龍騎外伝 仮面ライダースティーガ&王蛇   作:巽★敬

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オリジナルライダーを絡めた龍騎外伝シリーズ第三弾。 今回はかなり以前から構想を練っていたライダーの話になります。
一応AIに書かせているので苦手な方はご注意を。

明日はいよいよ「アギト超能力戦争」公開ですね。 公開当日に観れないのでネタバレ防止の為に暫くはSNSから離れようと思います。


#01

 

深夜に輝く満月。

 

鏡の向こう側、左右が反転した無機質な世界

 

――ミラーワールド。

 

そこでは今、二人の仮面ライダーによる熾烈な火花が散っていた。

 

「浅倉あああっ!」

 

鋭い叫びと共に白銀の鎧を纏った戦士、

仮面ライダーファムが、

レイピア型召喚機ブランバイザーを突き出す。

 

仮面の下にある「霧島美穂」の瞳は、復讐の炎で真っ赤に染まっていた。

最愛の姉を、ただの「暇つぶし」で殺害した男。

その仇である浅倉威を地獄へ送るため、そして死んだ姉を蘇らせるため、彼女は己の命をチップにこの戦いへ身を投じたのだ。

 

対する仮面ライダー王蛇――浅倉威は、その猛攻を牙のような剣、ベノサーベル一本で軽々といなす。

 

「しつこいなぁ、お前も。そんなに俺が気に入ったか?」

 

歪んだ笑いを含んだ声が、王蛇のバイザー越しに響く。

 

「ふざけるなッ!」

 

憤慨し、なりふり構わず斬りかかるファム。

だが浅倉の暴力は野生そのもの。

洗練されたレイピアの刺突を最小限の動きでかわし、重い一撃を叩き返す。

美穂一人の力では、王蛇という怪物を仕留めるにはあまりに距離が遠い。

 

その時、王蛇の肩口で火花が弾けた。

重い銃声。

現れたのは、重火器を模した緑の装甲を纏い銃口を向けて悠然と立つライダー。

敏腕弁護士・北岡秀一が変身した、仮面ライダーゾルダだ。

 

「よう、大丈夫か?」

 

マグナバイザーを構えたままゾルダが声をかけるが、ファムは彼を鋭く睨みつけた。

 

「余計な手を出すな!  お前の力なんか借りるか!」

 

美穂にとって、北岡もまた憎悪の対象だった。

浅倉に極刑を望んでいた彼女にとって、弁護を引き受けて減刑を勝ち取った北岡は、浅倉の凶行を助長させた片棒を担ぐ共犯者に等しい。

しかし、ゾルダは呆れたように肩をすくめる。

 

「そう言うなって。俺だって、コイツにはうんざりしてるんだ」

 

迷いなく引き金を引き、王蛇の足元を爆砕する。

北岡にとっても、自分を無罪にできなかった「役立たず」と逆恨みし執拗に命を狙ってくる浅倉は、真っ先に片付けたい火種だった。

二人のライダーから敵意を向けられ、絶体絶命の包囲網。

だが、王蛇は首を鳴らし、歓喜に満ちた声を上げる。

 

「ははは、二人がかりか? いいぜ……もっと楽しませろよッ!」

 

二人のライダーを相手に、王蛇は狂気に満ちた笑声を上げながらベノサーベルを振るう。

野生の勘と圧倒的な暴力。ファムの刺突を弾き、ゾルダの銃撃を紙一重で回避するその姿は、まさに戦いを楽しむ獣だった。

 

だが、その獣の身体に異変が生じる。

王蛇の装甲の端々から、微細な粒子が噴き出し始めたのだ。

 

ミラーワールド内でのライダーの活動には、厳格な制限時間がある。

現実世界から反転したこの空間に、生身の人間は長時間存在できない。

契約モンスターの力で鎧を纏っていても、その限界は刻一刻と迫る。

今回浅倉は、自分を捜索する警察から逃れる為に、一足先に鏡の世界へエントリーしていたのだ。

そのツケが今回ってきたのである。

 

「……チッ、時間切れか」

 

バイザーの奥で浅倉が忌々しげに舌を鳴らす。身体の粒子化が加速し、視界が歪み始める。

 

だが、ファムとゾルダがその好機を逃す筈も無い。

 

