ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
ブリザポスに騎乗した白馬のバドレックスは、氷とエスパータイプを併せ持つ重戦車のごときアタッカーだった。対してレイスポスに騎乗した黒馬のバドレックスは、圧倒的な速度を誇るゴーストとエスパータイプのアタッカーへと変貌する。
二つの形態の特性をマスタードと共に把握したヒビキは、確かな手応えを感じていた。
「白馬だと重戦車アタッカーで、黒馬だと高速アタッカーになるのか……」
「どう活かすかは、ヒビキちん次第だね」
マスタードの激励に、ヒビキは力強く頷く。
「頑張ります!」
修行中、島のポケモンや手持ちたちが一斉にカントーの方角へ向かって移動し始めるという不思議な出来事もあったが、バドレックスがその威光で静まり返らせ、事なきを得た。やがて予定していた修行期間が終わり、ヒビキ、リン、セナの三人はカントーへ帰る時を迎えた。
「「「お世話になりました!」」」
「3人とも頑張ってチョー!」
「体に気を付けるだよ!」
師匠たちの見送りを受け、ヒビキは修行中に捕まえたガラルヤドンを進化させるための「ガラナツブレス」を譲り受け、帰路についた。
「色々学べましたねぇ」
「楽しい経験積めたもんや!」
旅路の中、ヒビキがふと口にする。
「多分、帰ったらオーキド博士が手揉みして待ってそうだなぁ」
「「確かに……」」
容易く想像できた未来に、二人とも思わず苦笑いを浮かべた。
カントーに戻り、自宅に荷物を置いて研究所へ向かうと、リンとセナより先に、サトシ、カスミ、タケシ、そしてシゲルの姿があった。
「あっ! ヒビキ! 久しぶり!」
「元気そうだね」
「サトシ! シゲル! 久しぶりだな、おまえら」
再会を喜び合っていると、セナたちを伴ったオーキド博士と、一人の少年がやってきた。
「初めまして、僕はケンジ。博士の助手をさせて貰うことになったんだ」
少年がそう軽く自己紹介を終えると、オーキド博士が待ちきれない様子でヒビキに向き直った。
「ヒビキ! 早速で悪いが、例のポケモンを早速見せてくれんか!」
勢いよくそう言われ、ヒビキは苦笑しながら黒馬バドレックスとブリザポスを繰り出した。
「バドレックス、この人が前に話した、手持ちを預けている庭を管理している人だ」
紹介を受けたバドレックスは、堂々と胸を張って答えた。
「そうであるか。ヨの名は、バドレックス。そしてヨの愛馬であるレイスポスとブリザポスである。宜しく頼むのである、博士殿」
流暢に言葉を紡ぐ姿を見て、事情を知らないサトシやケンジたちは目を見開いて呆然とする。
「ロケット団のニャース以外にも、喋るポケモンがいるなんて……!」
サトシの言葉を聞いたバドレックスは、どこか感心したように首を傾げた。
「なんと、ヨの他に喋るポケモンがいるとは! そやつはよほど努力をしたのであるな」
しばらくして、皆が落ち着いた頃、オーキド博士が問いかけた。
「さて、皆はこの後どうするのじゃ?」
その問いに、サトシ、シゲル、そしてヒビキの三人は、ジョウトリーグに挑戦する意志を伝えた。
「ウチは、カロス地方に行ってみよかな? ウチと同年代の発明家がいるって聞くし」
リンは新たな地への興味を語り、セナは少し悩んだ様子で口を開いた。
「私は……まだ考え中ですぅ」
それぞれの道へと歩み出す準備が、静かに始まろうとしていた。