利、これは純然とした事実である。それも、下手したら小学生より小さいパルゥムなら尚更。

 

「それで、契約書でも書けばいいのか? 契約金を払ったりとか?」

 

「いえ、まずはお試しということで。リリは3割も恵んで貰えると飛び上がってしまうほど嬉しいです」

 

「了解。それじゃあ申し訳ないが、明日から頼んでいいか? 今日はこれから急用がある」

 

「はい! それでは明日からよろしくお願いします!」

 

 屈託のない笑顔をしていたリリと別れたベルは、目的地へと向かう。

 

(さて。慣れないことをしなきゃならんが、将来のパーティメンバーのためだ。頑張りますかぁ)

 

 

 

 

 

 ◇

 

「ベルさん、もっと強く抱きしめてください♪」

 

「えぇ……」

 

「へぇ、そんな態度でいいんですか? 魔導書(グリモア)が出ますよ?」

 

「どんな脅しだよ……」

 

 ギルドでソーマ・ファミリアについて調べた帰り、リューの言っていた将来の伴侶うんぬんについて問い詰めるべく豊穣の女主人に訪れたベル。

 尻尾が生えていたらぶんぶん振ってそうな態度で近付いてくるシルにデコピンをかまそうとしたところ、 彼女は『実は私、ベルさんに密着している時だけソーマ・ファミリアの重大な情報を喋りたくなっちゃう気分なんです♪』と抜かしやがったのだ。

 

 ベルは脅しに屈した。

 

 ちなみに魔導書(グリモア)は読むと魔法を習得できる使い捨ての本で、その値段は億にまで届き得る。

 




ベルニウム、チャージ全開!
Fエンジンがぶるんぶるんと唸りをあげる!

変身魔法って実はやってることエグいですよね。

ベルくんは大体の魔法を再現できますが、いくつか無理な魔法もあり、変身魔法はその1つです。リヴェリアの魔法みたいに規模はともかく効果が単純な魔法ならポンポン真似できます。まぁ真似する意味が無いのでしませんけども。脱法エルフリングですね、これにはレフィーヤもニッコリ。
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