支持する文章を何時もの癖で小説風に書いてるのであんまり変わらない...?
場面は戻り、静寂に包まれた森の別荘。
ルリが語り終えた「ライダーへの経緯」を、浅倉はテーブルに肘をついたまま退屈そうに聞き届けていた。
その表情は半信半疑か、あるいは自分を追って地獄の淵まで降りてきた哀れな少女を小馬鹿にするような、捉えどころのない不気味さを湛えている。
「……で、ライダーになった、と?」
浅倉の低く湿った声が、部屋の空気を震わせた。
ルリは静かに、しかし決然と頷く。
神崎士郎という男に出会ったおかげで、彼女は浅倉が拘置所を脱獄できた理由、そしてあの事故から生還できたトリックのすべてを理解した。ミラーワールドという鏡の中の世界。そこを行き来できる超常的な力さえあれば、鉄格子の檻も、爆発する車も、彼を繋ぎ止める檻にはなり得なかったのだ。
因みに浅倉が自分の死を偽装する作戦は、後で潜伏先が警察にバレ、結局一時凌ぎにしかならなかった。
だからこうして今も追われる身なのだ。
「……浅倉さんに会うには、これしかないと思ったので……」
一途な想いを吐き出すのが小恥ずかしそうに、何処か熱を孕んだ声で答えるルリ。
対する浅倉は、心底呆れたように鼻を鳴らすと、吐き捨てるように言い放った。
「馬鹿かお前は?」
椅子の背もたれに深く身を預け、浅倉はギラついた瞳でルリを射抜く。
「ライダーは殺し合うモンだ。デッキを手に入れた時点で、俺とお前は食い合う敵同士。
解ってんのか?」
その鋭い視線の圧に、ルリは一瞬だけ気圧されそうになる。
だが、彼女の瞳に宿る光は消えなかった。震える拳を握りしめ、自分の中に渦巻く切実な思いを言葉に乗せる。
「解ってます……! でも、私は貴方にせめてもの礼がしたいんです。いつか戦う運命だとしても、それまでの間、貴方に降りかかる火の粉を払ってあげたいんですよ! 神崎さんも言ってたんです!
"浅倉の邪魔になる奴は、倒せば良い"って!」
ルリは両手を広げ、この贅沢な別荘、用意した食事、そして自分の決意を、精一杯にアピールした。
彼女の気持ちは本物だった。
純粋で、かつ狂気的なまでの献身。
しかし浅倉は(アイツ、余計な事を...)と心の中でぼやき、彼女の熱意を嘲笑うかのようにテーブルに頬杖をつきながら鼻で笑った。
「火の粉を払う? っふ、出来るのかそんな真似が? お前みたいな、温室育ちの小娘が?」
浅倉の口の端が吊り上がる。
彼にとって、ルリの言葉は戦場を知らない子供の戯言にしか聞こえない。
ましてや、あらゆる存在を暴力でねじ伏せてきた戦闘狂からすれば、女子中学生など非力なイメージしかない。
骨も肉も脆い「雑魚」と戦うなど、彼にとっては食事の前の暇つぶしにすらならなかった。
子ども扱いされた事で、ルリも流石に口をへの字に曲げた。
自分だって遊びのつもりはない。
そうでなければ、脱獄犯幇助という退路の断たれた犯罪に手を染める訳がないのだ。
「出来ます、ライダーになった以上、私だって戦えます!」
語気を強めるルリ。
何とかして彼に、自分の実力を証明しなくてはならない。
焦燥と熱い意志が彼女の中で混ざり合った、その時だった。
――キィィィィィィィィィィン……。
「!」
耳鳴りのような不快な共鳴音。
ルリと浅倉の背筋に、同時に生物的な「気配」が走る。
仮面ライダーだけが持つ、鏡の中に潜むモンスターの接近を感知する能力だ。
直ぐ近くに置かれたスタンドミラーを睨みつけるルリ。
鏡の中には白と金の体表が特徴的な、禍々しいモンスターがこちらを凝視していた。
だが、そのモンスターは自らの存在を誇示するように一度咆哮を上げると、嘲笑うかのようにすぐさま鏡の奥へと逃走した。
