ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
その頃、いかりの湖方面へ向かったヒビキたちは、チョウジタウンへと押し寄せていたギャラドスの群れとなんとか対峙していた。
ワタルとヒビキが各々、群れのリーダー格であった「赤い色違いのギャラドス」と解くに暴れていた「親分個体の巨大ギャラドス」の二体を無事に捕獲。暴走していた群れを沈静化させることに成功したのだった。
街の安全を確保したヒビキとワタルたちは、すぐさまソウマとヒョウガが残る戦場へと引き返した。
あの大怪獣のような暴竜を前に彼らが無事かどうか、息を切らせて駆けつけるヒビキたち。
しかし、彼らが辿り着いた場所に広がっていたのは、傷一つなく元通りに修復された綺麗な森林と──回収したデジタマを大切そうに抱えたクロノモン、そして何事もなかったかのように静かに佇むソウマとヒョウガの姿であった。
「ソウマさん……その」
恐る恐る尋ねるヒビキに、ソウマはあっけらかんとした調子で答えた。
「ん? あぁ、コイツはクロノモン。俺の相棒の本来の姿さ」
あまりにも軽い返しにサトシたちが言葉を詰まらせる中、今度は重苦しい沈黙を破ってワタルが問う。
「……貴方達は、一体何者なんだ」
その眼光は鋭く、目の前の存在がポケモンの理を遥かに踏み越えた何かであることを見抜いていた。ソウマは困ったように苦笑いを浮かべながら、肩をすくめてみせる。
「俺達は……まぁ、別の世界の人間だよ。この世界に俺たちの世界の物が流れてきてしまったから、それを回収していたんだ」
さらりと明かされた衝撃の事実に、サトシやワタルたちが息を呑んだその瞬間──ヒョウガの後ろに静かに控えていたサザンドラが、まばゆい暗黒の光を放ち始めた。
空間そのものが歪み、軋むような重圧が立ち込める。
光が収まったそこに現れたのは、サザンドラなど比較にもならない巨大な二つの頭部と、身体中に不気味な緑色のデジタルバンドを巻き付けた禍々しくも圧倒的な邪神──ズィードミレニアモンの姿であった。
「っ……!? なんだ、このポケモンは……!?」
「いや……ポケモンなんかじゃない……!」
ズィードミレニアモンが無意識に放っているだけで世界を呑み込みかねない禍々しい圧力に、ワタルもサトシたちも完全に言葉を失い、冷や汗を流して立ち尽くすことしかできない。
そんな彼らの反応にも意を介さず、ヒョウガが静かに口を開く。
「流石にこの世界に長居し過ぎたから、去らせてもらう。回収が済んだから恐らくもう、この世界に来ることもないだろうな」
そう告げると、ヒョウガはズィードミレニアモンに指示を出し、空間を歪めて異次元へと繋がる漆黒のゲートを開かせた。
二人がそのゲートへ足を踏み入れようとした、まさにその時──ソウマが何かを思い出したようにポンと手を打った。
「おっと、忘れるところだった」
ひょい、と軽い動作でソウマが投げた小さなそれを、ヒビキは慌てながらも両手でしっかりと受け止める。
手元にあったのは──真ん中に妖しくも神秘的な六角形の水晶が嵌め込まれた、異質な気品を放つブレスレットだった。
ムーンミレニアモン思わせる真ん中の水晶を挟むように、片側にはクロノモンのホーリーモードを象徴する白く神聖な羽と、デストロイモードの鱗と爪。もう片側にはズィードミレニアモンと爪が、見事な調和をもって連なっている。
「俺達の相棒……クロノモンとズィードミレニアモンの体の一部で作った奴だ。何かの役に立つと思うから、君に渡しくとくよ」
「え……っ、 あ、ありがとうございます……!」
「それじゃあ。……もしまた会うことがあったら、また宜しくな」
不敵な笑みを残し、ソウマとヒョウガ、そして二体の圧倒的な超存在は静かにゲートの中へと身を翻し──世界の裂け目は、まるで何事もなかったかのように綺麗に閉じて消えていったのだった。
ジョウトリーグが終わって次の地方は
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サトシと一緒のホウエン地方
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サトシとは別のイッシュ地方