北米の妖精と戦場のノイズ   作:ナイトメア・ゼロ

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第一話 ファーストコンタクト

 連邦軍に鹵獲されたザク部隊を撃破した日の夜。地球方面軍第二地上機動師団、第十一MS大隊司令部付き特務小隊、通称【ノイジー・フェアリー】に配属されたアルマ・シュティルナー少尉は、夜遅くに尿意を感じて目を覚ました。

 

「ふわぁ〜」

 

 大きなあくびをしながらアルマは、ベッドから起き上がると目をこすりながらトイレに向かった。

 トイレを終えてから時計を見ると時間はまだ夜中の2時。まだ寝れると思ったアルマは大きなあくびをしながら長い廊下を歩き部屋へ戻ろうとした。すると。

 

「?」

 

 窓から奇妙な光が入って来た。首を傾げ「なんだろう」と思ったアルマは窓から外を見るとアルマは言葉を失った。

 

「・・・・何・・・・あれ?」

 

 空が光っていたのだ。月の光でも星々の光でもない。ティルナノーグを全て包み込む謎の怪しい光。それはまるで花火のように炸裂し花びらの舞のようにキラキラが渦巻いていた。

 それを見たアルマは。

 

「・・・・・きれい」

 

と、ポツリと呟いた。

 初めて見る不思議な光景にアルマは完全に魅了されていた。謎の光は約10秒くらいだろうか。しばらくティルナノーグを包み込んでいたが徐々に光が消えていき最終的に完全に消えてしまった。

 しばらくアルマは、光に魅入られた虫のようにその場を動かなかった。すると。

 

「シュティルナー少尉!」

 

 肩を強く叩かれ初めて我に返った。振り返るとそこにはノイジー・フェアリー隊の副隊長、バルバラ中尉がいた。

 

「ば、バルバラ中尉!?」

 

「こんなところで何をしているんだシュティルナー少尉」

 

「え、えっと・・・・その、トイレに」

 

 アルマはなぜか人差し指をツンツンと合わせ目を逸らしながら誤魔化すように答えた。

 

「まったく、明日もモビルスーツ戦闘訓練がある。さっさと休んでおけ」

 

「は、はい」

 

 バルバラ中尉が強めにそう言うとアルマは気をつけをして返事をすると慌てて部屋に戻った。

 それを確認してからバルバラ中尉は、窓から外を見た。

 

「・・・・シュティルナー少尉は、一体何を見ていたんだ?」

 

 バルバラ中尉は、そう呟いて外を確認するが特に異常がなかったので持っていた資料を資料室に運び込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の朝、アルマは、ノイジー・フェアリー隊の本拠地であるティルナノーグの大部屋で朝食を食べていた。

 

「ふわぁ〜」

 

「どうしたんですかアルマさん?」

 

 大きなあくびをしたアルマに声をかけたのはアルマと同じMSパイロットでありツィマット社から来た技術士官、ミア・ブリンクマン技術少尉だった。

 

「なんだ?寝不足かアルマ?」

 

 ミアの右隣に座っている少女、ノイジー・フェアリー隊のエーススナイパー、ヘレナ・ヘーゲル曹長は、パンを齧りながら言った。

 

「うーん、寝不足というよりも興奮して目が覚めちゃったのかな?」

 

「興奮?何かあったのアルマ?」

 

 アルマの発言にミアとヘレナは首を傾げるがノイジー・フェアリー隊の隊長、キリー・ギャレット少佐が少しだけ反応した。

 

「キリーさん。実は昨日の夜なんですけど外ですっごく綺麗な光を見たんですよ!」

 

「綺麗な光?」

 

「はい!まるで花火みたいに光が炸裂して、海を自由に泳ぐ魚の群れのように綺麗なキラキラした光がその中を泳いでたんですよ!もう、みんなにも見せたかったなー!本当に綺麗でしたから!」

 

 アルマは、興奮して少しだけ早口になると。

 

「アルマさん」

 

 ミアが少し心配した顔をしていた。

 

「一回、医務室に行きましょうアルマさん」

 

「酷くない!?」

 

 ミアの発言にアルマはショックを受けた。

 

「だってそんな大きな現象が起きてたなら誰かが気づくはずですよ。そんな話聞きませんし目撃者がアルマさんだけなのもおかしいですよ」

 

「アルマの嘘か夢かのどちらかだな」

 

 ヘレナもヘラヘラと笑いながら答えた。

 

「うーん、そう言われるとやっぱり夢だったのかなー?」

 

 アルマはパンをちぎって口に入れているとキリー少佐が顎に手をやり少し考えていた。

 

「ねぇ、アルマ。それって」

 

 キリー少佐が何かを訊こうとした。すると。

 

「ギャレット少佐!!」

 

 バルバラ中尉が大慌てで入って来た。

 

「どうしたのバルバラ?そんなに慌てて」

 

