ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
「俺もまだまだだな……。ヒビキ、おめでとう。これがニビジムの勝利の証、グレーバッジだ」
バトルの熱気が残るジム内で、タケシは清々しい表情でバッジを差し出した。
「ありがとうございます」
受け取った鈍色のバッジを、ヒビキは大切にジムケースへと収める。最初の試練を突破した達成感が、じわりと胸に広がった。
その後、タケシと共にポケモンセンターへ戻ると、何やらロビーが騒がしい。人だかりの隙間から見えたのは、見覚えのある三人の少女が賑やかにお喋りしている姿だった。
「おっ! 来たわね。お疲れ、二人とも!」
「ヒビキ! もう勝ったん? 早いなぁ、さすがやわ!」
「お疲れ様ですぅ、ヒビキ君」
真っ先に声をかけてきたのは、ヒビキの従姉であるアオバだった。
「あれ? アオバ姉ちゃん? なんでここにいるの?」
「従姉に対してその言い草はないでしょ。アンタに用があったのよ。タケシ君とのバトルを見に行こうとしたら、セナちゃんとリンちゃんに会ってお話ししてたの」
その会話を聞いていたタケシが、合点がいったように拳を打った。
「なるほど! アオバ君の従弟ということは……四天王のジストさんの従弟でもあるわけか! ならばあの圧倒的な強さも納得だ」
『四天王の血縁』という単語に、周囲のトレーナーたちが一斉にざわつき始める。注目を浴びるのが苦手なヒビキは、苦笑いしながら話題を逸らした。
「……それで姉ちゃん、用って?」
「そうだったわね。はいこれ、アンタ忘れていったでしょう。おばさんたちが心配してたわよ」
手渡されたのは、オレンジ色の結晶体──『ひみつのコハク』と、懸賞で当てたという珍しいボールの詰め合わせだった。
「あっ、これ! 昔、化石掘りで手に入れたコハクと、ボールのセット! ありがとう、姉ちゃん!」
「全く、そそっかしいんだから……。で、そのコハクどうするの? この町には化石復元装置があったはずよ」
アオバに促され、タケシも肯定するように頷く。だが、ヒビキは少し悩み始めた。
「うーん、確かこれで復元できるのって、プテラだよな。今の俺に、あの古代の暴れん坊を扱えるかな……」
「とりあえず復元だけしちゃいなさいな。アンタがもっと強くなればなんとかなるでしょ。もし暴れそうなら私が対処してあげるから。というか、今逃したらずっと忘れたままになるでしょ?」
「……わかったよ」
従姉の強引な押しに負け、ヒビキは渋々頷いた。
タケシと別れた後、リンとセナも興味津々だというので、四人で博物館に向かい復元を依頼した。
「はい、復元には時間がかかるので、しばらくしたらまた来てくださいね!」
係員にそう告げられ、時間を潰そうとセンターに戻ろうとしたヒビキの襟首を、アオバがひょいと掴んだ。
「時間があるなら、セナちゃんとリンちゃんの手持ち集めを手伝ってあげなさい」
「ええ〜……少し休ませてくれよ~」
「これは
姉の権威を振りかざしたアオバの言葉に。
「……わかったよ。行けばいいんだろ、行けば」
ヒビキは肩を落としつつも、二人の少女を伴って、ニビ近郊のフィールドへと向かうことになった。