ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
お互いがバトルフィールドに立つと、シンゴは「ブレード」というニックネームのハッサムを出した。対してヒビキは、
「行ってこい! ウーラオス!」
「ベアクマ!」
と、頼もしい相棒をフィールドへと送り出す。
「なっ!? そんなポケモンを持っているなんてデータに無いぞ!?」
予想外の展開に狼狽するシンゴに、ヒビキは飄々と告げた。
「コイツはウーラオス連撃の型。セキエイリーグ挑戦中に修行に出ていたからな。一応俺の手持ちの中では古株だ。同じポケモンのタイプ別をジスト兄貴が時折、公式戦で出しているから調べてたら?」
言われるがまま、すぐ様端末で情報を集めるシンゴ。
「ウーラオス……マスター道場の免許皆伝者に与えられるポケモン。2種類いて、連撃の型は格闘に水が複合される……。データは集まった! ブレード、【ダブルウィング】!」
相性を突いた効果抜群の技を指示するシンゴに対し、ヒビキは微動だにせず冷静に命じる。
「【水流連打】で受け流せ」
ウーラオスは両腕に水を纏わせると、優しくいなすような手つきで【ダブルウィング】の軌道を逸らし、攻撃を綺麗に無効化してみせた。
「なっ!? なら、今のを再入力して……」
「遅い、【冷や水】」
纏っていた水を勢いよく浴びせかけられ、ブレードはダメージと同時に攻撃力を下げられてしまう。
「特殊技!? ウーラオスは攻撃が高い筈じゃ……!」
「能力を下げる技があるなら使うだろ?」
当たり前の顔をして言い放つヒビキの姿に、シンゴはハッとする。それを境に、彼の視線はパソコンの画面ではなく、目の前のブレードへと向けられるようになっていった。
「【剣の舞】!」
下がった攻撃力を何とか戻し、直様【ダブルウィング】を指示するシンゴ。
「受け流せ」
再度受け流されたものの、ウーラオスは少し渋い顔を見せる。
「よし! 当たった!」
シンゴが嬉しそうな声をあげるのを聞き、ヒビキはふっと笑った。
「漸く盤面を見始めたじゃん。データは大事だけど、そんなものは直ぐに変わり意味を成さなくなる。必要なのはそれにどう対処するかだ! これは、マナシロジムのクスノキさんからの受け売りだけどな」
その言葉を合図にするかのように、ウーラオスは一転して攻めの姿勢へと入る。
「動きは慣れたな? 決めろ! 【水流連打】!」
「ウウウララァァァッ!」
受け流し時とは比較にならないほど激しい連打がブレードを捉え、ついに戦闘不能へと追い込んだ。
バタリと倒れ込んだブレードの元へ、シンゴは慌てて駆け寄る。
「ありがとう。すまない、僕の力不足だ」
そう愛機を優しく労ったあと、シンゴはヒビキの方をまっすぐに見据えた。その瞳には、かつての冷ややかさではなく、確かな熱意が灯っている。
「自分に何が足りないのかわかった気がする」
その様子を見守っていたマサムネが、満足そうに声を張り上げる。
「よく気付いた! シンゴ!」
「「「若!!」」」
マサムネや門下生たちがシンゴの回りに集まり、温かな祝福の声を浴びせるのだった。
一連のことが落ち着いたあと、ヒビキは報酬として周囲のポケモンの生息情報を貰い、その情報を元に探索し、念願の悪と炎タイプのポケモンであるデルビルを捕まえることができた。