「大変です!このティルナノーグに侵入者が!!」

 

 バルバラ中尉から侵入者の報告を受けるとアルマ達は、食事を中断して慌てて現場に向かった。

 現場に到着するとそこには、整備班長のイルメラと何人かの警備兵がいた。

 

「イルメラ、何があったの?」

 

「キリー少佐。バルバラから聞いてるだろ?食糧庫に侵入者が入ったんだ」

 

 イルメラの報告を聞いてアルマ達が食糧庫を覗くとそこにはバナナの皮や食べかけのリンゴ空になった缶詰が落ちていた。

 

「お腹空いてたのか知らないけど警備兵がここから音が聞こえるって聞いて開けてみたら侵入者が食い荒らしてたみたいだよ」

 

 イルメラは、呆れたような目でそう言った。

 

「それで侵入者はどこに?」

 

「逃げたらしいけど外には出てないみたい」

 

「?なぜ分かるんだ?」

 

 バルバラ中尉が訊ねるとイルメラは下を見るように言い廊下の絨毯を見た。

 

「目撃者の話だと侵入者はなんでか分からないけど濡れてたらしい。服も髪もずぶ濡れだったみたいだよ」

 

 そう言って食糧庫を指さすと服を絞ったのか確かに少しだけ水たまりができていた。

 

「逃げる時もいくつかの食糧を持って慌てて逃げたみたいだけどこの水跡を辿れば侵入者もどこに隠れてるか分かるかもしれない」

 

 イルメラの報告を聞くと。

 

「ギャレット少佐。侵入者が何者なのか分からない以上武装をして事に当たるべきです。銃火器の使用の許可を」

 

 バルバラがそう進言するとキリー少佐は少し考え。

 

「アルマ、何か嫌な感覚は感じないかしら?」

 

「えっ?私ですか?うーん・・・・特に私は何も感じませんけど」

 

「少佐!何を言って」

 

 キリー少佐は、クスリと笑い。

 

「それじゃとりあえず捕縛の方向でいきましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、なんであたしらがその侵入者を捕まえなきゃいけないんだ?」

 

 不服を言いながらヘレナは、右手に持っている刺股で右肩をポンポンと叩いた。

 

「キリー少佐の指示ですから仕方ありませんよ」

 

 同じように刺股を持ったミアが答えた。

 

「みんな!水跡がこっちに続いてるよ!」

 

 アルマも刺股を片手に水跡を追いかけていた。しばらく廊下を歩いていると。

 

「ここに入ったみたい」

 

 そこはピアノが置いてある防音室改め音楽室だった。アルマ達はゆっくりと扉を開けるとそこには疲れ果てたのか部屋のど真ん中で眠っている少年がいた。

 

「あいつが侵入者か?」

 

「私達と同じくらいの子ですね」

 

 この時、アルマはなぜか分からないが侵入者の少年から目が離せなかった。

 

(何この感覚?)

 

 アルマ本人も理解できない不思議な感覚を感じていると。

 

「それじゃ、さっさと捕まえるか」

 

 ヘレナは小声でそう言うと音を立てないようにそーっと防音室に入った。

 すると。

 

「っ!!」

 

 突然、眠っていたはずの少年が目を覚まし飛び起きた。

 

「えっ?」

 

 突然のことにヘレナは目を丸くすると。

 

「な、何やってるんですかヘレナさん!」

 

「いや、アタシじゃない!音も何も立ててないし声だって小声だったし!」

 

そう言ってる間に少年はその場から逃げ出そうとしていた。しかし、アルマが回り込み刺股を構えると。

 

「ここから先は行かせないよ!」

 

と、言った。

 すると、少年は突然顔を顰め耳を塞いだ。

 

「え?」

 

 突然の奇行にアルマもミアもヘレナも驚いていると。

 

「う、うるさい。大きな音を出すな」

 

 少年は苦しそうにそう言った。

 

「えっ?えぇ!?私、そんなにうるさかった!?」

 

 アルマが声を出した瞬間、少年はガマンできなくなったのかついに膝をついた。

 

「た、確かに普段よりは声が出てましたけど・・・・って、いくらなんでも大袈裟すぎますよ!」

 

 膝をついた少年を見てミアも思わずツッコミを入れると。

 

「だから、うるさい!!静かにしろ!!」

 

 少年の息は荒くなりそして遂に倒れてしまった。

 

「お、おい、大丈夫か?」

 

 ヘレナは近づいて刺股で少年の体を突いてみるが少年の反応はない。どうやら気を失ってしまったようだ。

 

「な、なんなんだこいつ?」

 

 とりあえず、侵入者の少年は捕まえることに成功したのだった。

 これが後に、連邦軍からは【北米の魔女】、ジオン軍からは【北米の妖精】と呼ばれた少女達と連邦軍から【ノイズ】と言うコードネームをつけられた少年のファーストコンタクトだった。

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