ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド 作:ガチャガチャクツワムシ
大きな騒動がようやく終わりを告げ、サトシたちと別れたヒビキ、エイ、ダンの三人は、最後のジムバッジを獲得するためにフスベシティを目指して歩みを進めていた。
山岳地帯の険しい道を歩きながら、ヒビキは頭の中で今後のスケジュールを組み立てる。
「このペースなら、最後にジムバッジを獲得してリーグ会場にたどり着いたとしても、一ヶ月はトレーニングに時間を割けそうだな」
「前向きに計画を立てるのはいいけど、最後のバッジをちゃんと取れる自信はあるの?」
呆れたように尋ねるエイに続き、ダンも手元の資料から目を離さずに口を開いた。
「調べてみたが、そのフスベジムはドラゴンタイプの使い手が集まるジムらしいな?」
「まぁ、ドラゴンタイプは強力なポケモンが多いが、対策自体は広く知られているからな。何とかなるさ」
そんな会話を交わしながら進んでいた時のことだった。突如として、周囲の気温が目に見えて上昇していく感覚が三人を襲った。
「……なんか、急に暑くなってきてないか?」
「確かに。さっきまでは過ごしやすい気温だったのに……」
「周りを見てみなよ。マグマッグやマグカルゴがいるだろ? このあたりは炎タイプのポケモンが多く生息しているエリアだから、そのせいじゃないか?」
ヒビキはそう言いながらも脚を進めたが、次第に額から汗が吹き出すほど暑さは酷くなっていく。
「いや、流石に暑すぎでしょ!?」
「何だか遠くの景色が揺らめいて、ぼやけて見えるな……」
「……どこかで炎タイプ同士が本気のバトルでもしてるんじゃないか?」
ヒビキがそう呟いた、まさにその瞬間──。
ドォンッ! と至近距離でけたたましい爆発音が響き渡り、煙の中から何かが猛スピードでこちらへ吹き飛ばされてきた。
「ニョロボン! 受け止めろ!」
ヒビキの素早い指示に応じ、ボールから飛び出したニョロボンが受け止めたのは、目を回してぐったりとしている一匹のマグカルゴだった。
そして、そのマグカルゴを追いかけるようにして姿を現したのは──全身から強烈な熱気を放つ、一際巨大な親分個体のブーバーであった。
「なるほど、だからこんなに暑かったのか」
ヒビキが納得したように呟く中、親分ブーバーは戦闘不能になったマグカルゴから、それを抱えるニョロボンへとターゲットを変更。挑発するように拳を打ち鳴らし、ギラギラとした鋭い視線を向けてきた。
「凄いやる気ね、あのブーバー」
「ヒビキ、相手をしてやれよ」
「しょうがないな……。ニョロボン、やるぞ!」
「ボンッ!」
ニョロボンが力強く頷いたのを確認するや否や、親分ブーバーは即座に攻撃へと移った。
「【マッハパンチ】が来るぞ! 【疾風返し】!」
先制の一撃を技のカウンターで見事に弾き返すと、ブーバーは間髪入れずに口から灼熱の【火炎放射】を解き放つ。
「【熱湯】!」
ニョロボンが放った高圧の水流と激突し、周囲一帯に凄まじい水蒸気が爆発的に広がった。
視界が遮られた隙を突き、ニョロボンは【岩雪崩】を繰り出して多数の岩石を降らせてくる。
「ブバッ!」
しかし、降り注ぐ岩石もブーバーが放った強力な【サイコキネシス】によって軌道を変えられ、容赦なくニョロボンへと襲いかかる。
「【アクアブレイク】で壊せ!」
ニョロボンは拳に激しい水を纏わせ、迫り来る巨大な岩を次々と叩き壊していく。だが、その水の煙を破って一瞬で肉薄したブーバーが、バチバチと電撃を纏わせた【雷パンチ】でニョロボンを激しく殴り飛ばした! さらに追撃と言わんばかりに、至近距離から顔面へ向けて【スモッグ】を吹きかける!
「かなりやるじゃない、あのブーバー……!」
「だが、ニョロボンも直撃は避けてダメージを最小限に抑えているな」
エイがその猛攻に息を呑む傍らで、ダンは冷静に戦況を見極めていた。
「ニョロボン! そろそろギアを上げていくぞ! 【雨乞い】からの【腹太鼓】!」
天に向かって咆哮し、恵みの雨を降らせると同時に、自らの腹を激しく叩いて体力を削り──攻撃力を一気に限界突破(最大)まで引き上げるニョロボン!
雨によって相手の炎技を削ぎ、一瞬の隙を突いてブーバーの懐深くまで一気に潜り込んだ。
「【ドレインパンチ】!」
ドゴォンッ! と重厚な衝撃音が響き、威力が跳ね上がった拳がブーバーの腹部を深く撃ち抜く! と同時に、相手の体力を奪い取って自身の傷を瞬時に癒してみせた。
親分ブーバーが激痛に苦しそうなうめき声を上げる中、ヒビキは一気呵成に畳みかける!
「【アクアブレイク】で追撃!」
雨の恩恵と最大まで高まった攻撃力が乗った、圧倒的な水の連打。それらをまともに受けた親分ブーバーはついに耐え切れず、膝をついてその場に倒れ込み、戦闘不能となった。
激しいバトルを制したニョロボンを労いながら、ヒビキは倒れたブーバーを見下ろして不敵に呟く。
「……こいつなら、捕まえる価値が十分にあるな」
ポケットからモンスターボールを取り出すと、親分ブーバーに向かって勢いよく投げつけたのだった。
ボールが数回揺れ、やがてピタリと静止する。親分ブーバーの捕獲が無事に成功した瞬間だった。
こうしてヒビキたちは新たな仲間を加え、最後のジムバッジを目指して再び歩き出しの足を早めるのだった。
ジョウトリーグが終わって次の地方は
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サトシと一緒のホウエン地方
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サトシとは別のイッシュ地方