ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
「あのサイホーン、どうやらお月見山から降りてきたみたいね」
激しくぶつかり合う二匹を、アオバは冷静に観察していた。その横で、ようやく目を覚ましたセナがヒビキの背中から降りる。
「あっ、ヒビキさん、ありがとうございましたぁ……」
「マイペースすぎやろ! なぁ、ウチらじゃどっちも捕まえられへんから、ヒビキが挑戦したらどや?」
リンが期待の眼差しを向けるが、ヒビキの瞳はどこか冷めていた。
「……いや、いい。どうしてもサイホーン系を見ると、兄貴の親分ドサイドンと比べちゃうんだよな。あれに比べたら、アイツはそこまで強そうに見えないんだよなぁ」
「アハハ、それは私ら姉弟の感覚が狂ってるのよね」
アオバが苦笑いしながら補足する。
「普通なら捕まえることが出来るなら、絶対捕まえるべき個体よ。でも、兄さんの最古参……エレキブルやギャラドス、ドサイドンを見て育つと、どうしてもね……特に
「やっぱ四天王を兄に持つと、目が肥えすぎてまうんやなぁ……」
リンが呆れたように呟く。
「ま、とりあえず場を収めるか。スピアー、【毒突き】をマンキーに! ケーキは【草結び】、コッペは【アイアンテール】をサイホーンに叩き込め!」
「スピッ!」「「ピッカァ!」」
一瞬の連係。サイホーンは【草結び】に足を捕られて転倒し、そこへマンキーが追撃しようとするも、スピアーの超高速の【毒突き】がそれを許さない。
あっという間に二体は沈黙した。
ヒビキは二体に駆け寄り、手早く傷の手当てを施す。
「悪いな。これ以上暴れられると、周りの迷惑なんだ。……もう少し大人しく暴れろよ」
「「……」」
目を覚ました二体は、どこか複雑そうな表情でヒビキを見送った。
その後、一行はニビ博物館へ戻り、復元装置の前に立っていた。
「……姉ちゃん、念のためにお願い」
「任せなさい。頼むわね、トドゼルガ、ガルーラ!」
アオバが繰り出したのは、風格漂う二匹。リンとセナを保護するように配置し、ヒビキも手持ちを全て出して身構える。
そして、復元装置のシャッターが開いた。
──そこに現れたのは、一同の予想を遥かに超える巨大な影だった。
「……ッ!? こいつも
「流石に化石の親分は予想外ね……!」
太古の空の王・プテラ。その威圧感に博物館内はパニックに陥る。
プテラの口内に【破壊光線】の光が収束される。放たれようとした、その時だった。
突如として二つの影がプテラの前に飛び出して来たのだ。
それは先程の、親分サイホーンと親分マンキーだ。
「お前ら……お礼のつもりか!?」
二匹は指示を待つように、じっとヒビキを見つめた。ヒビキは迷いなく右手を突き出す。
「いいだろう、全員攻撃開始ィ!」
プテラの【破壊光線】が放たれる。
だが、サイホーンとマンキー、そしてヒビキの手持ち6匹が一斉射撃を叩き込んだ。八匹の技が混ざり合い、強大な閃光を押し返していく。
「いっけえええええ!」
爆炎と共にプテラが吹き飛ぶ。
ヒビキは流れるような動作で、モンスターボールを投げつけた。
激しい音を立てて暴れるボール。数回、十数回……やがて、静寂が訪れた。
「……ゲットだ」
最強の古代ポケモンが、ヒビキの仲間に加わった瞬間だった。