「ふふ……丁度良かった。
今から私の力、証明しますよ」
ルリは不敵な笑みを浮かべながら、机に置いていたカードデッキを掴み、スタンドミラーの前に立った。
彼女の動きに迷いはない。
デッキを鏡にかざすと、次元の歪みと共にVバックルが出現し、彼女の腰へと装着される。
デッキを持つ右手を腰まで引くルリ。
そして、サソリの鋭い尻尾をイメージしたかのように、人差し指だけを突き出してゆっくりと前方に掲げた。
最後はその指で自らの首を掻っ切るような冷酷な動作で素早く横へスライドさせ、静かに、しかし力強く叫ぶ。
「変身!」
カードデッキがバックルに装填される。
何重もの虚像が重なり合い、彼女の身体を鋼の鎧が包み込んでいく。
クリムゾンレッドを基調とし、鋭いサソリの甲殻を模した騎士――
『仮面ライダースティーガ』がそこに立っていた。
「ここで待ってて下さい。私の手で、あいつを仕留めてきますから……」
重厚なバイザー越しにそう言い残すと、スティーガは波紋を広げる鏡の中へと吸い込まれるように消えていった。
またも勝手に話を進めるルリに対し、浅倉は文句を言うのも飽きた様子で、鼻を鳴らした。
自分以外誰も居なくなった静かな別荘内。
浅倉は冷めかけたステーキをフォークで突き刺すと、一人、無造作に口へと運び、豪快に咀嚼した。
「っは……勝手にしろ……」
肉を飲み込み、浅倉はニヤリと唇を歪める。
あの「獲物」を狩って帰ってくるのか、あるいは鏡の中で食い殺されるのか。
どちらに転んでも、イライラを晴らす余興としては悪くない。
浅倉は側に置かれたワインの便内を一気に飲みほぐし、
鏡の向こうで始まる血の饗宴を待ち侘びるのだった。
◆
深夜の月光が青白く降り注ぐ、ミラーワールドの森林地帯。
鏡の中の世界は現実と左右が反転した静止画のような光景を映し出すが、
こう人工物の存在しない深い森だと現実世界と対して変わらない様に見える。
ただ不気味な静寂だけが周囲を支配していた。
その静寂の中でスティーガは一人、神経を研ぎ澄ませて夜の森林を警戒しながら歩を進めていた。
モンスターの気配は間違いなくこの付近で消えた。
左手には蛇腹剣の機能を備えたディスティングバイザーを、右手にはボウガンであるディスアローガンを構える。
「……逃げたって無駄。気配は消せてないんだから…………」
武器を握る手に自然と力がこもり、森の奥へと歩みを進める。
その時、ガサリとすぐ側の草村が騒いだ。
「そこ!」
反射的にディスアローガンから光の矢を放つ。
しかし、矢は虚しく虚空を裂くだけで、標的を捉えることはない。
再び別の方向から音が鳴り、その都度ボウガンを連射するが、闇に紛れて高速移動するモンスターに狙いを定めるのは困難を極めた。
「ジュアアッ!」
唐突に背後から飛び出した影が、鋭利な爪でスティーガの背中を切り裂く。
「があっ!!」
衝撃と共に火花が散り、短い悲鳴が夜の森に響いた。
スティーガは即座に振り返るが、すでに敵の姿はない。
一撃を与えては即座に闇へ溶ける「一撃離脱」の戦法。
間髪入れず、体制を整えようとする彼女を嘲笑うかのように、横、斜め後ろ、と死角から飛び出し、執拗に攻撃を繰り返しては闇へ消えるモンスター。
「鬱陶しい……」
バイザーの奥でスティーガの瞳に苛立ちの火が灯る。
彼女はディスティングバイザーのロックを解除し、
ソードモードから鞭状のウィップモードへと変形させた。
静寂の中、集中力を極限まで高めて周囲を警戒する。
一瞬、茂みの奥で赤く輝く4つの目が横切ったのを彼女は見逃さなかった。
こちらへ向かってくる。
