ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
ジョウトリーグの開催地であるシロガネタウンへ向かうため、まずはスタート地点でもあるワカバタウンを目指すことにしたヒビキ一行。
移動中も事前に立てた計画通り、モノズ、セビエ、ブロロンの三匹のトレーニングを重ねつつ、道中で即戦力となるポケモンの捜索を続けていた。そんな折、ヒビキが手帳とボールを見比べながら首をひねる。
「う~む……」
「どうしたんだ? 変な声を出して」
浮かない顔のヒビキにダンが声をかけると、ヒビキは手元のデータを指差しながら答えた。
「いやね、三匹の状態をじっくり確認してみたんだけど……モノズとセビエはまだ幼くて実力もこれからって感じなのに、ブロロンだけは最初からかなりの強さを持っていたんだよ」
「そうなの? でも、普段の動きを見てると、かなりのんびり屋な性格をしているように見えるけど……」
会話に混ざってきたエイが不思議そうに尋ねると、ヒビキは苦笑いを浮かべながら頷いた。
「それがさ、一度エンジンがかかると途端に化け物みたいなパワーを発揮するんだよ。スパーリングにつきあっていたオーダイルが本気で驚いてたくらいだからね」
そんな話をしながら歩いていると、やがて街道沿いのポケモンセンターが見えてきた。さっそく中に入り、手持ちの調整と合わせてオーキド博士へと連絡を入れてみることにした。
『ふむ……なるほどなぁ。恐らくそのブロロンは、通常の個体とは異なる特別な特性を持っておるのかもしれんな』
画面の向こうでオーキド博士が顎に手を当てて頷く。
「通常と違う特性、ですか?」
『うむ。ポケモンの特性を専門に研究しているハクト君曰く、ポケモンの中には通常では滅多にお目にかかれない第3の特性を持つ個体もおる。研究者たちの間ではそれを「夢特性」あるいは「隠れ特性」と呼ぶそうじゃ』
「それじゃ、俺のあのブロロンは……」
『恐らくその隠れ特性なのじゃろう。今送ってもらったバトルデータを精査してみたが……特性は恐らく【スロースタート】だと考えられるな』
「スロースタート……?」
『スロースタートは、バトルに出てから一定時間が経過するまでエンジンがかからず、攻撃と素早さが半分になってしまうという特性じゃ』
「……かなりデメリットが大きい特性だな」
横で話を聞いていたダンが思わず眉をひそめて呟く。しかし、オーキド博士は朗らかに笑って首を振った。
『まあ安心しなさい。ブロロームへ進化した際には特性も変化するからの。ただ……ブロロームに進化した時、もしかしたら車のフレームやタイヤといったパーツが必要になるかもしれんぞ』
「えっ、何で車のパーツが?」
『ブロロームは本来、岩石を加工して自身のボディにするポケモンじゃが、中には自動車そのものをボディにしたがるこだわり強い個体もおるのじゃ。あのブロロンのパワーと隠れ特性を見るに、そういったタイプの可能性が高い。あらかじめ用意しておくに越したことはないぞ』
「へぇ~! でも、この近くに大きな街やショップなんてないからなぁ……」
『なにも新品である必要はない。廃車でも構わんから、自動車の販売店やスクラップ工場などに問い合わせてみるとよい。それまでは岩のボディで代用させなさい』
「わかりました。ありがとうございます!」
博士との通信を終えると、ヒビキは画面の前で思案顔になった。
「車のフレームとかタイヤって……購入するとなると幾らくらいになるのかなぁ」
「ポケモンセンターのPCで調べてみたら? 全国ネットなら情報もあるでしょ」
エイに促され、ヒビキはPCのタウンネットを開いて検索をかける。すると、実際にブロロームを相棒にしているパルデア地方や他地方のトレーナーたちが、カスタマイズの事例や実際のパーツ写真、スクラップの費用感などの情報を掲示板やSNSに数多く投稿しており、想像以上にスムーズに情報を集めることができたのだった。
ネットで情報を集めていくと、幸運なことにワカバタウンへ向かう道中にある近くの町に、スクラップ場があることが判明した。ヒビキはさっそく記載されていた電話番号へ連絡を入れ、ブロロンの進化用パーツを探している旨を伝える。
すると、相手の担当者は手慣れた様子で応じてくれた。
『あぁ、ブロロームのボディ用ですね! 最近はそういうお問い合わせも増えてましてね、ちょうど使えそうな状態の良いフレームとタイヤのセットが一つありますよ』
提示された金額も想像よりずっと手頃で、町に到着するまで保管も可能だという。ヒビキが胸を撫でおろして購入をお願いしようとすると、電話の向こうから注意点が告げられた。
『ただし、自動車をボディにしたブロロームを公道や街中で連れ歩く場合、事前に警察への所持・所持車両申請が必要になるんです。警察署で申請を済ませて、その「受領申請書」を持参してからフレームを受け取りに来てくださいね』
「なるほど、公道扱いになるんですね。わかりました!」
電話を切ったヒビキは、間髪入れずにその町の警察署へ連絡を入れる。事情を説明すると、対応した警察官が快く応じてくれた。
『はい、車両型ボディのブロロームの所持手続きですね。承知いたしました。町に到着次第、警察署の本署までお越しください。書類を準備してお待ちしております』
「ありがとうございます! 着き次第伺います」
連絡を終えてギアを閉じると、横でやり取りを聞いていたダンとエイが思わず苦笑いを浮かべた。
「へぇ……ポケモン一匹育てるのに、警察への申請手続きまで要るのか。面白いな」
「まるで本当の車を所有するみたいね! でも、これでブロロンの進化準備はバッチリじゃない?」
「あぁ! 警察署で申請を出して、スクラップ場でフレームを受け取る。次の町でのやりたいことが一つ決まったな!」
ブロロンの進化という楽しみな目標を胸に、三人はさらに足取りを軽やかにしてワカバタウンへの道のりを進んでいくのだった。
アニポケで出ていたので出してみました。
ジョウトリーグが終わって次の地方は
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サトシと一緒のホウエン地方
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サトシとは別のイッシュ地方