ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド   作:ガチャガチャクツワムシ

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暴虐の侵攻

 ソウマがロケット団員を容赦なく殴り飛ばしている光景を、木陰から震えながら目撃していた一人の団員は、恐怖に駆られながらも慌てて引き返し、すぐさま基地へと緊急連絡を入れた。その一報を受けたロケット団の秘密基地内は、一気に騒然とした空気に包まれる。

 この基地の責任者であり、冷徹な研究者であるシラヌイは、苛立たしげに部下たちへ矢継ぎ早に指示を飛ばしていた。ただでさえ計画の遂行で手一杯だというのに、そこへ持ち込まれたのは最悪の知らせだった。

 渦巻き諸島でのルギア捕獲計画を阻まれ、さらには先日起きたライコウ捕獲作戦までもを文字通り「一人で」粉砕したあの恐ろしい男──ヒョウガが、まさにこの基地へ向かっているというのだ。その緊迫した情報は、サトシたちの動向を追跡していたムコニャたちから、通信係のシラサギを経由して、この基地のメインモニターへとリアルタイムで叩き込まれていた。

 「この忙しい時に、どいつもこいつも足を引っ張りおって……!」

 シラヌイは歯噛みしながらそう吐き捨てると、苛立ちを隠すように険しい顔で腕を組んだ。しかし、ただ怯えているだけでは研究者としてのプライドが許さないのか、ふと脳裏に一つの不気味な妙案がひらめく。彼は踵を返すと、研究室の最も厳重な金庫から、以前ほかの地方で回収してきた「謎のメモリースティック」と、奇妙な文様が浮かぶ「見慣れないタマゴ」を取り出してきた。

 「確か、以前にこの近くへ持ち込んだ際、あのタマゴが共鳴反応を見せていたな……。これだけの騒ぎだ、あの男に対抗するための『何か』に関係があるのかもしれん」

 冷たく光るメモリースティックと異様な熱を帯びるタマゴを見つめながら、シラヌイの唇に不敵で歪んだ笑みが浮かぶのだった。

 その頃、基地の入り口近くに身を隠して周囲を警戒していたヒビキ、エイ、ダンの三人。その背後から、ガサリと草木を揺らしながらとある人物が近づいてきた。

 「あっ、ヒョウガさん!」

 ヒビキがパッと表情を明るくして声を上げると、ヒョウガは柔らかい笑みを浮かべてこちらに歩み寄ってくる。

 「やぁ、ヒビキ君。ソウマから連絡があったから合流のために来たんだが……」

「ソウマさんなら、ワタルさんと一緒にあの基地に襲撃をかけにいってますよ!」

 ヒビキがそう説明すると、ヒョウガは不敵な笑みを浮かべた。

 「なら、俺も急ぐとするか……!」

 そう呟くなり、ヒビキは腰のボールから三首の巨龍──サザンドラを繰り出す。

 「行くぞ! サザンドラ、【竜の波動】、【悪の波動】、【ラスターカノン】!」

 サザンドラが三つの首からそれぞれ異なる技を同時に発射し、放たれた強烈な一撃が基地の外壁を直撃した。轟音とともに分厚い防壁は見事に抉られ、ぽっかりと巨大な大穴が開く。

 ヒョウガはその穴から軽やかに飛び降りていき、瞬く間に基地の内部へと侵入していった。

 その頃、ロケット団基地の中は──文字通り、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。

 ソウマがドドゲザンやヒスイジュナイパーを繰り出してポケモンの相手をさせ、本人は素手で団員たちを次々と制圧していく。団員たちは慌てて防壁を下ろしたりして抵抗を試みたが、ソウマの手にかかればまるでガラス細工のように簡単に粉砕され、団員たちは底知れぬ恐怖に顔色を失っていた。

 そんな凄まじい光景の只中に共に乗り込んだワタルは、あまりの規格外な戦闘力を前に、ただ呆気にとられてポツリと呟く。

 「す……凄まじい強さだ……」

 すると、激しい轟音と共に天井から極太の光線が降り注ぎ、分厚いコンクリートの天井を穿って深い穴が開いた。そこから、軽やかに一人の人物が舞い降りる。

 「待たせた」

「おう」

 降り立ったのは、ヒョウガだった。

 ソウマとワタル、そしてヒョウガという規格外の面々が揃ったことで、ロケット団基地の蹂躙劇はさらに加速していく。凄まじい技の嵐と圧倒的な体術の前に、基地の設備は次々と木端微塵に破壊され、もはや基地としての機能を完全に失っていた。

 そうして基地の大部分を文字通り遊び尽くすように破壊し尽くした先、彼らがたどり着いた最奥の部屋。そこにいたのは、冷徹な研究者・シラヌイだった。彼は追い詰められた表情のまま、目の前にある怪しげな機械へと「謎のメモリースティック」と「謎のタマゴ」を急いでセットしている最中だった。

 「おっ、やっとあったな」

「これで、残された厄介ごとも最後か」

 ソウマとヒョウガがそれぞれ冷ややかに歩み寄る。しかしその瞬間、シラヌイがセットしたメモリースティックのデータが奇妙な閃光を放ちながら、すべてタマゴへと吸い込まれていった。

 「なっ……!?」

 次の瞬間、異様なエネルギーを蓄えたタマゴが激しく脈打ち、みるみるうちに肥大化していく。光の繭が弾け飛ぶと、そこには禍々しくも巨大な、龍の姿をした異形の存在が産声を上げるようにその巨体を現すのだった。

ジョウトリーグが終わって次の地方は

  • サトシと一緒のホウエン地方
  • サトシとは別のイッシュ地方
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