ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

116 / 116
ジラーチの遊び

 ジラーチが目覚める時を静かに待っていると、ふとバドレックスから問いかけられた。

 『所デ、ヒビキ達ハ何故コノ地ニヤッテ来タノダ?』

「ん? あぁ、実は……」

 ヒビキは、ウーラオスが進化した夜に見た不思議な夢──雪降る村、二匹の馬、そしてそれを従える影の夢──について語った。

 『成ル程。済マンガ、ヨハ関与シテオラン。ソコノマデノ力ハ残ッテイナイノデアル』

「お前の愛馬たちはどうだ?」

『我ガ愛馬達……冥馬レイスポスナラ可能性ガ有ルト思ウガ、モウ一匹ノ愛馬、氷馬ブリザポスハ不可能デアルナ。シカシ、ワザワザソレヲスル道理ガ無イデアル』

「そうか……じゃあ、あれは何だったんだろうな?」

 ヒビキとフーディンは顔を見合わせ、不思議そうに首をかしげた。

 そうこうしているうちに、目の前の繭が眩い光を放ち始めた。光の中から、星のような姿をした幻のポケモン・ジラーチが目を覚ます。

 ジラーチは辺りをキョロキョロと見渡すと、目の前にいるヒビキたちを見つけ、途端に満面の笑みを浮かべた。そして──あろうことか、いきなり強烈なエネルギー弾を放ってきたのだ! 

 「なんで!?」

 必死に攻撃を避けながらヒビキが叫ぶ。

『恐ラク、遊ビ相手ヲ見ツケタノデハナイカ?』

 バドレックスが至って冷静に考察を述べる。

 「しょうがない、付き合ってやるか……頼むぞ、ファイヤー!」

「ギュアアアッ!」

 ヒビキの呼びかけに、ファイヤーが空高く舞い上がり、バトルが始まった。

 「【火炎放射】!」

 ファイヤーの口から灼熱の炎が放たれる。しかし、ジラーチは素早く【水の波動】を放ち、水と炎が衝突する蒸気でダメージを最小限に抑え込んだ。

「炎のダメージを水で相殺するってことは、炎が弱点なのか……なら! 【エアスラッシュ】!」

 ファイヤーの翼から無数の風の刃が襲いかかる。だがジラーチは【コスモパワー】を使い、自身の周囲に宇宙の力を纏って防御力を引き上げていた。かなりの数が命中したにも関わらず、ジラーチはケロッとしている。

 (……なるほど。炎を嫌がって、飛行技はまともに受けても平気。それにさっきの【コスモパワー】。間違いない、あいつのタイプは「鋼・エスパー」だ)

 ヒビキの冷静な分析が終わるや否や、ジラーチが強力な【10万ボルト】を放ってきた。飛行タイプを持つファイヤーには致命傷になりかねない。

「【羽休め】!」

 ヒビキの的確な指示が飛ぶ。ファイヤーが地上に降り立ち、一時的に「飛行タイプ」の性質を消し去ることで、電気技のダメージを大幅に抑え込んだ。

 「ここから攻めに転じるぞ! 【日本晴れ】!」

 ファイヤーの力で上空の雲が吹き飛び、強烈な日差しが降り注ぐ。対するジラーチも、宇宙の力を集め、大技【メテオビーム】のチャージを始めた。

 「ヤバいな、アレは……。ファイヤー! 【燃え尽きる】からの【フレアドライブ】だ!!」

「ギュオオオオオッ!!」

 晴れの天候で極限まで高まった炎のエネルギーを全て解き放つ【燃え尽きる】。さらに、全身にその業火を纏って突撃する【フレアドライブ】。二つの大技を合わせた渾身の一撃が、ジラーチの放つ極太の星の光【メテオビーム】と真っ向から激突した。

 ドゴォォォォンッ!!! 

