ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
雪原で再会を果たしたバドレックスと愛馬たち。その絆の証として、彼らはヒビキに一筋のイメージを伝えた。
「ヒビキよ、済まぬがこれを作れぬか?」
脳内に直接響いた光景は、古の武具のような「手綱」だった。
「これは……手綱か?」
「それは『絆の手綱』。ヨと愛馬たちの力を一つにするのに必要なものだ」
バドレックスが自身の冠から光り輝く花を産み出し、ブリザポスとレイスポスが自らの鬣を数本ずつ引き抜いて提供する。しかし、ヒビキはそれらを受け取りつつ、困ったように頭をかいた。
「これ、作れって言われてもな……俺、裁縫はからっきしなんだよ」
「今すぐでなくて良いのである」
「なら、俺の師範の所なら裁縫が得意な奴がいるかもしれないから聞いてみるよ」
バドレックスたちは、ヒビキが帰る際に同行すると決めた。残りの三日間、ヒビキはカンムリ雪原を散策し、将来の頼もしい仲間となるヨーギラスやオンバットを仲間に加え、旅路の準備を整えていった。
マスター道場に戻ると、道場の空気は少し変わっていた。
「おっ! おっかえり~ヒビキちん。紹介するね! 二人はクララちゃんとセイボリー君。ヒビキちんの妹弟子と弟弟子になるね」
マスタードに紹介された二人に挨拶を済ませ、ヒビキは師範を別室へ誘った。
「師範、相談があるんです。裁縫が得意な人っていませんか?」
「いるけど、どうしたのかな?」
ヒビキは、バドレックスとの再会から「絆の手綱」の制作依頼まで、ことの顛末をすべて説明した。
「そう言うことなら、ワシちゃんからも頼んであげるよん」
師範の口添えもあり、道場随一の縫製技術を持つ門下生の手によって、伝説の素材から精緻な「絆の手綱」が完成した。
完成した手綱をバドレックスに渡すと、彼は目を細めて頷いた。
「完璧である! 感謝するである、マスタード殿」
バドレックスは、ブリザポスへと近づくと、その手綱を携えて背に跨った。その瞬間、バドレックスのマントが背中を纏うように長く伸び、冷気が雪原以上の勢いで道場を支配する。圧倒的なサイコパワーと冷気が混ざり合い、その空間は神聖な緊張感に包まれた。
「ふむ……『豊穣の王』とは、嘘偽らぬものよのぉ」
マスタードがチャンピオンとしての眼光で、満足げにそう呟いた。
バドレックスは、愛馬の背からヒビキを見下ろした。
「ヒビキよ、改めて感謝をする。これから、お主と共に歩ませてくれぬか?」
「良いのか?」
「無論である。これは我が『友』と決めたことである!」
レイスポスとブリザポスも、王の言葉に従うように力強く頷く。
ヒビキは大きく笑い、その手でバドレックスの差し出した拳に力強く応えた。
「なら、よろしくな!」
こうして、伝説の王と二頭の愛馬は正式にヒビキの相棒となり、ジョウトリーグ、そしてその先へと続く新たな伝説への階段を歩み始めたのだった。