ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
レアコイルの防御戦術に対抗するように接近戦を指示したヒビキ。ヘルガーは【ニトロチャージ】で突撃し、レアコイルにぶつかると同時に――。
「レアコイル! そのまま【10万ボルト】!」
至近距離から放たれた【10万ボルト】がゼロ距離で直撃し、ヘルガーに大きなダメージを与えた。
「カウンター気味の【10万ボルト】か! これじゃ避けられないな」
「あとは、お互いが最後にどの技を放つかね」
「たしか公式の試合は、使える技は4つまでって決まっていなかったかしら?」
「そうよ。4つすべて使いきって【悪あがき】以外を使ってしまったら、その時点で反則負けになるわ」
「限られた手札の中で何を選択するかが重要ってわけだな……」
エイの疑問にアオバが答え、ダンが固唾を飲んで戦況を見守る中、ヒビキが次の一手を叫ぶ。
「壁を破壊する! ヘルガー、【サイコファング】!」
「レアコイル、【でんじは】!」
すでに抜群のダメージを受けて消耗していたレアコイルは、執念の【でんじは】でヘルガーの動きを麻痺させるが、直後に叩き込まれた【サイコファング】によって耐えきれず戦闘不能に倒れた。
「【光の壁】は消えましたが、これでヘルガーは技スペースを使い切りましたね。――お願い、ドータクン!」
「ドータッ!」
ミカンが次に繰り出したのは、重厚な体躯を持つドータクンだった。
「ドータクンか……! ヘルガー、【火炎放射】!」
麻痺の痺れを気合で乗り越え、動けたヘルガーが炎を浴びせるも、ドータクンにはあまり大きなダメージを通せない。
「やっぱり特性【耐熱】か……! 一旦戻れ、ヘルガー!」
「させません! 【とおせんぼう】!」
ヒビキが交代を命じるより早く、【とおせんぼう】の光が周囲を包み込み、ヘルガーの逃げ道を塞いでしまった。
「厄介だな……! ヘルガー、少しでも削るんだ、【火炎放射】!」
引けないのであればと追加のダメージを狙うも、ここで麻痺が完全に足首を掴み、ヘルガーは動けない。
「ドータクン、【岩雪崩】!」
頭上から降り注いだ大量の岩石がヘルガーを押しつぶし、ついに力尽きて戦闘不能となった。
「すまない、俺の判断ミスだ。ゆっくり休んでくれ……。よし、久しぶりのジム戦だ、思い切り暴れてこい! ニドキング!」
「ニドォッ!」
ヒビキが次に送り出したのは、数々の場数を踏んできた切り札の一角、ニドキングだった。
「そのニドキングも、ヒビキさんの主力の一体ですね……!」
ミカンが苦々しげに呟く。
「ドータクン、【鉄壁】!」
「ニドキング、【大地の力】!」
防御を固めて耐えようとするドータクンに対し、ヒビキは相性の良い特殊技を指示。地面から噴き出した莫大なエネルギーが直撃し、ドータクンを鮮やかに一撃で沈めた。
「やはり、ただの新人トレーナーではない強さですね……。ですが、ここで止めます! お願い、ハガネール!」
「ガァネェェールッ!」
ミカンが最後に切った札は、圧倒的な巨体を誇るハガネールだった。それを見たヒビキは、ニドキングを手元へと呼び戻す。
「進化してからの記念すべきデビュー戦だ! いけ、オーダイル!」
「オーダッ!」
それは、かつて親分個体のワニノコとして旅を始め、ついに最終進化を果たした頼もしい相棒だった。
「ハガネール、【雷の牙】!」
「オーダイル、【アクアブレイク】!」
電撃を纏いながら突進するハガネールの一撃を紙一重で躱し、オーダイルはアッパーカットの要領で激流を纏った拳を叩き込む。
「そのまま【諸刃の頭突き】と【ワイドブレイカー】の同時攻撃!」
巨体とリーチを生かした二つの大技が容赦なく迫るが、オーダイルは一歩も引かない。
「【馬鹿力】で受け止めろ!」
オーダイルはハガネールの頭部と尻尾でその猛攻を力任せに受け止めた。
「マジかよ!? どんだけの力自慢だよ!?」
ダンが思わず目を見張って声を上げる。
「あのオーダイル、おそらくジスト兄さんの手持ち連中からみっちりシゴかれているわよ。あっちのスパルタに比べたら、ミカンちゃんのハガネールの攻撃なんて軽いものよ」
「どんだけ過酷な環境なんだよ!?」
エイが驚愕する中、オーダイルは受け止めたハガネールの巨体をそのまま腕力だけでぐっと持ち上げた。
「そのまま地面に叩きつけろ!」
豪快に地面へ叩きつけられたハガネールが衝撃に喘ぐ。
「トドメだ、もう一度【アクアブレイク】!」
休む間もなく、スレッジハンマーの要領で勢いよく振り下ろされた水の両腕がハガネールを捉え、ついに巨体を戦闘不能へと追い込んだ。
「ハガネール、戦闘不能! オーダイルの勝ち! したがって、勝者はマサラタウンのヒビキ!」
こうして、激闘の末にヒビキはアサギジムを突破し、ジムバッチを入手するのであった。