ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

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セキエイリーグ準決勝4

「ニドキング、戦闘不能! フリーザーの勝ち!」

 審判の非情な宣告が響く。ガラルフリーザーの持つ、圧倒的かつ冷徹なまでの力。会場は伝説のポケモンの降臨と、その凄まじい一撃に静まり返り、やがて万雷のどよめきへと変わった。

 しかし、ヒビキの顔に絶望の色はなかった。むしろ、その瞳には燃えるような情熱が宿っている。

 「初めての大会で、まさか伝説のポケモンと相見えるなんて……こんなに嬉しいことはない!」

 ヒビキはボールを天に掲げ、高らかに叫んだ。

 「だから俺は、絶対に勝つ!! 行ってこい、ファイヤー!!」

 紅蓮の炎を纏い、神々しい姿で現れたファイヤー。

 会場は言葉を失った。

 『なんと──っ!? ヒビキ選手、まさか伝説のポケモンであるファイヤーを隠し持っていたとは! 伝説同士のバトルが、このセキエイリーグで見られるなんてぇ──!!』

 ベカンは感極まったように叫び、会場のボルテージは最高潮に達した。解説席や観客席で戦況を見守っていたジスト、そしてヒビキを育て上げた4人の兄貴分たちも、心の中で叫んでいた。

 (ヒビキ、なりふり構わず全力を尽くせ!)

 VIP席で観戦していたシラサギも、驚きと感嘆の混じった笑みを浮かべていた。

 「まさかチャンピオンリーグではなく、通常のリーグで伝説同士の激突が見られるとはな。……やはり、ボスが目を掛けるだけの素質を持つ少年たちだ」

「シラサギ様、では、この機に乗じて……」

 ハリーが何かを画策しようと進言するが、シラサギは冷ややかな視線を向けた。

「余計なことをしてボスの機嫌を損ねるな。今はただ、この極上の戦いを見届けるだけでいい」

 フィールドでは、ファイヤーが一羽ばたきでガラルフリーザーと同じ高さまで急上昇し、両者は空中で静かに対峙した。

 「まさか君も伝説のポケモンを持っているなんてね。驚いたよ。でも、僕のフリーザーの方が強いはずだ。フリーザー、【凍てつく視線】!!」

「キュオオオッ!」

 紫色の邪眼が放たれ、空間そのものを凍らせるような光線が走る。

「ファイヤー、【エアスラッシュ】!!」

「ギュアアアッ!」

 ファイヤーが放った真空の刃が光線と衝突し、上空で凄まじい爆発が起こる。

 「フリーザー、【原始の力】!」

「ファイヤーもだ、重ねろ!」

 両者の放った岩石の奔流が真っ向からぶつかり、相殺される。そのエネルギーの余波により、二匹の周囲に青白いオーラが溢れ出し、能力が底上げされた。

 「ファイヤー、さらに【エアスラッシュ】だ!」

 無数の風の刃が襲いかかるが、

「フリーザー、軌道を読んで【瞑想】!」

 ガラルフリーザーは翼を翻し、羽ばたきでは不可能なエスパーの力による変則的な機動で刃を回避しながら、精神を研ぎ澄ましていく。

 「なら、ファイヤー! 動きを封じろ、近づいて放て!」

「近づけさせないように逃げて!」

 ファイヤーは移動先を完全に読み切り、先回りを繰り返す。空を舞台にした、息もつかせぬドッグファイトが繰り広げられる。

 「今だ、【原始の力】と【エアスラッシュ】の同時攻撃!」

 二つの技が融合し、回避不能の範囲で迫る。ガラルフリーザーは【原始の力】を自らのエネルギーで相殺するが、避けきれない【エアスラッシュ】をその身に受ける。

 『なんと!? ガラルフリーザー、あえて【エアスラッシュ】を受け止めた!』

『岩タイプの【原始の力】という効果抜群の技を避け、飛行タイプの【エアスラッシュ】を等倍で受ける方を選択したのですね。防御面でも戦術的ですね……』

 シアンが冷静に分析する中、ガラルフリーザーは【瞑想】を積み終えたのか、その紫の眼光をより鋭く、冷たく輝かせた。

 火花を散らす炎と、凍てつく視線。

 勝負は、いよいよ決着の時を迎えようとしていた。

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