ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
ソウマ達が去る数十分前
少し離れた高台から一連の激闘を覗き込んでいたロケット団のムサシ、コジロウ、ニャースの面々は、口をぽかんと開けて固まっていた。
「何あれ~っ!?」
「ニャース! あのバカデッカい奴の言葉を通訳してくれ!」
コジロウに急かされたニャースは、耳をすませて地響きのようなグラウンドラモンの咆哮に意識を集中させる。
「『なんかわからんけどいきなり完全体になれたぁ! このまま究極体になるぞぉ!』って叫んでるニャ!」
「それって、これから更に進化をするってこと!?」
「ならアイツを捕まえてボスに献上すれば……一気に幹部昇進間違いなしよ!」
取らぬ狸の皮算用で大喜びするムサシとコジロウ。しかし、その傍らでニャースと手持ちポケモンたちは、冷や汗をダラダラと流していた。
「……おミャーらアイツ、ホントにポケモンと思うニャ?」
「ソーナンッス……?」
ソーナンスを筆頭に、手持ちポケモンたちが揃って全力で首を横に振る。
「やっぱりそうだニャ……。幹部昇進どころか、そんなことより一刻も早く逃げ出したいニャ」
ニャースが心の底からの正直な感想を漏らしていた、まさにその時だった。
グラウンドラモンが放っていた威圧感を遥かに置き去りにする、恐ろしいほどの重圧がその場を支配した。
「何!? あの鳥っぽいの……」
「あんな小さい身体で、あのバカデカい奴と戦う気か……?」
ムサシとコジロウが半ば小馬鹿にするように呟いた直後──クロノモンの一撃によって、あの巨体だったグラウンドラモンが影も形もなく遥か彼方へと吹き飛ばされた。
「「「……マジ……!?」」」
あまりの規格外すぎる光景に、ムサシもコジロウも、ソーナンスたちも全員揃って顔を真っ青にさせて硬直する。
さらには周囲の破壊された地形までもが一瞬で元通りに修復され、その作業を終えたクロノモンが、ふっとこちらへ視線を向けた──ような感覚がムコニャたちを襲った。
……さらに次の瞬間、空間が歪み、世界を呑み込みかねないほどの凄まじく禍々しい圧を纏った「ズィードミレニアモン」が姿を現す。その二つの頭部に光る凶暴な四つの眼が、じっと三人組を睥睨していた。
「……見てたよな?」
「絶対こっち見ていたニャ……」
「そうと決まれば──!!」
「「「逃げろ(ニャ)ーッ!!」」」
「ソーナッンス──!?」
いつもの捨てゼリフを言う余裕すら微塵もなく、三人と一匹は脱兎のごとくその場から一目散に逃げ出したのだった。
◇
ソウマとヒョウガが異次元のゲートの向こうへと去り、静けさを取り戻した戦場。
その様子を誇らしくも見届けていたワタルが、周囲を見渡してからヒビキたちに向き直る。
「私も行こう。皆、今回は協力してもらい感謝する」
そう言い残すと、ワタルは今回の事件の事後処理や報告を行うため、カイリューと共に素早くその場を後にした。
──翌日。
ヒビキ、エイ、ダンの三人は、チョウジタウンの郊外にある人のいない開けた場所へと足を運んでいた。
ヒビキはポケットからモンスターボールを取り出すと、徐に昨日捕獲したばかりの親分個体の巨大ギャラドスを呼び出す。
ドサリと地響きを立てて現れた巨体を見上げ、ヒビキは真っ直ぐな視線で問いかけた。
「……ついてくる気はあるか?」
その問いに対し、親分ギャラドスは少しだけ息を吐き出すと、ヒビキの覚悟を確かめるように静かに、しかし力強く頭を下げた。
「わかった。……それと、出てこい、エレブー」
続けてヒビキが別のボールからエレブーを呼び出す。二匹のポケモンが揃ったところで、ヒビキは表情を引き締めて言葉を続けた。
「お前たちはこれから、オーキド博士の研究所に送る。あそこには、より強い同種やお前たちの進化系がいるはずだ。そいつらに頼んで、徹底的に鍛え上げてもらう」
一瞬驚いた表情を見せる二匹だったが、ヒビキの言葉はそこで終わらない。
「エレブー、お前はあっちにいるエレキブルから合格をもらえたら進化させる。いいな?」
その真意──生半可な気持ちではなく、圧倒的な強さを目指して高みへ登らせようというヒビキの熱意を察した二匹は、真剣な眼差しに変わると、気合の入った顔つきで力強く頷いた。
「よし、頼んだぞ」
ヒビキは二匹をボールへと戻すと、すぐさまオーキド研究所宛てに転送手続きを完了させたのだった。
ところ変わって、カントー地方のマサラタウンにあるオーキド研究所。
転送されてきた二匹のモンスターボールを受け取った助手のケンジがボールから解放すると、そこにはすでに先客として、二人よりも遥かにどっしりとした威容を誇るヒビキのドサイドンの姿があった。
「それじゃ、ドサイドン。案内を頼むね。君もジストさんのドサイドンとの特訓があるからね」
ケンジの言葉にドサイドンは短く頷くと、新入りの二匹に向かって「ついてこい」と不器用に顎をしゃくって手招きする。
二匹がその背中を追って敷地の奥へと進むと──そこに広がっていたのは、言葉を失うような光景だった。
眼前に佇んでいたのは、自分たちよりも遥かに強いと直感で理解できる強者たち。
見る者を圧迫する巨体を誇る親分個体のエレキブル、異彩を放つ赤い色違いのギャラドス、そして厳しい眼差しを向けるジストのドサイドンが、腕を組んでこちらをじっと見つめていたのだ。
その圧倒的なオーラに一瞬呑まれそうになりながらも、親分ギャラドスとエレブーは腹を括り、指導を仰ぐように深く頭を下げた。
直後──オーキド研究所の広大な敷地に、凄まじい地鳴りと技の激突音が轟き渡るのだった。
ジョウトリーグが終わって次の地方は
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サトシと一緒のホウエン地方
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サトシとは別のイッシュ地方