ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
現場から遠く離れた、人里離れた荒野の片隅。
禍々しい空間の歪みが収まると共に、ソウマが静かに姿を現した。そこには先回りしていたであろうヒョウガが待機しており、ソウマを見つけると声をかけた。
「お疲れさん。こっちは先に用事を終わらせて戻らせてもらったぞ。デジメモリも回収した。この世界にあるのは、これで後2つだな」
「おう、こっちもデジタマの回収は出来た。あのオークションの連中からもっと情報を吐かせようとしたけど、途中で邪魔が入っちまったから、あまり美味い情報は抜けなかったな」
「まぁ、しょうがないさ。……で、どうした?」
「いやな……さっき、ヒビキ君にあの殺戮の現場を見られちまってたんだよ。流石にあんなものを見せるのは、少し刺激が強すぎたかなと思ってな」
「成る程……だが、遅かれ早かれ知ることになるんじゃないか」
「そうだな……。まぁ、あと少しの辛抱だ。ちゃっちゃっと終わらせて、この世界とはおサラバして自分たちの世界へ戻るか!」
「そうだな。俺たちのような別世界の強力な存在が長居するのは、何が起こるか分かったもんじゃないからな」
軽い口調でそう笑い合う2人。
「そう言うことだから、お前らはもうしばらく、ポケモンの姿のテクスチャで我慢してくれよ、相棒」
ソウマがそう声をかけると、彼らの背後には、禍々しいオーラを纏った巨大で異形の生物――クロノモンDM(デストロイモード)とズィードミレニアモンが静かに佇んでいた。その圧倒的な存在感を隠すかのように仮初めの姿をまとった2体を従え、ソウマとヒョウガは次の目的地へと歩き出すのだった。
その頃、惨劇の現場となった会場では、精神崩壊一歩手前まで追い詰められた参加者たちの保護を警察に任せている最中、ヒビキの手持ちであるバドレックスが、ヒビキとシアン、ジスト、マツバ、そしてハンサム警部の脳内に直接テレパシーを送り込んだ。
『――ヒビキよ。どうやら、この一帯に不自然な時空が歪んだ形跡が残されているのを感じるのである』
伝説のポケモンでも容易には成し得ない時空操作の形跡。ハンサムたちがその異常な事態に絶句し、悩ましげに「しかし、裏社会でも名を轟かせていたような連中まで、あのような無惨な形で再起不能になったとなると、今後、裏の情勢はかつてないほどの激震に見舞われることになるだろうな」と呟いたその時だった。
「警部! 大変です! 騒ぎに乗じて、競売に出される予定だった会場内の商品――捕獲・監禁されていたポケモンたちが檻を壊して逃げ出しました!」
捜査員が血相を変えて駆け込んできたため、ハンサムは「何だと!? 興奮状態のポケモンたちが街に解き放たれたとなれば、この付近の生態系に多大な悪影響が出る……直ちに対応を! 君達も手伝ってくれ」と周囲に協力を要請した。こうしてシアン、ジスト、マツバ、ヒビキの4人は街や森へ散らばった逃げたポケモンたちの捜索に奔走し、眠る間も惜しんで追跡と保護を続けた結果、丸2日をかけてすべてのポケモンを無事に捕獲することができたのだった。