ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

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物足りない雷鳴との出会い

 チョウジタウンへ向かう道中、手持ちのさらなる増強と育成を図りたいというダンとエイの要望を受け、一行は少し足を延ばして豊かな自然が広がる森へと寄り道をすることにした。

 「さてと! 俺のセンスにグッと来る奴がいればいいんだが……」

 気合十分のダンは、相棒のヒスイゾロアークとヤミカラスを連れて、まっすぐ森の奥へと足を踏み入れていく。

 「ボクも手持ちを増やしたいし、行ってくるね。それじゃ、三時間後にここで集合ね!」

 それに続くように、エイもミルタンク、ムウマ、チョンチーを引き連れて別のルートから森へ入っていった。

 「それじゃ、俺も行くか」

 取り残されたヒビキも、二人とは異なる方角へ向けて歩き出す。

 それぞれが思い思いの時間を過ごし、約束の三時間が経過したころ、集合場所である木立の開けたスペースに戻ってきた。少し遅れて、ダンとエイもそれぞれの方向から姿を現す。

 「おつかれ、二人とも。どうだった?」

 ヒビキが声をかけると、ダンは自慢げにモンスターボールを掲げた。

 「おう! しっかりグッと来たのがいたからな、何とかゲットしてきたぜ!」

 そう言って見せてくれたのは、凛々しい顔立ちのガーディと、どこか間抜けで愛嬌のあるコダックだった。

 「ボクはこの子たちを仲間にしたよ!」

 エイも負けじとボールを構え、元気いっぱいのヒマナッツと、この地域では珍しいアサナンをヒビキたちに披露する。

 「どいつもこいつも、じっくり育てがいのあるポケモンたちだな」

「ヒビキはどうだったの?」

「俺は……これといってピンと来るポケモンとは出会わなかったな」

 そんな風に和やかに戦果を語り合っていると、突如として森の静寂を引き裂く凄まじい轟音が響き渡り、空気がビリビリと震えた。

 「──っ、何!?」

 突然の雷鳴に、エイは思わず身を縮こまらせて耳を塞ぎ、ダンとヒビキは瞬時に身構えて音の出所を鋭く警戒する。

 すると、生い茂る木々の隙間から姿を現したのは、周囲の個体とは一回りも二回りも大きな巨体を誇る、色違いのエレキッドだった。

 「あれは……親分個体の上に、色違いか。かなり珍しいな」

 ヒビキが冷静に分析する傍らで、ダンは闘志をむき出しにする。

 「へっ、面白れぇ! なら俺がゲットさせてもらうぜ! ゾロアーク、【怨み辛み】!」

 ダンの指示を受け、ヒスイゾロアークが鮮烈な呪詛のオーラを纏って突撃する。対する親分エレキッドも負けじと強烈な【10万ボルト】を放ち、正面から迎撃した。凄まじい電撃が【怨み辛み】の威力を削ぎ落とし、完全に相殺しきれなかったものの直撃を奪う。

 しかし、吹き飛ばされたエレキッドは着地するやいなや、その巨体から眩い光を放ち始めた。

 「──進化しやがった!」

 光が収まり、エレブーへと姿を変えた親分個体は、先ほどとは比較にならないほど強力な閃光を周囲に撒き散らす。迎撃しようと待ち構えていたヒスイゾロアークの【ハイパーボイス】の音圧を圧倒的な放電でかき消すと、そのまま重い体当たりでゾロアークを凄まじい勢いで吹き飛ばした。

 「くそっ、進化したことでパワーも桁違いになりやがった……!」

 ダンが慌ててヒスイゾロアークの元へ駆け寄るが、すでにその目は渦を巻いており、戦闘不能に陥っていた。

 「どうするの……?」

 冷や汗を流しながらエイがヒビキに問いかけると、ヒビキは無言のまま、腰のボールからリングマを繰り出した。

 リングマは目の前のエレブーを一瞥すると、小さく鼻を鳴らす。

 「……やれ」

 ヒビキが発した簡潔な一言に呼応するように、リングマが地面を蹴り飛ばした。猛然と肉薄し、右拳に凄まじい闘気を込めた【雷パンチ】を振りかざして突撃する。

 エレブーも負けじと【雷パンチ】で迎え撃ち、二体の拳が真っ向から激突した──かに見えた瞬間、圧倒的な重量と筋力を誇るリングマの拳がエレブーの防御を粉砕し、その巨体を木々ごと盛大に吹き飛ばした。

 着地したエレブーはビクとも動かず、そのままガクリと崩れ落ちて戦闘不能となる。

 「なっ……!? 一撃でやりやがったのかよ!」

「でも、なんだかリングマの方があんまり嬉しそうじゃないね」

 戻ってきたリングマは、これだけの強敵を倒したというのに「こんなものか」と言わばかりに、どこか気だるげで拍子抜けしたような表情を浮かべていた。

 「あのエレブー、この辺りの野生じゃ間違いなく一番の実力者だったんだろうな。たとえ相性の悪い地面タイプの攻撃を受けたって、こいつの相手にはならないさ。俺たちの手持ちにとっては……ちょっと物足りない相手だったみたいだな」

 ヒビキが淡々と分析すると、ダンは苦笑いを浮かべる。

 「なあ、ダン。こいつ、捕まえないか?」

「いや……相棒が一撃でやられちまったし、今の俺の実力じゃこいつを完全に御しきれねぇな。今回はパスだ」

 そう話しているうちに、先ほどのダメージから回復したのか、親分エレブーがのろのろと起き上がってきた。しかし、自分を圧倒的な実力でねじ伏せたヒビキの姿を見ると、敵意を消し去り、なぜかヒビキの足元へとトコトコ歩み寄って従順な姿勢を見せはじめる。

 「……ついてくるのか? まあ、せっかくの縁だし、一応捕まえておくか」

 ヒビキが軽く投げたモンスターボールは、抵抗を受けることもなくエレブーを吸い込み、カチリと音を立ててしっかりと捕獲完了の光を放ったのだった。

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