「逃がすかッ!」

「浅倉、覚悟ぉ!」

 

復讐に燃える白い刃と、冷徹な緑の銃口が、同時に王蛇へ向けて放たれた。

絶体絶命の暴力の嵐が、浅倉を飲み込もうとした、その時――。

 

《SHOOT VENT》

 

無機質な音声が、戦場に響き渡る。

 

直後、斜め上空から、空を切り裂く金属音が降り注いだ。銛のように鋭い、複数本の矢。

その一矢が、ゾルダの構えていたマグナバイザーの銃身を正確に弾き飛ばす。

 

「なにっ!?」

 

不意を突かれたゾルダの姿勢が大きく崩れた。

残りの矢は、王蛇へ踏み込もうとしたファムの足元に着弾し、爆発的な火花を散らす。

ファムは僅かな後退を余儀なくされた。

 

「……誰だッ!?」

 

突然の介入に、ファムとゾルダが矢の飛んできた方角を見上げる。

 

ビルの屋上。

逆光の中に、クリムゾンレッドの装甲を纏った、見知らぬ仮面ライダーが立っていた。

その手に握られているのは、

禍々しいサソリの尾を模したボウガン―――ディスアローガン。

腰のVバックルに装填されたカードデッキには、黄金に輝くサソリの紋章が刻まれている。

 

謎のライダーは、呆然とする二人に狙いを定め、躊躇なく次弾を放った。

降り注ぐ光の矢を回避しようと、ファムとゾルダが散らばる。

その隙を見逃さず、謎のライダーは屋上から戦場へと向かって、果敢に飛び降りた。

 

空中。地面へ激突するまでの僅かな時間、

そのライダーは腰に帯びた剣型の召喚機――ディスティングバイザーを引き抜く。

 

凄まじい衝撃と共に、二人のライダーの眼前へ着地。

土煙の中から現れた謎のライダーは、着地の勢いのまま、引き抜いた剣を横一文字に振るった。

 

カシャッ。

 

柄の部分にあるトリガーが引かれると同時に、強固に見えた剣の刃が分割され、節々をワイヤーで繋がれた、鋭利な鞭へと姿を変える。

蛇腹剣。

予期せぬ「間合いの外」からの攻撃。

凶悪な多段刃の鞭が、ファムとゾルダの装甲を容赦なく切り裂いた。

 

「ぐあああっ!」

「な、何だ、この剣は……!」

 

不意の激痛に、二人が大きく怯む。

 

その一瞬。

謎のライダーは、粒子化が止まらない王蛇の元へ駆け寄ると、

その大きな手をごく自然に取った。

 

「さあ、こっちです」

「あ?」

 

バイザー越しに響いたのは、

この殺伐とした戦場にはあまりに不釣り合いな、幼さの残る少女の声だった。

 

呆然とする王蛇を促し、謎のライダーは、近くのビルのガラス窓――現実世界へのゲートへと向かって、迷いなく走り出す。

王蛇の身体がガラスに吸い込まれ、続いて謎のライダーも、その姿を消した。

 

静寂が戻ったミラーワールド。

残されたファムは、武器を取り直そうとするゾルダを差し置いて、

悔しげに地面を殴りつけた。

 

「くそ……ッ! 何なんだよ、アイツは……!」

 

霧島美穂の叫びは、鏡の中の無機質な世界に、虚しく虚空へと消えていった。

 

 

 

            ◆

 

 

 

路地裏の静寂を切り裂くように、ビルの巨大なガラス面が激しく波打った。

 

鈍い音と共に、二人の仮面ライダーが現実世界へと吐き出される。

アスファルトに着地した瞬間、彼らを包んでいたクリムゾンレッドと紫の装甲が粒子となって霧散し、

本来の「人間」の姿が露わになった。

 

浅倉の目の前に立つのは、自分よりも一回り小さな体躯の少女だった。

黒いオーバーサイズのパーカーのフードを深く被り、

マスクで顔の下半分を隠している。

フードの隙間からは、艶のある黒い長髪が夜風に遊んでいた。

 

すると、遠くから、鋭いパトカーのサイレンが夜の空気を震わせる。

 

