ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

140 / 143
新しい同行者

 打ち合わせを終えた翌日。ヒビキは次のジムがあるアサギシティへと向かうことにした。

 「おや? お前さん、どこか行くのかい?」

 声をかけてきたのはダンだった。

 「俺、まだ旅の途中なんですよ。そろそろ次の所に行かないといけないんで」

「確かにヒビキ君は、そろそろ次に向かわないとだめだね」

「まだ開催まで時間があるとはいえ、長居しない方がいいからな」

 見送りに来ていたマツバ、ジスト、シアンが口々に言葉を継ぐ。

 「済まんなヒビキ、色々と手伝わせてしまって」

「気にしないでよ、兄貴。んじゃ、兄貴、マツバさん、シアン兄、行ってきます!」

 元気よく挨拶をして旅立とうとすると、19歳のダンが不敵な笑みを浮かべてとある頼み事をしてきた。

 「なぁ、その旅に俺もついていってもいいか?」

「え?」

 予想外の申し出に、ヒビキは思わず間抜けな声を漏らす。

 「ここには若や姫様を狙うような連中はいないだろうし、そろそろ暇をもらおうと思っていたんだ。お前さんが良ければ頼むわ」

「ヒビキ殿、そなたが良ければ俺からも頼む」

 いつの間にか背後に現れていた18歳のソウゴまでそう言って頭を下げる。この時代への永住を決めた彼なりの、新たな一歩なのだろう。

 「まぁ、いいですけど……」

「ありがてぇ! よろしくな、ヒビキ!」

 そうしてダンが同行することになり、荷物の最終確認のために一度戻ると、今度は14歳になったばかりのツキノとエイがやってきた。

 「ヒビキさん。私とソウゴ様はマサラタウンという所でしばらくお世話になり、この時代の常識などを学ぼうと思います。あなた様の旅路が安全であること、祈っております」

 深々と頭を下げたツキノは、続けて真剣なまなざしを向けてきた。

 「つきましては、エイを旅に同行させていただけないでしょうか?」

「はい!?」

「ちょっ、ツキノ様っ! なんで勝手にそんな大事なことを……!」

 慌てた様子でツキノの袖を引っ張ったのはエイだった。しかし、すぐに気を取り直すようにきゅっと唇を引き結び、年相応のプライドと強い瞳でヒビキをキッと睨みつける。

 「……た、たしかにボクだって、ツキノ様やソウゴ様の足手まといになりたくないし、この時代の知識も力も早く身につけたいとは思ってるわよ! でも、だからって年下のヒビキに頼るなんて……っ!」

「あ、れ? 今、呼び捨て……?」

 ヒビキが思わず首を傾げると、エイはカッと顔を赤らめ、気まずそうに視線をそらした。

 「い、いいでしょ別に! これから一緒に旅するんだから、いつまでも『さん』付けなんて堅苦しいじゃない! ……って、話を逸らさないでよ!」

 ぷいとそっぽを向いて腕を組むエイに、ツキノは困ったような、しかし愛おしそうな笑みを浮かべる。

 「エイはこう言っておりますが、根は真面目ですし、何より色々なことを吸収したいという向上心が強いのです。魔獣……いえ,ポケモンをまだ持っていないエイ一人では危ういですし、どうかお願いいたします」

 ツキノのため、そして自身の成長のため。背伸びをしたいお年頃のまっすぐな決意を感じ取り、ヒビキは小さく笑って頷いた。

 「いいですよ。よろしくな、エイ」

「っ……! 別に、よろしく頼まれるいわれはないわよ。……でも、足手まといにならないように、しっかりアンタの背中から学ばせてもらうからね!」

 こうして、新たな仲間たちを連れたヒビキの旅が、再び大きく動き出すのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。