そう確信した通り、正面の茂みからモンスターが再度飛び出してきた。
「今だ!」
スティーガは自らの体を独楽のように一回転させ、鞭と化した蛇腹剣を周囲を薙ぎ払うように振り回した。遠心力が加わった刃が、突進してくるモンスターの胴体に見事命中する。
「ジェアアッ!?」
衝撃で地面へと転倒するモンスター。
体制を立て直そうと立ち上がったその姿が月光の下に晒された。
二足で立ち、二本の腕を持つという点では人間と共通してるが、その全身を包む禍々しい外殻は明らかに異形のものだ。
白と金を主体とした高貴な色彩、ギラギラと輝く4つの赤い目、そして頭部には円形の輪を冠したような特徴的な一本角。
ギガゼールやメガゼールらと同族のレイヨウ型モンスター、『ベガゼール』だ。
「夜も遅いのよ? 手間取らせないで」
スティーガは苛立ちを露わにしながら、ディスアローガンを乱射した。
黒い矢を幾重にも浴びせられ、たじろぐベガゼールはたまらず闇の中への離脱を図る。
「逃がさな ―― きゃあ!?」
追跡しようとしたスティーガの背中に、鋭い衝撃と痛みが走った。
「ジュオオオ!」
振り返ると、ベガゼールとは別の「黒い影」が、夜の闇に溶け込むような俊敏な動きで後退していくのが見えた。
その外見はベガゼールと酷似していたが、対照的に全身が不気味な黒と赤の体色に覆われている。
頭部には悪魔の象徴を彷彿とさせるような、湾曲した巨大な二本の角が生えていた。
ベガゼールと同族のレイヨウ型モンスター、『イガゼール』である。
「な……もう一体……っ!?」
「ジェアア!」
「がはっ!」
「ジュオオ!」
混乱するスティーガに更なる攻撃が襲う。
正面からベガゼールの爪が鎧を切り裂き、衝撃で体勢を崩したところへ別方向からイガゼールが追撃を叩き込む。
俊敏な二体のレイヨウ型モンスターによる、目にも止まらぬ連携攻撃。
スティーガは防戦一方となり、新たにカードを取り出す暇さえ与えられない。
徐々に追い詰められ傷つく装甲。蓄積される痛み。迫りくる死。
しかし、火花を散らしながら一方的な蹂躙を受けつつも、スティーガの心は折れていなかった。
「負け……ない……こんな所で……私は……!」
バイザーの奥に浮かぶのは別荘で冷めたステーキを食らっていた、あの男の不遜な顔。
何としても彼の役に立ちたい。
彼を繋ぎ止める盾となり、その隣に少しでも長く居続けたい。
その歪で、しかし強烈な献身の想いだけが、彼女の四肢を戦いへと突き動かす。
「負けられない……! あの人の、ために!」
スティーガは気力で叫びを上げると、ウィップモードのディスティングバイザーを頭上へと力一杯振るった。長く伸びた蛇腹剣の刃が、頑強な大木の枝に確実にとぐろを巻く。
その瞬間、彼女は地面を強く蹴り上げた。蛇腹剣を命綱のようにして宙を舞い、木の上へと一気にジャンプ。
二体のモンスターが牙を剥いた交差攻撃を、間一髪で回避してみせたのだ。
木の上から見下ろすスティーガ。
ようやく生まれた僅かな隙。
彼女は滞空する刹那の間にカードを引き抜き、
ディスティングバイザーの挿入口へと叩き込んだ。
《 ADVENT 》
電子音声が静寂の森に鳴り響いた直後、モンスターたちの背後で樹木が凄まじい音を立ててなぎ倒された。闇の中から、月光を浴びて鈍く光る巨大な影が姿を現す。
それは全長4メートルに及ぶ、禍々しい鋼の甲殻を纏った巨大なサソリ。スティーガが契約し、使役するサソリ型モンスター、砂塵の襲撃者『ディスコーピオン』だ。
「ギシャアァァァァァ!!」
