ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

13 / 50
親分の矜持

「あのサイホーン、どうやらお月見山から降りてきたみたいね」

 激しくぶつかり合う二匹を、アオバは冷静に観察していた。その横で、ようやく目を覚ましたセナがヒビキの背中から降りる。

「あっ、ヒビキさん、ありがとうございましたぁ……」

「マイペースすぎやろ! なぁ、ウチらじゃどっちも捕まえられへんから、ヒビキが挑戦したらどや?」

 リンが期待の眼差しを向けるが、ヒビキの瞳はどこか冷めていた。

「……いや、いい。どうしてもサイホーン系を見ると、兄貴の親分ドサイドンと比べちゃうんだよな。あれに比べたら、アイツはそこまで強そうに見えないんだよなぁ」

 「アハハ、それは私ら姉弟の感覚が狂ってるのよね」

 アオバが苦笑いしながら補足する。

「普通なら捕まえることが出来るなら、絶対捕まえるべき個体よ。でも、兄さんの最古参……エレキブルやギャラドス、ドサイドンを見て育つと、どうしてもね……特にヒビキ(アンタ)は産まれた時からの仲なんだから」

「やっぱ四天王を兄に持つと、目が肥えすぎてまうんやなぁ……」

 リンが呆れたように呟く。

 「ま、とりあえず場を収めるか。スピアー、【毒突き】をマンキーに! ケーキは【草結び】、コッペは【アイアンテール】をサイホーンに叩き込め!」

「スピッ!」「「ピッカァ!」」

 一瞬の連係。サイホーンは【草結び】に足を捕られて転倒し、そこへマンキーが追撃しようとするも、スピアーの超高速の【毒突き】がそれを許さない。

 あっという間に二体は沈黙した。

 ヒビキは二体に駆け寄り、手早く傷の手当てを施す。

「悪いな。これ以上暴れられると、周りの迷惑なんだ。……もう少し大人しく暴れろよ」

「「……」」

 目を覚ました二体は、どこか複雑そうな表情でヒビキを見送った。

 その後、一行はニビ博物館へ戻り、復元装置の前に立っていた。

「……姉ちゃん、念のためにお願い」

「任せなさい。頼むわね、トドゼルガ、ガルーラ!」

 アオバが繰り出したのは、風格漂う二匹。リンとセナを保護するように配置し、ヒビキも手持ちを全て出して身構える。

 そして、復元装置のシャッターが開いた。

 ──そこに現れたのは、一同の予想を遥かに超える巨大な影だった。

 「……ッ!? こいつも親分個体(‥‥)かよ!」

「流石に化石の親分は予想外ね……!」

 太古の空の王・プテラ。その威圧感に博物館内はパニックに陥る。

 プテラの口内に【破壊光線】の光が収束される。放たれようとした、その時だった。

 突如として二つの影がプテラの前に飛び出して来たのだ。

 それは先程の、親分サイホーンと親分マンキーだ。

 「お前ら……お礼のつもりか!?」

 二匹は指示を待つように、じっとヒビキを見つめた。ヒビキは迷いなく右手を突き出す。

 「いいだろう、全員攻撃開始ィ!」

 プテラの【破壊光線】が放たれる。

 だが、サイホーンとマンキー、そしてヒビキの手持ち6匹が一斉射撃を叩き込んだ。八匹の技が混ざり合い、強大な閃光を押し返していく。

 「いっけえええええ!」

 爆炎と共にプテラが吹き飛ぶ。

 ヒビキは流れるような動作で、モンスターボールを投げつけた。

 激しい音を立てて暴れるボール。数回、十数回……やがて、静寂が訪れた。

 「……ゲットだ」

 最強の古代ポケモンが、ヒビキの仲間に加わった瞬間だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。