 凄まじい衝撃波と爆煙が雪原を包み込む。

 やがて煙が晴れると、そこには息を弾ませながらも戦意を全く失っていないファイヤーと、楽しそうに満足げな笑顔を浮かべるジラーチの姿があった。

 「ジラーチ! 満足したなら、頼みたい事がある!」

 ヒビキが大声で呼びかけると、ジラーチはすうっと空を飛び、ヒビキの目の前に浮かび上がった。そのつぶらな瞳が、「なあに?」と尋ねているようだ。

 「このバドレックスの、本来の力を取り戻して欲しい!」

 ヒビキが真っ直ぐに見つめてそう告げると、ジラーチは嬉しそうにこくりと頷いた。

 次の瞬間、ジラーチの体から溢れ出した神秘的な光が、バドレックスの身体を優しく包み込んでいく。

 『おおっ……!!』

 バドレックスの声が響く。それは先ほどまでのような、フーディンのサイコパワーを介した不完全なものではない。ヒビキの頭の中に、直接、そしてはっきりと力強い声が響き渡った。

 『完全とは言えないが……かなり力が戻ったのである!』

 流暢なテレパシーを放つバドレックスの姿は、以前よりも威厳に満ち、かつての「豊穣の王」としての輝きを取り戻しつつあった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

映像機画版携帯獣世界転生物語(作者:こうすけ増田劇場版)(原作:ポケットモンスター)

なんか知らんがアニポケの世界に転生してた。


総合評価:1413/評価:7.33/連載:19話/更新日時:2026年07月13日(月) 18:05 小説情報

転生した引きこもりのアニポケ冒険譚(作者:ミカりん)(原作:ポケットモンスター)

 ポケットモンスターの世界に、異物が紛れ込んだ。▼ 異物は、決して語られぬ存在と結びつき、やがてそれは大きな時空のうねりとなって流れていく。▼ ポケモンマスターを目指す少年、マサラタウンのサトシの同期として紛れ込んだその『異物』は、オーキド博士に貰ったヒトカゲとその前からのトモダチであるカラカラの2匹と旅に出て、誰と出会い、誰と競い合うのか。▼ しかし、彼は…


総合評価:29/評価:-.--/連載:3話/更新日時:2026年07月09日(木) 17:27 小説情報

転生サトシの旅路(作者:ナノブ)(原作:ポケットモンスター)

これは、アニポケのサトシが一生を終えた記憶と、アニポケを見ていた人の記憶両方を持った転生者サトシが、波導と呼ばれるチートを駆使して行く旅路を記したもの。▼サトシ至上主義が書くポケモン小説です。▼作者はポケモンライト勢であり、にわかです。


総合評価:3813/評価:9.18/連載:36話/更新日時:2026年06月27日(土) 18:00 小説情報

アニポケXY サトシのリザードン続投&タクトに勝ちたいゴウカザル使い(作者:ゴジロット)(原作:ポケットモンスター)

「もうリザフィックバレーには、貴方のリザードンに敵うリザードンは存在しないし、アタシに出来る事は全てやったわ。だからここから先は貴方と一緒に広い世界に出て、共に真の最強へと上りなさい」▼ ポケモンマスターを目指して、旅を続ける少年サトシと、相棒のピカチュウ。▼ それと少しの間だけまた一緒に旅をして、共にイッシュ地方から帰ってきたサトシのリザードン。▼ マサラ…


総合評価:227/評価:8.4/連載:13話/更新日時:2026年07月03日(金) 19:25 小説情報

アニポケ転生者物語(作者:投稿者)(原作:ポケットモンスター)

物心ついた時、主人公はこの世界がアニメ『ポケットモンスター』の世界だと気づいた。▼リーグ制覇や最強を目指すつもりはない。ただ、この世界の空気を吸い、ポケモンたちと触れ合う「エンジョイ勢」として生きていきたい。▼そう思っていたはずが、旅立ちの日に母から託されたのは、シルフカンパニー製の試作デバイスと、データ収集用のポケモン「ポリゴン」。▼オーキド博士から貰った…


総合評価:1809/評価:7.38/連載:350話/更新日時:2026年07月07日(火) 23:47 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>