ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
ブリザポスとシャンデラ、双方の闘志は火花を散らすほどに高まっていた。
「シャンデラ! 【悪巧み】です!」
「シャシャン!」
一気に特攻を高め、一撃必殺の火力を狙うシャンデラに対し、ヒビキは冷静に状況を判断する。
「これ以上、特攻を上げさせるな! 【挑発】!」
「バシロォス!」
ブリザポスは素早く踏み込み、不穏な気を放ってシャンデラの戦術を封じ込めた。
「足の速さは此方が有利のようですね……。なら、力押しです! 【火炎放射】!」
「シャン!」
シャンデラが放った灼熱の業火に対し、ヒビキは即座に命じる。
「【岩雪崩】で防げ!」
「バシロッ!」
ブリザポスが咆哮とともに呼び出した巨大な岩壁が炎を遮る。直後、ヒビキが突き放すように指示した。
「粉砕して突撃だ! 【10万馬力】!」
「バシロォス!」
先ほど自ら生成した岩の破片を、ブリザポスは蹄で粉砕しながら凄まじい勢いで突撃した。シャンデラは最後の手段とばかりに最大火力の【煉獄】を放つが、ブリザポスはその身に火炎を浴びながらも意に介さず、強靭な肉体で突き進む。重戦車の如き一撃を叩き込まれたシャンデラは、なす術なく吹き飛び戦闘不能となった。
「まさか、一撃とは……」
ナツミは驚きつつもシャンデラを戻すと、清々しい笑顔を見せた。
「付き合って頂きありがとうございます! ヒビキ選手はジョウトリーグに挑戦されるのですね。私もそのつもりです。次はリーグで会いましょう!」
彼女は愛用のポケモンに跨ると、空の彼方へ颯爽と去っていった。
「お疲れさん、かなりのダメージを受けているな。後で人参を用意して貰えよ」
平気そうに振る舞っていたブリザポスだが、実際は激戦で肩で息をしていた。労いの言葉をかけ、ヒビキはブリザポスを研究所へ送り返す。ウツギ博士とハクトに別れを告げ、ヒビキもついにワカバタウンを出発した。
「まずは新入りの育成だな。あとは手持ちを増やすか……取り敢えず電気タイプと、炎タイプも補強しておかないと」
今後の計画を練りながら街道を進むと、野生のオタチと遭遇した。
「オタチか。捕まえておくか。行ってこい、オンバット!」
「オンッ!」
指示を受けたオンバットの【空気の刃】が鋭い風となってオタチを捉え、一撃で戦闘不能に。モンスターボールを投げつけ、無事に捕獲成功。その後もホーホー、イトマルと立て続けに仲間を加え、ヒビキはヨシノシティへと辿り着いた。まだ日は高かったため、ポケモンセンターで回復とジョウトリーグの申請を済ませ、すぐさま出発する。キキョウシティまではまだ距離がある。
「飛んでいくか!」
相棒のプテラに跨り、大空へ飛び立った。眼下に広がるジョウトの景色を楽しみながら、大幅な時間短縮に成功する。夜を迎えたところで、ヒビキは野営を張ることにした。
「……久しぶりの一人旅だなぁ」
カントーでの旅は途中からリンとセナとの三人旅だったため、この静寂はどこか懐かしく感じられた。焚き火のそばで、ヒビキは今シーズンのリーグ規定が記されたルールブックを広げる。
「よし、休む前にしっかり確認しておかないとな」
冷たい夜風が吹き抜ける中、焚き火の炎がヒビキの顔を照らす。ジョウトリーグの幕開けに向け、彼は静かに思考を巡らせていた。手持ちの構成、新たな仲間との連携、そして未知のライバルたち。そのすべてを糧にする覚悟を決め、ジョウトの夜は静かに更けていく。