ディスコーピオンは咆哮を上げながら、重機のような巨大な鋏を振るい、イガゼールとベガゼールを薙ぎ払う。二体は辛うじて後方へ跳んで回避するが、ディスコーピオンの追撃は止まらない。
毒針を備えた尻尾の先端が扇状に展開し、そこから無数の銛がガトリング砲のごとく掃射された。
生々しい発射音が響き、数発の銛がモンスターたちの肉体を貫く。
その隙を逃さず、木の上から華麗に着地するスティーガ。
しかし、先ほど受けた連携攻撃のダメージにより、着地の衝撃で一瞬よろめいてしまう。
「うぐ……うああああああ!!」
内側から突き上げる痛みを気合の絶叫でねじ伏せ、
スティーガは剣状態のディスティングバイザーを握り直し、ベガゼールへと肉薄した。
イガゼールの足止めをディスコーピオンに任せる。
ベガゼールを複数回斬りつけた後、
さらに畳みかけるべく新たなカードをバイザーにセットするスティーガ。
《 SWORD VENT 》
瞬時に、スティーガの踵に巨大な鋏の刃を模した大型の刃が装備された。ディスコーピオンの鋏部分を模した武器『ディスヒールカッター』だ。
「っふ! はあっ!」
スティーガは舞うように鋭い回し蹴りを連発した。踵の刃がベガゼールの装甲を容赦なく引き裂き、ついにはその体を地面へと叩き伏せる。
時を同じくして、ディスコーピオンの蹂躙を受けていたイガゼールも、満身創痍の状態でベガゼールの隣へと転がってきた。
月明かりの下、二体のレイヨウ型モンスターはもはや逃げる気力もなく、重い喘ぎ声を漏らしながら重なっている。スティーガは荒い呼吸を整えながら、トドメの切り札を抜き放つ。
「これで……終わり!」
仮面ライダースティーガは、バイザーの奥で荒くなった呼吸を静かに整え、デッキから引き抜いた最後の一枚、必殺のカードをディスティングバイザーに装填した。
《 FINAL VENT 》
電子音声が森に響き渡ると同時に、背後の闇を切り裂いて、契約モンスター『ディスコーピオン』が地響きを立てて駆け寄ってきた。
それは、死の宴の始まりを告げる合図。
スティーガは、踵に装着された『ディスヒールカッター』の重みを感じながら、一気に地面を蹴り上げた。
クリムゾンレッドの肉体が深夜の月を背に高く舞い上がる。
空中で鮮やかにトンボ返りを決め、彼女が着地したのは、背後に迫ったディスコーピオンの禍々しい尻尾の先端。
着地の衝撃を受け止めたディスコーピオンは、巨大なバネのようにその尻尾を前方へと渾身の力で振り抜いた。
さながら古代の投石機のように、凄まじい初期微動をもって弾き出されたスティーガ。
超高速で空を切り裂く彼女は、空中で右足を前方へと突き出した。
その途端、右足に装備された『ディスヒールカッター』の刃が、まるで獲物を貫くための毒針のように、前方に突き立てる形態へと変形を遂げる。
「やああああああああっ!!」
鋭利な死の刃を先端に宿したスティーガのライダーキックは、抵抗する間も与えず、まだ体制を崩していたイガゼールの肉体を真正面から貫いた。
「ジュアアアアア!?!?!」
スティーガの必殺キック、『ジェノサイドスキュアー』の直撃を受けたイガゼールは、断末魔と共にあえなく爆散。
凄まじい爆発の炎が夜の森を真昼のように照らし出し、ミラーワールドの森林地帯を大きく揺るがす。
炎の粉が夜の闇に舞い散る中、スティーガは重い金属音を立てて地面に着地した。
「はあ……はあ……はあ……っ」
全身を走る鋭い痛みは一向に引かない。二体のレイヨウ型モンスターを相手にした立ち回りは、彼女にとって命を削るような必死の戦いだった。
だが、荒い息を整える余裕などない。バイザー越しに捉えた視界の先では、仲間を失い、死の恐怖に慄いたベガゼールが、無様に背を向けて森の奥へ撤退しようとしていた。