脱獄犯・浅倉威。

その凶行と特異な風貌はすでに市民に知れ渡っており、

この街に彼を拒まない場所など、どこにも存在しない。

 

「……こっちです。さあ、早く」

 

少女が振り返った。

マスクとフードの間から唯一露出した、吸い込まれるように黒く、

それでいて熱を帯びた瞳が浅倉を一瞥する。

その声には、年相応の幼さと、それに見合わぬ奇妙な落ち着きが同居していた。

 

「…………」

 

浅倉は首の骨をポキリと軽く鳴らし、忌々しげにサイレンの音を睨みつける。

本来なら、目の前の得体の知れない小娘を殴り倒していてもおかしくはない。

だが、ミラーワールドでの「時間切れ」というイライラを、

この少女が射ち込んだボウガンが一時的に霧散させたのは事実。

 

浅倉は何も言わず、少女の背を追って歩き出す。

少女は慣れた足取りで、入り組んだビルの隙間や、外灯さえ届かない人気の途絶えた路地裏へと滑り込んでいく。彼女が選ぶ道は、追手の目を鮮やかに欺く、静まり返った闇の回廊だった。

 

まるで、この街の「影」だけを縫って歩く方法を知り尽くしているかのように。

 

 

長い時間の逃走を経て、二人が辿り着いたのは街外れの静かな別荘だった。

鬱蒼と生い茂る樹木に溶け込むように佇む木造建築。

手入れは行き届いているが、生活感はない。

いかにも資産家が隠れ家として所有していそうな、浮世離れした静寂がそこにはあった。

 

「ここ、ウチの別荘です。今はもう誰も使っていないから……しばらくは安心だと思います」

 

少女は慣れた手つきで重厚なドアを開け、浅倉を中へと招き入れた。

広々としたリビングのスイッチが入ると、暖色系の明かりが高級な調度品を照らし出す。無人のはずだが、手入れの行き届いた室内は電機も水道も生きており、逃亡生活を続ける浅倉にとっては、不気味なほど「快適」な空間だった。

 

浅倉は土足のまま厚手のカーペットを踏み締め、

剥き出しの警戒心を隠そうともせず手前の少女を睨み据える。

 

「お前……何なんだ?」

 

その問いに応えるように、少女はゆっくりと頭のフードを脱ぎ、口元を覆っていたマスクを外した。

露わになったのは、夜の闇を溶かしたような黒い長髪と、

まだあどけなさの残る中学生特有の繊細な顔立ち。

だが、その瞳だけは異様なほど強く、真っ直ぐに浅倉を射抜いていた。

 

「曽川(そがわ) ルリ……前に一度、貴方に父を傷つけられました。私の目の前で……」

 

少女、ルリは刺し違えるような真剣な眼差しで、真っ直ぐに浅倉を見つめる。

だが、その言葉を聞いた浅倉の反応は、退屈そのものだった。

 

「知らんな、そんなヤツ」

 

と、鼻で笑う浅倉。

彼にとって、暴力は呼吸と同じ。

気に入らなければ殴り、イライラすれば壊す。

これまで何人の人間を病院、またはあの世に送りつけた。

拳を振るった相手が誰であったか、その家族がどんな顔をしていたか。

そんな「ゴミ」のような情報を、いちいち脳に留めておく筈もない。

 

「でしょうね……貴方と私は、碌に会った事もありませんから....」

 

ルリはどこか寂しげに目を伏せる。

その反応に、浅倉の口角が吊り上がった。

 

「で、その被害者の娘が何の用だ? ライダーにまでなって……敵討ちでもする気か?」

 

凶暴な愉悦を孕んだ不敵な笑みを浮かべ、

浅倉の指先がポケット内のカードデッキに触れる。

霧島美穂のように、この小娘が「復讐」を口にして牙を剥くなら、その瞬間に叩き潰してやる。

そんな凶悪な期待を抱く。

 

だが、ルリの反応は浅倉の予想を、そして「常識」という枠組みを木っ端微塵に打ち砕くものだった。

 

「敵討ち? アイツの……?……っふ…ふふ……」

 

一瞬の沈黙の後、ルリの喉からこぼれたのは、乾いた笑い声だった。

 

「あっははははははは!!」

 

やがてそれは、抑えきれない狂気を含んだ高笑いへと変わる。

 

