ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
チョウジジムでの激闘を終えてジムの外へ出たヒビキたちは、せっかくの機会だからと、そのまま「いかりの湖」へと足を伸ばすことにした。
「いやぁ……あのヤナギさんのデリバード、一体何だったんだよ!? 強すぎだろ……!」
「本当によくあんなに圧倒できたわね……。まさか、あぁもデンリュウを何もさせずに戦闘不能にしちゃうなんて思わなかったわ」
「おまけに、次に出したバンギラスさえも巧妙に手玉に取って、最後は相討ちスレスレまで持っていったんだからな」
チョウジジムのジムリーダーであるヤナギとのバトルは、まさに想像を絶する凄まじい激闘だった。最初のジュゴンこそヒビキのデンリュウでほぼ無傷のまま突破したものの、続くヤナギの隠し球──あのデリバードの猛攻に手こずり、最後はバンギラスを繰りだして辛くも相討ち近い状態に持ち込み、どうにかジムバッジをもぎ取ったのだ。
「んで、ここが噂の『いかりの湖』か」
「何でも昔、怒り狂ったギャラドスが暴れ回ってできた大きな窪地に、雨水が溜まってできた湖なんだって」
「そのせいなのか、この湖にはコイキングだけが多数生息しているらしいぞ」
湖畔の景色を眺めながらダンやエイとそんな会話を交わしていると、ふとエイが小首をかしげた。
「でも、どうしてこんな名所なのに、他に観光客やトレーナーが誰もいないのかしら?」
「そういえばさっき、最近この辺りでギャラドスが異常に増え始めているっていう噂をチラッと聞いたな……。もしかすると、そのせいで人が近寄らないようにしてるのかもな」
原因について推測していると、視線の先にふと、見覚えのある人影が飛び込んできた。
「あれは……」
それは、奇妙な編み笠のようなものを深く被り、鮮やかな赤い体色をしたジュナイパーらしきポケモンと激しいスパーリングに明け暮れる青年の姿──ソウマだった。
声をかけようと足を止めた瞬間、二人の間でスパーリングが本格的に幕を開けた。人間とポケモンがやっているとは思えないほどの凄まじい肉弾戦の打撃音が辺りに響き渡り、ヒビキたちはその圧倒的な光景に驚愕し、その場に釘付けになってしまう。
「……あれ、本当に人間か?」
「ボク、自分の目を疑っちゃった……」
「俺だって日頃から特訓で岩を投げたりしてるけど、あんな動きは絶対に無理だぞ」
「俺やエイの元の時代にいた武術の達人たちだって、あそこまでの芸当はできなかったはずだ……」
あまりの人知を超えた修行風景に、一同はただただ圧倒されるばかりだった。
やがてスパーリングを終えたソウマは、こちらに視線を向けると気さくに手を挙げて近づいてきた。
「おや、ヒビキ君か。久しぶりだね。ずっと見てたのかい? すまないね、朝から少し騒がしくしてしまって」
「お久しぶりです、ソウマさん。エンジュシティのあの件以来ですね」
「噂で聞いたけれど、あとで大きな大捕物があったそうじゃないか」
「ええ、おかげさまで。この辺りでも大規模な闇オークションが摘発されたらしいですよ」
そんな世間話を挟みつつ、ダンやエイたちとも簡単に自己紹介を済ませると、ヒビキは先ほどから気になっていたことを思い出したように尋ねた。
「そういえば、そのポケモンってジュナイパーですよね? 前に見た奴とは、ちょっと姿かたちが違っているみたいですけど……」
ヒビキの質問に、ソウマは楽しげにふっと笑ってみせる。
「よく気づいたね。コイツはジュナイパーのリージョンフォーム──『ヒスイジュナイパー』と呼ばれる個体さ。俺の自慢の相棒でね、厳しい寒冷地に適応して進化すると、こういう姿になるんだよ」
ソウマが相棒の頭を優しく撫でると、ヒスイジュナイパーは凛とした眼差しで静かに頷いた。
その和やかな空気を断ち切るように、ふと、目の前に広がるいかりの湖の湖面が大きく波打った。
ジョウトリーグが終わって次の地方は
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サトシと一緒のホウエン地方
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サトシとは別のイッシュ地方