「! 待てええっ!!」
「ジェアア!!?」
反射的に、スティーガはウィップモードのディスティングバイザーを全力で振るった。
しなやかに伸びた蛇腹状の刃が、逃亡を図るベガゼールの背中に深々と食い込む。既に満身創痍だったモンスターは、その衝撃に抗えず派手に転倒し、無防備な姿を晒した。
仰向けに転がったベガゼールの腹部。そこへ駆け寄ったスティーガは、体重を乗せた踵の『ディスヒールカッター』を容赦なく突き刺した。
「ギジャアアアあああ!!」
断末魔に似た叫びを上げるベガゼール。
しかしスティーガの手は止まらない。
剣状態へと戻したディスティングバイザーを両手で握り締め、狂ったように何度も、何度も振り下ろした。
「死ね! 死ね! 死ねぇ! 浅倉さんの為に.......私の為にぃ、 死ねえええええ!!!」
刃が肉を裂く手応え、飛び散る火花。
この異形を屠り、その命を喰らえば、あの浅倉威も少しは自分を見直す筈だ。
自分を「小娘」ではなく、対等な「ライダー」として認める筈。
その歪な渇望を胸に、スティーガは死に物狂いで刃を叩き込み続けた。
もはやそこにあるのは優雅な騎士の戦いではなく、
愛という名の狂気に突き動かされた、凄惨な処刑だった。
◆
一深夜の静寂に包まれた別荘内。
食事を終えた浅倉は、高級なソファーに泥付の靴のまま豪快に寝そべっていた。
ルリが鏡の世界へ足を踏み入れてから、かなりの時間が経過している。ライダーの活動限界は刻一刻と迫っていた。
ルリが鏡の向こうで生きていようが死んでいようが、
浅倉にとっては心底どうでも良いことだった。
もしあの程度のモンスター如きに食い殺されるようなら、その程度の器と言う事。
とは言え、久々にありついた「まともな飯」が存外に美味かったのは事実。
警察も上手く撒けた。
このまま彼女が戻らなければ、その時はお望み通り、この別荘を隠れ家として使い倒してやるのも悪くない——
浅倉がそんな不遜な思考を巡らせていた、その時だった。
「……あ?」
スタンドミラーから発せられる独特の波動を察知し、浅倉は緩慢な動作で上体を起こした。
波打つ鏡の向こう側、そこには肩で激しく息を乱したスティーガの姿が映し出されていた。
「……や……やりました……浅倉さん! 見てください! 私、ちゃんとやりましたよ!!」
バイザー越しでも伝わるほどに、彼女は高揚していた。
それはまるで、大好きな親に自分の自慢の玩具を見せつける無邪気な子供のようであり、同時に、獲物を持ち帰った誇らしげな獣のようでもあった。
スティーガは、その両手に抱えていた「戦果」を、現実世界の浅倉へ向けて誇示するように掲げる。
それはつい先ほどまで生きていた、ベガゼールの首だった。
無残に引きちぎられ、光を失った四つの赤い瞳が、鏡越しに浅倉の視線と重なる。
常人であれば、吐き気を催すような悍ましく狂気じみた光景。
しかし、その鮮血と暴力の結晶を目の当たりにした瞬間、
浅倉の喉の奥から煮えたぎるような笑いが漏れ出した。
「っふ……ふっはっはっは、あっはっはっはっは!!」
腹の底から響く、盛大な哄笑。
その凶悪な笑い声に誘われるように、鏡の中のスティーガもまた、歓喜に身を震わせて笑った。
浅倉の笑いが、自分を認めた証なのか、あるいは単なる嘲笑なのか。
今の彼女にはその正確な意味までは解らない。
だが、その瞳に宿る剥き出しの殺意と狂気を引き出したことで、
自分が浅倉に「面白いヤツだ」と思われたのは、確かだった。
ディスヒールカッター、初期案ではストライクベントの予定でしたがソードベントに変更してます。