「あんな奴……このまま死んでしまえば良いんですよ!」

 

吐き捨てるような言葉。

そこには父親への敬意も、家族としての情愛も微塵も存在しなかった。

笑い止んだルリは、頬を微かに上気させ、静かに、そして恍惚とした表情で浅倉を見つめる。

 

「私はね........貴方に会いたくて、ライダーになったんですよ........浅倉さん」

 

一歩、また一歩と距離を詰め、ルリはその小さな身体を浅倉の胸へと預けた。

優しく、慈しむように、彼のガッシリとした体躯に腕を回して抱きつく。

その表情は、長い間待ち焦がれた恋人にようやく巡り会えた、

乙女そのものの純粋な輝きに満ちていた。

 

「ようやく会えた……私を闇から救ってくれた……騎士様(ナイトさま)……」

 

浅倉威という男が、人生で初めて「絶句」した瞬間だった。

殺意でも、恐怖でも、憎悪でもない。自分という「暴力の化身」を全肯定し、愛を囁く狂った少女。

 

「……はぁ?」

 

数多の修羅場を潜り抜けてきた脱獄犯の口から漏れたのは、

心底からの困惑が混じった、間の抜けた一言だけだった。

 

 

 

            ◆

 

 

 

ミラーワールドでの戦いを終え、現実世界へと帰還した霧島美穂と北岡秀一。

夕闇に包まれた路地裏には、先ほどまでの激闘の余韻と、獲物を逃したどす黒い沈黙が漂っていた。

 

「くそっ……! あんな奴が出てこなきゃ、今頃浅倉を……ッ!」

 

美穂は壁を激しく殴りつけ、溢れ出す悔しさをぶつけた。

あと一歩だった。

浅倉威という男をこの世から消し去り、姉の無念を晴らす好機を、あの妙なライダーに奪われたのだ。

 

「……だから言ったろ。お前一人じゃ無理だって」

「……!」

 

背後からかけられた場にそぐわないほど落ち着いた声に、美穂の神経が逆なでされる。

振り返りざま、美穂は憎悪に任せて北岡の顔面に拳を叩き込む。

が、北岡は眉ひとつ動かさず、吸い付くような手つきでその拳を掌で受け止める。

 

「……ッ、離せ!」

 

美穂はその手を荒々しく振り払い、

北岡を射殺さんばかりの視線で睨みつけた。

 

「私だって言ったはずよ。お前の力なんか借りないって……!」

 

北岡秀一

世間では端麗な容姿と不敗の戦績を誇る「スーパー弁護士」ともてはやされているが、

その実態は強欲な金の亡者だ。

自分に利益のない仕事は見向きもせず、

勝利のためなら手段を選ばないその強引な手法から、裏では「悪徳弁護士」と蔑む者も少なくない。

 

何より、美穂にとって彼は浅倉の共犯者も同然。

本来なら極刑が妥当な浅倉の凶行に対し、

北岡が弁護を引き受けたことで、「懲役十年」というあまりに軽い判決へと歪められた。

 

「もし浅倉を殺れたら……

次は覚悟しときなよ……」

 

吐き捨てるように告げると、美穂は足早に夜の街へと消えていった。

 

「....................」

 

残された北岡は、痛むわけでもない手のひらを見つめ、無言のまま彼女の背中を見送る。

 

彼が我がままに、自分勝手に生きるのには理由がある。

北岡の身体は、現代医学では手の施しようがない不治の病に侵されていた。

残された時間はもう長くはない。

この事実を知るのは彼の主治医と、唯一信頼出来る秘書の由良五郎だけだ。

病を公表して世間の同情を引く事など、彼のプライドが、

そして「北岡秀一」という美学が断固として許さなかった。

 

彼がライダーとして戦い続ける理由。

戦いに勝ち残り、神崎士郎が約束した「永遠の命」を手に入れるため。

ただ、それだけ。

 

だが罪人に寄り添い、法とエゴの狭間で踊る弁護士という職業は、

時に激しい反発の矢面に立たされる。

 

「やれやれ……スーパー弁護士も、楽じゃないよ.....」

 

北岡は独りごちて、重い溜息をついた。

その溜息は、外の冷たい空気の中に白く溶けて消えた。

 

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