ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
「行ってこい! コノヨザル!」
「コノォォォッ!」
『おお! なんというポケモンでしょうか、見たことがありません!』
観客席がざわつく中、ヒビキが繰り出したのは、憤怒の表情を浮かべたコノヨザルだった。
『おっ、コノヨザルか。珍しい』
『ご存知なんですか、シアンさん?』
『あのポケモンはコノヨザル。パルデア地方で発見されたオコリザルの進化系ですね。タイプは格闘とゴーストの複合となります。怒りの感情が限界を超えた先に辿り着く姿……厄介ですよ』
解説が終わるやいなや、ヒビキが吠える。
「コノヨザル! 【敵討ち】!」
先ほどプテラがウルガモスに倒されたことで威力が倍加した一撃が、ウルガモスの炎の衣を切り裂き、大ダメージを与える。
「ウルガモス、一旦戻るぞ! 【蜻蛉返り】!」
ウルガモスは凄まじい速度で攻撃を食らわせながら離脱し、入れ替わりに現れたのは──。
「頼むよ、ジャラランガ!」
「ジャララッ!」
格闘とドラゴンの王者ジャラランガが、その鱗を鳴らして威嚇する。
「ジャラランガ! 【ソウルビート】!」
「コノヨザル! 【ビルドアップ】!」
2人は同時に自身の能力を底上げし、戦場は一気に緊張感に包まれる。
「【ドラゴンクロー】!」
「【ドレインパンチ】!」
両者の拳と爪が激突し、火花が散る。凄まじい殴り合いが続く中、シアンが何かを察したように黙り込んだ。
『凄まじい殴り合いだ! シアンさん、何か気になることでも?』
『いや……今それを言ったらヒビキ選手に悪いですからね』
シアンが口を濁す中、違和感を覚えたマサトシが叫ぶ。
「ジャラランガ! 離れて【スケイルノイズ】だ!」
距離を取って遠距離から削ろうとするマサトシに対し、ヒビキは口の端を歪めて嗤った。
「逃がすか! 【憤怒の拳】!」
ジャラランガが声を上げるよりも早く、コノヨザルの拳が空気を震わせて炸裂した。一撃でジャラランガは戦闘不能となり、フィールドに沈む。
『なんという威力だ! シアンさん、まさかこれを予測して!?』
『オコリザルやコノヨザルの系統は、受けたダメージを蓄積させて放つ【憤怒の拳】があるから、持久戦は厳禁なんです。一気に行かないと……。まぁ、自分で体力を削る【ソウルビート】を使っていたのも致命的でしたが』
マサトシは静かにジャラランガを戻し、再びウルガモスを呼び戻す。
「ウルガモス! 【ワイルドボルト】!」
「コノヨザル! 【憤怒の拳】!」
ウルガモスは自傷ダメージを【ギガドレイン】で即座に癒やすという荒業を見せるが、コノヨザルが蓄積させてきた怒りの暴力はそれを上回っていた。回復を上回る削りを受け、ついにウルガモスも力尽きる。
『凄い戦闘能力だ! コノヨザル、2体抜き達成!!』
しかし、コノヨザルの肩は激しく上下していた。限界は近かった。
「頼むよ、インテレオン!」
「インテ!」
『次にマサトシ選手が出したのは、ガラル地方の狙撃手、インテレオンだ!』
「インテレオン、仕留めろ! 【狙い撃ち】!」
インテレオンの指先が輝き、圧倒的な集中力で急所を貫く一筋の光線が放たれる。コノヨザルはその一撃を受け、静かに膝をついた。
「コノヨザル、戦闘不能!」
ヒビキの切り札を、マサトシの冷静な狙撃が沈めた。戦場には、いよいよ決勝戦を彷彿とさせる緊張感が漂い始めていた。